八幡の武偵生活   作:NowHunt

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コレカラ

 色々とあり、どうにか緋緋に勝てたその後……星伽さんを呼びに行く前にスタンバトンで緋緋に電気を流し、一先ず気絶させてから星伽さんと合流した。

 

 星伽さんが持っていた超能力を封じる手錠を付けてからとりあえず縄でグルグル巻きにしてお米様抱っこで星伽神社の本殿に入る。

 

 柱にも括り付けて話し合いがスタート。

 

「あぁ~……」

 

 それはそれとして、疲れからの唸り声が漏れる。

 

 しかしまぁ、今回もマジで疲れた……。戦い終えてしばらく経ったのでアドレナリンが切れ始めた。そこいらがもう痛いし、全身気怠さが襲ってくる。

 

 実際問題、大きく吹っ飛んで本殿ぶち破ったしな。現に今も本殿の一部はボロボロに崩れており、埃やら木屑やらが飛び散っている。そんで吹きっさらしなので寒いなおい。

 

「よく……勝てましたね」

 

 星伽さんはまだ寝ている緋緋に目配せして感慨深そうに呟く。

 

 まるで夢から覚めていない視線を向けている。人間が神に勝ったのだ。いくら前提条件が違うとはいえ、緋緋をよく知っている星伽さんからすればなおさら……か。そして、俺を見る眼はある種、まるで人間とは見てなさそうな気もする。

 

 気持ちは分かるけどな。

 

「意識の違いがあったと思うからどうにかな」

「……意識、ですか?」

「ざっくり言えば命を懸けているか懸けていないその差……って感じかな。あとイラついているときはあっても緋緋は終始遊んでいる印象だった。いや、遊んでいるってより楽しんでいるのが正しいか。……何て言うかな、実際のところそこまで殺意ある攻撃少なかったし」

 

 緋緋が俺を本気で殺そうとすれば、やろうと思えばノーモーションで影を使って俺を殺すことなど容易いはずだ。

 

 それこそ俺の知らない超能力連打でゴリ押しもできたはずだ。実際、あの斥力には初見だと全く対応できなかった。それに、神崎のガバメントも全く使わなかったからなぁ。いやまぁ、万全の俺に銃は効かないけど。

 

 心の奥底では、殺す<楽しむが勝ったんだろう。だからどこか隙はあった。その上、ろくに追撃もしてこなかった甘さもあった。俺を斥力で飛ばした後にガバメント連射されたら多分死んでた。

 

「次戦えばこう上手くはいかない……かもな」

 

 もう戦いたくはないが、もし次があるなら……俺はどうすべきか。こちらも神崎の体を殺す覚悟をすべきなのか、同じ手は通用するとは思えないから……また色々と考え直さないといけないだろう。

 

 それはそれとして――――

 

「これからどうする? 緋緋と神崎を分離させる方法ってある? さっき舞がどうのって言っていたが」

「神楽舞……舞は本来色金に取り憑かれた方を戻す舞と言われていますが、比企谷さんの戦いを見た限り、あの緋緋神の発言は正しいと思われます。あそこまでアリアに定着したとなると……もう……」

 

 伏し目がちに発言する星伽さん。

 

 俺もその意見には同意する。実際に戦ってみて感覚で理解したが、前に何回かされた俺みたいな不完全な乗っ取りとは訳が違う。緋緋の言う通り、今も別に神崎の意識が戻っていない。正常な手段では取り返せないだろう。

 

 まぁ、もうここまで来て外部からの手段を頼りにはしていなかったが、少しは残念な気持ちになる。

 

 となると、次の問題は――――星伽さん本人ではなく星伽神社はどうするのだろうか。

 

「神崎は取り戻せない。緋緋もいずれ意識が戻る。なら星伽さんは……星伽はどうする?」

「そ、それは……」

 

 俺の言葉に対して星伽さんは目が泳ぐ。俺と視線を合わせようとしない。もうこれで何となく察したところはある。しかしながら、とりあえず確認だ。

 

「まず、過去このようなケースはあったのか?」

「はい、ありました」

「そのとき過去の星伽……緋巫女はどう判断した?」

「乗っ取られた人と一緒に……殺した、と記録に残っています」

「だよなぁ」

 

 予想通りの回答に思わず眉間に皺が寄る。

 

 まぁ、そうなるよなといか言いようがない。あぁ、なんかもう嫌になってきた。やはり星伽さんにもこの状態の神崎を救えないのか。薄々察してはいたが、ここまで手詰まりだとはな。

 

 元々俺はこれ以上どうにかできるとは思っていなかった身だ。本来、色金のことが知りたくて、ただの興味本位で星伽神社まで来たわけだ。――――しかし、こうして緋緋と戦った以上、ここから星伽さんに全部任せるのは心苦しい。これで神崎か星伽さんに何かあったら寝覚めが悪すぎるだろ。

 

 また緋緋が暴れ出したときの抑止力としてもまたここにいる必要がある。――――誰か別戦力が来ない限りはな。

 

 とはいえ……星伽神社が殺すしかないと判断を下しても星伽さん本人の意志はまた別だろう。若干涙声の星伽さんに再度声をかける。

 

「なら星伽さんはどうしたい?」

「星伽の使命は果たさないといけない、そんなの分かっていますけれど…………私は……アリアを殺したくないです」

 

 涙声の星伽さんに対して若干気まずくなる。ので、少し話題を逸らそう。

 

「だよな。知っている。……そのわりにはM60ぶっ放していない? あれ神崎や遠山じゃなければ普通に死ぬぞ?」

「そ、それは今関係ないですよねっ!」

 

 そうだね。毎度の如く俺らの部屋がぶっ壊されていたこと以外は関係ないね。……と、茶化して場の空気は幾分か和らげることには成功した。

 

「それを言うなら……比企谷さんだって人のこと言えないですよね。神社の本殿……こんなに破壊して」

「待て。それに関しては緋緋だから。俺じゃない」

「では鳥居近くの松の木々をへし折ったのは?」

「……俺です」

「ほら」

 

 くっ、まさか星伽さんにカウンターを喰らうとは……。何気に失礼な発言だが。いやそれでも、頻度という観点から考えればまだ俺の方がマシなのでは?

 

「というより、あそこまでへし折れるのスゴいですね」

「いや星伽さんもできるだろ。あの新幹線すら斬ったことあるし」

 

 と、互いに軽口を叩きつつ本題に。

 

「解決策は……何だろう、外部から試すのはもう悉くダメってことなら、拷問でもしまくって緋緋が出ていくのを試すしかもう俺は思い付――――ん?」

 

 非常に冷たい深夜の風が吹きっさらしになっている部屋の中に入ってきている……とはまた別の音がする。

 

 ザッと雪を踏む音だ。何かが落ちた音ではない。複数回規則的に耳に届いている。自然発生した音ではない。人為的な音だ。多分足音……? 音からすると男性? 女性の足音ではない。雪の踏む大きさで何となく分かる。ということは星伽さんの姉妹ではない。

 

 音の大きさ的に俺と体格はそんなに変わらない男性……。そして、この閉鎖的な神社である場所を知っている奴と来れば答えは明白だ。

 

 なるほど、誰が来たのか理解した。これは――――ようやく終わりか。

 

「比企谷さん? どうしました?」

「……俺の出番はここまでだな。布団貸してくれない?」

「えっ……あぁはい……」

 

 何事かまだ理解できていない星伽さんをよそに気怠けな態度でクルッと振り替える。

 

 しばらくすると、そこには生傷が付き雪に覆われている……ここに来るまでの過程が気になりすぎる男がいた。たしかイギリスにいたはずなんだけどなぁ……。なんでここにいるの?

 

「キンちゃん!」

「白雪、遅くなった」

 

 あぁ……ダメだな、これで一区切りって自覚すると一気に疲れが押し寄せてきた。

 

 ずっと気が張っていた部分はあるし……何だかんだで超能力がっつり使ったしな。災禍級の超能力を連続で使ったり、影も少し使ったりとだいぶ堪えた……。休む前にマッ缶飲もう。補給は大事だ。

 

 一先ずようやく遅れて来た主役にバトンタッチだ。俺の仕事はここまでだ。なんか毎度こんな感じだなと思いながらも疲労には勝てない正直な体をしている。

 

 遠山の肩を軽く殴って俺は消えるとしよう。

 

「あとは頼んだぞ。俺は寝る。疲れた」

「比企谷……ありがとう。任せてくれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――翌朝。

 

 といってもまだ4時。冬真っ只中だと日は昇っていない時間帯。青森のような北国だと特に暗い。3時間ほどしか寝れていないが、どうも目が覚めた。

 

 あれから星伽さんの妹に離れを案内してもらいそこで寝た。ただまぁ、変に目が冴えてしまいあまり眠れず起きてしまった。あと暖房ないから寒いしな。いくら布団を被っても寒いのは寒い。

 

「……」

 

 コートを羽織り、MAXコーヒー片手に外へ出る。放置していたが、さすが北国の冬。冷蔵庫並にキンキンに冷えてやがるぜ。くぅ、甘くて冷たい。そんなことをしながら境内を宛もなく歩いている。

 

 緋緋と戦ったあともMAXコーヒーを補給したから超能力も回復はした。このくらいなら瞬間移動は1回は使えるけど……あ、駅に荷物置きっぱなしだ。飛んで帰るにしても荷物回収してからになるなぁ。

 

 こんなかなり寒い場所を歩いていると一瞬で目が覚める。もう眠くない。

 

 ……うん。それはそれとして。

 

「…………」

 

 …………さっきから俺を見ている奴は誰なの? 屋根からなんか視線を感じるが……。

 

「んー。あら、八幡じゃない。暗くてよく分からなかったわ」

「……」

 

 数時間まで散々訊いた声。しかし、確実に違うと分かるこの声色。屋根へ視線を向けると、月明かりではっきりと見えるピンク色のツインテールが揺れている。雰囲気からも見て取れる。

 

 緋緋ではない、あれは神崎だ。間違いない、そう確信できる。

 

 飛翔で飛んで俺も屋根に移動する。

 

「神崎……ようやく戻ったか」

 

 こちらのいかにも気怠けな問いかけに笑顔を見せる神崎。

 

「えぇ、随分と迷惑かけたわね」

「全くだ。かなり大変だったからな」

 

 神崎の隣に腰をかける。雪が止んだけど当然屋根は冷たいな。

 

「で、どうやって戻れた?」

「ざっくり言えば乗っ取り返したのよ。乗っ取るって言うのは命を奪うもんなの。緋緋の命を今度はあたしが握った。……ま、それも八幡、あんたが緋緋を散々痛め付けて弱らせたおかげだけれどね。それと、キンジのおかげよ」

「随分と簡単に言うな……」

 

 あっさりと告げるが、それが出来なかったから今まで苦労してきたわけだろ。あとそれもかなり高度なことだよな。俺は当然出来なかったわけだし。

 

「超能力もだいぶ使えるようになってきたのも、乗っ取り返せた理由かしらね。まぁ、だからってあたしだけではどうにもならなかったのが現実。八幡やキンジが頑張ってくれたからの結果よ。だから、ありがとね」

「どういたしまして」

 

 まぁなんだ、その一言が聞けただけで良しとしよう。

 

「ていうか、乗っ取ったって緋緋は大丈夫なのか?」

「当たり前よ。あたしがそんな簡単に殺すような人だと思う?」

「うん」

「風穴!」

 

 ほら。

 

「別に何てことないわよ。あたしが上にいるからもう直接どうのできないしね。ただ、色金の力の使い方をこれから少しずつ教わる予定よ」

 

 名実共にこれで緋弾のアリアになるわけか。

 

 平然と言うよ。俺も使えるから何様って話だが、こうも周りに色金の力を使える奴が増えるとなると恐ろしいことこの上ない。

 

「そういやこれから緋緋はどうするんだ? まぁ、どうするも何も、本体はあれこれできるもんではないが」

「それなんだけどねー。あのあとあたしと白雪、キンジで本体のとこ行ったのよ。そしたら何やかんやでちょっと地盤が崩れてね」

「おい」

「まぁまぁ、気にしないで。……でね、緋緋本体を取り出せるようになったから故郷まで送ってあげようと思ってね」

 

 ほーん。色金の性質的に本体を動かして何が変わるの変わるの疑問だが故郷にか……うん?

 

「いや緋緋の故郷って……」

「えぇ、察しの通り宇宙よ! キンジと行ってくるわ。八幡はどう?」

「…………」

 

 宇宙……宇宙ときたか。話がブッ飛んできたな……。寝起きには辛い話だ。どうしてか頭が痛くなってきた。

 

「あー、うん。俺は遠慮するわ」

「あら? 別にいいのに。せっかくの機会よ?」

「行きたくないって言ったら嘘になるけど、今回はパス。わりとノンストップで疲れたからな」

「残念」

 

 と、口惜しげに呟く神崎を見て、ようやく事の終わりなのだと実感できた。

 

 

 ――――これにて神崎アリアを巡る色金騒動は一旦の幕を閉じた。緋緋の力を扱えるようなった緋弾のアリアとして、神崎はこれから色金の力を用いて様々なことを解決するのだろう。

 

ここまで来るのに大変だったんだ。このまま一件落着として終われてほしいが、一件落着ということはまた何回も厄介なことが起こるのかもしれない。なるべく平和に過ごしたい気持ちはある。しかし、それを許してくれないこともあるかもしれない。そのときは……まぁ、今回よりも酷いことはないと信じて頑張るとしよう……。

 

 

「その代わり――――色々と大変だったからな。また飯奢れよ」

「えぇ、もちろん。そのときはキンジもレキも一緒にね」

 

 

 

 

 

 

 あれから遠山とアリアを送って、星伽さんに礼を言ってから、星伽神社をあとにした。ある程度崩壊したのが心残りというか申し訳ないが……。駅前までタクシーで移動してから荷物を回収。

 

 電車や新幹線で帰るのは面倒だったので、全然人がいなかったので、多少光ったところで不自然に思われないだろうと判断し、トイレの個室で瞬間移動を使って帰宅。

 

 おっと、もうリビングに着いた。

 

「いやこれ……便利だな」

 

 思わず独りでツッコミを入れる。

 

 体には疲労が蓄積するけど、目前に広がる光景は俺が普段から暮らしているリビングだ。こんなな一瞬で帰れるとは軽く感動もんだ。下手すれば初めて色金に感謝したいくらいまである。命を救ってもらっている身で何を言っているレベルの発言だが。

 

 ……って、ヤバい土足だ。と、急いで靴を脱いでいると、ガチャっと音がするので、向いてみるとレキがいた。

 

 ドラグノフを、持っているレキがいた。

 

「八幡さんでしたか。物音がしたので何事かと。お帰りなさい」

「おう、ただいま。それはいいけど、どしてドラグノフを?」

「不審者かと思い」

 

 似たようなもんだけど。

 

「レキもウルスから戻っていたんだ。お帰り」

「はい、ただいまです。それで、アリアさんは?」

「結果は上々。何とかなったよ」

「それは良かったです」

 

 荷物を片付けて風呂に入っところで落ち着ける状態になった。

 

「って、なんで神崎云々知っていたんだ?」

 

 互いにソファーに座ってのんびりダラダラしながら話す。俺はおやつを摘まみつつ。

 

「理子さんから星伽さんに話があると青森に行ったと訊きましたので。あとはアリアさんからも連絡ありまして。解決したと」

「そっか」

「それで、八幡さんは緋緋神と戦ったのですか?」

「流れでな。向こうから喧嘩売ってきただけだ」

「ボコボコにしたと訊きましたが」

「いやボコボコて……。一応は勝ったけど、こっちだってわりとヤられたぞ。考えたくないけど、最初から緋緋が俺を殺す気ならどうなっていたか……」

 

 ソファーで話す内容にしては物騒だな。

 

 少し気まずくなったのか何を思ったのかチラッとカレンダーを覗く。

 

「もうそろそろ3月か。2年も終わりだなぁ」

「とても濃い1年でしたね」

「だな。理子の武偵殺しから始まり……色々あった1年だったなぁ……。その前に期末試験どうにかしねぇとな」

「八幡さん、成績はかなり高順位でしたよね?」

「星伽さんに続き万年2位だったが、なんかこの前から3位に落ちたんだよな。星伽さんにも勝った、新しい1位の……望月なんちゃらとやらに聞き覚えがなくてな。ちょっと悔しいけど、数学が伸びねぇからどう足掻いても勝てなさそう」

 

 いやマジで誰なんだ。望月なんちゃらとやらは……。たしか救護科って記述があったが、心当たりはない。また同じ救護科の戸塚から訊いてみるとしよう。

 

 とは言っても、今まで見たことなかったってことは神奈川辺りからの転校生なんだろう。さすがに一般から転校してわざわざアホの巣窟に来るのはないと思うからな。まさか武偵でここまで賢い奴がいるとは。

 

「そういや、レキの成績は? ちゃんと進級できる?」

「問題ありません」

「良かった良かった。つっても、こんなアホアホ学校で留年する奴なんざいるわけないけどな」

 

 いるとしたら、成績云々よりも授業を休みまくっている奴くらいになるか。まぁ、何にせよいるわけないか。

 

「ところで、お前はこの先予定というか何か依頼とかあるのか?」

「現段階では特に依頼はありません」

「そっかぁ。あるなら付いていこうかなとか思ったけど……まぁ、3年になるまでの間はのんびりしたいな」

 

 と、レキは一拍置いて発言する。

 

「3年といえば……八幡さんは卒業後の進路をどうお考えで?」

「これといって考えてないけど。どっかで事務所構えるかフリーランスで動くか……どちらかと言えば後者かな。レキがずっとそのスタイルだし、俺もその方が動きやすいだろ」

「そうですね。私からも後者の方がありがたいです」

 

 今さらながらナチュラルにレキと一緒にいるのが当たり前みたいな会話だったことにある種の戦慄を覚える。いやもう当たり前レベルなんだが……こういうことを話せるとは中学の俺に言っても信じられないだろう。

 

 あの頃の俺はまぁ、色々と荒んでいたからなぁ。周囲に存在を軽んじられて、裏切られて、酷いトラウマを抱えていた。そんでまぁ、人の……特に他人からの好意を信じられなかった。

 

 いや別に今でもそのトラウマが完全に治ったとは思わないけどね? ただ多少はマシになったとも思う。というより、武偵になった以上誰から構わず信じることはご法度だ。常に疑うことから始める必要がある。

 

 とはいえ――――信じられる相棒がいるのは非常に心強い。そう感じられるようになったのは多少は成長したと言えるのだろうか。

 

「八幡さん?」

「……ん、何でもない。とりあえず、進路は追々だな。親からは大学も勧められたけど、そもそも卒業できないと武偵の資格を保持することすら難しいし」

 

 たしか武偵高を退学……中退になると1週間程度で武偵免許が剥奪されるはずだ。総武高のときのような事例は依頼ということもあり特例だからまた別だったが。

 

「いざとなれば免許程度、私がどうにかできますよ」

「なんかおんぶ抱っこされるのは格好が付かない……まぁ、頑張るよ。それにランクは上げたいしな。Aにはなりたい。金はほしいし」

「八幡さんならAとは言わず、Sでも遜色ないレベルだとは思いますよ」

「それは超能力ありきだろ。試験なら超能力は使いたくないからなぁ……。SSRなら未だしも強襲科が超能力使うと目立つし。こんな話前にもしたことあるな」

「超能力がなくても充分な実力ではないですか?」

「んー、超能力なしで遠山や神崎、それこそレキみたいに一芸に秀でている部分があるって言われれば……ないような気がする。」

 

 射撃技術はレキや神崎、遠山には客観的に見ても遠く及ばない。体術はそこそこ自信あるけど、それだけでSになれるとは思わない。

 

 別にそれでもいいかとムリヤリ納得する。

 

「まぁ、武偵は本来実力を極力隠すもんだ。ランクは低かろうが優先度はそっちのが高い。隠せるならそれに越したことはない」

「超能力は情報を知らないと対処しにくいですしね」

「だな」

 

 とはいえ、裏の奴らには映像撮られているんだろうなぁ。今回、緋緋と戦ったときの映像はかなり雲が分厚かったが、撮られたのか分からないな。多分、撮られていないが……いや、よくよく考えればあの戦闘で新しい力を使ったとかそういうのはないな。

 

 それなら構わないか。どうせ今の俺の最大火力の影や災禍はアメリカで記録されているだろうし。

 

 ――――しかしまぁ。

 

「……」

 

 こういう将来に向けた会話をしていると、本当にこの怒涛の1年が終わるのだと実感する。

 

 とてもじゃないが、この1年を越える出来事なんて起きないだろう。そう思えるくらい濃い時間を過ごした。武偵高とかいう魔境の3年になろうが、ここまで面倒な事態には出くわさないだろう。

 

 そう思いたい、そう願うばかりだ。

 

「まぁ、3年になってもよろしくな」

「えぇ。もちろんです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




なんか止めどきを失ったけど、多分ダラダラと続けます
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