PV1500000突破
お気に入り2300突破
ありがとうございます!嬉しいかぎりです!!
「おい!ジャンヌ、どういうことだ?」
つい声が大きくなる。
ウルスの人たちから借りてる部屋で国際電話を用いてジャンヌに話しかける。日本に来たとはセーラが言っていたが、恐らく今はフランスにでもいるだろう。
『………む?それより、八幡。お前今どこにいる?国際電話になっているぞ』
「ちょっとした海外旅行だ」
『ほう。海外旅行か。通りで武偵高でお前が見当たらないわけだ』
ん??
「お前、日本にいるのか?」
『そうだ。司法取引も済んで武偵高に通っている』
……司法取引?どういうことだ?
ジャンヌの話を簡単に纏めると、どうやら星伽さんをあの傍迷惑な組織に勧誘しようとしたところで、遠山と神崎コンビにやられたとのこと。
で、今はパリからの留学生になっていると。情報科らしい。
何て言うか…………、
「お疲れ様」
『………あぁ。あれは本当に可笑しいぞ』
声が疲れてたな。
そりゃ、あの2人を相手にしたらそうなるわな。つーか、可笑しいって…………。あの2人のコンビの動きを直接見たことはないけど、それは恐ろしいのだろうな。
「それで、理子に何があった?……ブラドって」
ジャンヌは咳払いをする。
『もしかしたらの可能性だ。そうだな……。少し昔の話になる。理子には母親から貰った宝物というものがある』
んん?いきなり何の話だ?
『理子はかなりそれを大切にしていた。しかし、それをブラドに奪われてな。最近、神奈川のブラドが保有している屋敷に保管されているとの情報が入った』
あー……なるほど。そういうことか。
「理子はそれを取り返しに」
『その通り。遠山と神崎がブラドの屋敷に潜入して理子が指示している。理子はブラドに顔がバレているから2人に依頼したとのことだ』
まーた、あいつらか。理子にジャンヌ、挙げ句の果てにブラドか。イ・ウーに愛されているなぁ…………。このままシャーロックとも会うんじゃねーか。
さすがに依頼ともなれば、遠山も神崎もそれなりの報酬を理子に要求しているだろう。
多分神崎は母親の裁判についてだが……遠山は何だろうか?思い付かないな。
それと、ジャンヌからの話で気になることが1つ。
「ブラドがそんなピンポイントな場所にいるのか?」
『だから言ったぞ、あくまで可能性の話だと。………ただ、理子からお前への依頼を知っていたからな。伝えておこうと思ったまでだ』
俺からはそのことをジャンヌには言ってなかったから伝えたのは理子か。
「理子たちの潜入の期限はあとどのくらいだ?」
『1週間はいるらしい』
………1週間か。
うーん、それなら、材木座に頼んでるモノも何とかなるか……な?あとで確認しないと。
「分かった。ありがとう。それまでに帰る」
『気にするな。日本に帰ってきたらブラドの情報を教える。連絡してくれ』
「助かる」
『では、またな』
ジャンヌとの通話が終わる。俺はそのままベッドに倒れ込む。
右手にある物を天井に掲げる。
電気を反射して蒼く光る――――璃璃色金。
それを加工して直径1cmほどにした球体。
さて、これを貰ったはいいけど………本当に超々能力者になれるのか怪しい。
緋色の研究に書いていたが、本来は色金を使うのにかなり厳しい条件が必要らしい。
そんなポンポンなれたら世の中超々能力者で溢れ返るぞ。例え俺に璃璃の適性があったとしても。
もちろん、そうならないことに限りはないのが……いかんせん、今の俺には足りないものが多い。
遠山がカルテットで見せた(俺は後で映像で見ただけだが)あんなふざけた射撃能力なんてない。
神崎みたいな神がかっている身体能力や戦闘力もない。
隠密は一度だね、レキを欺くことができた。だから、それなりには得意だが、本気を出したレキほど気配を消すのに長けていない。
セーラほど風を繊細に、そして豪快に操れない。
………全てが他の奴らより圧倒的に劣っている。
俺ができるといえば、相手がどう動くのか何となく読めるだけ、かな。しかも割りと外れる。そりゃ、上の奴ほど自分の動きを読ませてくれないからな。
あとはあいつらの下位互換。………それが俺。
それ自体はどうでもいい。今さらの話だ。
だからこそ、それを補うために俺にも何かないと、この先――もしブラドと戦うとなっても勝てるか分からない。最悪死ぬ。
そうならない為に最大限の準備しないといけない。
「………よしっ」
寝る前に材木座にメールする。
『急で悪いが、依頼の件、あと7日ほどでできるか?』
5分ほどして返事が届いた。
『頼まれたブツの1つは完成している。が、あと1つはまだ完成までいってない。試作段階である。平賀さんにも手伝ってもらっているが残り日程がそれだけだと難しいのが現状である』
『報酬は多めに出す。何とかあと7日までには完成させてほしい』
今回はかなり無茶な注文してるから報酬も材木座にしたら高めなんだよな。
残金いくらまであったっけ?確か150万か?………イ・ウーからお詫びでいつの間にか残金が増えていた。俺宛の封筒見たときはビビった。
最初に依頼した金額が80万。追加となると………やべぇな。……足りなさそう。これは誰かに借金するしかないか。
と思っていたら、
『報酬は前もって設定した額しか受け取らないのが我だ!それがポリシー!!』
なにこれカッコいい。
『でも、平賀さんなら要求しそうだよな』
『そこは心配ない。元々彼女は今回お主が依頼したブツに対して興味を持っただけ。いわゆるボランティアだ』
武偵がタダ働きか。それは教師に怒られそうなことだな。………お、材木座から追加でメールきた。
『それに彼女の報酬はお主が依頼したブツの技術を我から盗むという、我からしたらなかなか厄介なことだ。だがしかぁーし!それは我の問題であり、お主が気にするようなことではない!!それに我も彼女から盗める技術は盗んだ。win-winの関係だ』
本当にこいつが装備科で良かった。メッチャ助かる。
『さすが材木座だな。ありがとう』
『むむっ!お主が礼とは!?珍しいこともある。また休日にでもラーメン巡りでもいこうではないか』
『おう、楽しみだな』
『普段ひねくれてるお主がここまで素直だとなかなか奇妙である。では、さらばだ!』
ふー……この件はどうにかなった。借金せずに済んだよ。材木座には感謝しかない。最後の文面には少しイラッとしました。俺が素直ってそんなに変か?
ボルテさんは6日後日本に帰れるチケットを取ってもらった。
何から何までありがとうございます。こちとら海外なんて初めてなんですぅ。
それまで璃璃色金をずっと持っていたが、あの時みたいに声なんて聞こえてこない。
やはりあれは偶然で済まそうか。色金には頼らない。
つーか、何も動けないこの時間が歯がゆい。レキも理子も心配だ。遠山と神崎は死んでも死ななさそう。特に遠山。
ジャンヌから逐一報告は聞いているが、それでも心配だ。俺より強いからその心配は杞憂に終わるかもしれないけど。
そして、レキがいないから少し気まずかった時間が過ぎ、空港にて。
見送りに来てくれたボルテさんと話をする。
他の人たちはいない。けっきょく、マトモに話せたのはこの人だけだったなぁ………。
「比企谷さん」
「何すか?」
「璃璃のことで、星伽以外の人たちには隠してください」
「……そこまで分かる人がいるとは思わないですけど」
いたらいたで問題だろう。どんだけ知られてるねんって話になる。
「万が一です。それを求めてあなたがどこからか命を狙われることになるかもしれませんから。もしくは拐われるか」
………裏の世界は怖いね。そんなの嫌だわ。平穏に生きたい。
「とりあえず、今までお世話になりました」
帰りの飛行機のアナウンスがかかったところで、ボルテさんに挨拶する。
「いえ、気にしないでください」
淡々と返すボルテさん。あまりこの人表情動かなかったな。つーか、ウルス全員。
「それじゃ、これで」
「八幡さん、最後にいいですか?」
引き留められたが、何となく言いたいことは分かる。
「………レキのことですか?」
「はい。あの子のこと、これからよろしくお願いします」
璃巫女として育てたことに何か思うことがあるのだろう。
「もちろん、そのつもりです」
俺はそれだけ答えて、ボルテさん――ウルスとは別れた。
………さらば、初めてのモンゴル。また来ることはあるのか。もしあるのなら、次はのんびり観光でもしたいもんだ。
そして、やっと帰ってきたぜ、日本に。
……ああ、そこらから日本語が聞こえる。漢字も平仮名も片仮名もある。安心する。
海外に行って何が怖いって言語が通じないことだよな。あとは文化や習慣の違いとか。
空港から離れて駅に向かい歩きながら、
「とりあえずは………」
するべきことは現状確認だな。
まずはジャンヌと合流しよう。その次に材木座とだな。直接話したい。
………あー、しまった。携帯の充電切れてるじゃん。モバイルバッテリーもないし。どっかで充電できるとこ探さないと。
その前に一旦部屋に戻るか。遠山は屋敷に泊まり掛けらしいし、今は多分いないだろう。
そうと決まればさっさと帰ろう。弾薬も補給しときたい。荷物も邪魔だ。
と、電車を乗り継いで久しぶりに我が部屋に帰ってきたが…………。
「………なんでこんなに壊れてるねん」
床はところどころヒビがある。壁には弾痕が。リビングの家具をボロボロだし、食器は割れてる。
そのわりには、新しい家具が置かれていて、新しい食器が隅っこに積まれている。
どういう状況やねん、これ………。
原因は神崎か?いや、神崎だけならこうならないはず。だってこの前神崎を泊めた時は何事もなかった。
ちなみに幸いにも俺の部屋無事でした。
これを読んでるみんな、「大地に咲く旋律」を聞くんだ。あれは素晴らしいぞ