俺の青春がスポコンになるなんて間違っている。   作:nowson

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今回は、ややマニアックな話が入るかもしれないのでご注意を。


やはり戸塚はとつかわいい

早朝5時、いつもの八幡ならまだ夢の中なのだが、三年ぶりのバレーの試合並びに練習をした彼は、最近では類をみないその疲労により、夕食を済ませ部屋に戻るや否や睡魔に襲われ深い眠りについた。

 

その為普段とは違い早く目が覚めていた。

 

 

不健康そうな猫背と腐った目つきとは裏腹に健康的な行動、ベットの上で軽くストレッチをしたり、こわばった筋肉をもみほぐしている。

 

 

 

「この痛みに疲労感、懐かしいな」

バレーにおいて重要な部位である大腿四頭筋(太もも)、下腿三頭筋(ふくらはぎ)を始め、内転筋(太ももの内側)やハムストリング(尻から太ももの裏にかけて)、腹直筋他色々、細部に走る筋肉痛、それは決して運動不足だけではなく、彼が久しぶりにもかかわず筋肉をちゃんと使えていた証でもあった。

 

 

 

「そういや、サロンパスなかったけ?」

バレー部時代はよくお世話になった定番の消炎スプレーがあったのを思い出し、机をまさぐる。

 

 

 

「あったあった」シャカシャカ

3年ぶりだが大丈夫だろうと蓋を取り缶を振る、音から察するに容量はまだたくさんある、八幡は寝間着代わりのスウェットを脱ぎ、特に疲労を感じている下腿三頭筋と大腿四頭筋にサロンパスを向ける。

 

 

 

 

 

プシュ、ふしゅ……ふしゅ~

 

 

 

 

 

「……詰まってやがる」

普段のサロンパスが結衣だとすると、これは雪乃のようなおしとやかさ(※どのことについてかは読者の方の想像にお任せします)患部に液がかかる程度しか出ない。

 

 

 

八幡は仕方なしにそれを手でマッサージしながら塗っていく。

 

 

 

「サロンパス触った手で目なんかこすったら涙凄いことになるんだよな」

経験者は語る。

 

 

 

「さて、これからどうするか……」

消炎スプレー特有の臭いが部屋に充満する中、八幡は悩む。

寝なおすにしても、ストレッチとサロンパスにより目が冴えている、起きてテレビをつけようにも家族を起こし怒りを買う可能性がある。

何より今は小町と喧嘩中で正直気まずい、かと言って読書やゲームの気分じゃない、そんな中一つの考えに行きつく。

 

 

 

「……どうしちまったんだろな俺」

行きついた答えは自分らしくない物、彼は思いつくや否や準備に取り掛かる。

 

 

 

靴下を履き、ジャージを着てタオルを首に巻く、スマホにイヤホンを挿し耳に装着しお気に入りの曲、プリキュアメドレーを流す。

そのまま部屋を出て玄関に向かいランニングシューズを履く。

 

 

 

「不審者として通報されなきゃいいな」

トラウマが頭に過り、少しおじげつくがそのまま扉に手をかけ家を出た。

 

 

 

 

 

「……?」

珍しい時間に兄の部屋から聞こえる生活音に不審に思った小町が部屋を出る。

 

 

 

「シップ臭い……」

けど、何だか懐かしい臭い

そして普段からは想像もつかない姿で玄関から出ていく八幡を見て。

 

 

 

「おにいちゃん?」

兄に一体何が?修学旅行以降から続く兄の変わった行動に小町の思考回路はショート寸前だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱり体なまってるな」

体にミシミシと感じる筋肉痛、歩きながらその凝り固まった筋肉をほぐようにストレッチをする。

 

 

 

「とりあえずコンビニで適当に水分補給してから走るか」

そうつぶやき最寄りのコンビニへと歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―コンビニ前―

 

コンビニでアクエリとカーボ(炭水化物)補給用の羊羹を買い、それをモギモグごくごくと体に入れていく。

 

 

 

「お兄さん!!」

突如呼びかけられる八幡、振り向いた先にはクラスメイトの弟であり妹の“友達”である川崎大志の姿。

 

 

 

「お前にお兄さんと呼ばれる筋合いは無い!!」

最早その言葉自体が彼に対する挨拶の慣用句。

 

 

 

普段の大志なら少しうなだれ、自分と比企谷さんは別にと落ち込む所だが今回はいつもと違い。

 

 

 

「でも、お兄さんと姉ちゃんが結婚したら俺のお義兄さんになるじゃないですか」

とんでもない爆弾を投下する。

 

 

 

「な、何言ってんだ大志!」

 

 

「だって姉ちゃん家で話をする時は大抵お義兄さんのことですよ」

どうやら彼の中で八幡は義兄で確定したらしい。

 

 

「え?何?俺あいつにまで陰口叩かれてるの?さすがに落ち込むよ」

答えをはぐらかしつつ過去のトラウマがよみがえる。

 

 

「違いますよ、どちらかというといつも惚気ばかり……」プルルルル

否定し事実を述べている最中に大志の携帯が鳴る。

 

 

「すいません、電話失礼します……もしもし」

 

 

『あんた、まだコンビニから帰ってこないの?早く片栗粉買ってこないと竜田揚げ作れないんだけど。』

電話の主は彼の姉、川崎沙希だった。

 

 

「ごめん、今お義兄さんと偶然あって二人で姉ちゃんのこといろいろ話してた。」

 

 

 

『な、なななななな何言ってるの大志!!早く買ってきな!!』ブッツ

通話が切れる。

 

 

携帯を畳むと大志は八幡に向き。

「なんか、姉ちゃん急いでるみたいなんで失礼しますね」

笑顔でペコリとお辞儀をし店内に入っていく大志。

 

 

(何か知らない所で爆弾投下された気がする……)

 

 

 

 

 

 

 

 

―そして、その日の教室―

 

 

 

「……」チラチラチラ

 

 

(何か物凄く視線を感じる……)

 

 

八幡をいつもの八割増しで見る沙希の姿があった。

 

 

 

 

 

 

―数時間後―

 

総武高校体育館

現在は2年F組の体育の授業が行われ、体育館半分は女子がバスケ、男子はバレーボールが行われた。

 

 

「じゃあ、好きな者同士で組みを作ってパスしろ」

体育教師の厚木の声で生徒たちが動きだす。

 

 

そんな中八幡は再び壁打ちに勤しもうと厚木の元へ行こうとした時だった。

 

 

 

「比企谷!!一緒にパスしないかい?」

葉山は誘おうとしてくる周りに目もくれずキラキラした目で八幡の元へ行き声をかける。

 

 

「えっ!?」

戸塚以外にパスを誘われる事が珍しい、しかもそれがトップカーストに君臨する葉山、八幡が驚くのも無理はなかった。

 

 

 

「ライバルが協力しお互いを高め合う、そういうのも悪くないと思……」バシッ!!

葉山がセリフを言い切る前、突然の打音と横を通る鋭い打球が八幡に向かう。

 

 

「!!」

急なことながら咄嗟に反応した八幡はレシーブで拾い、それを打ってきた張本人へとダイレクトに返す。

 

 

「さすが比企谷」

綺麗に頭上へと返ってきたボールを直上トスで上げそれをキャッチする。

 

 

「何すんだよ七……」

「いきなり何なんだい七沢」

葉山は八幡と七沢の間に割って入り、にこやかに、しかし威圧的な視線を向ける。

 

 

「すまないな、比企谷は俺とパスするから他あたってくれないか?」

七沢はトップカーストの葉山を見据え臆することなく発言する。

 

 

「何を言ってるんだい?最初に声をかけたのは俺だよ」

そんな彼の態度に負けじと葉山も立ち向かう。

 

 

「比企谷は今バレー部に来て一緒に練習しているんだ、体育でも一緒にやらないと」

お互いに火花を散らす両者、その姿に女子コートでは腐った悲鳴と擬態しろの声が上がる。

 

 

 

 

気が付くと体育館中が二人を見ている。

方やトップカーストの人間、方やバレー部のエース、その二人が一人のカースト最下位の人間を取り合っているのだから当然だ。

 

 

 

 

(何この修羅場?俺何もしてないよ)

目の前でくりひろげられるやり取りに置いてけぼりを喰らう八幡。

 

 

 

 

「ねえ八幡」

そんな中八幡の袖を掴み上目づかいで見つめる戸塚

 

 

 

「どうした戸塚?(上目づかいの戸塚まじ天使)」

 

 

 

戸塚は両手でボールを持ち顔まで持ってきて自分の顔を塞ぐ、そしてボールから自分の顔をずらし八幡をのぞき込むように視線を向け。

 

「一緒にしよ」

少し恥じらいながら誘う

 

 

そんな戸塚の誘いに対し彼が導き出す答えなど一つしかなかった。

 

二人はさっそくパスをし。

 

 

「「アッーー!!!」」

戸塚に出し抜かれたことに気づき声を上げる葉山と七沢の姿がそこにあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

―昼休みの教室―

八幡はいつものベストプレイスへと向かおうと席を立った瞬間だった。

 

「比企谷一緒に飯食おう!!」

七沢が八幡の元へとやってくる。

 

 

「えっ?俺飯は一人でゆっくり食べたいんだが」

あきらかにイヤそうな顔をする。

 

 

「バレーの話し合いも兼ねてだから頼む」

七沢はまっすぐ八幡の目を見る。

 

 

「……分かった、何についてだ?」

軽くため息をつき席につく。

 

 

「あいつらも呼んだから、来てからにしよう」

七沢は八幡の前の席を陣取り弁当を開ける、焼きそば、鶏肉の照り焼き、出汁巻き卵、野菜の煮物、カットフルーツと無脂肪ヨーグルト、野菜と果物のジュースというバランスがとれた弁当を出す。

 

 

 

 

「あいつらって飯山と稲村か?」

菓子パンをかじり聞く。

 

「そうそう、飯食いながら話合いしようって」

 

 

 

 

 

「「お待たせ!」」

別に待ってはいない、そう言いたいくらい早く到着する二人。

 

 

 

「相変わらず旨そうな弁当だな、お前の母ちゃん料理上手だよな」

稲村が声をかける

 

 

「ハハハ、まあね……」

七沢は若干目が泳ぐ。

 

 

 

二人はここ借りるねと近くの席を陣取り席を並べる。

 

 

 

稲村はコンビニで買ったサラダチキンにおにぎり、冷奴に海藻サラダと野菜ジュースのラインナップ。

 

 

飯山は

鶏ハム、砂肝、ゆで野菜(ブロッコリーとニンジン)、ゆでたまご、玄米と白米のハーフのご飯、無調整豆乳にプロテイン、各種サプリメント。

 

 

 

(稲村はまだしも、飯山の飯は何?あきらかに高校生の弁当に見えないんだけど)

まるでボディービルダーのような昼食。

 

 

 

八幡はあっけにとられていると

「ところで比企谷、お前カーボばっかとってるけどタンパクなにで取るの?」

飯山が不思議そうに聞く。

 

 

 

「いや、これで終わりだけど……」

 

 

「そうか、定期的にタンパク抜いて臓器休ませるタイプなのか、だけどその菓子パンはダメだ、休ませるならゃんと考えた飯にしないと……」

飯山が難しい顔をしながら言う。

 

 

 

「いや、いつもこれなんだけど?」

八幡は何言ってるのこいつという顔で見る。

 

 

 

「……」

飯山の顔から笑顔が消える

 

 

 

((あ、これマズイパターン))

七沢と稲村はすぐに察する。

 

 

 

「比企谷、俺さ許せないことが3つあるんだ……」

昨日の激昂とは違う静かな怒り

 

 

 

「お、おう」

その威圧感にしどろもどろになる。

 

 

 

「一つ目が“プロテインやってるの?”とかプロテインを薬と勘違いすること」

 

 

 

「二つ目が筋トレで作った筋肉は見せかけだから使えないとか科学的根拠に伴わないこと言うこと」

 

 

 

「そして三つ目が、筋肉をないがしろにする行いをすること……」

 

 

 

「どうやら君を、一度ゴールドジムに拉致してオールアウト(筋肉を動けないくらい追い込む事)させた後に、プロテインBARでおいしいプロテインを飲みながら熱く栄養学と生理学について語る必要があるみたいだね」

にこやかな笑顔、だが目が笑っていない

 

 

 

「お、おちつけ飯山!!」

七沢がフォローに入る。

 

 

 

「そうだ、あんまり怒ってストレスを抱えるとカタボリック(筋肉分解)起こすぞ!!」

稲村はクリティカルヒットの一撃を狙う。

 

 

 

「グハァァァ!!!!」

カタボリックという彼にとってはザキに等しい魔の呪文に撃沈する。

 

 

 

「だ、大丈夫か?」

一応きっかけは自分にある、八幡は飯山に声をかける。

 

 

 

「あ、ああ落ち着いたよ」

脂汗を流す飯山。

 

 

 

彼は自分のカバンから机にあるものとは別のプロテインのシェイカーを取り出し、無調整豆乳とプロテインを入れシャカシャカさせ、他に数種類のサプリを取り出し

「せめてこれを飲め!!!」

ズイッと八幡に突き出す。

 

 

 

「えっ?」

 

 

「安心しろ、ちゃんと中性洗剤で洗った後に塩素で消毒している」

プロテインを飲み洗わず放置したシェイカーは臭い、意外とそういうのにデリケートな彼はシェイカーを数本持ち、しっかりと洗い定期的に消毒している。

 

 

 

「お、おう」

ビタミンやオメガ3(ドコサヘキサエン酸やえごま油などの不飽和脂肪酸のサプリメント)、クロロフィル(クロレラ)のカプセルを口に含みプロテインと飲む。

 

 

(あれ?)

 

 

「このプロテイン旨いな」

まるでシェイクを飲んだような味わいに八幡は驚く。

 

 

 

「だろう、今のプロテインは基本旨い!そしてそのプロテインはbe l○gendの激ウマチョコレート味だ」

 

※ちなみに作者のおすすめは、普段使いがbe l○gend南国パイン味、筋トレして寝る前の場合はウイングのソイプロテインイチゴフレーバー&チャンピオンのWPIプロテインのチョコ味の二つブレンド。

 

 

「まあ、今のプロテインはおいしいから何買ってもいい、今度好きなの買えばいいし何なら俺と共同買いしてもいい」

プロテインが褒められ嬉しいのか飯山は上機嫌。

 

 

 

「このままだと何かプロテイン談義始まりそうだから本題入るね」

プロテインについて語ろうとした流れを強制シャットダウンし本題に入る。

 

 

「一応これ見てほしい」

小さいホワイトボードに枠が書かれそこにマグネットが張られている、そのマグネットには七や八、飯や稲など皆の名字の頭文字が書かれている。

 

 

 

「もしかしてローテーションとポジションの確認か?」

その並びにすぐに気が付く八幡。

 

 

 

「そういう事」

 

 

 

「一年も交えてやった方がよくないか?」

稲村が七沢に質問する。

 

 

 

「もちろんそうなんだけど、先ずは2年と比企谷の考えを知りたい、その方がミーティングしやすいでしょ?」

七沢が皆の目をみながら言う。

 

 

 

「まあ、その考えなら分かった……俺としては比企谷から意見を聞きたい。」

飯山が口を開く。

 

 

「何で俺なの?普通はキャプテンからとかだろ?」

当たり前のように八幡が反論する。

 

 

「お前昨日の試合で、俺たちの実力を確認したプレーをしてただろ?」

 

 

 

昨日の試合の八幡のプレー

たしかに活躍こそしていたが、要点を絞り、このケースにはどんな反応をするか?目線はどこを向いている?このボールはちゃんと返せるか?といったワザと相手の実力を測るプレイがあった。

 

 

単純に勝つためなら七沢にトスを集めれば良い、だが彼は一年の長谷にも積極的にトスを上げ、相手コートへのダイレクト返球でも点数を狙う威力を上げた返球やコーナー狙いではなく、ボールが捕るか捕れないかのギリギリをついていた。

 

 

余裕の無い1年は気付いていないだろうが流石に七沢達2年生は気付いていた。

 

 

 

「自分たちのチームを客観的に見た上での声を聞きたい」

七沢は八幡を見つめ、2人も頷く。

 

 

 

八幡はどうしたもんかと頭を掻き。

 

 

 

「……とりあえず七沢から」

 

 

「お前に関しては言う事がない、スパイクは空中姿勢が良くコース分けも上手いし威力もある、レシーブにトス、ブロック、サーブのレベルもかなり高い、正直……実力なら強豪でも余裕でレギュラーだと思う、ポジションの適正はWS(ウイングスパイカー)が妥当だろうな」

七沢は少し照れる。

 

 

 

「次に飯山だが、お前は技術ははっきり言って上手くない」

八幡はバッサリ切り捨て、飯山は苦笑い。

 

 

 

「だけどフィジカルが化物だ、ワンレッグで助走つけた長谷並に高いブロック、その瞬発力の固まりみたいなジャンプ力に規格外のパワー、身体能力なら間違いなく超高校級だろ、それをこのチームで生かすならMB(ミドルブロッカー)だろうな」

その言葉に飯山はニマニマ。

 

 

 

「そして稲村、お前に関してはよく分からん!」

 

 

 

「えっ?」

その言葉に稲村が固まる

 

 

 

「レシーブもトスもそつなくこなすし上手い部類だと思う、だがプレイスタイルが未知数すぎる。」

昨日の試合で驚かされた稲村のプレイそれは八幡が経験したことのない異質なのもだった、変な回転や無回転で威力もあるサーブにスパイク、を意図してクセ玉使う奇妙な技、八幡よりやや大きい身長ながら七沢以上のフィジカル。

 

 

 

「ただ、どのプレイも使いどころによって強豪相手にも間違いなく通じる、このチームならWSで使うのが妥当だろうな」

何だかんだで褒められ稲村は照れる。

 

 

 

「1年の長谷は、長身生かしたブロックが上手かったな、ちゃんとレシーバのいる位置を考えたブロック、チームプレイも考えて行動するしスパイクの威力も悪くない、レシーブは全然だけど高校から初めてこのレベルならかなり良いしMBってとこか」

 

 

 

「同じ一年の温水は、背は周りに比べ高くないがカバーに入るのが上手い、それに伴いポジショニングも上手いしレシーブとトスに光るものがある、ただ高さも低いから正直アタッカーとしては通用しないだろうけど、なんせこのチームは人がいない、リベロで使えない以上俺と対角組んだWSってとこか」

 

 

 

「それらを踏まえたうえで組むとこんな感じになると思う」

八幡はマグネットを動かし、自分の経験知識を踏まえ考えポジションにローテーションを組んでいく。

 

 

「七沢と稲村、飯山と長谷、俺と温水を対角にしてバランスよく組んだらこうなるか」

 

 

 

―――――――――――――――――――

 温水  飯山  稲村

 

 七沢  長谷  八幡

 

 

 

「七沢が後衛スタートとか大丈夫か?」

飯山が反論の意を唱える。

 

 

 

「七沢はバックアタックも行けるから攻撃自体は問題ない、そして後衛にいるうちはレシーブの幅も広がる、このローテーションならレシーブできる奴がかならず後衛で控えれる」

 

 

 

「ん゛~~」

その言葉に反論の意を伝えられない飯山がう~んとうなる。

 

 

 

「というか正直、最初は七沢のワンマンチームと思ってた」

その言葉に三人それぞれが思い思いの顔で八幡を向く。

 

 

 

「けど実際は違った……」

 

 

 

「総合力や技術のトップは確かに七沢だが、ポテンシャル、特に攻撃に関して二人は引けを取らない、一年もちゃんと育ってる。」

その言葉の行く末を三人は黙って聞く。

 

 

 

 

「俺の依頼は練習試合による自立支援の為の助っ人だが、ただ試合するか勝つために試合するかで得られるものは大きく違う」

八幡は三人を見返し。

 

 

「もし、勝つために試合をするなら、俺はこのポジションとローテがベストだと思う」

八幡は三人を見る、いつものやる気のない腐った目をした顔でなくバレーボーラーとしての凛々しい顔。

 

 

 

「俺もそのローテでいいと思う」

口にしたのは稲村。

 

 

「俺も自分のワンマンチームなんて思ってないし、それ試したい」

七沢もそれに続き。

 

 

「よし!ならやってやるか!!」

飯山もテンションを上げる。

 

 

 

「詳しくは部活前に皆でミーティングして方向性を決めよう」

七沢がそういうと三人は頷く。

 

 

 

 

そんな四人、と言うより八幡を見つめる視線。

 

 

 

(あいつ、カッコいい……)

目線の先にいた川崎沙希。

 

 

『愛してるぜ川崎』

あの時の言葉がよみがえる。

 

彼女は身もだえしながら昼休みを過ごしていた。

 

 

 

 

―奉仕部部室―

 

((何か嫌な予感がする))ブルッ

メインヒロインである二人は言い知れぬ寒気に襲われていた。




次の展開はまだ未定


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