あとお知らせです。
月曜から作者は修学旅行に行きます。それが海外で投稿できる状態かわかりません。しかも帰ってくるのが金曜日。できたら投稿したいと思いますが、マジでわかりません。
「羅刹」
俺はそう呟くと同時に、追い風を風速15mほど起こし、サンドバッグに掌底を放つ。
ズドオォォン!
と、訓練場全体に音が鳴り響く。サンドバッグはその勢いでかなり飛んでいく。そのまま転がり壁に激突する。
……一瞬だけなら、烈風を最大近くまで使えるようになってきた。だけど、持続して使うなら数秒かかる。
さて、吹っ飛んだサンドバッグを見に行くか。
「お……」
カナほどいかないが、それなりの威力になってきた。本家ほどの威力を出そうと思えば、もっと羅刹と烈風のタイミングをシビアにしないといけない。
一先ずは羅刹はこれで完成ってところだな。
…………………カナに見せてもらったあの早撃ちは全くもってできないけどな。ハハッ。あんなのできるわけねーだろ。人間辞めてる人間が。
俺は訓練場をあとにする。
フゥー、もうここに来ることはないかもな。だって明日で帰れるから、日本に。……………やったぜ。
今、イ・ウーは日本のどこかに向かっていてるらしい。どこかは知らないけど、九州とかは止めてくれよ。
できれば帰るまで色々行きたいし関西辺りだと嬉しいけどな。シャーロック俺の考え推理してくれ。お前ならできる。
「八幡」
俺の部屋に戻ろうとした時、廊下でてっきりもういなくなったと思ったセーラに声をかけられた。
「よぉ」
俺は少し声が弾んでいる。そこに目ざとく気付くセーラ。不機嫌そうだ。
「嬉しそうだね」
「そりゃ明日帰れるからな。長かった……」
ホントに長かった。ぶっちゃけ今までの人生より濃いんじゃね?ってくらい。
「そう。……でも、まだまだ八幡の超能力は私からしたら不完全。まだ八幡は風しか起こせない。空気のクッションとかを作って一時的に飛ぶこともできる」
手厳しいことで。そりゃセーラからしたら俺なんて赤子レベルだろうよ。
それより、空、飛べるんだ。そこに驚いたわ。
「だから、私が、まだ教えることがある……と思う」
セーラはメモを俺に渡してくる。
それを確認すると、数字が羅列している。……これは携帯の番号か?
「八幡も」
あ、俺の携帯番号もか。
紙に携帯番号を書き、セーラに渡す。
「ほらよ」
それを受け取ると、セーラが着ている制服の内ポケットにしまう。
「また連絡するからね。………私の弟子」
少し微笑み、去っていった。年相応の笑顔で。
それは綺麗で、可愛い笑顔だ。
セーラが見えなくなったころに俺は呟く。
「お願いするよ。……師匠」
ーー翌日。
俺は起きると飯を食い、荷物を持ち、イ・ウーの甲板に上がる。
そこにはシャーロック、理子、ジャンヌがいる。セーラは寝てるのか?それなら見送りくらいしてくれよ。………まあ、どこかに行ったんだろうが。
ジャンヌは何かを用意している。理子はそれを見ながら応援している。
ふと思った。
けっこうイ・ウーで人?とすれ違ったけどまともに話したのはここにいる奴らとセーラとカナだけだな。あ、毒使いもいたような……。
あとなんだか、ぱっと見、ザ・エジプト!って感じの女性がいたけど、あれ誰なんだろう?しかも、カナと一緒に。仲睦まじく。
ジャンヌを待っている間、
「さあ、もう君とはお別れだね」
隣にいるシャーロックがキセルを片手に言う。
「どうせいつか会うだろ。そんな推理とかしてるんじゃねーの?」
「ははっ。果たしてそれはどうかな?どうなるかは、君のルームメイト次第だね」
中々食えない奴だな、相変わらず。シャーロックの表情から読み取ろうとしても、一切崩さない。こんなのわかるわけないな。
ちょっと待て。……ルームメイト?遠山のことか。いきなり何で遠山が出てくるんだ?
…………………今は考えるのは止そう。
そういえば、この数ヶ月思い返すと、
「俺そこそこ面倒な目にあったな…………」
俺は、雲が少ない空を見上げる。その次に元凶の理子を見る。それしかないだろ。理子は飽きたのか寝転んでいる。
………ここに来て、良かったこともあったけど。だから、後悔はしない。でも面倒だった。
あれ?矛盾してね?
独り言のつもりだったが、シャーロックはそれを聞き、反応する。
「君がそうなったのは私の責任だ。ーーだが私は謝らない」
…………おい、なんでそのセリフ知ってるんだよ?ビックリだよ、まさかそれを言うとは。
……………ん?ジャンヌがさっきからこっちを見てる。
ーーナズェミテルンディス!
はい、すいません。ふざけました。
冗談は置いといて、どうやら日本まで行くための船の準備をしてくれたらしい。
「この…船は2人乗りだ。私が運転する。八幡は休んどいてくれ」
なんだか、なんだろ?潜水艦?ボート?よくわからん乗り物だ。
「あ、お願いするわ」
そこでふと気が付く。
「理子」
近くにいた理子の方を見る。
「なーに?」
「お前は戻らないのか?」
「私?私はまだここにいるよ」
理子がそう言うなら別にいいか。深くは聞かないでおこう。
「じゃあ、ハチハチ。また学校で」
「さらばだ。八幡君」
理子とシャーロックの言葉に俺はうなずき1つで返す。
船……船って呼ぶか。船に乗り込む。そこそこ狭いな。元々は船とかではなさそうだけど。
「窮屈だが、辛抱してくれ」
「大丈夫」
多少は俺の荷物で圧迫されるけど、そこまでキツくはない。
「到着にかかる時間はおおよそ3時間ほどだ」
「わかった。どこに着く予定だ?」
「……あ、忘れた。………でっ、でも問題ない。これは自動運転だ。私がいるのはこれをイ・ウーに戻すためだ。運転なら八幡でもできる」
ジャンヌは早口で誤魔化す。さすがの天然さん。あっさり騙されそうな感じで将来心配になりそう。
てゆーか、ホント………どこに着くの?
海水から少しだけ浮かび、俺とジャンヌは地面に足を着ける。俺たちは一緒に背中を伸ばす。かなり狭かったから、伸ばすと気持ちいい。
ジャンヌは着くまで寝ていたが、俺はとてもじゃないけど、寝れる気はしなかった。
理由わかるよね?ジャンヌという美人の隣で寝れるわけないだろ。メッチャドキドキしたわ。メンタルゴリゴリ削れた。
女子が男子と隣の状態でぐっすり寝ないこと。わかった?
「フゥー。……さて、これで私ともお別れだな」
「……だな」
どこかの港に下ろされた。金はある程度は貰ったから帰れるとは思うけど、残しておきたい。
そして、ジャンヌの方に向き直る。
「送ってくれてありがとな。それと色々とな」
ジャンヌがいなかったら、生き残れたかわからない。理子や遠山のことも教えてくれたし。こいつには感謝しかないな。
「気にするな。八幡……元気でな」
「おお。ジャンヌこそ。………またな」
ここは再開の意味を込めて、またな、と言っておく。
さよならって言うより、またな、の方が何となく会えそうな気がする。
「あぁ。また」
ーー微かに笑い、俺たちは別れた。これで、俺のイ・ウー短期留学は終わりを告げた。
ジャンヌが去ったあと、とりあえずここがどこか調べるために久しぶりに携帯を機動させた。日付は3月9日。
「…………現在地は神戸、ポートアイランド。へー、そうなんだ。………神戸!?てことは兵庫県!?」
おお、マジで関西辺りだよ、ドンピシャだよ。
周りを見渡すと、ポートライナーと呼ばれる電車みたいなものが走っている。
………正式名称は、自動案内軌条式旅客輸送システム。なんじゃそりゃ?
東京に戻るには、そこから三宮まで行ってから、移動して、新神戸駅にある新幹線に乗る。というプランで帰ろう。
ブゥーブゥー。
今まで電源を落としていたから、一気に通知がきた。
ほとんどが不在着信だ。
材木座29
遠山8
比企谷家10
「……はぁ…。材木座よ」
まずは家に連絡するか。
…
……
………
『もしもし?お兄ちゃん?」
あ、小町か。
「おう。久しぶりだな」
『お兄ちゃん!?全くーー。いきなり正月帰れなくなったって言うし、連絡できないし、ビックリしたよ。それより、ちゃんと生きてる?』
「生きてるわ。死んでたら連絡できない。外国に行ってて、向こうで連絡とかするために新しく契約するのが面倒だったんだよ。
まあ、心配かけてゴメンな。……あ、今の八幡的にポイント高い」
予め用意していた言い訳で誤魔化す。
『はいはいそーですねー。……また帰ってきてね。待ってるから』
「わかったよ。ありがと」
『じゃあ、もう切るね』
通話は終了した。声を聞く限り小町も元気そうで良かった。
遠山と材木座には用意した言い訳をメールにして送った。
材木座からすぐに返事が何通もきたが、全部無視した。あいつ、暇すぎだろ。まだ送ってから1分くらいしか経ってないのに。あいつ、暇すぎだろ(2回目)。
遠山はお疲れという内容が返ってきた。
ここは埋め立て地らしく、本土に戻るためポートライナーに乗った。目的地は三宮。
……思い出したが、ここってメビウスの映画で出てきたよなー。ウルトラマンのレジェンドたちが出てきてかなりテンション上がった記憶がある。ソースは作者。
三宮で降りる。どうやらすぐ近くに映画館があるらしい。
……ビルの最上階辺りか。今はまだ正午にもなってない。どうせだし、何か見るか。
「フゥー……」
アニメは日本の文化やで!
話は変わるが、もうすぐSA○の映画が始まるな。主題歌はLiSA さん。LiSAさんが歌う。それだけで生きていける。
………あれ?これ誰の言葉だ?俺の言葉か?何だこの告知みたいなもの。わかったぞ。あれだ、これ作者の言葉だ。
それから色々観て周り、三宮からバスに乗る。行き先は新神戸駅。
……久々に人が多い場所に来たわ。最近マシになったと思ったけど人混みでは気分が悪くなる。
駅に着く。そこでチケットを買う。ここから東京まで意外に高い。2万はかかってないけど。
今は……3時か。チケットに書いてある出発までまだしばらくあるな。
お土産は………美味しそうなケーキでも買うか。もちろん俺が食べる用だよ?……うーん、一応遠山にも買っとくか。
新幹線で食べると変な奴だと思われるから戻ってから食べるとするか。
東京駅に着いた。……新幹線内は特に面白みなかったから全カットで。
隣にいるのが戸塚だったらなと考えていただけだし。
そして、寄り道しながら、何本か電車を乗り継ぎ、帰ってきました。学園島。
明日からまた学校かーー。あのアホ生徒とアホ教師に揉まれるのかーー。いや、よくよく考えたら武偵高で関わりあるのごく少数だわ。なら問題ない。
時間はもう6時。この時間はもう暗いな。さっさと帰ろうそうしよう。
荷物を背負い、お土産を片手に、俺はせっせと歩く。
「あーー。疲れたーー」
などと、のんびり歩いている。
が、その途中。ちょうど俺の足が街灯に差し掛かった時。
ーーガキン!ガキン!
急に、俺の足のすぐ先のアスファルトが削れた。
その傷は十字型。長さはどちらもおおよそ10cmに見える。
……違う。これは絶対にぴったり10cmだ。その確信が俺にはある。
奴だ。………奴が来る。
俺は冷や汗を流す。
来るの……か?
ーーあの、狙撃手が。
これにて、八幡inイ・ウー編は終わりとします。予定よりけっこう長くなったなー。