八幡の武偵生活   作:NowHunt

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誰だよ、現実に戻るとか言った奴は……
風邪をひいて、暇なので投稿します。

アリア二期をやらないのも乾巧って奴の仕業なんだ。……………………本当さぁ、やれよ、やってくれよ二期。






3人の苦悩

今朝、バスジャックが起きた。

 

武偵殺しの仕業だ。

 

事件を解決するために、Sランクの神崎アリアとレキ、Eランクの遠山キンジが救出に挑んだ。

 

天候は雨。

 

武偵殺しは、ジャックする時、何か乗り物にマシンガンと、ジャックされている乗り物に、「速度を落とすと爆発する爆弾」を取り付けて遠隔操作をする場合が多い。もちろん例外もあるけど………。

 

つまり、今回や前回のチャリジャックは、その場に武偵殺し本人はいない。

 

 

今回のバスジャックの隣で走っていたのは、オープンカーだ。

座席には、マシンガンがある。無人で撃てるような作りになっている。

 

バスの運転手は、オープンカーからの攻撃で、負傷し、バスの中にいた武藤が代わりに運転をした。

 

遠山は中に突入し、神崎はバスの車体の下にある爆弾を取り外すよう試す。

 

 

――――場所はレインボーブリッジに移る。

 

遠山は、運転している武藤に自身の装備であるヘルメットを渡し、バスの屋根に上がる。

神崎もオープンカーの突撃によりヘルメットを失っていた。

 

遠山は神崎とバスの屋根で合流する。

 

そこで、神崎はバスの目の前にあるオープンカーにあるマシンガンが、遠山を狙っていることに気付く。

 

咄嗟に遠山を庇い、神崎は頭を撃たれた。

 

今までレキは、ビルばかりで援護射撃が出来なかった。それと狙撃する為の足場――ヘリコプターも到着してなかった。

 

が、レインボーブリッジという開けた場所に移ったレキが、マシンガンと爆弾を狙撃で壊した。

 

死人は0に収まった。ケガ人は複数。

 

……………これが、バスジャックの概要である。

 

後に武藤とレキに聞いた。

 

 

 

 

 

ちなみに、俺は、この頃ちょうど夢の中にいた。

 

目覚めた時には、もう昼を回っていた。

 

だから、まぁ……学校をサボった。

 

ついでに気になったから、何日か前から、ある程度神崎の情報について調べていた。それと武偵殺しの情報も。そして、今日大体調べ終えた。

 

分かったことは、神崎の大まかなプロフィール。

それと、神崎の母親が現在捕まっていること。

 

これは直接は分からなかったが、推測で分かった。

神崎は、母親を助ける為に――ある組織、イ・ウーを追っていること。

 

……………その為にずっと独りで戦ってきたのか。

誰にも頼ることなく、独りで、か。 

 

武偵殺しは、今まで、起こした事件は、バイクジャック、カージャック海難事故に見せかけカナを拐ったシージャック、遠山のチャリジャックに今回のバスジャック。順番はこうだ。

 

シージャックを除く全てを――神崎アリアが解決している。

 

 

そして、夕方。

 

タイミング良く、神崎から連絡があり、聞きたいことがあるから病院に来なさい、と言われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ケガ、大丈夫か?」

 

いくら見舞いではないとはいえ、手ぶらだったら、無作法だろうと思い、クッキーを持っていった。

 

「問題ないわ。………ただ、頭の傷跡は治らないらしいけどね」

 

デコを指しながら説明する。

 

「そこの包帯か?まだ出血しているのか?」

 

「もう止まっているわ。隠しているのよ。さっきね、これをバカキンジに見られたからよ」

 

…………そういえば、ロビーで遠山を見かけたな。声を掛けずらい雰囲気だったからほっといたが。

 

「まぁ、無事なのは何よりだ」

 

俺は何気なくそう言うが、やはり神崎は浮かない顔だ。

 

キズが残るのは女子であり、武偵である彼女には辛いことなのだろう。と、勝手に想像してみる。

 

よし、ここは話題を変えよう。

えーっと、何が話す内容は……………、

 

 

「確か、神崎の母親は今、捕まっているんだっけ?」

 

 

…………唐突に口から出た言葉がこれだった。

 

相手はケガ人だぞ。もう少し選べるテーマないのかよ、俺。雑談力低すぎだろ、不謹慎すぎだろ……。

 

「八幡、あんた…………。調べたのね。いきなり何よ。どこまで知っているの?」

 

警戒心を高めているっぽい神崎が、俺に向かって睨んでくる。

 

自分で撒いた種だ。俺が話を止めるのは不自然だな。何を思われるか分からない。

 

「………詳しくは分からなかったけど、どんな状況なんだ?」

 

俺が、神崎について知っていること――色金とかシャーロック、それとイ・ウーとか――を悟られないように、何食わぬ顔で尋ねる。

 

「………ハァーー。別にいいわ。教えてあげる。あんたもキンジと同じルームメイトだし。部屋追い出したりと迷惑かけたからね」

 

神崎は、疑ってるようにしばらく俺を見つめていたが、どうやら警戒心を解いたみたいだ。

 

――――助かった。確かコイツはかなり勘が鋭いはずだ。何とか誤魔化せて良かった。中々のポーカーフェイスだと自画自賛したい。

 

神崎は窓をボンヤリ眺める。

 

「122年」

 

「……は?」

 

「武偵殺しが、ママに罪を擦り付けた!そのせいで懲役122年。他にも、色んな奴らがママに!――ママは牢屋の中よ」

 

「は、はぁ?」

 

「ママは……ほとんど無期懲役に近い刑が課せられている……。もうすぐでママの最高裁が始まる。だから、あたしには時間がないの。その為に武偵殺しと………その奥にある奴らを何としてでも逮捕する」

 

窓から映った神崎の表情は、悲しそうで、怒っている、焦っている、それらが混ざっているようだった。

 

「………………そ、そうだったのか」

 

俺は唖然とする。

 

………まさか、そんな深刻な状況だったとは。思いもしなかった。

 

神崎の母親が無実というのは、警察も分かっているはずだ。じゃなきゃ、そんなアホみたいな懲役課さない。もっとマトモな年数にするだろう。

それでも、無期懲役にしたい。ということは、警察……いや、国家か。国家は神崎の母親を監視したいということか?

 

神崎の母親は何をした?

何をしたら、そこまで酷い状況になる?

国家は何を恐れている?

 

まさか、シャーロックでも知らないことを、知っているのか?

 

いや、あいつが言っていたが、シャーロックは、条理予知――推理で未来を予測することが出来るらしい。だったら、神崎の母親のことも――――――

 

………………ダメだ。今、考えても仕方ない。何も思い浮かばないし、そもそも証拠がない。それに、いずれ分かる時が来るだろう。

 

 

この話を終わろうと次の話に切り出そうとしたいが、何を話すか?……いや、聞きたいことがあった。

 

「あ、神崎。俺の部屋には入ってないよな?何か壊したりしてないよな?」

 

神崎が帰ってから色々確認したけど、念の為にこれだけは聞いておかないと。

 

「それは大丈夫よ。キンジに釘を刺されたからね。心配しないで。それより、八幡。あたしが泊まってる間、どこに行ってたの?」

 

神崎も話題を変えようと、その話に乗ってくる。

 

「最初は実家に帰ろうとしたけど、面倒だったし、レキの部屋に泊まった」

 

素っ気なく答える俺。

 

「ええっ!?……レキと?その、一緒の部屋で?」

 

心底驚いている顔だな。そういうお前も遠山と一緒に泊まっただろ。

 

「えっ。……そうだけど?」

 

「八幡って、その、レキと付き合ってるの?」

 

神崎は目を輝かせ、興味津々そうに聞いてくる。やっぱり女子ってゴシップとか好きなのか。

 

「世間一般で言う、付き合ってる、というのがどんな状況を指すのか俺やレキには分からないからな。答えようがない。ほら、俺たち普通じゃないし」

 

無理矢理、答えを誤魔化す。

 

「アハハッ。確かにあんたたちは特殊って感じがするわね」

 

「特殊で何が悪い。英語ではspecialだぞ。優れてるっぽいだろ」

 

それに、ここの住人たちは全員特殊だと思うがな。

 

「そう言われればそうね。日本語って、そう言うニュアンスが難しいのよね」

 

 

少しの間、俺と神崎は世間話をして、この空気が和んだように感じた。

 

その時、ここに来た目的を思い出した。

 

「あっ。…………話大分逸れたな。本題にいくか。――――で、話って何だ?神崎」

 

「…………そうね」

 

俺の一言で、神崎の表情は暗くなる。 

 

神崎はうつむきながら、

 

「ねぇ、八幡」

 

まるで独り言のように話し始める。

 

「ん?何だ?」

 

「キンジが武偵を辞めたがっている理由、知っている?」

 

「……急にどうした?」

 

話の意図が掴めず、思わず困惑する。

 

「さっきね、キンジがここに来たのよ。それで、少し口論になったの」

 

「ふーん。どんな?」

 

「キンジが、武偵を辞めたがっていることを、あたしのことに比べたら、どうでもいい、大したことない!って、あたしが言ったら、………キンジがスゴい怒った顔をして出ていったの」

 

あぁ。そういうことか。……なるほど。それは怒るな。

 

「ケンカ別れをしたわけか。……教えるよ」

 

さっき、色々とこっちも教えてもらったし。

 

「あ、ありがと」

 

「遠山にはな、目標としている人物がいたんだ。名前は遠山金一。遠山キンジの兄だ」

 

「えっ………。いたって?」

 

「…………この前のクリスマスイブ。浦賀沖にて海難事故が起きた。まぁ、幸いにも、遠山金一を除く全員が無事だった」

 

その俺の台詞で、神崎は息を呑む。

 

「キンジのお兄ちゃんはどうなったの?」

 

「行方不明だ」

 

本当は今もバッチリ生きているんだけど……。これはそう簡単には言えないことだ。

 

「そうなの…………」

 

「それでな、海難事故の責任者は全て遠山金一のせいにした。世間やマスコミからのバッシングを恐れて。遠山金一は何も悪くないのに、むしろ人を助けた。だが、周りから――無能の武偵だというレッテルを貼られた」

 

本当…………この事件は胸くそが悪すぎる。

 

何も見もしないで、知ろうとしないで、物事の本質を見抜けない。そんな流されているような奴らが、俺たち武偵を否定する資格なんてない。

 

………話、続けるか。

 

「それだけならまだマシだ。だが、その悪意は遠山金一の親族である者にも被害に合わせた」

 

「えっ……。それって、もしかしてキンジ?」

 

「あぁ、その通り。このことにより、遠山キンジは武偵そのモノを嫌った。………これが遠山が武偵を辞めたがっている理由だ」

 

「そんなことが………。ありがとね」

 

今の神崎は自分の行動を振り返っているような、考え込んでる顔付きだ。

 

「神崎、1つ言っておく」

 

神崎が顔を上げたのを見てから、

 

「世界が、お前中心に動いていると思ったらダメだ。人、1人1人、それぞれの物語がある。自分の普通を他人に押し付けるな。

お前にとってどうでも良くても、その人からしたら、大切な事だってある。それを理解しないと、いつまで経っても、お前は…………『独唱曲(アリア)』のままだ」

 

その、大きな赤色の目を見開き、俺を見つめて――数秒。俺から目を逸らし、

 

「忠告、感謝するわ。今日はありがと」

 

それだけ、答えた。

 

 

――――せめて、俺の言葉で、少しでも、神崎アリアに影響を与えていたら、この言葉の価値はあるのだろう。

 

柄にもなく、ふと、そう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

病院から出たら、もう暗くなり始めていた。

 

腹減ったな。部屋にまだ材料あったよな。野菜も肉も。あ、米を炊いてなかったような。遠山に頼むか……?さすがに米を炊くくらいできるよな、アイツでも。

 

そんなことを考えながら、歩いていた。特に人通りが少ない道に差し掛かった頃、

 

――――ザリ、ザリ、ザリザリ!大人を少年にすーる。ザリ、ザリ――――

 

俺の携帯から着信音がした。

 

………この着信音に対する突っ込みをする奴は邪魔なんだよ。

 

まぁ、冗談はここまでにして、誰かと思い、画面を覗く。

ん?あぁ、あの人か。久しぶり……でもないな。

 

「もしもし」

 

『八幡。元気?』

 

「まあな。それなりに。そっちはどうだ?……セーラ」

 

相手は俺の超能力の師匠、セーラ・フッドだ。イ・ウーの一員のな。

 

狙撃に関しては、イ・ウーで一番ではないだろうか?もしかしたら、あのレキより上かもな。

 

『こっちも元気』

 

「それより、いきなりどうした?」

 

『別に。連絡するって言ったでしょ?』

 

「そうだったな」

 

『暇だし雑談でもしようかなって思ったけど。今日は教えることがあってね』

 

「教えること?」

 

『うん』

 

「何だ?」

 

『もう八幡のいる場所に、ジャンヌと夾竹桃がいる。いつかは分からないけど、夾竹桃は間宮あかりと戦う予定らしいよ』

 

「――っ。何だって、それは本当かい!?」

 

『本当。ついでに言うと、理子は武偵殺しって呼ばれているよ』

 

「はぁ?」 

 

いきなりぶっ込んでくるなー。それとネタをさらっと入れたが、やっぱり反応してくれなかった。

 

 

えーっと、夾竹桃が間宮と戦闘している?なぜ?何があった?

……………あの毒使いなんて考えても分からんな。一先ず後回しだ。

 

それとジャンヌか。あいつの目的は?

ジャンヌのことだから恐らく誰かをイ・ウーに勧誘しにだな?

巷で騒がれている、超能力者を拐っている『魔剣(デュランダル)』とはジャンヌのことか?

………だが、これも、今はいい。

 

 

 

それより、理子。お前が武偵殺し、か。……薄々そんな気はしていたんだがな。

 

根拠としては、薄いかもしれんが、

 

先ず初めに、ジャンヌからカナのことを教えてもらった時だ。

個人名は伏せたが、武偵殺しのことを言っていた。その時の口ぶりは、俺も武偵殺しのことを知っているような口ぶりだった。

 

次に、理子へのブラドの課題。「伝説の怪盗――初代リュパンを越えろ」それをどう証明する?

俺なら、初代リュパンが倒せなかった人を倒す。もしくは、盗めなかった物を盗む。

そこで、現れたのが神崎アリア。あいつは、シャーロック・ホームズの子孫だ。ならば、神崎アリアの万全な状態に勝てば、その証明になるのではないか?

 

そして、最後に、調べて分かったことだが……神崎アリアは武偵殺しを今まで追っていた。

武偵殺しが関わっているほとんどの事件に首を突っ込んだ。それと、先程の話。

 

それで、確信を持てた。

武偵殺しは神崎アリアを狙っている。あいつの出ることが可能なタイミングで、毎回事件を起こしていた。何回も、執拗に。

 

 

 

『八幡?大丈夫?』

 

俺を心配してくれる声が聞こえる。

 

「……あぁ。大丈夫だ」

 

『ならいいけど。それで八幡はどうする?武偵として、武偵殺しを逮捕するの?』

 

「……………」

 

唐突に突き付けられたこの問に、俺は言葉を紡ぎ出せない。

 

 

さっき、神崎の悩みを聞いた。

 

母親を助けたい。その思いを今まで持って、戦って来た。ただひたすらに。もう制限時間は迫っている。

 

 

そして――理子。

 

理子の過去を俺は知っている。一言では表せない、理子の過去を。

 

 

 

――――俺は、どちらに味方するべきだ?

 

本来なら、神崎に味方し、理子を捕まえるべきだ。それが仕事だ。犯罪者を狩る武偵ならそうする。

 

だけど、理子の苦悩が、過去が、覚悟が…………その思いを濁らせる。

 

峰理子の過去は悲惨だ。言いようがないくらい悲惨な人生を送ってきた。

 

だから、理子を助けたい。

 

それは、あの時から変わらない。

 

 

だったら、俺はどうすればいい?

何が最適だ?

どの選択肢を選べばいい?

正解はどれだ?

 

 

峰理子は犯罪者だ。そりゃあ、イ・ウーに在籍しているんだしな。あそこにいる奴らほとんどが犯罪者だ。

 

しかし、今捕まえようにも、証拠がない。セーラの言うことは正しい。だろうが、明確な証拠がない。

 

誤認逮捕は、俺としても危ない。しくじったら、俺が捕まる。ゲームオーバーだ。それは避けなければならない。

 

 

軽く深呼吸をする。

 

「なぁ、セーラ」

 

『何?』

 

「理子と話してくるわ」  

 

『そう。いってらっしゃい』

 

「いってきます。………ありがとな」

 

『大丈夫。気にしないで』

 

こうして、セーラとの通話は終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 




メインヒロインでてこないこの始末!

一応いつかは、活動報告で生存報告はするつもりなので。


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