俺の青春がスポコンになるなんて間違っている。   作:nowson

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ども、プライベートが地味に立て込み更新に時間を有しました。

基本的に酒を飲んでる時に勢いで書く為、更新してる=酒飲んでると思ってもらって構いません。



本編ですが、原作と違う形で奉仕部に依頼が入り原作のセリフと違う点、かなり削れてる部分など原作と違う部分がありますのでご注意ください


仲違い

奉仕部部室前

 

(さて、仲直り?したかは定かではないが、いずれにせよ部室内に行かねば始まらんな)

 

(とりあえず部室に入るか……ちゃんとノックして)

先ほどの鼻から牛乳事件を思い出したのか、いつもの静らしからぬ行動、扉の前に立ちノックをする。

 

「失礼するぞ」ガラガラ

部室内に突如鳴るノックの音と顧問の声。

 

 

「せ、先生が……」

「ノックした……」

普段ではありえないその行動に奉仕部内が固まる。

 

「オホンッ!仲が良いようで何よりだ、突然で悪いが依頼者を連れてきた」

このまま質問の流れに行ってしまえばボロが出る、そう判断した静は話をはぐらかし、すぐさま本題に持っていく。

 

 

 

「依頼者ですか?」

 

「何の依頼だろう?」

 

 

「まあ、詳しい話は本人を交えて話をしよう、入ってきたまえ!」

 

 

 

「ハイ!」

体育会系特有の大きくハキハキした返事が廊下から返ってくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(……嫌な予感開始)

八幡を身震いが襲う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「2年F組バレー部、七沢です!よろしくお願いします!」

 

 

 

 

 

 

 

 

(嫌な予感的中……)

マーフィーの法則、嫌な予感ほどよく当たるものである。

 

 

 

 

 

 

ハキハキと大きな声で自己紹介、今までの奉仕部に来た依頼人の登場がアレな人が多かった為とても好印象に見えるであろう挨拶……なのだが。

 

 

 

 

「あーーー!!!ホモ!!!」

「あなたが比企谷君に告白した男子ね」

(頼むから帰ってくれ……)

その反応はとても友好的ではなく、女子からは威嚇の目と冷たい目、男子からは目をそらされる。

 

 

 

「えっ?何この空気?というか何で俺がホモ?」

突然のことに戸惑う七沢、学内トップクラスの可愛い子と美人な子にホモ呼ばわりされるというMPデリート攻撃を受け動揺を隠せない。

 

 

 

「お前の紛らわしい勧誘のおかげで、腐女子を中心に腐った噂が裏サイトに流れてんだよ」

 

 

「もしかして俺やっちまった系?」

 

 

「もしかしなくてもやっちまった系だ」

 

 

 

 

 

 

「マジかよ……」

いままでホモとは無縁の七沢にはかなりのダメージだ。

 

 

 

 

 

「お前が俺を受け入れないからこんな事になるんだ!!」

 

 

 

「ダメ!!!ホモなんかにヒッキーは渡さないよ!!!」

 

 

 

「だから、何で俺がホモ呼ばわりされんだよ。」

 

 

 

「お前がナチュラルに爆弾発言を投下するのが原因なんだろうが……」

 

 

 

 

 

「二人のホモ劇場はそのくらいにして、今回の依頼はそのホモ疑惑解消ということで良いのかしら?」

ナチュラルな毒を吐きながら雪乃は問いかける。

 

 

 

「なんか勝手に俺までホモにされてる!」

 

 

 

「できれば、それもお願いしたいんだけど今回は違うんだ」

 

 

 

「依頼内容というのが……」

 

 

 

七沢は静に説明した時と同じ事を伝える。

 

 

「つまり一年生の経験を積ませるための練習試合をしたいから助っ人が欲しいと……。」

雪乃は少し考える仕草をし。

 

 

 

 

 

 

「却下ね。」

雪乃は七沢を見据え言った。

 

その言葉に七沢の顔が歪み、八幡と結衣は雪乃の方を向く。

 

 

「どうして?彩ちゃんの時は受けたのに」

 

 

「まず第一に奉仕部は自立支援が目的、今回の件と戸塚君の件は違う、前回の依頼は彼が成長することで部員の見本となり、その成長の為練習に付き合った。今回は練習試合をするため人が欲しい。これでは自立支援とは呼べない」

 

 

「それに、比企谷君なんかが助っ人になれるわけないじゃない、いくら体育でバレーができても素人、部活の試合では足を引っ張るのが目に見えてるわ」

 

 

 

 

「……」

その言葉に七沢は俯く。

 

 

 

 

一方で八幡は疑問に駆られていた。今回の件は練習試合を組む為に七沢が依頼してきた、確かに練習試合を組むという目的で見れば助っ人という魚を与える行為なのだが、その試合の目的は一年に経験を積ませる事。

 新入生や新入部員が入るまで、つまり来年まで試合を経験できない可能性のある一年生に、試合を経験させることによる成長という自立支援、今まで受けた依頼と比べても真っ当な部類の内容だ。

 

 

(いつもの雪ノ下らしくない……)

 

 

それは静と結衣も感じていたのだろう、どこか心配げに雪乃を見つめる。

 

 

「あくまで、練習試合は1年生の成長のためなんだ、それでもお願いできないか?」

 

 

「練習試合の助っ人なら経験者でもある3年生に頼めばいいじゃない。そっちの方がちゃんとした試合になるわ」

 

 

 

 

「ッ!!」

七沢は何かをこらえるように目を閉じ唇を噛みしめる

 

(『宗、これからのバレー部を頼むぞ、お前だからおれは安心して終われるんだ』)

 

 

 

彼の頭の中に浮かぶ3年生最後の姿、尊敬する先輩の言葉が頭をよぎる。小さく息を吐き震える体を無理やり落ち着かせ拳を握る。

 正論がすべて正しいとは限らない、人や状況によって答えは違いその矛盾のような相違点から妥協や譲り合いなどをしてその場で答えが変わる、人間は基本的に感情によって動く、そして動く上で重要な心はどこに地雷があるか分からない。

 雪乃の一言は確実にその地雷を踏み抜いていた。

 

 

人間観察が得意な八幡と、空気を読むのが得意な結衣、人生経験のある静は七沢が怒りをこらえている事をすぐさま察する。

 

 

 

(ゆきのん……)

(それではダメなんだよ雪ノ下……)

(どうする?ここは矛先をずらすか、一旦七沢を離すか)

 

 

結衣は慌てて何もできず、静は方針上手出しできない以上八幡が動くしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時だった。

 

コンコン

突如鳴るノックの音。

 

 

 

「どうぞ」

 

 

 

「失礼しま~す」

「し、失礼します(何この空気?)」

緊迫した空気に合わないほんわかボイスと空気に萎縮した声。

 

 

 

「平塚先生、生徒指導室にいなかったから直接来ちゃいました」

その人物は現生徒会長、城廻めぐりだった。

 

 

 

「あれ?いろはちゃん」

 

「結衣先輩こんにちわ~」

 

 

 

 

「何かあったのか?」

静が声をかける。

 

「実は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……という事なんです」

いろはがクラスメイトと担任により無理矢理生徒会に立候補させられた事、立候補者が他におらずこのままでは生徒会長になってしまう事を告げた。

 

 

(どうする?正直生徒には重い案件だ、とりあえずやらかした生徒はガチで教育的指導するとして、一色が問題だな。立候補者がいる場合なら簡単かもしれんが今回は誰もいないため信任投票、職員会議で問題に上げようにも候補者がいないならやらせればいいとなる可能性が大、仮に一色が私の元に来て悪意の元立候補させられたという相談実績を盾に立候補取り消しを行うか……)

 

 

「応援演説でやらかすのはどうだ?」

八幡が口を開く。

 

 

「どういうことだ?」

 

 

「つまり、応援演説で全校生徒の前でひどい内容かますんです。そうすれば一色は生徒会長になることが無くなる、応援演説が原因で不信任だから一色への不評も抑えられる」

 

 

 

(うわぁ、たまげたなぁ……)

その発想に七沢が軽くドン引きする。

 

 

 

「そのやり方を認める訳にはいかないわ」

 

 

 

「そうかよ……」

 

 

 

「他の候補を擁立して選挙で勝つしか方法はないでしょうね」

 

 

 

「そんなやる気のある人間がいるなら、もう立候補してないとおかしいだろ」

 

 

 

「………」

 

 

 

再び沈黙が流れる。

 

 

 

 

「よし、ではこうしよう!」

静は全員を見渡し。

 

 

 

「比企谷はバレー部で雪ノ下と由比ヶ浜は生徒会、それぞれが同時に依頼にあたる、それでどうだ?」

先ほどの会話の流れを見る限りやはり仲違いしたままだ。

そう判断した静は本来考えていた奉仕部の依頼をしつつ距離を取りお互いを見つめなおす機会、今回の依頼は難しい依頼ではあるがチャンスでもある。

 

 

(一応どちらが何かあってもいいようにフォローできるよう、動けるようにしないとな)

 

 

 

 

 

 

「バレー部の依頼は断ったはずですが」

 

 

 

 

「お前が一方的にだろうが、正直今までの依頼の中でも理由はしっかりした内容だ。断る理由はないだろ」

実際今までの依頼で、遊戯部、文化祭、修学旅行などに比べたらかなりまともな内容である。

 

 

 

「……」

無言で八幡を睨む雪乃。

 

 

 

 

「まあ、やるかやらないかは別としてこのまま足踏みするくらいなら、先生の案に乗るのが手っ取り早いだろう、めんどくさいが俺に異議はない」

 

 

 

「私も異議ありません」

 

 

「ゆきのん、ヒッキー……」

 

 

「由比ヶ浜はどうする?」

 

 

「私も、それでいいと思います……」

 

 

 

「よし、なら今日はこれで解散だ詳しくは後日話し合ってくれたまえ」

 

 

 

 

 

八幡はさっさと席を立ち奉仕部を後にし、七沢もそれについていく。

 

 

こうして奉仕部への二つの依頼が同時に始まることとなった。

 

 

 

 

 

奉仕部を出た後の事。

 

 

 

「なあ、比企谷」

 

 

「なんだ?」

 

 

「パスしないか?」

バックからマイバレーボールを取り出す七沢。

 

 

「何でだよ?」

 

 

「今日体育館使えない曜日で部活無いから、せめてパス練習だけでもしたい。」

 

 

「まあ、依頼だからつきあうよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

総武高校中庭

 

 

 

 

 

 

キャッチボール、両手のスローイング、床へ叩きつけるスローイング、床打ちのウォームアップを済ませる。

 

最初はトスのみのパス、次にアンダーのみ。

 

 

そして

 

 

パッス、バン、バン、バシッ!

 

アンダー、トス、スパイクを加えたパスを行う。

 

 

 

(やっぱりだ……)

 

 

 

 

「何で依頼受けたんだ?」パッス

 

 

 

「別に、何となくだよ。」パッス

 

 

 

「そうか、まあ俺は助かるからありがたいが」パスッ

 

 

 

「仕事で仕方なくだ、誰が自分から進んでやるか」バン

 

 

 

 

「そうかい!」バッシ!!

突如強めのスパイクを打つ。

 

 

「ッ!!」パン

ギリギリの所に打たれたスパイクを片手で拾う。

 

 

 

「ナイスカット(間違いない)」パッス

 

 

 

「何すんだよ!」バッシ!!

八幡も再び打ち返す

 

 

 

「フッ!」パン

先ほどの八幡と同じように拾う。

 

 

 

「チッ!」パッス

 

 

 

「比企谷」パッス

 

 

 

「なんだ?」パッス

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前、元バレー部だろ?」




という事で今回は仲違いな話です。

酒飲んでシリアスな内容書くとガックとテンション落ちるので難しいですね。

ネタバレになるかもしれませんが、奉仕部はちゃんと仲直りするのでご安心下さい。

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