「……おはよう」
「おはようございます」
眩しい朝日でそれまでうつらうつらとしていた目が覚める。この表現何回も使った気がする。やっぱ語彙力ねぇな。
って、それは置いておいて……起きたら目の前にレキがいるのある意味で心臓に悪い。正直寝ぼけて視界や意識がはっきりしてなかったからめちゃくちゃ驚いてしまった。失礼だとは思います、はい。でもね、仕方ないんだよ。今までそういう経験少ないんだから。
まあ、その動揺はレキには隠せたとは思います。はい。さっきからはいしか言ってない。
布団はそのままでいいと女将さんから昨日のうちに言われたのでそのままに。互いに荷物をまとめてから着替える。いやまあ、俺は洗面所で着替えて、レキとは別にだが。それはもちろんですよ?
それて朝飯は広間で振る舞うとのこと。確か8時からで、今は7時30分か。まだもうちょい余裕はあるな。
「あ、レキ。その服……」
「はい。昨日も話しましたね。今日はこれで行こうかと」
レキが着ている服は、俺がイ・ウーに捕まる前にお台場で買った服だ。昨日もちょっと話題に出たが、今日着るとは。薄い桃色のワンピースに水色のジャケット。久しぶりに見たけど、うん、普通に可愛いな。素直にそう思う。口に出せるかどうかは別として。
顔を洗って荷物の整理を終えると、いい時間になっていたので広間に移動することにした。
「なあ、レキ。今日の宿って決めてる?」
「まだです。初日しか予定決めていませんでしたので」
「だよなぁ。もういっそのこと今日もここで1泊するか? ペット可だし」
「そうですね。神戸からはやや遠い気がしますが」
「あー、でも、快速? とか乗ったら1時間程度で着くってよ」
「でしたらいいかもしれません。相談してみましょう」
と、会話してたら広間に着いた。ハイマキはきちんと俺とレキの横にいる。
もうそこには朝飯を用意してくれている女将さんがいた。
「あら〜。2人ともおはようさんです」
「おはようございます」
「昨日は楽しめましたか?」
「……ノーコメントで」
「それはまた残念です」
いやあのね、普通に恥ずかしい。特にやましいことはなかったけども。つーか、ここの女将さんこんなんで大丈夫なの? お節介かきたい年頃?
「それはそうと、女将さん。今日も泊まっていいですかね?」
「それはそれは……。今日のご予定は?」
「あー、神戸をブラブラと観光しようかと考えているんですけど、ペット可のホテルや旅館探すの大変で」
「なるほど。でしたら構いませんよ」
「お願いします。また何かあったら連絡しますんで」
「は〜い。ささ、朝ご飯食べてちょうだいな」
――――と、朝飯を食べてから荷物をまとめ、俺らは京都駅からJRを使い神戸へ移動した。
降りた駅は三宮。神戸来たんだしそこは神戸駅じゃないのかって? 実は神戸駅と三宮ってそれなりに離れてるんだよな。といっても、元町挟んでるくらいだからそんなには距離ないかもだが。せいぜい一駅程度。歩けば普通に行ける。
ちなみに新神戸駅と神戸駅はめちゃくちゃ離れてる。新がついてるついてないだけの違いだろと勘違いしたら確実に面倒くさいのは事実だろう。何だかんだで神戸の中心は三宮という気がする。
神戸駅はumieやメリケンパークとかがあるしショッピング目的なら三宮よりかは神戸駅の方がいいかなと個人的に思う。もちろん三宮にも色々あるけど、umieはショッピングモールだからな。モール内なら三宮と違い、めちゃくちゃ移動しなくて済む。
でも、三宮にはアニメイトやらしんばんとかイエローサブマリンオタク系のショップが揃ってるし、やっぱ観光するなら三宮かな。umieとか別に普通のモールだしな。このくらいなら関東にそこら中あるだろう。イエローサブマリンに関しては真骨彫を予約するときに世話になってます。
そもそもumieで遊ぶとして、何かこれとって目新しいとこがあるのかと言われたら疑問に残る。ショッピングも映画? まあ、それを言われたら、神戸に観光に来た人は何をするのか正直分からない。神戸の観光名所とかいったら……あれか、有馬温泉にでも行く? それとも神戸牛でも食べる? 俺食べたことないよ?
……神戸に観光に来る人の真意がマジで分からない。ぶっちゃけ神戸で観光するくらいなら梅田とかの方が色々と揃ってそうだけど。よく外人の人たちも見かけるけど、マジで分からんなぁ。ちなみにどうでもいい情報だが三宮にサイゼは4店舗ある。
…………なんてホントどうでもいい話をしつつこれからの予定を考える。にしても、神戸の愚痴やら長いな。まあ、今回はFateの聖地がいくつかあるから神戸選んだだけだが。
「…………ふう」
――――と、一息ついて、まず午前中に北野の方に行って異人館も見ることにするか。
えーっと、JRの三宮にいるから、だいたい15分程度か。ふむふむ、遠坂邸のモデルはどうやら「風見鶏の館」って場所か。って、北野通りという場所に冬木教会への道や間桐邸への道もあるんだ。あ、間桐邸のモデルとなっている「うろこの館」もあるんだ。
北野通りのの坂を探しつつ遠回りしながら異人館に向かうとしよう。行き当たりばったりだな……。
「レキ、ちょっと歩くけど大丈夫か?」
「はい」
レキは素直に返事してくれるけど、なんか俺の趣味に付き合わせて申し訳ない。
そんなことを思いつつゆっくりと歩く。
しばらく歩くと、冬木教会への坂に着いた。
「おお」
「……普通の坂に見えますが」
ちょっと感動していると、レキに突っ込まれた。まあ、そうなるよね。
「ここもそのゲームに使われているのでしょうか?」
「そうそう」
「なぜ神戸なのでしょうか?」
「……さあ?」
「知らないのですね」
「こればかりはさっぱり」
原作者たちの出身地神戸じゃないらしいし、こればかしはマジで謎だよな。
写真を撮ってからまた移動して、間桐邸へと続く坂道の写真も撮る。
そんな寄り道をしつつ、神戸の街を堪能しながらのんびり歩くこと20分。異人館――風見鶏の館へと到着。
「……おお」
やっべぇ。マジで遠坂邸じゃん。うわー、スッゲー。遠坂邸だったらhollowで士郎が掃除に行って警備に四苦八苦するエピソードが好きだな。そのあと勢揃いで掃除へリベンジする話も。
写真を撮りながら一周グルッと周る。にしても、晴れてて良かった。
外観に堪能しつつ入場料を払って風見鶏の館に入る。
「うおっ……」
するといきなりあの階段だ。
あれあれ、Zeroで綺礼が降りてきた階段だ。子ども頃の凛と綺礼が言い合ってていた場所だ。そして色々と見て廻っていると……え? まさかの中田さんのサインまで……!? マジかよ。スゴいな、ここ。中田さんが階段から降りてきている写真もある。是非ともいっぱい写真撮ろう。Fate関連の物も多くある。
30分くらいゆっくりと見学してからここを退出する。次はすぐそこにあるうろこの館だ。
お、外観はホントに間桐邸じゃないか。ここならあれだな、慎二が桜を怖がるエピソードが印象に残ってる。ジャポニカ暗殺帳。まさかあそこで黒桜が現れるとは……。ゲームをプレイしているときは思いもしなかった。杉山さんの悲鳴いいよね。
っと、入場料を払って中に入る。しばらく見学していると……あれ? ここどっかで見覚えが……?
「あ」
そうだ! ここ遠坂凛の部屋だ! え? いやいや、そのまますぎないか? さすがに広さはあっちの方が広く感じるけど、インテリアとか家具とかマジでそのままじゃないか。お、アーチャーが召喚時に座ってたあのソファーもある。いやまあ、部屋は崩れてないけど。
間桐邸の中に凛の部屋か。……これは予想外だった。調べれば分かるんだがな。マジのノープランだ。
にしても、こう見ると、遠坂家の優雅たれって感じの部屋だな。全てがオシャレだ。
こうマジマジ眺めると、UBWの0話を思い出す。誰かアーチャーのコスプレして座ってたくれないかな。さすがにそれはダメたけども。帰ったらアニメやゲームの画像と今撮った写真見比べてみよ。
「楽しそうですね」
「おう。……ああ、悪いな、俺の趣味に付き合わせて」
隣にいるレキに声をかけられた。ハイマキも外で待機していることだしな。
すると、レキは首を横にフルフルと振る。
「大丈夫です。私のワガママをよく訊いてもらっているので、このくらいは全然。それに、私も初めて見る光景なので、少し楽しい……と思います」
断言しない辺りがレキらしいというか。
「それなら良かった。美術館も併設されてるみたいだし、そっちも行こうか」
「はい」
――――そうして、美術館も見終わり、もう昼頃だったので近くにあったカフェでランチを取った。
俺からしたらちょっとばかし高いお値段だったが、まあ普通このくらいだよな。神戸まで来てさすがに普段からお世話になっているサイゼに行くのもなんだし……。神戸で美味しい食事というと? 神戸牛? ……それはあまりにも高そうだ。 他は元町辺りの中華街とかスイーツとか有名だったな。そこまで調べてないし、詳しくは知らないがな。
そうして、少しの間聖地巡礼は休憩して神戸の街並みをもっと歩くことにした。ハイマキもいるからな。いちいちお留守番では可哀想だ。
北野にセンター街など色々な場所を歩いて今は東遊園地で休憩中。
遊園地っていうわりには何もないと思ったけど、どうやら震災の慰霊碑がある場所なんだ。なるほど。そう考えると、神戸って冬木と同じように災害があった都市なんだな。現実とフィクションを比べるのがおかしいとは思うが、そういう共通点もあるのか。そもそも災害のベクトルそのものが違うからな。
時間は……何だかんだでもう3時くらいか。センター街歩いたとき元町もグルグルと歩いたしな。
にしても、この辺りは人多いな。一応は平日だし、まだ学校も終わってない辺りの時間帯だとは思うが。見かけるのはスーツを着た社会人にご老人や主婦、あとは大学生か。さすがに高校生や中学生の年代は見かけない。この時間に外にいる社会人はどういう仕事なのだろうか。営業の帰り? それとももう仕事終わりなの? なんという優良企業か。
その多くの人はセンター街や国際通り、多分JRやサンチカの方に歩いている。
「…………」
で、その通行人からやたら見られている気がする。いや、実際見られてるんだけどね。ここではあまり見かけない制服だろうし、隣にいる何を考えているか分からないレキが美人だからな。確か大阪には付属の武偵高があったようななかった気が……。
レキに関しては、適当に気配消したりするのは自由自在だから別に気にする必要はないかもしれない。
「グルルッ……」
そして何よりコイツだよ。東遊園地の草原で呑気に寝ているハイマキをちょっとばかし呆れつつ眺める。
ハイマキは犬にしてはかなり大型だからな。寝ていてもその大きさはかなり目立つ。普通に見れば、柴犬やゴールデンレトリバーの犬よりもかなり大きい。……まあ、コイツは犬じゃなくて狼だ。図体が大きいのは当たり前だろう。ハイマキを武偵高に登録している項目だと武偵犬になっているが、それを知っているのはごくわずかだろう。
「八幡さん」
「……ああ」
レキの言う通りそれだけではない。残念ながら明らかまた別の視線が交ざっているな、これ。多分北野を観光していた辺りから。視線の種類は分からないが、敵意ではなさそうだ。
まあ、いいや。どこから見ているのかは不明だが、こんなに人がいる状況で仕掛けてこないだろう。
「別に放っておいても今は大丈夫だろうな」
「そうですね。今のところ特に敵意は感じません」
レキも同じ結論だ。
だよな。殺し以外に何か別の目的があるのだろうな。うーん、こんな非日常な事態にもけっこう慣れたな。
「よし、移動するか」
「はい。行きますよ、ハイマキ」
一旦はその視線の主を放っておき、今度の目的地のためポートライナーへ足を進める。
ポートライナーを乗り、俺らは中公園駅へ移動する。にしても、この時間だと神戸空港や北埠頭に行く人は少ないけど、三宮へ戻る人はめちゃくちゃ多い。これが5時だともっと多くなるだろうな。
そして、中公園駅に着く。目的地への道は調べてないからさっぱりだけども、正直目立つから適当に歩いても辿り着ける。ポートターミナル駅からも行けるみたいだが、せっかくなんでポートアイランドを歩いてみたい。
……あれ? そういえば、俺前にここに来たことあるような……? あ、あれだ。ジャンヌがイ・ウーから日本に送ってくれた場所だ。まだ数カ月前の出来事だが、随分と懐かしい。ていうか、その数カ月の間にイ・ウーが潰れているんだな……。色々起きすぎじゃないですかね。
そんなことを思いながら歩くこと10分。無事目的地へ着いた。場所はポートアイランド北公園。公園って名前があるわりには別に遊具とかは何もない。ベンチとちょっとした噴水があるくらいだ。
なぜそんな場所に俺が行きたいかと言うと――――
「やっぱスゴいな……」
「大きい橋ですね」
そこには、ポートライナーでも通った神戸大橋があるからだ。まあ、知ってる人は知ってると思うけど、この橋はFateの冬木大橋でモデルとなった橋だ。
……マジでそのままだ。橋を歩ける場所があるが、そこもマジでそのまま。マンホールの位置すら同じだ。というより、大きいな。橋の真下にも行けるのか。間近で見るとより迫力が伝わる。
この橋だったら、大概の人はやっぱりZeroでのアーチャーvsライダーが思い浮かぶだろうか。あそこいいよね。Zeroは主にセイバーの扱いについて賛否別れる作品だと思うが、あのシーン嫌いな人は恐らくいないと勝手に予想している。
ただやっぱり俺からしたら、stay nightでの「私の鞘だったのですね」のシーンが一良かったな。あそこめちゃくちゃ感動した。何だかんだでFateルートが一番好きだな。
俺はアニメ(ユーフォの)からゲームに入った人間なので、UBWもHFもあらかた話の内容は知っていたが、Fateルートだけは全くの手付かずでプレイしたから感動も一際大きいものだった。
あとはあれか、hollowで美綴と遊んでたシーンが印象に残ってる。個人的にサブキャラなら三枝さんが一番好きだが。アサシンとのんびりしてほしいよね。えみごでも似たようなシーンがあるし、えみごがまたアニメ化してくれたたら、実質hollowアニメ化になのでは? ライダーどの買い物回もそうだが、hollowであった場面を拾ってくれているのが嬉しい。
聖地巡礼か。あまりしたことないが、こうやっていざしてみると、楽しいもんだな。アニメや映画で見た風景を実際に自分の目で見るというのは、テンションがかなり上がる。
「…………」
それにしても……ここ人全然いないな。
そりゃここには遊ぶ場所とかないし、当然と言えば当然なのだろうか。ここにわざわざ来るのは、俺みたいなかなりの物好きになるのかな。噴水もあるし潮風も気持ちいいし、神戸大橋もあるし、いい場所とは思うのだが。ここから神戸の景色も眺めることができる。夜になればさぞ素早くことだろう。うんうん。
というか、思えばポートアイランドって全然人歩いてないよな。ここまで歩いてきたのに、大学生くらいしか見かけてないぞ。マンションやビルは多いのに、通行人ほぼいないって……。
「ハァ……」
だからまあ、都合がいいといえばそうなるな。
さっきからずっと俺らを尾けている奴だっていることだし。ああ、面倒くせぇ。
「おい、そろそろ出てこい。ここならいいだろ」
橋の真下にちょっと移動して呼びかける。
気配をわざと隠してないから分かりやすいんだよ。もうちょっと気配隠してくれたら俺も純粋に観光を楽しめたんだが。もちろん楽しんだぞ? ただ、意識の片隅にコイツがチラホラあるのは鬱陶しかった。
で、ここまでして修学旅行を邪魔したのは誰だ。武偵高生の奴らではないのは分かるが。それ以外となると……。
「くふふ。やはりバレていたネ」
面白がっている、それはとても愉快そうな声が訊こえる。
ようやく視界に映る。俺やレキより小さい身長。黒髪のツインテール。和服か中華の格好なのか俺には分からないその服。
そして何より、水投げの日に散々訊いたこの口調。
……お前だったのか。
今日ずっと尾きてきた人物は、元イ・ウーの面子である――――
「――――ココか」
Fate関連で一番好きな曲はkaleidoscopeです
最後にstarlogに繋がるのがマジでもう最高すぎる
…………何なんだ、今回の話