前回あんな話ですいません
戦闘描写難しすぎないですか?
拳銃の音――――銃声が鳴り響く。
ここは強襲科所有の射撃場。俺もファイブセブンを撃っていた。命中率は20メートル以内だとかなり上がって9割5分になってきた。
これでもずっと色んなこと独りでやってきた。だから集中力はそれなりにある方だと自負している。
とはいえ、今は近接戦の強化が必要だ。特に受け身がどうも上手くいかない。逆に殴るなかでも掌底が得意かな? 結構キレイに決まったりする。グーで殴るのは痛い。
受け身は瞬時にどこでとるかを判断しなければいけない。俺は無駄に考えてしまうから、反射的に動けないことが多々ある。しかし、ダメージを抑えるために必要な技術だ。
だから、見る。人の技術を盗む。今までぼっちを貫いた俺は人間観察に長けている。見ることで学習する。………だからといって、実際に練習してみないと意味ないがな。
今日は同じ強襲科の遠山と不知火と特訓した。やっぱ、見るとやるではだいぶ違うな。成功率は4割ってところか、体に覚えこませるしかないな。最終的には反射レベルでできるようにならないと。何事も反復練習ってのは大切だな。
学校も終わり、俺は自室のベッドで倒れこんでいる。
最初のころは筋肉痛がひどすぎたが、今となってはだいぶマシになった。でも、そのぶん疲労がひどいと思う今日この頃。
ブーッ、ブーッ!
あ?携帯が鳴ったのか。……どうせamazonだろ、と携帯を見るとなんとLINEだった。相手は我が愛すべき妹小町からだ。
えーと内容は、
『武偵高校ってお台場の近くだよね? 今度実家に戻るときなんかお土産買ってきて。お兄ちゃん、働いているからお金あるんだよね?』
親父から仕送りは貰っているが、それはほとんど生活費や食費として消える。自由に使えるお金は2万ぐらいだ。普通の高校生なら多い金額だろう。
しかし、武偵は武器の補充やメンテナンスで金がごっそり消える。ぶっちゃけ金ないのだ。この前受けたお掃除での金は1万しか残ってない。
てゆーか小町なんで欲しいの? 中学生の分際で。しかも新しい家から近いのに………。
と、頭で考えていても結局俺は小町に甘い。小町への返事は、
『小町すぐに台場ぐらい行けるだろ、まあ買ったるが』
とした。すぐに返事がきて、
『そこを気にするなんてごみぃちゃんキモいよ。お兄ちゃんが寮に引きこもると思うから外出させるんだよ! 買ってくれるなら何でもいいから。あ、今の小町的にポイント高い!』
こ、小町の奴ちゃっかりハードル上げてきやがる。こんな子に育てた覚えはありません!!
くそ………お金が消えていく。
次の休日にでも台場行ってやるか。仕方ない妹だな。せっかくだし高めの鞄でも買ってやるとしよう。
台場って広いな。迷いそう。でも、鞄のめぼしい店はネットで調べた。さっそく買うか。………確かこっちの方だったよな。
「ありがとうございましたー」
ふー、周りの人たちには変な目で見られながら買った。そりゃそうだろ、女性向けの店に男独りでいたんだからな。
でも、店員は優しかった。妹のプレゼントを買いたいと言ったらかなりの笑顔で接客してくれたからな。店員いないと精神的に死んでいた可能性がある。
俺の予算オーバーして12000円の鞄買ったよ。小町喜んでくれるかね? 俺は大きめの鞄を持ってきたからそれに入れて、時間もいい具合だし昼飯でも食うかと思っていたら……
――――パァン!!
これは………銃声!? どこからだ?
音の発生源に急いで走ると……そこには防弾アーマーを装着した奴が3人と人質と思われる女子中学生が1人だ。
周りに武偵らしき人物は見当たらない。………マジかよ、俺1人か?
少なくとも防弾制服着ているのは俺だけだ。状況確認終了だ。すぐに教師に連絡しなければ。
蘭豹先生曰く、「応援は要請した、お前は1年で心苦しいやろうけど、なんとかしろ」との事だ。
あの人は無茶を言う、戦闘経験皆無だぞ俺は。だが、それは本番の前ではなんの言い訳にはならない。………この前は案外楽と思ったが俺は馬鹿だな。
武偵の仕事は無法者を狩ること。遅かれ早かれこうなる。そうだよ、そうなんだ。
ならば比企谷八幡は、
「………任務を遂行する」
覚悟を決める。
どうやら、あれは近くで銀行強盗して逃げていた途中で車のガソリンが無くなって一時的に立て籠ったと言う感じだ。
俺は強盗犯の位置確認をする。
……ふむ、俺がこの距離から狙えるのは2人だけだ。人質と一緒にいるのは防弾アーマーのくせに武器はナイフだけ、見たところは拳銃はない。
しかし、ここから拳銃で狙うのは人質が危ない。こいつは後回しだな。残り2人はトカレフをご丁寧に1丁ずつ持っている
こいつらは1人が人質をとって、残りの2人が周りを固めるというわけか。1人ではかなり厳しいな。
まあいい、そんなの関係ない。やるしか選択肢ないのだから。
さて、ファイブセブンでトカレフの2人を先に無力化させたい。なら撃つべきなのはトカレフを持っている手だろう。
そうしたいが、人質を誤射するかもしれない。だったら、相手の機動力を奪う。狙うべきは足だ。
俺の鞄を物陰に置いて、足音を殺しながら必中距離まで近づく。そしてファイブセブンを握って構える。
そして、いざ行こうとしたら
「…………っ!」
手からものすごい汗が出た。
これは………ヤバイな。人を撃つのはこれが正真正銘初めてだ。命を奪うわけではない。………分かってる、分かってはいるんだ。
だが、わかっていても鼓動がどんどん加速していく、手が震える。
駄目だ、落ち着け。まずは深呼吸だ。
「ふー…………」
よし、落ち着いた。大丈夫………大丈夫。
第一目標は人質の安全を確保することだな。そのためには早急にあの2人を片付ける。ファイブセブンの弾<SS190弾>は物によるが、防弾アーマーぐらいなら貫通できる。
――――撃つ!
パァン! パァン! と、銃声が辺りに鳴る。
「「ぐわぁぁ!!」」
命中、どちらもトカレフ落としたな。
チャンスだ。姿勢を低くしながら、全力ダッシュ。
「なんだ!? どこにいる!?」
もう1人が叫ぶ。
俺が見えてないのか? ………なるほど、そういうことか。まさかここで俺の影の薄さが役に立つとはな。
――――パン!
そこで、俺はいきなり強盗犯の目の前で猫騙しを渚君みたいに使った。
強盗犯は俺の行動に予想外らしく人質を握っていた腕が緩んだ。その隙を逃さず人質を俺のほうに引き寄せて救出。
人質を逃がしていると、強盗犯はかなり動揺していた。
そして、ナイフを構えながら勢いよく突っ込んでくる。
だが焦りすぎて、ちゃんとナイフを握れていない。俺はナイフを持っている手を掴みながら、強盗犯の顎に掌底を叩き込んだ。
キレイに俺の掌底が決まり、強盗犯は気絶した。俺が撃った2人はまだ足を抑えている。
「武偵だ、抵抗は止めろ」
やべぇ、なんか格好いいかも、俺。……いや、今はどうでもいいな。
俺がベルトについているワイヤーで強盗犯たちをぐるぐる巻きにしていると、多分上級生の武偵たちが何人かと警察が来た。
そこで、状況を簡単に説明して、後の事後処理は上級生たちに任せることにした。だってもう充分働いたからね!
俺は人を撃った。上級生たちには、
「あの状況を1人で犠牲者をださずに解決したのは、凄い」
と言われた。
でも、俺は人を撃った。武偵だったら当たり前のことなんだろうが、初めてだと………キツい。
そんなことを考えていたら、タッタッと足音が聞こえる。
俺が助けたらしき女子中学生がこっちに駆け寄って、
「助けていただきありがとうございました」
と、お礼を言われた。
今の気分は人を撃って、正直精神がキツかった。だから、お礼を言われて俺は嬉しかった。
「気にすんな。仕事だよ。それに俺は自分のために動いただけだからな」
「自分のためですか?」
「ああ、あそこで見捨てたら、寝覚めが悪いだろうし、何より妹に失望されたくなかったからな」
「……アハハ、なんだか捻くれていますね。ですが、助けていただいたことは変わりはありません、本当にありがとうございました」
女子中学生は丁寧にお辞儀をしてきた。
そうか、こんな俺でも人を救うことはできるんだな。
そう思いながら俺は少し涙を流した。
長くなってすいません
この話は頭に浮かんでいたので、書けて良かったです
ではまた、ばいちっ