今回で夏休み最後です
・・・・・・今日は夏休み最終日。
一言言わせてもらうが、
「2ヶ月、足ーりなーい」
俺は床をゴロゴロする。
ガチャとドアが開いた音がした。そこには遠山がまるで、残念な人を見るような目で、
「比企谷、何やってるんだ?」
と、尋ねてきた。
「そんなの決まってるだろ。現実逃避だよ。はぁ~、夏休み短いー」
「文句言うな。・・・俺だってそりゃ嫌だよ。でも、諦めろ」
そうため息をつく。すると、急に思い出したように、
「あ、そうだ、比企谷。そういえばさっきお前の携帯震えてたぞ」
はっ、どうせ広告とかだろ。良くて小町からだな。
「あーうん。わかったー」
俺は気の抜けた返事をする。
夏休み最終日。特に何もなかった。訓練、課題、だらだらの繰り返し。
誕生日は誰にも教えてない。だから、当日は小町から一言メッセージが来ただけ。
どうでもいい話は置いといて、自分の部屋に入り、携帯を確認する。そこには不在着信が1件あった。
レキ
うっわー、嫌な予感がメッチャするんですけど。レキが用事ってなんだ、何かレキの部屋に忘れ物したか?いや、それでも報告が遅いよな~。
とりあえず連絡してみるか。
『もしもし』
「あー俺だ。比企谷だ。どうかしたか?」
『八幡さん。すいませんが、今日の夕方から予定空いていますか?」
え、なに。デートのお誘い?
「大丈夫だが・・・」
『ありがとうございます。でしたら、4時に狙撃科の屋上に来てください。お願いします』
すいません、嘘です。
『八幡さん?』
「あ、ああ。わかった。またな」
そう言って電話を切る。
レキの声ってマ○のア○ジンの声に似ているよね。あ、中の人が・・・・・・ゲフンゲフン。
しかしまぁ、レキと2人きりか。最近その機会が増えているけど、もう慣れた。
しかしまあ、レキって客観的に見ても可愛いと思う。こう言うとなんだけど、俺の好みだ。どこかの金髪ぶりっ子みたいにうるさくないしな。物静かなところが・・・・・・
って俺は何を考えている。煩悩退散、煩悩退散。心頭滅却。
・・・・・・よし、落ち着いた。念のために装備を整えておくか、前に殺られそうな時あったし。備えしといて損はない。
えーっと、ファイブセブン良し、スタンバトン良し、コンバットナイフ良し、SS190弾良し。
天気は快晴。雲は見当たらない。3時30分俺は少し早めに狙撃科の屋上に着いた。
理由としては、その方がなにかと対処しやすいからだ。アウェーで襲われるのとホームでじっくり構えるのではかなり差がでる。
しかし、
「ーー私は1発の銃弾」
レキの声がする。
「銃弾は人の心を持たない。故に、何も考えないーーー」
・・・いつもの口癖か?
「ーーーただ、目的に向かって飛ぶだけ」
もうレキがいた。レキは壁にもたれかかっていながら、空を見て、そう呟いた。
ドラグノフを分解してトランクに容れていた。戦闘の心配はなさそうだな。
今回は特に気配は消さずに堂々と歩いた。それでも大概の人は気付かないが、そこはSランク、すぐに気付いた。カルテットと同じようにいかない、まあ、状況が全然違うからな。
「早いな、いつからいたんだ?」
レキに話す。
「今日は1日ここにいました」
「そうか、なら悪かったな。待たせてしまって」
「大丈夫です。頼んだのは私ですから」
そう言って、俺はレキの横に座る。
「それで、話って?」
聞くが、レキは黙っている。レキを見てみると、いつもの無表情だけど、どこか迷ってる感じがする。
「ま、気が向いたら話せよ。待っとくから」
それからしばらく経ち、ようやくレキが
「八幡さんは感情を何だと思いますか?」
感情?
笑うとか嬉しい、悲しいとかの感情か。
「感情か、自分の気持ちを表現するとか、そんな感じかな」
人は7割表情でコミュニケーションを取ると言われている。そのための感情とかかな。
「私はわからない。風は感情を好みませんから」
・・・
「でも、最近になって私は『楽しい』や『嬉しい』と思い始めました。八幡さんと別れた後、次はいつ会えるかと思っていました。そうしてくれたのは八幡さんです」
・・・・・・
「しかし、そのせいで、少しずつ、風の声が聞こえなくなってきました。今はもうほとんど聞こえません」
・・・・・・・・・
「だから、風ってなんだ、そんなに大切なのか?」
そう言うとレキはまた黙る。
しばらくして、
「風は私の全てです。風はずっと私といました」
そう・・・答えた。
どうもその風とやらにレキは依存している感じがするな。
依存は危険なんだ。
いざというときに自分では判断がつかず、何も出来なくなる。
依存していると、自分というものを失う。
人間は自立して、成長する。それが無かったら、停滞だ。停滞は何も生まないし、始まらない。
非常に危険な代物なんだ、依存ってものは。
自然と口が開く。
「レキ、さっきのセリフを聞いた。お前がよく言ってるセリフだ。1発の銃弾・・・・・・・・・だと・・・。ふざけるな」
俺にしては珍しく声に怒気が含まれている。
「レキ、お前は1人の人間だ。銃弾なんかじゃない。意思ある人間だ。自分をそんな風に言うのは許さない。確かに今は感情をわからないかもしれない。
・・・でもな、それはレキがまだ赤ん坊だからだ。そして、ほんの少しお前は感情を理解し始めた。成長したんだ。だったら、そこから始めればいい」
俺は低い声で、レキを見て語る。こんなの俺、ぼっちの俺らしくない、そんなのわかってる。
でも、でも・・・・・・、
・・・なんとなくだけど、ほっとけないだろ。・・・・・・その理由は俺には上手く話せない。
「わからなかったら、色んな奴に聞けばいい。武偵高(ここ)は物好きが多い。きっと答える奴だっている。・・・それが別に俺でもかまわない」
また俺らしくないこと言ってる。
てゆーか、言ってて恥ずかしいな、このセリフ。俺のキャラどこいった?
これは黒歴史確定だな。
そう言うと、また沈黙が訪れる。なんか気まずい。反応はなし?してくれよ。
「私は」
レキが話し出す。
「私にはわかりません。だから、これから迷惑をかけると思います」
「俺は常に誰かに迷惑かけてるぞ」
「私は、いつも風の言うことを聞いて行動していました」
「俺も色んな人に流されて流されまくってここにいる」
「風の声が聞こえなくなって、とても不安です」
「それでいいじゃねーか。不安も感情の1つだぞ」
そうレキと言葉のキャッチボール?を交わす。
また訪れる沈黙。しかし、今はこれが心地いい。
もう夕暮れだ。それまで俺らは並んでボーッと座っていた。
「俺は帰るぞ」
そう言って、俺は立つ。
「今日はありがとうございました。八幡さん、これからもお願いします」
レキを見ると、
確かにほんの少し、レキは笑った。
部屋に戻った後、1時間ベッドで悶えたのは言うまでもないだろう。
急展開でなんかすいません。
早い気がしますが、すいません(2回目)
感想、評価待ってます!
って、色んな人言ってますが、増えるんですかね…?