八幡の武偵生活   作:NowHunt

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わりと真面目な話、就活あるので投稿ペース安定しません
申し訳ないです。はぁ、誰か雇って……





総武高校編⑥ 話し相手がコロコロ変わると、相手に合わせて口調を変えるの面倒だから結局のところ敬語が安定する

 

 シャーロックと遭遇して、なぜかスタバへ行き色々買ってからベンチへ座る。

 

「――――」

 

 1人はアホアホ高校生とわけ分からないおっさんである世界最高峰の名探偵。こんな俺らが座っている並び……何なんだこれは。どういう組み合わせなんだ。端から見れば怪しいなんてもんじゃないな。

 

 どうしてシャーロックがここにいるのか考えを巡らせる。まず前提として、シャーロックは遠山たちと戦ったあとに亡くなったはずだ。しかし、現在俺の目の前にいるからその前提は無意味となる。そもそも死んでいなかったか生き返ったか――――どちらでも充分あり得ると思わせるくらいの人物だ。

 ならば、改めて今度はなぜここにいるか、だ。……宣戦布告? 俺を殺すため? 後者は違うか。俺を殺したいなら気付かないうちにさっさと殺せば済む話だ。前者もまぁ、薄いだろうな。なぜってわざわざ俺にそんなことする必要がない。遠山への言伝てなら何となくは理解できるけど、多分もうちょい生きてると隠したいはずだろう。

 

 とすると、また別の用事があるということになる……のか?

 

「さてと」

 

 俺の考えが纏まらない間にもシャーロックがそう言い始める。

 

「お前、生きてたのか」

 

 それより先に俺が切り出すことにする。

 

「遠山から死んだと聞いていたが。色金ないと生きてられない体じゃなかったらしい話じゃねーか」

「別に長生きする方法が色金ではないだけさ。他にも方法はある。僕は今までその方法を試してもらっていたということだ」

「あっそ。変に体弄って化け物になったら教えてくれよ。今度は俺が逮捕しに行くからな。……つか、お前何しに来た?」

「ふむ。簡潔に言うと、挨拶だね」

 

 ん?

 

「…………挨拶? 死から復活した記念として知人に声をかけてんのか」

「お、見事な推理だ」

 

 

バカなの?

 

「バカなの?」

 

声に出して言ってしまった。

 

「それは心外だね。と言うが、もちろん挨拶というのは一応は建前だよ」

「建前ね。……はぁ、何か俺に用あんのか。さっさと本題言え。正直お前と話すのは苦手だ」

 

 全て見透かされている感が強くてかなり神経を使う。

 

「そう面と向かって言われるのは少し傷付くが……まぁいいだろう。私は少し前にイ・ウーを取り戻した」

「……っ」

 

 おいおいマジか、コイツ相当イカれてるな。いきなりすぎて思わず何て言えばいいのか分からないだろ。

 イ・ウー。それは原潜だ。あれは確か遠山たちが壊滅させたあと日本に引き渡され今は広島の呉にあるはずだが……。それを盗んだ? ならば窃盗罪で逮捕しなくちゃいけないか。武偵法に基づくと犯罪者を前にすると事前に動かなくてはならない。そもそもコイツは犯罪者だろ。

 

「――――」

 

 撃つかどうか俺に迷いが生まれる。銃はある。ナイフも一応持っている。超能力もある。万全とは言い難いが、戦おうと思えば戦える。しかし、ここで戦闘を仕掛けるべきか迷ってしまう。周りには大勢の人がいる。シャーロックが人質を取ることはないだろうが、それても巻き込まれる危険性がある。そして、単純に戦力が不足している。万全ではない上に相手はシャーロックだ。俺だけで勝てる相手ではないのは明白だろう。

 

「また盗んだのか……。それはリュパンの役目だろうに」

 

 ただやはり動かないわけにはいかない。スタバで奢ってもらったので財布を取り出す振りをして、カバンにある銃を取り出そうとするが――――

 

「おっと、それは止してもらおうか」

 

 ちょ、まっ……痛い痛い痛い。

 当然手を掴まれたと思ったら、激痛が手から全身へと走る。力任せではなく、一つ一つの指の関節を極めているなこれ。下手に抵抗すれば折れる。クソが、これでは動くに動けない。ていうか、マジで痛いんですけど!

 

「――――離せよ。じゃないと、お前撃てないっての。それに男と手を繋ぐ趣味ないんだが?」

「君が武偵だからそうするのは分かる。だが、今は止してくれ」

 

 離してもらった。いやもうホントに痛いわ。

 それにしても関節技か。こうも極められるとマジで痛いもんだなと再確認する。簡単に動きを封じることができるし、相手の戦意も喪失させやすい。俺もこれから覚えないと。関節技は苦手だから今後の課題だな。

 

「……はぁ、疲れた。で、あれ盗んで何? やっぱ宣戦布告か?」

「まさか。こちらもこちらで進めるべき事柄が山程ある。そこでだ、僕に協力してくれないかい? 有り体に言えば勧誘だ」

「断る」

「釣れないね。もう少し話を訊いてくれ。何も今すぐというわけではない。まだ伏せておくが、いずれ大きな事件が起きる。そのときに力を貸してほしい」

「また世界征服でもするつもりか」

「いや、違う。また時が来れば話をするとも。ただ――――世界征服とまでは行かなくても、世界を大きく変える出来事が起こり得る。もしかしたら、世界征服の方がマシかもしれないがね」

 

 世界征服よりも酷いことが……?

 シャーロックの一言に思わず固唾を飲み込む。そんなことが起こるとは到底信じられないが、シャーロックが言うからには恐らく眉唾物ではないのが如実に伝わってくる。

 

「お前が未来予知に近い推理をできるのは知っている。……それでどうして俺だ? 俺程度の奴なんてそこらにいるだろ。それこそイ・ウーには」

「ふむ、君は君をかなり過小評価しているようだね。今そっち方面では君の価値はかなり上がっているよ」

「さいで。それはありがたい限りですよ。……そもそも俺が必要なのは俺が色金の力を多少なりと使えるからだろ?」

「それもある。色金の力を使える人材は稀有なのでね。もちろん、他にも理由はいくつかあるが、色金含めてなかなかに君は魅力的だ。君はこの先必要になる……とでも言っておこうか」

 

 ここまではっきり言われると少し照れ臭い気持ちにもなる。落ち着け、コイツは犯罪者だ。

 

「…………はぁ、シャーロック。言っておくが俺は武偵だ。武偵は頼まれたら基本何でもやる。まぁ、報酬次第だが。あと法律に抵触する行為は断りたいな。だからまぁ、何だ、いつか正式に依頼してくれ。そのときに考える」

「ふむ、これが捻デレとやらか」

「ちょっと待て。なんでお前がその造語知ってる」

「ノーコメントとしよう。それはさて置いて、了解した。まだ私もはっきりと何が起こるか断言できないのでね。事の次第が明確になり次第またお願い行くとしよう」

 

 さて置くな。あれか、小町か。それとも理子辺りが広めたのか。ホント止めて……。

 

「……というか遠山がいるだろ。そっちにも頼めよ。なんなら俺から言ってやろうか?」

「キンジ君は私が頼まなくてもいずれまた出会うことになるだろうね。……推理しなくとも分かるさ」

 

 さいで。いやはやしかし、コイツと話すのはしんどいな。

 

「そういや俺、今ある事件の調査してるんだよ。ちぃとばかし行き詰まっててな。せっかくだし推理してくれねぇか?」

「いや、断ろう」

「そうかい。ったく、即答かよ」

「私が解いてしまっては面白くないだろう? それに君が操作している事件は現場を抑えないといけないものと見た。私が推理してもあまり意味が薄いだろう」

「あっそ。…………ん? 悪い、また話が変わるけど、お前生きてたらFEWしている意味なくないか? あれお前が死んだから起きたのであって、お前が生きてたらあんな戦争やる必要ないよな?」

 

 善良な一般市民を巻き込んでおいて本人はこんなとこでのんびりとスタバの飲み物を啜っている。

 

「まぁね。だからここで君と密会したことは黙っておいてくれよ」

「分かったよ。どうせ俺は今回のFEWでは無所属だ。知ったこっちゃねぇな」

「そうしてくれると助かる」

 

 どうやら飲み終えたシャーロックは近場のゴミ箱に容器を放り込んでから立ち上がる。近くにある時計塔を確認したかと思えば咳払いをする。

 

「ふむ、私はここで失礼するとしよう。時間を取らせてしまって悪かったね」

「気にするな。どうせ暇だったんだ。時間潰せて良かったよ」

「ではまた。いつか会おう、八幡君」

 

 とだけ言い残してシャーロックは去っていった。

 

 

「…………疲れた」

 

 シャーロックがいなくなったベンチで残された俺は思考を巡らせる。

 

 世界征服より酷いこと……か。シャーロックが言った内容について考える。が、情報がなさすぎてろくに考えは纏まらないな。まぁいい。1つずつ順を追って整理してみよう。

 

 世界征服を俺個人の考えで解釈するなら――――世界征服が単純なプロセスなら、1つの勢力が世界に向けて何か武力を行使するということになるだろう。実際問題、イ・ウーがそうしようとしていたように。せいぜい一団体VS世界になるかもしれない。

 それよりも酷いことになると――――パッと考え付くものとしてはやはり戦争になる。全世界で戦争でもするのか? 世界大戦が起きることをシャーロックは危惧しているのかもしれないな。確かに世界征服よりかは戦争の方が断然酷い事柄になるとは思うが。

 

「……まぁ」

 

 さっきも思ったが、如何せん情報がなさすぎだ。シャーロックもまだ正確なことを分かっていないと言っていたように、現段階で結論を出すのは無理あるな。

 

「……腹減ったな」

 

 そう誰に聞かせるまでもなくポツリと呟く。もちろん反応する人はいない。

 さっきまで甘ったるい飲み物を飲んでいたのに何か甘いものを食べたい気持ちになる。シャーロックと話すのにカロリー使ったからか。確か駅近くにドーナツ屋があったはずだ。いくつか買ってから帰ろう。レキの好みは分からないけど、まぁ何でも食べるだろうな。

 

 ちょっと移動してから、ドーナツが並んでいるショーウィンドウを物色する。

 

 あれもいいな、これもいいな。でもこれ全部買ったらさすがに多いな――――そんなことを考えつつ横に移動しようとしたら、隣にいる人とぶつかりそうになった。どうやら隣にいる人も俺と同じで物色していたらしい。周りへの注意が疎かになっていた。センサーも使っていないし、どうも武偵高でないと気が抜けるな。

 

「あ、ごめんなさい」

「いえ、こちらこ……あれ、アンタ確か転校生?」

 

 先に謝ると、冷たい返答が返ってくる。……あれ? 返答が返ってくるって日本語おかしくない? 大丈夫? 頭痛が痛いみたいな感じになってないか。いやいや、今はいいか。

 

 隣にいたのは総武高校の制服を着た女生徒。少し明るめの茶髪に鋭い表情をしている。見覚えがある。同じクラスの……名前は…………何だっけ。あー、ダメだ、まだ全員覚えきれていない。

 しかし、何となくの印象は覚えている。クラスでは溶け込めていないのかわりと1人でいることが多い奴だったはずだ。見た目からして第一印象が陽キャって感じだが、その実ぼっちということに違和感を覚えたことがある。まぁ、クラス外で友だちいる可能性はもちろんあるが。

 

「そうだな。名前は比企谷だ。えーっと、そっちの名前は……」

 

 不味い、いやホントマジでまだ全員覚えていないぞ。申し訳ないくらいだ。ホントに名前が出てこない。見覚えは確かにあるし、雰囲気は分かるけど名前が出てこない。えー……。

 

「…………相模」

 

 とだけぶっきらぼうに答える。相模か。よし覚えた。

 

「まぁ、よろしく」

 

 俺も俺でぶっきらぼうにそう返す。ここで陽キャみたいに元気よく返す俺とか解釈違いなもんで。

 

 それにしても相模か。どこかで聞き覚えのある名前だ。

 どこだっけか――――と、しばらく記憶の中を探っているとようやく思い出した。あれだ、由比ヶ浜が言っていた文化祭の委員長の名前だ。あの自業自得で不登校になった奴か。由比ヶ浜もソイツの様子を詳しく知っていたようだったから、今隣にいる奴で間違いないだろう。

 

「ねぇ、比企谷」

「どした?」

 

 相模について考えていたのに加えて、ドーナツを何にしようか迷っていたので再度声をかけられ少し驚いた。

 

「アンタ、知ってるの?」

「何を? あ、クーポンとかはないぞ。なにせ久しぶりに来たからな」

「そんなわけじゃないじゃん……! 別に知らないならいい」

 

 相模が言いたいのは恐らく文化祭のことだろうが、ここは適当にとぼければ問題ない。これが探偵科や尋問科の奴らならこの程度の嘘を見抜けるだろうが、ここには一般人しかいない。そう簡単にバレない。

 

「じゃ、また学校で」

「……話しかけるつもりないから。アンタも話しかけないでよ」

 

 ドーナツをいくつか買ったあと別れを告げると、なかなか辛口な言葉が返ってきた。……言い方アレだが、俺もそのつもりだから構わない。逆に俺がわざわざクラスメイトがいる中、率先と話しかけると思うのかと突っ込みを入れたいまである。俺そんなキャラに見える? ねぇ?

 

 相模はどこか見た目通りというか、随分と刺々しい性格だったな。短い会話でもそれが充分伝わった。これが一般的なJKという存在なのだろうか。種類は全くの別物だが、雪ノ下も口調がキツい性格だもんな。ここ1年ほどで一般的な感覚がけっこう抜けているが、一般人ってこんなもんか。

 と言っても、この性格は不登校になったせいという可能性も否めない。前までは由比ヶ浜並に明るい奴だったのかもしれないな。それともアレか、俺がキモいとか感じたからか。初めての会話でそこまで印象与えるとかそれはかなりショックなんだが。いやいや、さすがにそれはない。……ないと言い切れない悲しみ。

 

 さてと、ネガティブな感情は置いておいて、そろそろ帰るか。坂田さんからの定期連絡の書類が来ているかもしれない。帰って確認して飯食って寝よう。

 

 

 

 

 

 

「八幡さん、お風呂上がりました」

「おーっす。じゃ、ご飯にするか」

 

 夜、晩飯を2人で食べる。今日はシチュー。適当に煮込めばいいから案外楽な料理だ。

 

「もう1週間経ったが、これといって進展ないわな」

「はい。しかし、2週間は大人しくしろとの通達なので仕方ないかと思います」

「だよな。坂田さんたち警察の方もこの週で動きはなかったって言ってたし」

「とりあえず今週までは学校生活でも楽しみましょう」

「だな」

 

 こうも進展がないと捜査のやりようがない。まぁ、レキの言う通り大人しくするか。

 

「…………」

「八幡さん?」

「ん、何でもない」

 

 シャーロックのことをレキに言おうとしたが、別に言わなくても構わないだろう。遠山たちと違ってあまり関わりないはずだし。たしかウルス関連でシャーロックが出向いたらしいが、その辺りの詳細はそこまで知らない。

 

「ところで八幡さん、最近の八幡さんの生活習慣は目に余るものがあると思います」

「急にどうした」

「夜食は毎日取りますし、寝る時間も遅いです。不摂生です。体に良くありません」

「いつもこんなもんだが」

「ですが、私の部屋に泊まるときはそうでもないですよね」

「そりゃあ、レキの部屋何もないし。寝ることしかすることないだろ」

 

 俺が布団持ち込まなかったら、それこそせいぜいタンスがある程度だぞ。

 というより、何の脈絡もない話の仕方だな。もしかして世間話みたいな感じか。俺もレキもコミュ力ある方ではないから、自然とこうなるのも仕方ない……のか?

 

「その、睡眠以外にもやることはあると思いますが……」

「武器の整備? つっても俺、基本は材木座に任せてるし、簡単なクリーニングしかできないからな。レキみたいにガチガチに整備できないし。俺のファイブセブン改造しているから余計にな」

 

 普段なら簡単な分解程度で大丈夫だが、月1くらいの頻度で材木座に見て貰わないといけない。

 

「そういうことではなく……まぁいいです」

「なに拗ねてんの」

「拗ねてません」

 

 珍しくそっぽ向いてツーンとした表情を見せる。こういうときはホントに表情豊かになったなと常々思う。こう……何か怒らせてしまったのは承知しているんだけど、何だろう……思いの外可愛くてどうして怒らせたのかそんな理由とか正直どうでも良くなっている。

 

「それで、話を戻しますが、しばらく夜食は禁止です。夜9時以降の食事は禁止です」

「ちょっと待って。俺の楽しみ奪わないでくれない?」

 

 深夜に食べる炭水化物の背徳感がたまらなく好きなのに。マジで勘弁してくれ。

 

「ちなみに私が寝たあとで食べても無駄ですよ。どんな音でこの程度の広さだと普通に聞こえますのてすぐに分かります。ただでさえ、普段の生活と違って運動する時間が減っているので、八幡さんの体調管理は私がします」

「ということは夕食もレキが作るってこと?」

「ライスケーキでよろしいですか?」

「はいはい。俺が作りますよっと。……お前ももうちょい料理覚えてもいいと思うぞ。料理は基本科学だからな。細かい作業が得意なレキなら充分できるだろ」

「……それは私の料理を食べたいということですか?」

「そりゃまぁ、女子の手料理とか憧れるよな」

 

 俺だって男だ。そういうのには人並みな憧れがある。女子の手料理とか可愛いメイドとかそんな感じのやつな。多分嫌いな人いないんじゃないか。

 

「分かりました。また後日挑戦してみます」

「お、おう……。無理すんなよ?」

「はい。それとMAXコーヒーも夜9時以降飲むの禁止ですよ。あれ確か500キロカロリーはありますよね」

「抜け目ねぇな……」

 

 

 

 

 

 




年末から年始にかけて進撃の巨人一気見しました。面白くて漫画全巻買っちゃった。残り一巻でどう収集つけるのか予想がつかないですね。個人的にはアニとミカサが好き
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