仕事をされながら投稿されている方の更新ペースに驚かされております。疲れて能動的なことをする気力が沸かないのです。お恥ずかしい。
もう少し勢いで書いてしまった方がいいのでしょうか。小難しいことを考えるのは苦手です。僕が投稿すると数日間お気に入りが減った後に少しずつ盛り返すのです。どうすればいいのでしょう。
太陽が一日で最も高い位置に来る、正午の時間。俺は日向でアクエリアスをバキュームフ………ラッパ飲みしていた。あぁ^~うめぇなぁーーーッ!!水の精霊になってから水を美味く感じるようになったということは、味ついたドリンク飲んだら倍美味いのだ。もう滅茶苦茶に美味い!!味覚感度3000倍である。
陽射し?そんなものは関係ない。精霊は肌が日焼けすることはない────のではなく、日焼けするか
え、それは治療能力のある俺だけ?そんなー。
「いやぁ、海は楽しいなぁ繰三!!」
「わたくしは大変疲れましたわ」
俺の横では、黒のパレオビギニを着た繰三がビーチベッドに横たわっている。完全にお疲れの様子で、額に腕を乗せてぐったりとしている。ちなみに俺スリングショットね。
「だらしねえなぁ」
「大体誠さんのせいでしょう!!昨晩のようなことが起きないように、今日一日見張っておくつもりでしたのに!あんな………あんな………うぅ」
あんな?あんなとは何ですかね。
サンオイル塗れって言われたから、オイルに霊力通して体積を操作し、繰三の全身にぶっかけてぬるぬるにしたこととか?
浮き輪になれと言われたから、望み通り浮き輪に変身した後、お尻を中央の穴に引きずり込んで水中でおさわりしたこととか?
サーフィンしてみたいって言われたから、いい感じの波になって繰三の乗るボードを操り、ついでに水着をかっ拐ったこととか?
「どれだよ」
「全ッッッ部ですわッ!!」
涙目で睨まれたの巻。いやぁ、しかたないじゃん?日常に潜む触手の魔の手とか、戦う美少女の宿命って奴でしょ。気を抜いた君が悪いのだ、魔法少女は常在戦場である。え?繰三は精霊?似たようなもんだって。ちなみに水着の下は俺だけ堪能した。手入れが綺麗ですね。どこがとはあえて言わんが。
実際、他の来禅高校の生徒から離れたこのプライベートビーチ染みた場所で、繰三みたいな美少女とイチャコラ出来て舞い上がったのは事実。しかし、多少のことは夏の太陽が大体悪いのだ、俺は悪くねぇ。
今日の朝から半日間の繰三をリフレインして悦に浸っていると、思考に没頭している間に繰三が鼻先三寸のところまで詰め寄ってきていた。
「よろしいですか誠さん。あなたが欲望の限りを尽くすまでは良しとしましょう」
「しちゃうのかよ」
「もう諦めましたの!ですが誠さん!?士道さんまで巻き込むのは大ッ変いただけませんわ!!」
「えー、だって士道先輩、ホモ疑惑が湧くくらい女の子に手出さないじゃん。一つより女の子に積極的になって貰おうかと思って」
絶世の美少女十香、好意が初めからクライマックスの折紙先輩。どちらに対しても靡かない。四糸乃………に手を出すなら黙ってない。散々可愛い妹だと思っていた琴里司令を女として見ろというのは酷かもしれん。それでも、思春期男子にあるまじき恐るべき鉄の自制。
いや、士道先輩がホモでないことくらいホントは知ってるよ?精霊攻略には、その鉄の紳士こそ相応しいのも知ってるよ?でもさ、先輩はもうちっと素直になっていいんじゃないかな──────
「十香と四糸乃の教育に悪影響だと思いませんの!?」
「やめて、それは俺に効く」
繰三の痛烈な指摘には勝てなかった。仮に四糸乃にそんな先輩の姿を見せたらどうなるか分からん。そーですね、それはそうよ。
罪悪感に胸を押さえる俺に、繰三が勝ち誇る。
「良いですこと?誠さん、自己責任で済む範囲にして下さいましね?」
「前屈みに善処する」
「相変わらず一言余計ですのね………。」
はいそこーー、残念な人を見る目を俺に向けない。今更でしょーー。テストに出たぞーー。
溜め息を吐く繰三だったが、不意に視線が俺から逸れた。向きは依然俺のいる方向だが、焦点が俺より後ろにあるという感じだった。付き合いが長くなってきたからこその感覚か?
何かと思い俺も振り向けば、そこには十香が駆け寄ってくる姿があった。今日も玉肌に聳える双子山が揺れている。眼福である。
「誠、繰三。令音からシドーとビイチバレエなるものをやると聞いたのだが、………その、二人もやらないか?」
どこかいつもより元気がない。歯切れが悪い。昨日の夜の件がずいぶん尾を引いているな。何かいじらしい十香は新鮮だ。
「俺はいいぜ!繰三お前どうする?」
「断る理由もありませんし、お付き合い致しますわ」
十香の事情を察してか、はたまたこちらも素直でないだけで誘われて嬉しいのか、繰三も即座に了承する。
「決まりだな─────ん?」
何だろ。遠くでとんでもない霊力の高まりを感じる。八舞ではなさそうだし、知ってる精霊の霊力じゃない。
…………あっ。これ、折紙先輩の人造霊結晶じゃね?
明らかに通常出力じゃない………。すると、
「どうした誠。向こうの林がどうかしたのか?」
生暖かい視線を遠くの雑木林に向ける俺を不思議がり、十香が小首を傾げる。
「いや………ちょっとエンジン全開で天に昇った人がいただけだから」
「天に………!?死人が出たのか!?」
濁した言い方のせいで勘違いした十香が、驚きのあまりビーチボールを押し潰し破裂させる。相変わらずの馬鹿力だ。
「いや、多分死んでないから。あと昇ったの折紙先輩だから」
「そうか、ならば別にいい」
あっさりと興味を失うと、十香は本人の意識ではいつの間にか割れたビーチボールに驚く。折紙先輩と聞いただけでこの淡白さよ。
最も、俺も折紙先輩なら大丈夫という謎の信頼感から見に行く気は更々ないが。
「ボールの一つや二つ気にすんな。何なら俺がボールになろう」
「おお、流石だな誠」
「却下。どうせセクハラが目的ですわ」
「にべもねぇ」
◇
戦闘開始より、12分。折紙とミネルヴァの戦いは、明らかにミネルヴァ優勢で展開されていた。
足裏から霊力を噴出する推進力で飛行しつつ、ガトリングガンで弾幕を張る折紙。しかし、ミネルヴァは空中を滑り、姿勢を変えずに移動し弾雨を避ける。僅かな被弾すらせずに折紙へ詰め寄ると、カギ爪の付いた脚を振り上げて折紙を狙う。
「くっ!!」
掌から触手を放ち、水平に薙いでミネルヴァの脚を打つ。攻撃の向きは変えられたが速度を殺しきれず、掠めたスカートが切り裂かれ、白い肌にうっすらと一筋の赤い線が走った。
「このぉーーっ!!」
「お前は後だ!!」
「ふ、ぐぁ!?」
木の裏から飛び出した美紀恵がレーザーブレイド〈ノーペイン〉を振りかぶり奇襲を掛ける。しかし、ミネルヴァは折紙を蹴った勢いを殺さずに美紀恵に向き直り、腹部に脚が刺さるかのような痛烈な蹴りを浴びせられた美紀恵が鞠のように容易く吹き飛ばされてしまう。
美紀恵に目もくれず、折紙は攻性結界を纏わせたガトリングガンでミネルヴァに殴りかかる。下手に味方を庇うより、目標を引き付ける。精霊との戦いで培った経験が折紙を突き動かした。
判断としては間違いではなかった、が。
「目を逸らしもしないか、流石だなトビイチオリガミ!!だがァ!!」
「!!」
同じく攻性結界を纏わせたミネルヴァの掌が、折紙の結界を突き抜けガトリングガンを引き裂く。
「ぐっ、う────」
その余波は、随意領域に守られ、更にワイヤリングスーツを凌駕する
歩みが遅れる一瞬を、この女が見逃す筈がない。突撃槍のごとき鋭角の攻性結界を手刀に付与すると、反動で地面が抉れる程の魔力を噴出して折紙に突進した。
「分かるか?パワー負けしてるんだよ、オマエ達はぁ!!」
咄嗟にスカートの裾から触手を放ち、束ねて盾にする。それも、致命傷を避けるだけにしかならない。精霊の一撃を思わせる衝撃が襲い、纏う疑似霊装を引き裂かれながら折紙は吹き飛んだ。
白い肌を血に汚し、愛する少年に捧げた衣装がズタズタになり、無惨な姿で折紙は地に伏していた。
「これだ………これだ!!私が求めた光景は!!圧倒的………圧倒的アルテミシア!!」
折紙の鼻先に降り立ったミネルヴァは、折紙の頭を蹴り上げる。跳ね上げられて仰向けにされた身体を踏みつければ、掠れた呻き声と共に無力な柔らかさを足裏に感じる。それがまた、堪らなかった。
「技術?根性?愛情?違う!!絶望的な
だから、気付かなかった。
折紙の目は、
「触手内装、展開」
「あぁ?────うっ!?」
折紙の呟きがミネルヴァの耳に届いた時、足から伝わる感覚に弾力が増した。
それは奥の手。特技局での稼働実験で、最も苦戦した大技。疑似霊装の
「臨界稼働、開始」
瞬間的に霊力が増大し、油断していたミネルヴァを弾き飛ばす。突然のパワーアップに驚くミネルヴァだが、しかしすぐに冷静さを取り戻す。
「少し驚いたが………何だ、全然変わっていないぞ?」
こけおどしを、と笑うミネルヴァ。その通り、本来この機能は稼働時間の延長のためにある。810秒の稼働の後、触手内装を起動することで83秒間ほど追加行動出来る。稼働時間が残っている時に使っても、平時の1.14倍程度の出力上昇が関の山だった。
それに、とミネルヴァは笑みを歪に歪めた。
「随分と気持ち良さそうだなァ?」
「………っ、く………」
立ち上がった折紙だが、普段の凛とした武道家のような姿勢ではなかった。己を抱き、肌を朱に染め、前屈みになっている。
それもそのはず。今の折紙は、快楽物質を分泌させる作用を持つ誠の触手で、折紙の意思と関係なしに全身を撫で回されている。立っていられるだけでも繰三以上の忍耐力なのだ。
ただ無様を晒しているだけ。ミネルヴァはそう判断した。
だが。ミネルヴァは忘れていた。
いや、知らなかったのかもしれない。
鳶一折紙が、
「ミネルヴァ・リデル。あなたのその姿は、歪んでいるけれど、愛」
「は?」
「愛ならば─────負けられない」
「………はァ?どうしたお前」
呆れ調子のミネルヴァを他所に、折紙は懐からピルケースを取り出す。ケースを開けたその中には、折り畳まれたハンカチ大の布があった。
無言でそれを摘まみ、広げる。指が震えるのは、触手に悶えるからだけでない。
思い出すのは、これを手に入れた際の誠とのやり取り。
『誠。折り入って頼みがある』
『何です先輩、改まって』
『コレが欲しい。頼みたい』
『スゲェ嫌だ!!』
『報酬としてジェシカ・ベイリーのシャワー写真を────』
『9枚でいい』
『待ちなさイ』
そうして手に入れたこれは、過去最上級品。徐にそれを顔に近付ければ、ツンと鼻を突く匂いが。
それは─────士道の、体液(場所は伏す)。
「っああぁぁぁぁぁああああああ"あ"あ"ああぁぁぁーーーーーーーーーーーァッ!!!!士ィ道ぉおおおおぉぉおおおおおおおぉぉおおーーーーーーーーーーーぉおッ!!」
喉を震わせ叫ぶ。声を張り上げ、渇れるとも。
これは起爆剤。昂る感情が霊力の稼働率を跳ね上げる。激情で頭をクリアにする。
さあ再現しろ。鳶一折紙、お前は知っているはずだ。お前の恋人の手付きを。指の長さを、径を、形を、感触を、味を!その手付きを!!
「士道っ!!士道ッッ!!士道!!ああっ!!士道!!」
それは最早、ミネルヴァを戦慄させる程の光景。
己の服の内から無数に飛び出した、人の掌が備わった触手に全身を撫で回され、懸想する人間の香りを一心不乱に求めて布を口許に押し当てる。その強烈な思慕の情は強引に触手を己の意思の元に操る。触手の快楽物質を上回るための行為であるが、ここまで大胆になっているのは少なからず触手のせいであった。
そして、この清純にして淫蕩な乙女の存在を異様にするのは、霊力が先程までの
「鳶一………折紙ィ!!」
立場が逆転した。霊力を計測した訳ではないが、戦士としての肌の感覚がそれを告げていた。焦りを感じたミネルヴァは全霊の力を込めて飛び掛かる。
しかし。土を蹴った直後、その身体は大地に沈むことになる。
「ぐ、は………ッ!?!?」
叩き付けられた衝撃が随意領域を突き抜け、肺から空気を吐き出させられる。噎せながらも何とか首を持ち上げれば、そこにはミネルヴァを見下ろす折紙の姿が。翳すように伸ばした右手からするに、どうやら先の攻撃は掌を振り下ろし打ち据えただけであるようだ。
「キサ、マ………!!」
「ミネルヴァ。本来ならば不適切な表現ではあるけれど、あなたには敢えて言わせてもらう」
あれほど叫んでいたのが嘘のように、折紙の顔は平時のように表情がない。一切の感情を殺した能面のまま、掲げた右手にスナイパーライフル〈
「あなたの愛は、軽い」
「キサマがぁぁああああっ!!!!」
怨嗟の絶叫にも容赦なく、引き金が引き絞られる。着弾の轟音と共に、ミネルヴァがいた地面が一発の弾丸により抉り去られ、半径5mはあろうかというクレーターが残された。
たったの二撃。
決着に要した手数、僅かに二手。
折紙とミネルヴァの絶対的な差だった。
暫し残心の如く動きを止め、クレーターの中央を見つめていた折紙だったが、不自然な影に気付き顔を上げる。
「鳶一………折紙………ィ!!よくも、
どうやら辛うじて直撃を避けたらしいミネルヴァが、ボロボロの姿で宙に浮かんでいた。煤や泥にまみれ、左目を押さえる指の間から血が溢れている。
「くそっ………お前、
「しぶとい」
手負いであろうと関係ないとばかりに、折紙はライフルをミネルヴァに向ける。しかし、ミネルヴァは折紙の動作よりも速く地面にグレネードを投げた。対魔術師用の閃光弾が、薄暗い雑木林を輝きで塗り潰し、折紙の視界が正常に戻る頃にはミネルヴァの姿は消えていた。
周囲の霊波を探るが、反応するものはない。ミネルヴァは完全に退却したようだ。戦闘は終了したと見なした折紙が変身を解くと、虚脱感と共に全身に重みを感じた。顕現装置を使った直後に来る疲労を、暫しその場に座り込んで癒していると、背後から落ち葉を舞上げ飛行する音が接近してきた。
「お、折紙さん!!ご無事で!!」
「問題ない。ミネルヴァは撃退した」
スラスターユニットを最大出力で吹かし、息を切らせてやって来た美紀恵に、折紙は静かに応える。普段と変わらぬ澄まし顔に、美紀恵は安堵して顕現装置を収納した。
「お役に立てず、すみません」
「気にしなくていい。通常の顕現装置ではスペックが違いすぎた」
「ありがとうございます………でも、役に立てなかったのは事実ですから。もっと上手く使えるようになって、今度ミネルヴァに遭ったら一太刀入れてみせます!!」
「期待している」
折紙の隣に腰掛け、決意を新たにする美紀恵だったが、ふと思い出したことがあるようで、折紙の顔を覗き込んだ。
「ところで折紙さん。こちらに戻ってくる時に、何だか凄い絶叫が聞こえたんですが」
「愛を叫んだだけ」
「─────えっ!?」
「なにか?」
「い、いえっ、何でもッ!?」
深く追求しない方がいい気がして、美紀恵は口を閉じた。
次回。士道、病をぶり返す。