八幡の武偵生活   作:NowHunt

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変装食堂に向けて

 宣戦会議も終えて、俺がレキの部屋に泊まっている間に色々あったらしい。俺は無所属だし、アンフェアになるからあまり聞かないようにしたが、玉藻が神崎にちゃんと殻金を元に戻したことだけは聞いた。

 本来ならあと1年ほどすれば、神崎は色金との繋がりを消して自由に色金の力を使えるくらいには馴染めるらしいが、今回の騒動で殻金が外れてしまったからな。このまま放っておいたら、徐々に神崎の体を緋緋神は乗っ取ってしまうだろう。で、残りの殻金を持っている奴らが、パトラとヒルダとハビとのこと。

 

 目下の課題はヒルダ。ブラドや今回のことで相当の恨みを買っちゃったみたいなのでいつか報復を受けるかもしれない。というか、FEW関係なしにいずれ戦わなくてはいけない相手だ。

 神崎の殻金の一件もそうだが、それだけではなく一番の理由は――――理子の依頼だ。

 理子を吸血鬼から救うという依頼はブラドを倒して終わりだと勝手に決め付けていたが、今回ブラドの娘が現れた。なら武偵憲章に基づいてその依頼を完璧に遂行しないといけない。

 

 武偵高校のある学園島にはヒルダやハビといった魔性の類の奴らが入れない結界を張っているみたいなので、直接攻めては来ない。ここに来たとしても全力では戦えないそうだ。多分どこかのタイミングで理子と接触を図る可能性がある。

 

 理子を守りきる――――ヒルダを倒すためには準備が必要だ。どこにいるのか分からないが、それは置いといて……。

 ブラドに使った神経断裂弾は情報が漏れているだろうから、あまり効果は薄い。まあ、あれは吸血鬼の回復の要である魔臓を撃たないと意味ないし、ヒルダの魔臓がどこかなんて分からない。一応用意しておくが、それだけでは圧倒的に足りない。

 なら他に何かダメージを与えるために情報を収集しないとなんだが、誰にだ? ヒルダに詳しい奴とかいるのか。……ジャンヌは午前中探してみたが見当たらない。携帯も繋がらなかった。アイツなら何か教えてくれると思ったのに。そもそもが情報科だし。

 

「なあ、材木座」

「いきなりここに現れて……どうしたのだ?」

「例えばさ、吸血鬼や魔女、怪物に妖怪とかがいたとして、銃弾で倒せると思うか?」

「…………急にどうしたのだ?」

「何となくだよ。ゲームとかしてて思っただけ。もし現実にいたらどうするかなーって」

 

 装備科の材木座のスペースに座り込み、それとなく雑談を始める。

 材木座は呆れながらも話に乗ってくれる。

 

「ふむ……銃を見切られるのならばどうしようもないが、当たれば勝てるのではないか? いくら人とは構造が違くても、急所はどこかに存在するであろう。拳銃は生身の人間が扱える最強の武器だと思っているが」

「じゃあ、撃ったそばから回復する相手ならどうする?」

「たまにいるな。そういう厄介なパターンのボス。弱点が複数あるときに片方だけではなく、同時に仕止めないと復活するボスなど……ああいうのはなかなかに鬱陶しいものである」

「そうそう。そういう場合、材木座が1人で戦うとなったらどう攻略する?」

「我1人でか? 仲間がいれば同時攻撃が手っ取り早いと思うが、ふぅむ……我ならデバフをかけまくるな。回復機能が低下するまで弱らせて攻撃を通しやすくするとか……。あとはボス全体を覆うくらいの攻撃であるか? 全部を一気に破壊してしまえば回復も何もないであろう。さすがにそこまでの攻略策が用意されてあるとは限らないが」

「なるほどなー。……全体攻撃、デバフ……」

「ギリシャ神話の怪物メドゥーサに対してペルセウスが鏡を用いて攻略したなど、その相手の嫌がりそうな弱点を突ければ弱体化して銃でも倒せるのではないだろうか」

 

 キビシスの鏡か。……ヒルダ、吸血鬼が嫌がりそうな物って何だ? 吸血鬼と言えば日光? アイツ真夜中でも日傘指していたから多分光は苦手なんじゃないかな。アイツの趣味かもしれないが。あとは全体攻撃か……例えば炎? ヒルダに油撒いてそこから燃やす? 効くかもしれないけど、そんな隙があるのかどうか。

 

「……それで、何作っているんだ?」

 

 俺と雑談しながらもせっせと材木座は何か作成していた。

 

「うむ、前お主にワイヤー銃を作ったであろう?」

「ああ、あれな。色々助かってるよ」

「そのワイヤーを用いて何か近接武器を作成できないか試していてな。例えば、これ。ワイヤーの先端にナイフをくっつけて鞭みたいに震える中距離ナイフを開発したのだ。射程はおよそ5m。長すぎると、扱いが難しくてな」

「へぇ……。あまり使い心地はどうなんだ?」

 

 発送は面白い。近接武器だと足りない射程を伸ばせるのか。ただ俺は鞭は使ったことないな。要領が分かりにくい。

 

「お主のワイヤー銃と同じくスイッチでワイヤーを巻き取る機能があるのだが、攻撃に合わせてタイミング良く戻さなかったら自傷する恐れがあるのでな。鞭といってもゴムみたいにしなる素材ではなく、紐みたいに分厚いわけでもなく、基本糸なので思いの外実用性には乏しい。太くするにはコストがかかりすぎてな……。それに加えて、振っている最中にナイフの軌道がブレることも多々ある。これは失敗作だ」

 

 失敗作なのか。素人の俺からしたらいい感じにできているとは思うが。

 鞭の達人なら使える代物だと感じるが……。

 

「じゃあ、これは?」

 

 パッと見は何てことのなさそうなナイフを手に取る。特徴としてはそのナイフは金属でできていないことだ。かなり軽い。ただのプラスチックにしてはなんか丈夫だな。特殊なプラスチックだろうか?

 

「それか。簡単に言うなら、ヒートホークである。ナイフの刃の周りに何か覆っているであろう?」

「確かに」

「スイッチを入れると、その部分が熱くなり最大300℃は熱することができる。柄に熱を与えないなめに断熱性の高いプラスチックを使用しているが……これも実用性には乏しい」

「話聞く限り良さそうじゃないか」

「最大の問題点は稼働時間が1分とあまりにも短いことである。さすがに1分経ったらただのプラスチックの塊になるのでは戦闘には使えないであろう?」

「それは短すぎだな」

 

 そのくらいの熱量ならわりと何でも斬れそうだが、その稼働時間では無理があるな。

 

「ロスアラモスにはこれよりももっと素晴らしい最先端の科学があるのだが、今の我ではこの程度が限界である。というより、もしよしんば改良できたとしてもこれは簡単に人を殺せる。武偵が持つのにこんな武器ではダメだ。殺さずにもっと制圧しやすい武器でないと」

「……だな。手元狂ったら危なすぎる」

 

 ロスアラモスというと、材木座が夏休みに留学に行っていた場所だな。なにやはそこは科学がかなり進んでおり、兵器開発が盛んだとか。1人の男としてかなり憧れるというか、テンションが上がりそうな場所だが、あまり近寄りたくないな。人体実験してそうという勝手な偏見。

 

「この銃弾は?」

 

 見たところ俺の銃であるファイブセブンに使われている5.7x28mm弾だが。これ金属でできてなくない? 触ったところさっきのプラスチックみたいだが、こんなの撃ったら的に届く前に壊れそうだ。

 

「我特性の武偵弾だ」

 

 武偵弾――プロ武偵などに渡される特別な弾薬だな。数はかなりある。用途に合わせて使われることが多いな。閃光弾や炸裂弾とか色々。前に作ってもらった神経断裂弾だってある種の武偵弾だろう。

 

「その弾の中には極小の鉄球がおよそ50詰められている。そして、これを撃つと、15mほどの距離で弾け飛び散る――散弾のようなものだ。いやまあ、武偵弾には飛散弾があるのだが、自分でも作成したくなったと言うか……。なに、攻撃のバリエーションが増えるのは困ることでもないであろう?」

「で、サイズがこれってことは俺に?」

「うむ! お主は我のテストプレイヤーだからな。一応ベレッタでも撃ってみたが、やはり実戦の感想が欲しいのでな。……というわけで、3発渡しておく。もし使ったら簡単でいいのでレポートにしてメールを送っておいてくれ」

「了解」

「ちなみに如何せん試作品なので不発の可能性もあることを忘れないでほしい」

「……了解」

 

 一抹の不安が残る説明だったが、貰えるものは貰っておこう。武偵弾とか普通に買えば100万は超えるし。

 

「他には何か銃弾ある?」

「神経断裂弾なら5発あるぞ。これは作っていて楽しいな。……殺傷能力が高すぎるのが問題だが。あとは……これだな」

 

 さっきの強化プラスチックに何か入っているな。この形……銃弾というより、先が尖っている。注射みたいな。

 

「この弾自体に殺傷能力はない。撃たれても……まあ、チクッとするというかファイブセブンで撃っているからけっこう痛いだろうが、人に当たっても死ぬことはない。そして、この弾の中には筋弛緩剤が入っておる。当たれば体に注入される構造になっている。命中すればかなり動きを鈍らせることができるだろう」

「それまたスゴいな」

 

 素直にそう思う。

 材木座普通に武偵として有能なんだよな。平賀さんと並んで装備科で有名なだけはある。

 

「ただこの弾の有効射程は10mしかない。それを超えると弾の耐久性にいささか問題あるのでな……。さっきの散弾みたいに恐らく破裂する。強化プラスチックだけでなく、他にも色々と補強してあるが、そのラインが注入部分の限界でな。あとは武偵相手にはあまり効果が薄いであろう。基本防弾コートで体を隠しているからこんな弾当たっても筋弛緩剤が注入されるかどうか五分五分……ではなく、ほぼ不可能だろう」

「あー、確かにわざわざ肌晒す奴とかいないよな。武偵高の夏服とかそういう問題もあるから期間めっちゃ短いし。……女子相手なら基本アイツらスカートだし足狙えばいけるか? 例えば神崎とか」

「アリア殿なら普通に避けそうであるが」

「だな。あれに弾当てるとかけっこう無理難題だ」

 

 俺らの神崎の認識どうなっているんだか。

 それこそ化け物レベルかもしれない。実際問題、間違ってはいない。いやだって、戦闘能力だけで言えば神崎って普通に化け物じゃん。

 

「そういや、俺が依頼したやつできてるのか? なんか色々作ってるみたいだが」

「無論。ちょっと待っておれ。……あったあった。ほれ、これだ。名前はヴァイス。英語で悪という意味だな」

「いや、一応武偵ってどちらかと言えば正義よりじゃない?」

「こんな犯罪スレスレを平気でやる奴らに何を言うか」

 

 手渡されたのは棍棒だ。前の新幹線ジャックでなくしたからな。まあ、自分から手放しただけなんですけどね。回収しようと思えばできたかもしれんが、多分勢い余って線路の向こう側まで投げた気がするんだよな。

 で、これを機に案外棍棒スタイルが向いていると分かったので材木座に依頼したわけだ。

 

 長さは2m。これは3つに分割できる――ここまでは前と同じ。違う点と言えば、前回のが鉄だったのに対して、これはチタン合金のa型というものらしい。俺が『軽くて丈夫な金属がいい』と要望を出した。そして、造ってくれたのがこれ。前回のは中身が空洞だったが、今回はきちんと詰まっていて、重量もしっかりしている――――のに軽い。不思議な感覚だ。

 

「おお……」

 

 少しはがし振り回してもあまり重さを感じない。うん、いいなこれ。

 

 あとは落とさないように、持ちやすいようにグリップも付けてもらった。グリップは真ん中に付いている。これを組み換えることもできるのでリーチを変えること可能。色は夜戦に備えて黒に塗装。だからヴァイスなのか? 黒くしたことで……うん、逆に俺も棍棒のリーチが分からなくなりそうだが、そこは慣れるしかない。まあ、今回は前回より長く設定したしな。単純な重さもそうだが、重心も変わるから練習しつつ追々だな。

 

 詳しくないけど、どうやらチタンは加工しにくい素材らしいが、わりと無理言ってお願いしたので値段がめっさ高い。7万か……。今度は下手に投げないようにしよう。前回5000だったし、値段かなりつり上がったな。

 

「ありがとな。……うん、いい感じだ」

「八幡、お主なかなか似合っているな。先ほど振り回していたが、思いの外板に付いているぞ」

「そうか?」

「うむ。あれだな、あまり棍棒を使う人が少ないからか」

「けっこういいんだよな、棍棒って。制圧能力高くて。人間相手ならあまり武装してない股関節殴りやすいし。素人がめちゃくちゃに振り回すだけでもなかなか怖いし、オススメだぞ」

「股間とは容赦ないな……」

「武偵はやられる方が悪いんだよ」

「やはり悪ではないか」

「うっ……」

 

 実際制圧するときに長い武器あると便利なんですよね。近付かなくて済むので。

 と、材木座とダラダラ話しているけど、そろそろ昼休み終わってしまう。午後からは文化祭に向けて面倒なやつがある。

 

「戻るか。午後から変装食堂(リストランテ・マスケ)のやつあるだろ」

「あれか。武偵なら潜入捜査技術を一般人にアピールしろとか言われ、適当にこなすともれなく体罰が飛んでくるあれか。コスプレは好きだが、ここのは命懸けがすぎるのだ……」

 

 材木座の言った通り、俺ら2年が担当する食堂ではコスプレしてやらないといけない。そして、そのコスプレの役になりきらないと死ぬ可能性がある。簡単にまとめるならコスプレ喫茶といった感じ。

 

「無難やつがいいよな」

「全くだ」

「確か外れ枠で女装があったよな……戸塚引いてくれないかなぁ」

「恐らくそれクラス全員が思っていることであるぞ」

 

 欲望ダダ漏れなことを言いながら体育館に移動。

 

 蘭豹が発砲したり、綴はタバコを吸ってむせたり……ホントこの教師嫌だわ。

 チーム同士で待機と言われたので、材木座とは一旦別れてレキと合流。俺の何個か後ろにはバスカービルも控えている。前には戸塚のチームと材木座のチームがいる。アイツら何引くのかな。

 

 しばらく順番を待ちながらレキとボーッとしている。

 

「おや、八幡殿。ささっ、引いてくだされ引き直しは一度のみとなっているでござるよ」

 

 くじ引きの箱を持っているのは遠山の弟子の風魔だ。その呼び方、若干材木座と被るからややこしいんですよね。

 風魔とは遠山と同室の流れで何回か稽古をつけたことあるが、わりと真面目に忍術使って驚いたことが多々ある。変わり身の術って……。車に轢かれても無傷って君も人間止めてない?

 

「あ、レキ殿。女子の箱はこちらでござる」

 

 と、レキが引いたのは……魔法使い。……魔法使い? あ、速攻でくじ捨てた。ここにいる全員がコメントしにくかったから構わないですよ、ええ。

 次に引いたやつが確定になるが果たして――化学研究所職員。まあ、いいんじゃないか。

 

 俺の栄えある1枚目は…………エヴァパイロット。はいはい捨てるわ。なんだ、プラグスーツ着ろってか? マジのコスプレじゃないか。誰だこんなの入れたやつは。後で俺の新生棍棒のヴァイスで滅多打ちに叩いてやる。

 緊張の2枚目。これで確定だ。ましなの来い。これで女装とかきたら拳銃自殺する。教師に殺されるよりかはそちらの方が潔い。俺の女装なんて需要ないでしょうが。戸塚よ、引いたよね? 全校生徒が戸塚の女装を見たいと心より願っている。世界中が君を待っている。闇を照らせ光の戦士よ。

 もう体育館にいないから何引いたか分からないんだよな。

 

 …………なんだ、何が来た? チラッと覗く。…………探偵。

 

「……探偵?」

 

 くじの内容を疑いたくなるように思わず反芻する。

 いや、あのですね、武偵って武装探偵なんですけど。一応は探偵も本職なんですけど。いやね、探偵らしいことなんてしたことないですけどね? 基本物理で語る職業ですよ、武偵というものは。ていうか、これ入れた奴本格的にエヴァよりバカだろ。コスプレの意味ないじゃん。

 

「ふむ、八幡殿は探偵であるか。似合いそうであるな」

 

 うんうんとにこやかに頷く風魔。似合うも何も本職なんだってば。遠山も風魔のとこおバカさんって言っていたけど、天然かな。俺の周りに天然多いね。レキとかレキとかレキとか。

 

「蘭豹先生、これ別にこのままでもいいですかね?」

 

 企画倒れな感じがして強襲科教諭の蘭豹に話しかける。この人にはよく稽古に付き合ってもらっています。組む相手がいなくて最終的には先生と組むぼっち特有のあれなんですがね。毎回毎回死にかけてますよ。

 

「……これ入れた奴誰なんだよ、おい」

 

 と、これにはさすがに俺と同じように困った様子の蘭豹。だって既にコスプレしているからな。あ、こんな微妙な態度を見せるのはとてもレアですよ。

 

「まあ、テレビドラマとかにいる探偵でもコスプレしとけ。古畑とか湯川先生とか」

「いや、湯川先生は探偵と違いますよね? あれ本職物理学者だったような」

 

 夜は焼き肉ッショー! フッフー!

 

「せやなぁ。あたしは燃えるが好きだな」

「俺は落下るですね。特別編の。あれ面白かったです」

「それかー。分かるわー」

 

 俺と蘭豹で始まるガリレオ談義。あれもう多分10年以上前だよな。……時間の流れが早くて吐きそう。

 

「っと、後がつっかえているからお前らはこれで帰れ」

「分かりました。失礼します」

 

 挨拶してから俺とレキは体育館を去る。

 なんか蘭豹と話題が共通したのが幾ばくかの驚きがある。

 

体育館の外には材木座と戸塚がいた。

 

「あ、はちまーん! レキさんも!」

 

 戸塚の元気な呼びかけ……癒されるわぁ。武偵高の清涼剤だな。

 

「おつかれー。八幡何だった?」

「探偵」

「た、探偵……」

「お主……チョイスが微妙であるな」

 

 戸塚と材木座も表情が引きつっている。やはりこのチョイスおかしいだろ。蘭豹すらもおかしいと思うくらいだからな。

 

「材木座は?」

「我は珈琲店の店主である」

「なんつーか、似合いそうだな」

 

 喫茶店でエプロンかけて焙煎してそう。

 

「戸塚は?」

 

 訊ねてみたが……なんか気まずそうに視線外された。あまり自信なさそうに。

 

「お、女将さん……だよ」

 

 頬を赤くして恥ずかしそうに戸塚は告げる。

 

「それ、女装じゃなくて?」

「風魔さんが間違えて女子の箱を渡したみたいで……。僕男子の制服着ているんだけどなぁ。最初の1枚目がバレーボール選手で気付かなくて……。先生が引き直し認めてくれなくて。確認不足だ! てね」

「おお、そりゃドンマイ……」

 

 と、残念そうに言葉をかけるが、言葉の裏腹にテンションは上がっている。

 風魔、あの天然を発揮してくれてナイスだ。女将か。前に京都で会った女将さんみたいに和服を着るのだろう。見てみたいな。

 

「まあ、和服着る機会なんてそうそうないだろ。……女もんってのがあれだが別にいいんじゃねぇの」

「男子と女子の和服ってどう違うのかなぁ」

「……どうだろ、帯とかか? 腰の高さが違うような気がする」

「あとは仕立ても違いがあったような気がするぞ」

 

 和服ってレンタル代高そうだな。

 

「ていうか演じないといけないんだよな。材木座どうするの?」

「衣装も用意しつつしばらく色んな喫茶店に通うとする。戸塚殿は?」

「どうしよ……。星伽さん詳しそうだから教わりに行こうかな。そういえばレキさんは?」

「化学研究所職員です」

「それまた雰囲気ありそうであるな」

「うんうんっ。実際にいても違和感なさそうだね」

「それ褒めてるの?」

 

 なんて談笑しつつこの日は解散となった。

 

 

 

 

 

「死ね! 死ね! 死ね死ね死ねみんな死ね! 見たヤツみんな死ねば、無かったことになるんたわ! むぎいー!」

 

 直後に神崎のアニメ声が武偵高全体に響き渡ったとさ。

何を引いたのかあとで遠山に訊いたら、小学生だと。お似合いすぎて草生える。

 

 毎度のことながら安定のオチだな、アイツは。ついでに星伽さんも。

 

 

 

 

 

 

 




あらやだ、投稿するときとしないときの差が激しすぎるぞ?

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