八幡の武偵生活   作:NowHunt

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グアムから帰ると風邪をひく。ツラい。




第44話

………本当にあいつが緋弾のアリアかは今は置いとこう。いつかはわかる時が来る。

 

 

そうだな。まずは情報だな。

 

「なあ、不知火。Sってことは……神崎ってそんなに強いのか?」

 

「そりゃもう。神崎さんが転校してきてから色んな分野で倒せた人はまだいないよ」

 

あんなチビがねー?さすがホームズの遺伝子というべきか。シャーロックもチートみたいな強さだもんな。一応は納得。

 

「お前は神崎と戦ったのか?」

 

「僕は戦ってないよ。いやー、想像するだけで末恐ろしい」

 

のらりくらりと言うが、実際戦ったらどうなるのか………。

 

 

 

 

 

 

……………ん?そういえば、遠山が見当たらない。それもそうか。ここには来てないだろうな。

 

 

 

 

 

 

「うわああ!」「ほぎゃあ!」「ぶへらっ!」

 

そうこうしている内に神崎が戦っていた3人を吹っ飛ばした。

 

その身体からどこにそんな力があるの?吹っ飛ばされた奴らはそこそこの体格だよ?

 

神崎はスカートをパンパン叩きながら、こっちを見てくる。

 

あ、ヤベ。普段なら気付かれないが、今は隣に不知火がいる。こいつのイケメンオーラで俺のステルスの効果が低くなった。

 

こっちに近付いてきた。俺と神崎、互いの距離はおよそ1m。

 

こうして見ると………本当に小さいな。150cmもないな。貧乳だし。あ、それはレキもか。

 

 

 

 

 

 

神崎が口を開く。

 

「あんた見ない顔ね」

 

…………スゲェ、アニメ声。

 

「事情があって3学期は休んでたんだよ」

 

ジーっと俺を見上げる。

 

「そう。にしても、あんた目が腐ってるわね。病気?」

 

「うるさい。お前は高1なのか?随分小さいけど」

 

「うっ、うるさい!どうせ万年142cmだよーだ!」

 

赤面しながら叫ぶ神崎。憐れむ目で見る俺。

 

うわっ。マジで150cmないのか。可哀想に。

 

そして、話していてわかったが、緋色の研究の通りな性格だな。

……まあ、チビの理由としては緋緋色金の不老不死のせいだけど。

 

「ところで、あんた名前は?」

 

「比企谷八幡。そして、俺と関わるな」

 

「わかったわ。八幡って呼ぶから。私は神崎…アリア。アリアって呼びなさい」

 

そう言いながらも俺から離れない。

 

おい、会話のキャッチボールしようぜ?

 

「何がわかっただよ…………」

 

「あ、そうだわ。八幡。せっかくだし私と戦いなさい。ルールは……そうね、銃とナイフなしでのCQCで」

 

「人の話聞いてる?」

 

何がせっかくだよ。意味わからんぞ。

 

人の話はちゃんと聞きましょうって親から習わなかった?ホームズ家の…貴族さん。

 

「はい!ちゃっちゃと動く!」

 

本当、聞いてますー?

 

 

 

 

 

ほとんどの生徒が端に固まり、中央には俺と神崎がいる。かなり注目されている。

不知火はニコニコ俺を見ているし。殴るぞ。

 

「面白いやないかー!やれやれ!」

 

缶を片手に酒臭い蘭豹から激励?の言葉を貰う。

授業中に酒飲むな。それでも教師か?

 

「いいじゃないか。初対面の者同士が拳をぶつけ合う。熱い展開ではないか」

 

シュッシュッ、とシャドーボクシングをする平塚先生。

あんたはもうちょい大人になれ。いつまで少年の気持ちでいるつもりか?いい加減年を考えてくれ。

 

「比企谷?」

 

「はいっ!すいません」

 

先生の笑顔…………怖い。なんで考えたことがわかった?

エスパー持ちなの?

それとも自分がお年だということを自覚しているの?

 

「比企谷。何なら今ここで私とやるか?」

 

「いえ滅相もありません」

 

絶対戦いたくねーよ。誰が好き好んで熊を素手で倒せる人とやらなきゃいけないんだよ。

 

 

 

 

「それじゃ始めるわよ」

 

神崎が手をグッパグッパする。

 

意識を切り替えよう。今俺がすることは如何にダメージを最小限に抑える、そして、目立たずに戦うかどうかだ。

 

………よしっ。避けに徹しよう。

 

「始め!」

 

蘭豹の怒声と共に神崎が動き出した。

 

 

ビュンと空を切る音がする。

 

右足のローキックが俺のみぞおちを捉えるように打ち出される。

 

「ちっ」

 

俺は体を捻りながら、その右足首を右手で掴む。

 

それを瞬時に確認すると、神崎は左足も俺の右手に絡めようとする。

 

神崎が繰り出した技は空中版の腕ひしぎというのが後でわかった。

 

 

俺は直感で、

 

 

――ヤバイ!関節を極めにっ!

 

 

そう判断する。

 

俺は神崎の両足が右腕に絡み付いた瞬間――ブワッと俺の目の前に長いツインテールの片っ方が来た。それを左手で引っ張る。

 

「いだっ!いだだ!くっ……この」

 

涙目で神崎は両足を外し、着地する。

 

「痛いじゃないのよ!この私の髪を引っ張るだなんて」

 

「いや、お前武偵だろ。そんなので文句言うなよ」

 

ひどい八つ当たりを見た。

 

「それより、神崎って組み技主体なのか?」

 

右手をスナップする俺。

 

ふー。ちゃんと動くな。そこまで痛みもない。

あぶねーな。もうすぐで右腕使い物にならないところだった。

 

「アリアでいいわよ。……私はバリツ!何でもありよ!」

 

バリツ?ああ、シャーロックの格闘技か。

 

 

 

「ふぅーー」

 

「はぁーー」

 

俺と神崎は同時に呼吸を整える。

 

「行くわよ!」

 

今度はノーモーションからのドロップキックを放ってくる。

 

「くっ!」

 

両腕をクロスし、ブロックする。

ドゴッ!と鈍い音がする。ギリギリ衝撃を受け流せた。

 

とはいえ、とんでもない威力だ。4mほど後方に下がる。

 

その体格でここまでの威力が出るのかよ。確かにこいつは規格外だ。

 

「いってーー」

 

 

 

今さらだが、俺……レキから受けたキズ、まだ治ってないんだよね。いくら午前中休んでたとしても、肩や足痛い。

 

でも、それは実践では言い訳にはならない。……本当に嫌な世界だな、武偵ってのは。

 

 

「やるわね。…なら」

 

神崎が俺に向かってダッシュしてきた。

 

「――っ!?」

 

すると、俺の視界から神埼が消える。その直前、ダッ!と何かを蹴る音がした。

 

「こっちよ!」

 

後ろから声が聞こえたと思ったら、スゴい勢いで地面を転がる俺。

 

「がっ!」

 

背中が痛い。どのくらい痛いというと、拳銃で撃たれた時と同じくらいの痛みだ。

 

跳躍して、俺の真上を飛び越えたのか………。デタラメだな。

 

目立たずに戦おうとしたが、こいつに1発お返ししないと気が済まない。

 

――ああ、俺も武偵の世界に染まってきたな。

 

 

俺はゆっくり立ち上がる。

 

神崎は俺を待ってくれていたのか。優しいのか怖いのかよくわからん。

 

……マジで痛いな。

 

と、背中を擦る。

 

「あんた、この程度なの?」

 

「うるせーな。SランクがBランクを圧倒するのは当然っちゃ当然だろ」

 

俺は息を吐く。

 

軽く殺気を出す。

 

 

 

 

 

「…………安心しろ。ここからは俺も真面目にやる」

 

その言葉を聞き、神崎の目付きはさっきまでとは違い、さらに真剣になる。そして、1歩後ずさる。

 

周りの観客も俺の雰囲気が変わったことを感じたのか、今までやかましかったが、蘭豹含め黙る。

 

………別に神崎に勝とうだなんて思ってないからな。

 

 

 

2人同時に走り出す。

 

先手は神崎アリア。

 

神崎のパンチが俺の胸を狙う。

 

胸にぶつかる寸前の神崎の手を左手で掴み、引っ張る。こっちに引き寄せる。

 

その勢いで、神崎の顎にめがけて掌底を放つ。

 

羅刹ではないが、そこそこの威力を誇る掌底を。

 

今、俺にできる精一杯のカウンター。

 

「ちっ!」

 

顔を傾け、すれすれで避ける。……………俺の手を見ながらだ。

 

2人の距離は1mもない。

 

神崎には俺の手しか映ってないはず。だから、下から攻撃を仕掛ける。

 

ならば、カウンターのカウンターを。

 

膝で思いっきり神崎の腹を蹴る。俺が手を掴んでる間、連続で蹴る。   

 

5発蹴ったあと、神崎の手を離し、反撃を食らわないように下がる。

 

だが、神崎は痛みなんて気にしないと言わんばかりに突っ込んでくる。

 

 

 

が、ここで、

 

 

――――キーンコーン………!

 

 

 

終わりを告げるチャイムが鳴る。

 

 

それを聞くと、俺も神崎もピタッと動きを止める。

 

「……八幡。さっきの言葉取り消すわ。中々強いじゃない。でも、言っとくけど、あれが私の本気じゃないからね!」

 

何その負け惜しみみたいな言葉。つーか、俺の方が攻撃食らったんだけどな。総合的だと俺の負けだろ。

 

「私が本気出したら、あんたなんて一瞬で倒しちゃうからね」

 

まだ言うか…………。

 

今回は拳銃、刀剣なしで戦った。全部ありなら、どうなっていたか、わからない……というより、絶対勝てないぞ俺は。

 

 

――双剣双銃のアリア。

 

後々調べたら、この年にて、2つ名を持っている。そんな化け物に勝てるわけねー。

 

 

「やあ、比企谷君。お疲れ様」

 

体育館から出ると、不知火がいた。

 

「あいつ強すぎない?」

 

「いやいや、あの神崎さんに5発も攻撃を与えれた比企谷君もスゴいよ」

 

「あっそ……」

 

「そういえば、明日。武偵ランク考査だけど…………。大丈夫?」

 

 

 

 

 

 

マジで?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――翌日の放課後。

 

結果は現状維持。変わらずランクはBでした。

 

これでも頑張ったんだよ?

いくらアホの学校とはいえ、全然勉強してなかったから、テストボロボロだった。まぁ、何とか実技で取り戻せた。

 

遠山は来なかったから、Eランクになった。

 

別に何にも言わない。遠山が決めた道だし。

 

 

 

 

 

放課後の帰り道。俺はレキと歩いていた。

 

レキは変わらずランクの変動なし。

 

「なあ、レキ」

 

「何ですか?」

 

「神崎アリアって知ってるか?」

 

「………知っています。アリアさんがどうしました?」

 

うっわ、機嫌悪そうな声だな。

 

「その神崎アリアなんだが。緋色の研究に書いてあった性格、容姿、現れる時期、全部当てはまるんだが。…………あいつが、緋緋色金、緋弾の継承者だと思うか?」  

 

「そうですよ」

 

あっさり肯定してきたな。

 

「前に言っていた色金関連でしなければならないことって、神崎と関係あるのか?」

 

「はい。緋緋色金は人の恋心と闘争心に魅入られている。私は緋緋神の出現を防ぐ役割があります」

 

「ようするに……神崎に戦いと恋をさせないってことか?」

 

うなずくレキ。

 

「はい。ですが、戦いの方は恐らく問題はありません。武偵法9条を破るほどの戦いでなければ大丈夫のはずです」

 

人を殺さない限りは安心か。

 

「じゃあ、問題は……恋心か?」

 

「はい」

 

「まだ、神崎は恋をしてないよな?」

 

「はい」

 

「なら……いっか」

 

いや、全く良くないけど。問題が先送りされただけだけど。

 

「八幡さん」

 

「何だ?」

 

「昨日、超能力を使いましたよね?」

 

「ああ……」

 

俺の命を守る為にな!

 

「使ったこと、今までありませんでしたよね?」

 

「だな」

 

「教わったのですか?」

 

「ああ」

 

そこで周りの気温が下がった……ように感じた。

 

「誰から教わったのですか?」 

 

レキの目が据わる。

 

「そりゃお前………知っての通りイ・ウーで習ったんだよ」

 

さらにレキの目から光がなくなる。

 

………こえーよ。嘘を言ったらダメ?

 

「誰、からですか?」

 

誰を強調して言う。

 

「だ、誰だっていいだろ。俺の師匠から教わった」

 

昨日、レキから撃たれていた時より冷や汗が流れる。

 

何この浮気を問い詰められている感。

 

「その師匠のお名前は?」

 

これは逃げられんパターンだ。

 

「セーラ・フッド」

 

「女性ですか?」

 

「……………はい、そうです」

 

「そうですか。その人は美人ですか?」

 

「客観的に見れば可愛いと思います、はい」

 

「主観的には?」

 

「……………黙秘k」

 

「八幡さん?」

 

こえーよ。ホントこえーよ。

 

「はい、可愛いです」

 

答えると、レキがスカートから携帯を取り出す。

 

少し、操作すると、俺に見せてくる。

 

「これを見てください」

 

画面を除き込む。

 

そこには…………

 

俺とセーラが2人で歩いている写真。

倒れている俺の上にジャンヌが覆い被さっている写真。

いつ撮られたかわからない俺と理子のツーショット写真。

その他もろもろ………………。

 

「……………ソースは誰だ?」

 

「理子さんです」

 

――――オレァクサムヲムッコロス!!

 

いや、あいつマジふざけんなよ!!

 

つーか、イ・ウーの面子の写真、何レキに見せてんだよ!

……ということはウルス族とイ・ウーはどこか繋がりがあるということか。

 

「八幡さん」

 

その声はいつもと同じくらいのトーン。だが、それが怖い。

 

「私と八幡さんで、お話……しましょうか?」

 

レキの剣幕が今までで1番くらいの迫力でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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