八幡の武偵生活   作:NowHunt

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やはりLiSAさんのライブは素晴らしい
大坂、楽しかった。まさか一階席の10列目未満という良い席で見れるとは思いもしなかったです(*´∀`)




終わりとは何かが始まる合図

「八幡さん」

 

 ゴーレムも無事倒した? ので、外に出ようとしたら、レキに呼び止められる。星伽さんも一緒だ。

 

「遠山たちは?」

 

「そのことですが」

 

「アリアが……あのパトラに狙撃されたの。それで海に落ちて」

 

 星伽さんの補足に驚く。

 

「マジか……」

 

 アイツ、狙撃までできたのか。だから、途中で狙撃に神経使ったからゴーレムの動きが単調になったのか。

 

 ん? 何か違和感が……?

 

 パトラって、さっき色金を欲しいって俺に言ったよな。それにしては、俺の璃璃色金には執着してなかった。

 

 ――――つまり、本当の目的は俺の色金ではなく……神崎の体の中にある色金ってことなのか?

 

「……判断ミスった」

 

 背筋が寒くなる。

 

 最初からパトラは俺なんかどうでもよくて、神崎狙いだった。俺の色金は奪えたらいいな程度だったに違いない。

 

 それを差し引いても疑問が残る。確かに俺の体は一度色金の使った。だから、パトラは俺狙いでゴーレムを差し向けたはずだと考えた。戦闘力化け物の神崎よりも俺の方が絶好のカモだと思う。

 

 俺と神崎の色金の違いは何だ?

 

 もしかして………いや、違う。根本的な話がズレている。

 

 あの日の台場で、神崎がイ・ウーの次期リーダーになるかもしれないから、狙っている奴が多いと金一さん言ってた。

 

 特に世界征服とか簡単に目論む主戦派がヤバいって話なのに。パトラはその筆頭。

 

 クッソが! 神崎を前線に突っ込ませたらいけなかった。敵がパトラって時点ですぐに気付けよ。自分のことで頭一杯になりすぎていた。

 

「比企谷さん、今は外に」

 

 星伽さんの呼び掛けで思考を打ち止めにする。

 

 そうだ、今は遠山たちの援護を。金一さんが味方かも分からない。最悪……敵だ。そうだと余計に神崎の命が危ない。

 

「そうだな」

 

 外に出てしばらく走り、遠山たちがいる場所に向かう。日射しが強いな。お、ようやく見えてきた。目算100mほど離れている。けっこう遠いな。

 

「何あれ」

 

 で、そこには……予想外の物体が海に浮かんでいた。

 

 船には船なんだが、明らか現代の船ではない。異形な船。金銀で飾られた船体は細長い。L字に湾曲した船首と船尾は天に向かって伸びている。

 

 しかも、船に宝石がたくさん飾ってある。スゴい豪華だ。それ以外の特徴は甲板には船室があるくらいか。売るぞ。

 

 その船首にいるのおかっぱ頭の女がパトラ。イ・ウーでも見覚えがある。やけにカナと一緒にいた。

 

 黄金の冠被ってるし。他にも体に色々と黄金の飾りがある。

 

 しかし、注目するべきはそこじゃない。金一さんとパトラが睨み合っている。何言ってるか聞こえないな。

 

「……金一さん?」

 

 冷や汗を流す星伽さん。見据えている人物はパトラではなく、金一さんなのか? そうか、遠山と星伽さんは幼馴染みらしいし、兄の方も知ってて当然。

 

 この雰囲気……間違いない。今の金一さんはHSSだ。初めて会ったあの日とは纏ってるオーラが全然違う。かなり離れているのに気圧されそうな圧倒的なプレッシャーを放っている。星伽さんはHSSを知らない様子だが。

 

 遠山は……いた。水上バイクに乗り忙しなく動いている。神崎は無事なのか? 何がどうなっている?

 

「レキ、残弾は?」

 

「ありません」

 

「そうか」

 

 それなら仕方ない。元々こうなるなんて誰も想像ついてないもんな。レキなら大概のことはすぐに片付けられるし。今回が異常なだけ。

 

 正直、金一さんは怖いけど、やるしかないよな。

 

「じゃ、ちょっと行ってくるわ」

 

「えっ、行くって!?」

 

 星伽さんの声を無視して海岸へと駆ける。そして、ギリギリのところで――ジャンプ!

 

「飛翔」

 

 風のクッションで数回海の上を跳ぶ。目指すは遠山たちのいる方へ。

 

 こうやってただ移動するだけならある程度はできるようになっていた。戦闘時と組み合わせるのはまだ上手くいかない。

 

 あー……ダメだ。さっきまで超能力使いすぎて正直片道分しか跳べないな。帰りは頑張って泳ごう。

 

 っと、10m切ったところでパトラも俺に気付いたか。金一さんはとっくに気付いてたが。

 

 状況はよく分からないが、俺ら側がピンチってのはよく理解できる。だったら――予測不能(イレギュラー)らしく少しでも場を掻き回してやる。

 

「ほう、お主も来たか」

 

「八幡?」

 

「比企谷!?」

 

 空中にいる俺に対して、三者それぞれ反応を見せる。パトラは興味深そうに。金一さんは何故か怒りの表情が見える。遠山は単に驚いている。遠山って俺の超能力(ステルス)知ってたっけ? まぁ、いいや。

 

 パトラのよく分からない船まで跳び、空中でファイブセブンをフルオートに切り替え一応パトラの足狙いでマガジンの半分バラまく。

 

 空中+安定しない姿勢で撃ったから全然当たらないわ。それでも何発かはパトラの足に当たりそうだったけど、明らかおかしい場所に着弾する。……何かしらの超能力を使ったのか全部逸らされたな。   

 

 その流れで船首に着地。真正面にパトラ、横には金一さん。2人の睨みやらがめっちゃ怖い。

 

「先ほどはお世話になりました。パトラさん」 

 

 それを表情に出さずに嫌みったらしく言う。……強気でいけ。

 

「あのゴレムを倒したか。まぁ、途中から操作が面倒になったから、自動にしたからのぉ。そのくらい当然か」

 

 わりと危なかったけどな?

 

「八幡。何しに来た?」

 

 ………こっわ。遠くからでもオーラがヤバかったのに、近くにいると改めて威圧感半端ない。やっぱり怒ってる? 

 

「金一さんこそ、第二の可能性はどうしたんです?」

 

 シャーロックの暗殺は諦めたのか?

 

「アイツらの実力がこの程度ではな」

 

 否定的。てことは、神崎の命が危ない。金一さんも敵になるのか。いや、どちらにせよ今も神崎の命は危ないな。さっさとパトラをどうにかしないと。

 

「それより、質問に答えろ」

 

「何しにって……そりゃパトラを追い返すためですよ」

 

「お前にできるわけないだろう」

 

 そう真正面から否定されるとは……。それが今の実力だと突きつけられる。

 

「キンイチの言う通りぢゃ。お主が妾を追い返す? 笑わせてくれるの。あまり勝手なことを言うのなら……殺すぞ?」

 

「……ッ!」

 

 そのプレッシャーに一瞬気圧される。これがイ・ウーのNo.2か。

 

「無用な殺しはするな、パトラ」

 

 金一さんはパトラに向き直る。

 

「その教授の言葉を守らないと、お前はイ・ウーを退学したままだぞ。あそこに戻りたいのだろ? だったら――」

 

 その言葉をパトラは遮り叫ぶ。

 

「妾は殺したいときに殺す! ぢゃないと面白うない!」

 

「何度も言わせるな。そうワガママだから教授に退学を言い渡されたということを分かれ。……しかし、ピラミッドのあるここでお前と戦うのは賢明ではない」

 

「妾もそのお前とは戦いたくない。勝てるは勝てるが、妾も無傷では済まないぢゃろうからな。今は大事な時期……むぅ、八幡。何をする?」

 

 話してる途中に1発肩に向けて撃った。また変に逸れて当たらなかったか。弾は海の彼方へと飛んでいった。

 

 …………なぁ、パトラ。何て言った? 殺したい時に、殺す?

 

「その発言にイラついてな。……ぶっ飛ばす」

 

 内心怒っていても冷静を装い話す。感情をコントロールしろ。体力も少しは回復はしてきた。

 

「あんなゴレム程度に苦戦していた程度の力しかないのに。出来もしないことをペラペラとよう喋るのぅ」

 

 愉快そうに笑う。

 

「いっそのこと、ここでお主も殺そうか? 生け贄には充分だろう。そうぢゃ、そうぢゃ。それとも、レキを拐おうか。あれは良い。一生、妾の手元に置くとしよう」

 

 その言葉に、過剰に反応してしまう。

 

 ――言ってはいけないラインを……踏み越えたぞ。

 

「覚悟はいいか?」

 

「何のぢゃ?」

 

「お前がぶっ飛ばされる覚悟をな」

 

 

 ――――殺気、全開。

 

 

 金一さんのHSSみたいな場を支配するような圧とは違う…………これからお前を殺す。そう宣言するように睨む。

 

 1年の夏休み前と同じ……いや、それ以上の殺気を放つ。だが、あの時とは違う。

 

 その状態で、ゆっくり歩を進める。

 

「ふむ、中々の殺気ぢゃな。ま、その程度では妾は……ッ!?」

 

 そして、その殺気を――完全に消す。

 

 同時に、手に持っていたファイブセブンを真上に投げる。それに釣られ、一瞬、パトラの視線は俺から逸れた。

 

 パトラの言葉が途切れた頃には、俺は懐に迫っていた。姿勢を低くし、腹に狙いを定める。

 

 今まで、何回も繰り返してきたこの動き。

 

「ほう」

 

 金一さんの呟きを他所に、力を一点に集中させるように殴る。

 

 ――――が、しかし。

 

「……は?」

 

 確かに当たる直前、見えない何かに俺の拳は遮られた。鉄みたいな堅い物体を殴ったようではなく、これ以上手を伸ばしても何も触れることができない……そんな感覚。

 

「ふふっ。今のは中々肝を冷やしたぞ。実に鍛練された、素晴らしい攻撃であった。ちゃが、妾には届かない」

 

 パトラは俺を見下ろす。まるで俺ごときでに敵うはずもないと言わんばかりの笑みを浮かべてくる。

 

「ほれ、妾に寄るな」

 

 その一言だけで、訳分からない力で俺は吹っ飛ばされる。

 

「くっ……」

 

 決して大きくはない船から落ちるのだけは堪えた。

 

 何だよ、その力は………。今出来る最大限の動きをしたのに、アイツは全く底を見せない。

 

 どうする? 今の俺に他の選択肢はあるのか? 早くしないと撃たれた神崎がヤバい。遠山も水上バイクで必死に探しているけど、まだ見つけれてない。

 

「八幡にしては、よくやった方だ」

 

 金一さんに声をかけられる。

 

「パトラの近くにピラミッド型の物体があると、無限に超能力を使える。それが世界最強の魔女と呼ばれる所以だ」

 

 …………おい、それこそマジか。要するに、俺の手持ちがナイフだとしたら、パトラは戦車やロケラン何でもありってことかよ。マジでチートじゃねーか。

 

「その通り。しかしまぁ、妾は苛ついた。お主も妾の元へ連れていこう。気難しい璃璃の力を引き出せたのは何故か、じっくり調べたいのでな」

 

 初めて手に入れた玩具を試すように無邪気な表情を見せる。

 

「お断りするに決まってるだろ」

 

 パトラに吹っ飛ばされた時に回収しておいたファイブセブンを構え、威嚇する。

 

「これほど力の差を見せたのにのぉ」

 

 例え俺が弱かろうと、それだけは断る。俺は死ねない。レキが言うには、俺の死因はもう決まっているんでな。その約束を守る為にも……生きたい。

 

 そう決意した時だった。

 

「何?」

 

「これは……!」

 

「……ッ!」

 

 首にかけている璃璃色金が輝いたのは――――

 

 

 

――――――

 

―――――

 

――――

 

―――

 

 

「ここは……?」

 

 見渡す限り、真っ白。この空間の境界線は見当たらない。どこまでも広がっている。

 

 この風景、既視感がある……。

 

「あ」

 

 あれと同じだ。ブラドに追い込まれて、璃璃神に乗り移られたあの時と。

 

 確かあの時も俺は璃璃神と話はした。かなり一方的で、俺と会話のキャッチボールはしてくれなかったけど。それ話した内に入るか? ……入らないな。

 

 にしても、不思議だ。……あの時と違って別に意識飛んだりしてないからな。俺の体どうなっている?

 

 色々気になることはあるけど、まずはこっちからだな。

 

 俺がいるのは真っ白の空間。だが、1箇所だけ別の色がある。俺の目の前だけ蒼く輝いている。

 

「この前はどうもお世話になりました」

 

 そこに向かって話しかける。相手は……まぁ、璃璃神だろうな。もし違っていたらそれはそれで怖い。

 

 神様にどう話せばいいのか。この前は色々タメ口使ったけど……。

 

『…………』

 

 が、反応なし。

 

「あのー、すいませーん」

 

『…………』

 

 ダメだこりゃ。反応ねぇ。つーか、どんな姿してるのか。俺の視点だと、モヤモヤが光っているだけだぞ。

 

「何もないなら帰らせてくれません?」

 

 あれ? これどうやったら戻れるの?

 

 頬を引っ張ったり、叩いたりしてもダメだ。手元には武器なんてない。俺の着ている服はカジノから渡された格好じゃなくて、武偵高の制服だし……どうなってる?

 

 そう悪戦苦闘していると、

 

『ねぇ』 

 

 ようやく向こうから話しかけてくれた。

 

 綺麗な声色だ。どことなく、声の雰囲気はウルスの人たち……特にレキに似ている。湖での声と同じ。

 

『お願い』

 

「何ですか?」

 

 最後に、璃璃神が残した一言は――――

 

 

『あの子たちを守って…………』

 

 

 ――――だけだった。

 

 

 

 

 

 

 ……………あの子、()()

  

 

 

 

 

 

――――――――

 

―――――――

 

――――――

 

―――――

 

――――

 

 

 

 金一とパトラは見た。

 

 突然、八幡の首にかけている璃璃色金が輝きだしたと思ったら、八幡が目を閉じたのを。

 

 そして、1秒後。八幡が目を開けると、色金の輝きは収まり、今度は八幡の右目が蒼く、蒼く輝いている光景を。

 

 その輝きは段々と増していく。

 

 瞬時にパトラは悟った。次に何の攻撃が来るのか。金一は確信はなかったが、次に何が起こるのか予想はできた。

 

 金一は八幡の真後ろに退避する。対するパトラも八幡の視線から逃げようとするが――その直前にその輝きは最高潮に達する。

 

 次の瞬間。

 

「うっ……!」

 

 パトラの左足が撃ち抜かれ、転がりながらうずくまる。超々能力者の力の1つ――――レーザービームによって。

 

「パトラ!!」

 

 咄嗟の出来事で、思わず金一は叫び、駆け寄る。

 

「なに、大丈夫ぢゃ」

 

 傷は細い。傷の直径はほんの数mm程度。それだけでは怪我は酷くならないだろうが、貫通している。その分、出血が激しい。

 

「レーザービームとは……。全く、痛いのぉ」

 

 とはいえ、星伽白雪と同じような治癒能力を持っているパトラは痛みに耐えながらも怪我を治す。

 

 誤算だった。

 

 レーザービームが飛んでくると悟り、逃げられないと分かった。だから、防ぐための超能力を使おうとした瞬間、文字通りの光速で撃たれた。

 

「これが……超々能力者(ハイパーステルス)

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 その時のキンジは八幡がパトラたちの気を引いている間に、アリアを助けようと水上バイクで探していた。

 

 キンジの不注意で狙撃され、気絶している上にアリアは泳げない……いわゆるカナヅチだ。捜索はかなり難しかった。

 

 その途中、いきなり船上が不意に輝きだし、不思議に感じてそちらに目を向けた。

 

 そこで、八幡がパトラに向けてレーザービームを撃った光景を見た。

 

「何だ、あれ……」

 

 パトラを追ってるときにアリアとイチャイチャした時になったHSSだったからこそ、ギリギリで視認できた。けれど、理解ができない。頭の回転が追い付かない。

 

 ――――比企谷が超能力? それも、あんなのアリか!?

 

 さっきまでゴレムを操り、狙撃をしてみせ、キンジたちを苦しめたパトラに一瞬でダメージを与えてみせた。 

 

 あまりの光景に驚き、自然と体が止まった。  

 

 

 

 

 

――――――

 

―――――

 

――――

 

 

 ………………使った。

 

 訳も分からず、璃璃色金の力を使った。自分でもどうやって使ったのかまだ分からない。何をしたのかもまだはっきりとしていない。

 

 それでも、俺が、俺の状態で使った。

 

 そして、あのパトラがダメージを負っている。まだ回復しきれてない。だったら、追撃を!

 

 そう足を踏み出そうとしたら――

 

「あれっ……」

 

 足に力が入らない。そのまま崩れ落ちるように倒れる。

 

 ――――ヤバい……意識が…………。

 

 目眩が起こる。息が荒くなる。頭が痛い。

 

「あと、少し…………」

 

 また気絶オチかよ。

 

 クッソ…………。

 

 

 

 

 

――――――――

 

―――――――

 

――――――

 

―――――

 

――――

 

 

 

「ここは……」

 

 目を覚ますと、見慣れた天井。毎朝見ている天井。つまりは俺の部屋だ。

 

「起きましたか」

 

「……らしいな」

 

 すぐそばにはレキがいる。

 

「体は大丈夫ですか?」

 

「あぁ、特に問題は……って、おい、マジかよ」

  

 時計を見ると2時だ。それも昼の。

 

「何日経った?」

 

「だいたい1日です」

 

 ということは、まだ24時間は経ってないか。

 

「……あれからどうなった?」

 

「はい――――――」

 

 

 

 レキの話を纏めると、俺が気絶したあと、パトラは神崎と一緒に逃げた。どうやら別のゴレムが神崎を回収してたとのこと。

 

 パトラは俺のことを危険視して置いていった。

 

 それから、神崎を助けに行く遠山と神崎を殺すべきという金一さんが戦った。めちゃくちゃレベルの高い兄弟ケンカだったらしい。そりゃ、どっちもHSSを持ってるもんな。

 

 その結果、遠山が勝ったはいいものの、アイツも気絶して、朝の7時に目を覚ます。

 

 そしてどうやら、神崎が撃たれた時の銃弾にはパトラの呪いが籠められており、撃たれてから24時間は生きているらしい。

 

 遠山が起きてからすぐに神崎を助けだそうと、武藤や不知火、ジャンヌの協力を経て星伽さんと共に助けに向かったとのこと。

 

 星伽さんの占い(百発百中の腕前)で調べたところ、神崎は太平洋にいる。

 

 そこで、アイツらはなんかスゴい乗り物に乗ってるらしい。高性能な魚雷を改造して、人が乗れるようにした乗り物だとか。

 

 で、今は目的地へと向かっている最中。

 

 

 

 ……………………………俺、役立たずだなぁ。

 

 結局、神崎を助けることもできずに、加勢にも行けない。ここで祈るしかできない立場なわけだ。

 

 神崎を助けるための時間は稼ぎはしたけど、見事に最悪の結果に終わった。

 

 どうすればよかった? 

 

 神崎を前線に突っ込まれなければ。レキに狙撃をさせるためにも銃弾を用意しとけば。超能力を使う頻度を抑えれば。ゴレームを早く倒せれば。パトラを無視して強引にでも神崎を助けれれば。もっと早く璃璃神の力を使えれば…………俺にできたのか? あれ以上、俺に何ができた? 

 

 俺に、俺に、俺に――――

 

「八幡さん」

 

 レキの言葉でその思考を止める。

 

「確かに私もアリアさんは心配です。ですが、助けに行けない私たちはただ待つことしかできません。それに、あなたは最善を尽くしました」

 

「だといいけどな」

 

 後は、信じよう。色々と無茶をやってきた遠山だ。あのパトラ相手でもきっとどうなかなる。

 

「それを言うならば、私こそもっと弾丸を持っていくべきでした」

 

「いや、あんな事態になるなんて誰も思ってないんだから――」

 

「それと同じです。あの場にいた私たちはあなたを責めたりしません」

 

「……ありがと」

 

 少しは、気が楽になったかもしれない。頼んだぞ、遠山。

 

 つーか、そもそもの話。

 

「何で俺は気絶したんだ?」

 

 ブラドの時は怪我が酷かったけど、今回はそこまでだしな。特に大きなダメージは負ってない。ゴーレムに殴られたのは痛かったけど、致命傷というわけでもなかった。

 

「星伽さんは超能力を使いすぎたのではないかと言っていました」

 

 あぁ、言われてみれば……。あのよく解らん超能力使うまでにさっきまで烈風やら使いまくってたからな。あの超能力でその時使える分の限界が来たのか。

 

 感覚としては、俺が普段使える上限がマックス10として、パトラと対峙した時には残り1くらいだった。多分だが璃璃神の力なら1回でかなりの力を使うんだろうな。オーバーしすぎたってことか。

 

 超能力(ステルス)を使うために摂取しなきゃならない物がある。人によって違うが、俺はMAXコーヒー。全回復するにはMAXコーヒーかなり飲まないとな。

 

 500ml飲んで試しに烈風を使ってみるが……ダメだな。使えない。今日はできない日か。

 

 他に気になることが。

 

「……あの時どんな超能力使ったんだ? レキ分かる?」

 

「パトラはレーザービームと言ってました。一瞬の出来事だったので、私には視認できませんでしたが」

 

 え、何それ? 俺そんなの使ったのか…………。これまた予想外過ぎるわ。 

 

 後で衛生から高い金をかけて今回の映像を取り寄せようかと考えてると、ここでレキが。

 

「ところで、八幡さん」

 

「どうした?」

 

「今日何か仕事があると言ってませんでしたか?」

 

「えっ」

 

 ……………あ。

 

「ヤバっ」

 

 そうだよ。遠山が単位補うためにカジノの任務受けたけど、その前に小遣い稼ぎで適当に護衛の仕事受けたんだ。

 

 別に連日だけどどっちも楽だろうしいっか、みたいなノリで受けたな。あー……色々ありすぎて完全に忘れてたわ。

 

 えーっと、今が2時。確か4時には打ち合わせしたいって言われてたな。場所は久々の千葉だ。

 

「準備しないと。ファイブセブンは……」

 

「それでしたら、材木座さんがいなかったので私がメンテナンスしておきました。ナイフは星伽さんから預り、棒? も回収しておきました」

 

 さすが優秀だわ。惚れちゃいそう。とっくに惚れてるけどな。

 

 まだ材木座はアメリカのロス……なんちゃらから帰ってきてないのか。

 

 もちろん遠山たちがどうなったのか気になるけど、こっちはこっちで仕事はしないと。

 

 武偵高の制服に着替え、ファイブセブンと予備のマガジン、棒にナイフを装備する。

 

 よし、行くか。

 

 

 

 で、千葉に向かっているその道中。

 

「なぁ、今回は俺だけだぞ?」

 

 勝手に付いてきたレキに言う。分解されてるであろうドラグノフがあるトランクを肩に背負ってる。準備はオッケーですかそうですか。

 

「今日の私の目的地がここなだけです」   

 

 そう屁理屈を言っても……。

 

「依頼内容と違うことにされてもな。最悪追い返されるかもしれないぞ?」

 

「構いません」

 

「てか、何で来たの?」

 

「監視です」

 

「誰を?」

 

「八幡さんです」

 

「なぜに?」

 

「昨日、風の力を使ったので。念のためです」

 

 あぁ、なるほどね。レキからしたらそこは気になるのか。

 

 確かに今、璃璃神はどうなってるんだろ。璃璃色金を貰ってから寝るときや風呂入るとき以外は身に付けてるけど音沙汰ない。それに今使おうとしても、そもそも烈風すら使えないからな。

 

「それと他の女性に浮気しないか」

 

 キリッとしたレキの視線に。

 

「残念ながらそんな度胸はないし、する必要性が見当たらない」

 

「……っ。そ、そうですか」

 

 そう答える。そして、互いに目を逸らす。  

 

 …………俺も言ってて恥ずかしいな。完全に自爆だ。

 

「もししたら、狙撃します」

 

 反撃気味にレキが告げる。

 

「肝に命じとく」

 

 周りからしたら物騒そうな会話をしながらのんびり歩く。途中寄り道しながら時間調整しながら歩いた。だいたい10分前に着くように。

 

 今回は政治家のパーティの護衛。依頼者はここの県知事だとか。

 

 っと、もうすぐで待ち合わせの場所だ。どんな人が来るんだっけな。メールを確認すると、うん? 政治家の娘が来るのか。

 

 それっぽい人物を探す。

 

「あれか?」

 

 目的の人物を見つける。スーツをバッシリ着ているから多分あれだろう。見つけたはいいけど、何て言うか。

 

「美人ですね」

 

「……あぁ」

 

 他よりか捻くれてると自覚してる俺でも素直にそう思う。

 

 整っている容姿に真っ直ぐな黒髪。スタイルも良い。非の打ち所がない。

 

「ではどうぞ」

 

「どうぞって何だよ」

 

「あの方に話しかけないのですか?」

 

 ……え? あれに話しかけるの? 俺が? ちょっと無理があらへん? 難易度高いんですけど。

 

 まぁ、四の五の言ってられないからな。覚悟を決めて近づく。

 

「すいません」

 

 俺が声をかけると、こっちに気づく。癖で足音と気配消してたから驚かせた。

 

「こんにちは。依頼した武偵の方ですね?」

 

「…………」

 

 ――――直感で、この人を警戒してしてしまう。

 

 男ならそれだけで惚れてしまいそうな笑顔で返答した。

 

 ……ただそれだけなのに、何かが恐ろしい。そんな気がする。うーん、デジャヴを感じるんだよな。いつだっけ。けっこう前の出来事だったような気が……。

 

 とりあえず自己紹介をば。

 

「はい。比企谷八幡です」

 

「雪ノ下陽乃です。本日はよろしくお願いします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




キンジたちの激闘が読みたいならば、原作買おう!
一応要約する予定ですが、詳しくは書けないと思うので……

ちなみに、今回でてきたレーザービームは本編にも当然あります。気になります? よし、原作買おう!(2回目)

というより、またダラダラ書いて無駄に長くなってしまった。もうちょい短くできねーかな。今回で9000字ちょい。6000字くらいで抑えたい。

あ、宜しければ、感想等よろしくお願いします。

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