八幡の武偵生活   作:NowHunt

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簿記3級合格しました。次は2級……めっちゃムズい





知らない

 今回の依頼、報酬やたら良かったから受けたけど、事前に調べてみたら県知事は建設会社の社長も兼ねてるらしいし、金持ちなんだろうなぁ。

  

 などと思っていると、肩をトントンと叩かれ、

 

「あ、敬語外して大丈夫?」

 

「そこはお好きに」

 

「いやー、今回はありがと。ちょっと色々とごたついててね。依頼受けてくれて助かったよ」

 

 バツが悪そうにはにかむ雪ノ下さんに対し、

 

「色々とは?」

 

「お父さん……県知事直属のSPは3人いるんだけど、1人は前々から大事な友人の結婚式に出席しなくちゃいけなくて、もう1人はちょうど夏風邪拗らせちゃってね。人数足りないから私たちのSPを借りることになって、人数が足らなくなったの」

 

「それで武偵に」

 

「正式なSP雇うと金かかるし、1度限りなら武偵の方が安上がりだからね」

 

 にしては、報酬奮発してくれましたね。申し訳ないどころか嬉しいまでもある。

 

 って、あれ?

 

「今、私たちって言いました?」

 

 護衛ってこの人だけじゃないの? メールは政治家の娘の護衛って書いてあったけど。

 

「あぁ、ゴメン。私と妹の護衛が今回の依頼内容なの」

 

 もうちょい詳しく教えてくれよ。

 

「……俺だけでか」

 

「大丈夫。パーティの間は基本一緒にいるから」

 

「分かりました」

 

 護衛対象2人か。うーん、面倒だが、そのくらいどうにかなるか。 

 

「…………」

 

 にしても、この人の動作1つ1つが美しい。あ、客観的にね。まるで完璧に近い。だからこそ、得体が分からなく、恐ろしい。この感覚……やっぱデジャヴなんだよな。

 

「比企谷君。とろこで、あの子は連れ? 見たところ武偵高校の制服着てるけど」

 

 ちょっと離れた位置にいるレキを指す。

 

「あぁ、勝手に付いてきたんですけど、ご同行は可能ですかね? レキ!」

 

 ボーッとしていたレキを呼ぶと、俺らの方に歩く。

 

「レキと言います」

 

 抑揚のない声で自己紹介をする。

 

「雪ノ下陽乃です。こちらこそよろしくお願いします。付いてくるとなると追加の報酬を……失礼ですが、ランクは?」

 

「Sです」

 

 さらりと答える。

 

「……え、ええっ!?」

 

 雪ノ下さん……そら驚くわな。

 

「Sって、世界で数十人しかいないあの!? ちょっと待って。Sランクに支払うほど予算ないのに」

 

 まぁ、本来はランクによって報酬が違うからな。そりゃBランクとSランクでは、当然雇うための値段はかなりかけ離れているわけで。

 

「でしたら、俺の分から払っていただいても」

 

「ダメダメ! せっかくSランクと繋がりが持てるの機会なのよ! これを逃すわけにもいかないの。こうなったら、お父さんに頼んでみるか」

 

 そういう見方もあるのか。

 

「…………」

 

 しばらく悩んでいる雪ノ下さんを観察する。

 

 この人、何度見ても立ち振舞いが完璧だ。レキ登場で多少驚くことはあっても、完全に笑顔が崩れることはない。完璧すぎてどこか気持ち悪いまである。

 

 やっと分かってきた。今も付きまとうこのデジャヴは……友だちになる前の理子に近い。

 

 ――――仮面だ。

 

 本性を隠すための仮面。それは普通誰もが持っているものだ。目上の人、友達、家族、人によって見せる仮面は違う。それに、仮面の中身……本性は誰にも見せないようにする。それでも、大概の人はどこかでボロが出る。

 

 しかし、あの頃の理子の仮面は非常に分厚かった。表面上は明るく振る舞っていたけど、その奥は見せなかった。絶対に隙……自分の弱味は見せない、そんな意思を感じた。どんな人にも見せる仮面は同じ。この感覚は、それと同じだ。

 

「こっちで話つけたから、同行オッケーだよ。とりあえず比企谷君とレキちゃん、移動しようか」

 

「はい」

 

 別にだからといって、俺に不利益があるわけでもない。ただ、警戒はしておこう。

 

 

 

 

 

 5分ほど移動してどでかいビルに着いた。フロントでは雪ノ下さんが何やら手続きをしているのでレキと待っている。

 

 係員と話し終えた雪ノ下さんが、

 

「私の妹……雪乃ちゃんって言うんだけど。今から紹介するね。それと今日の段取り説明するから」

 

「分かりました」

 

 と、レキ。

 

「はい」

 

 俺も返事をして、雪ノ下さんの後に続き歩いてる最中。

 

「なぁ、レキ」

 

「何ですか?」

 

「狙撃手が護衛の任務ってこなせるの?」

 

「どうにかします。ですが、今日の私は基本的に八幡さんのバックアップに専念します」

 

「俺の依頼だもんな。了解」

 

 正直レキがいたら心強いのでありがたい。もちろん、全面的には俺がやるけど。

 

 とはいえ、レキはかなり際どい行動を取るからな。俺がイ・ウーから帰ってきた時とか。

 

「人は殺すなよ?」

 

「……はい」

 

「なぜ返答に間があった?」

 

「…………さぁ」

 

「さぁ、じゃない」

 

 俺に何かあったらヤバそう。確信した。

 

「はいはーい、もうすぐ着くからそういう物騒な話は止めてねー」

 

「ごめんなさい」

 

 二階まで歩き、どこかの部屋の扉を開けた雪ノ下さんに謝りながら後に続く。

 

 扉の先には、パイプ椅子がざっと数えて26脚と長机が長方形の形に置かれている。よくある会議室みたいな部屋だ。その部屋の端に佇む人が1人。

 

「雪乃ちゃーん、おまたせ」

 

「……姉さん、遅いわよ」

 

 呆れた様子で話している人が雪ノ下雪乃か。

 

 雪ノ下さんとは違い、妹は黒く長いストレートヘア。大人びた顔立ちで、こちらもかなりの美人。スタイルもいいが、胸の戦闘力は……神崎と同レベルか。明るく振る舞っている雪ノ下さんとは真逆の印象。

 

「ごめーん、ちょっとごたついててね」

 

 すると、雪ノ下(妹)は俺らの方を向き、

 

「今日来る武偵は1人だけのはずだったけれど……そのせいかしら?」

 

「さっすが雪乃ちゃん」

 

「……鬱陶しい」

 

 おう、実の姉に鬱陶しいって……。気持ちは分からんでもないけど。わざわざ聞こえる声で言うのね。

 

 その言葉をまるで面白がっている様子で無視した雪ノ下さんは……それは無視したって言えるのか?

 

「この後私お父さんに呼ばれてるから抜けるね。私が呼びに戻るまで仲でも深めとくんだよ」

 

 それだけ言い残し、雪ノ下さんは消え去った。雪ノ下(妹)は黒いドレス着ているのに対し、雪ノ下さんはまだスーツ姿だし、着替える必要もあるのか……? よく分からんがパーティとかは正装ってやつをしないとならないらしいからな。

 

 それは置いとき、自己紹介しないと。

 

「今回依頼を受けた武偵の比企谷八幡です。よろしくお願いします」

 

 年はそこまで離れてないとは思うが、一応敬語で。雇われてる身だからな。

 

「レキです」

 

「雪ノ下雪乃よ。よろしくね。突っ立ってないで座ってちょうだい」

 

 雪ノ下(妹)が指している真正面の席に腰を降ろす。

 

「貴方たち、年はおいくつ?」

 

「今年で17です」

 

「同じく17です」

 

 レキに続いて答えたけど……あれ? レキの誕生日いつ??

 

「あら、そうなの。なら私と同い年ね。敬語はいらないわ」

 

 へー、同い年だったか。大人びた雰囲気からして少し上かなと考えてたけど。その動作、振る舞い、どこぞのピンクの貴族様も少しは見習って。

 

「それなら遠慮なく」

 

「私はこの口調なのでお気になさらず」

 

 レキはそうだわな。1度くらい砕けた口調を聞いてはみたい。……アカン、想像付かない。やっぱそのままでいてくれ。でも君付けで呼ばれてみたい欲望はある。

 

「えぇ、よろしくね。…………それで、武偵の貴方たちに少し質問していいかしら? ただの世間話と思ってもらえれば構わないわ」

 

「質問? まぁいいが」

 

 ……いきなりだな。

 

 雪ノ下(地の文でそう呼ぶことにした……地の文って言っちゃったよ)は眉を潜める。 

 

「貴方たちが武偵ということは、普段から銃を使うのよね?」

 

「そうだな。現に俺らは今も持っているぞ」

 

「貴方より年下の子もそうなの?」

 

「基本的には。校則だしな。そりゃあまり銃を使わない……つーより、戦闘をしない武偵もいるわけだが」

 

 銃を使わないだけで平気でヤバいことする奴らはいる。おい、尋問科共に言ってるぞ。お前ら怖すぎなんだよ。拷問とかマジ無理。

 

 すると、雪ノ下は怪訝そうな顔付きになり、

 

「そんな日常が武偵にとっては普通なの?」

 

 そう聞いてきた。

 

「一般人には理解はできない感覚かもしれんが、それが武偵の日常だ」

 

「日常……ね。ニュースを見てよく疑問に思うの。私より年下や同年代の人たちが銃を平気で扱う世の中に。何故そんな若くから命を張れるのか……それが分からないわ。1度、武偵に会ったら聞いてみたかった」

 

「何故……か」

 

 少し考え込む。

 

「……嫌な気持ちにさせたらごめんなさい」

 

「そんなことはない」

 

 …………俺だって不思議に思うことはある。

 

 例えば、留美や間宮は見た目からして、どこにでもいそうな女の子だ。とてもじゃないが、毎日のように銃をぶっ放しているとは到底思えない。隣にいるレキだって外見はごく普通の女の子だろう……うん……ヤダ、断言できない。

 

 武偵にとってそれは普通だが、一般人からしたら武偵は異質。世間では武偵を恨むような奴ら、一方的に嫌悪する奴らは当然いる。

 

 こう考えているってことは俺も相当武偵に染まってるな。1年以上も銃に触れてたらそうなるか。

 

「もちろん、精神的に銃を撃てない人は少なからずいる。そういう奴らは武偵って言っても裏方に回ることが多い。適材適所だ」

 

 通信科には当てはまる人けっこう多いはず。

 

「そういう人たちはどうして武偵を続けるのかしら?」

 

「んー……人によって理由は当然違うから何とも言えないな。これは俺の予想だが、やっぱ金が必要って奴は一定数いるだろうな」

 

「お金?」

 

「そう、金。何らかの事情で金が必要な奴もいると思う。武偵は仕事によるが、俺らくらいの年だとかなり稼げる職業だから。あ、でも、単純に趣味で武偵してる奴もいるにはいるな」

 

 武藤や平賀さんに材木座とかあれもう完全に趣味だろって思う部分がある。それが続ける理由になるのなら、それもそれで素晴らしいことだ。

 

「比企谷君とレキさんは、何故武偵の道に進んだの?」

 

「俺は親に薦められたから。けど、それなりに過ごすうちに、続ける理由は見出だせたと思う」

 

 それが何かは……恥ずかしいからあまり言いたくはない。

 

 そして、俺らの視線はレキに向く。

 

「私は生きるために武偵になりました」

 

 レキはそう簡潔に答える。

 

「生きるため……?」

 

「はい。言い換えれば、初めから選択肢はなかったとも言えます」

 

 選択肢……生まれた環境を思い返すと、そうだよな。武偵高の中の誰よりも特殊な環境でレキは育っただろう。武偵になるのは必然だったのだろう。

 

 そこで、俺は尋ねる。

 

「レキはさ、後悔はしてないのか?」

 

「してないです」

 

 きっぱりと断言する。……愚問だったかな。 

 

「ところで、雪ノ下は武偵が嫌いなのか?」

 

 話を変えて、気になったことを聞く。

 

 表情や仕草を観察した感じそこまでの嫌悪感はなさそうに見えるけど。

 

「……嫌い、という感情はその物事についてある程度知っているからこそ芽生える感情よ。私は武偵をよく知らない。だから、簡単に好き嫌いとは言えないわね」

 

「なるほど」

 

 何も知らないと好き嫌いは言えない……か。

 

「ニュースを見ていれば武偵がこの世の中に必要というのは分かるわ。……規制が緩くなって、今や誰もが銃を持つことができるのだから」

 

「正式に所持するにはちゃんとした手続きは必要だが……確かにハードルは下がっているよな」

 

 銃を持つからこそ、武偵が武偵であるために殺人を禁じる武偵法9条がある。

 

「それでも、貴方やもっと若い子が銃を持つのは何だか気が引けるわね」

 

「それは何でだ?」

 

「普段から人の命を奪える力を持っていると、命の価値が曖昧にならない? 貴方の意見を聞かせてくれないかしら」

 

 曖昧、か。

 

「俺はそうは思わないな。普段から銃とかを持っているからこそ、命について触れる機会が多い。だから、命を大切にしないといけない。命に対して敏感にならないといけない。俺はそう考えてる。それにな――」

 

「それに?」

 

「環境は特殊だけど、武偵高のアホ共だって学生らしい毎日を送っているぞ。帰りに買い食いしたり、休日には遊びに行ったりな。そこは年相応だ」

 

 この前だって祭は充分楽しんだし、他の奴らも楽しんでた。だから、勝手な決め付けは良くない。会話の中身は物騒なのはこの際置いておきます。

 

「……やっぱり知らないと分からないものね」

 

 そう呟いた雪ノ下は腑に落ちた表情を見せる。こんなんで、自分の答えを見付けたのだろうか?

 

「今の俺から言えるのは、どんな道へと進んだとしても、それは当人の問題であって、外野がとやかく口に出していいことじゃない、ってことかな」

 

 もちろん、そういう考えは大切だ。でも、その人にはその人の事情がある。……俺は武偵になった経緯は誇れたもんじゃないがな。

 

「……ありがとう。参考になったわ」

 

「こちらこそ」

 

 俺こそ、俺自身について改めて見直すいい機会になった。そうだ。これも言っておこう。

 

「最後に1ついいか?」

 

「えぇ」

 

「今回は武偵についてだが、これは趣味や性格……色々当てはまるかもな」

 

 そう前置きする。

 

「その何かに対して、無理に理解しなくていい。別に世界中の全員に認めててほしいわけじゃない。ただ――否定はしないでほしい。否定されて傷付く人はいるし、いきなり頭ごなしに否定する奴なんてその時点で人間として終わってる」

 

 頭に浮かぶのは金一さんの事件。あれのせいで遠山は武偵を止めようと決めた。

 

 俺もあの時金一さんを非難してきた奴ら――特にあの船の責任者はクソだと思っている。今まで散々頼って、いざ自分に不利益が降りかかろうとしたら責任転嫁。そこからは世間からの批判のオンパレード。

 

 身内……遠山にも被害が及んだ。実に胸糞悪い事件だった。

 

 きちんとその物事について理解を深めた上で否定するならまだしも、何も知らない、知ろうともしないのに否定するなんてただの屑だ。

 

「理解、否定…………確かにその通りね。肝に命じとくわ」

 

 その一言で、この話は終わった。

 

 

 

 

 

 数分後、扉が勢いよく開く。

 

「お待たせ!」

 

 雪ノ下さん、再登場。

 

 さっきのスーツ姿とは打って変わって、胸を強調するような大胆な紅いドレスを身にまとっている。化粧もしており、より美人に見える。

 

 真っ先にそこに視線が行くのは勘弁してくれ。レキ、そんなに睨まないで……いや、どっちかって言うと雪ノ下を見てた俺より雪ノ下さんを睨んでるような。レキもそういうの羨ましかったりするわけ?

 

「どう? 比企谷君、私可愛いでしょ?」

 

「それ自分で言うのか……。客観的に見ればそう見えなくもないですね」

 

「もう、素直じゃないんだから~。ねー、雪乃ちゃん?」

 

「チッ」

 

 雪ノ下、自分の胸と見比べて舌打ち……不憫な子。てか、女子って怖い。 

 

「雪乃ちゃん、比企谷君たちとは友だちになれた?」

 

「姉さん、うるさい」

 

「えー。でも、雪乃ちゃん友だちいないじゃん。家絡みの付き合いの隼人とは違うって言うし……」

 

「私だって友達くらいいるわ」

 

「この前会った……由比ヶ浜ちゃんだっけ? あの子いい子よね~」

 

 何だか言い合いが始まりそうだから話を変えよう。

 

「雪ノ下さん、格好って制服のままでいいんですか?」

 

 声をかけると、こっちに向き直り、

 

「うん。武偵高校の制服はわりと有名だからね。私たちの側にいると、寄ってくる馬鹿な人たちは多分だけど減るだろうし」

 

 カジノでは客に警戒させないために一般の客と同じ格好をしたけど、今回は逆に防止目的で制服を着るのか。俺もこっちの方が慣れてるからありがたい。そういや、今まで受けてきたパーティの警護も大概は制服のままだったな。

 

「きちんと許可取ったからレキちゃんもオッケーよ!」

 

「ありがとうございます」

 

「で、段取りなんだけど、今回は立食パーティの形式。私たちは基本一緒に行動する。それと、特にスピーチとか目立つ行動はしないから」

 

「そうね。どうでもいい偉そうな人からどうでもいい話を聞くだけの簡単なお仕事よ」

 

 雪ノ下めっちゃ辛辣。しかし、雪ノ下さんも微妙な笑顔で否定しないことから内心そう思っているのだろうか。

 

「お父さんに確認したところ、何か怪しいことした人や危害を加えそうとした人には問答無用で取り抑えていいとのこと」

 

 そこはいつも通りだな。

 

「でも、銃はできる限り使わないでほしいって。銃声だけで混乱する人は出てくるだろうからさ」

 

 まぁ、それもそうか。そこは従うか。いざとなったら撃つけど。しかし、そうなるとレキの立ち位置は……。

 

「雪ノ下陽乃さん」

 

「レキちゃん、どうしたの? 気軽に陽乃って呼んでくれてもいいけど」

 

「では陽乃さん。どこか人が来なくて高い場所はありますか?」

 

「うーん……会場の2階部分には放送のための機材が置いてる場所はあるにはあるけど、かなり狭いよ?」

 

「問題ありません。私はそこで護衛します」 

 

「よく分からないけど、了解したわ。後でそこの鍵渡しとくよ」

 

「はい」

 

 雪ノ下さんは手をパン! と叩き、

 

「じゃ、後1時間で始まるからよろしくね」

 

「はい」

 

 レキが返事する。

 

「分かりました。こちらこそよろしくお願いします」

 

「比企谷君、言葉かたーい。もっと崩してもいいんだよ?」

 

「仮にも依頼主にタメ口だと後でアホ共の巣窟の教師からお小言を貰いますので」

 

 またの名を体罰フルコース。結果として瀕死する。または三途の川を渡る場合もある。

 

「でも、雪乃ちゃんにはタメ口だったよね?」

 

 え、あれ聞いてたの?

 

「同い年ですし、それに雪ノ下は護衛対象なので」

 

「それ言ったら依頼主はお父さんじゃない。私も護衛対象!」

 

「では、依頼主代理にタメ口使うわけなはいかないですから」

 

「……ハァ。君、なかなか強情だね。かなり捻くれてるよ」

 

「よく言われます」

 

 こう話してて、一瞬でも素顔を見せない人は怖いな。雪ノ下の方はあまり仮面なんてモノは感じなかった。雪ノ下さんに対しての冷たさや俺らと話したときの表情はどちらも素だったぽい。だから、ある程度タメ口で話せたわけで。

 

 …………これ以上話すと俺がボロを出しそうだ。まぁ……うん、とりあえずはお仕事頑張りますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




陽乃さんのキャラ分からんぞ。これでいいのか。



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