東方重空光 〜 closs the Time axis   作:R-9/0

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布都


生と死の狭間

 ふと目を覚ますと、天井が見えた

 和室の真ん中に敷かれた布団に寝かされていたみたい

 右側の方にある襖が開き、白と緑の少女、██が入ってくる

 その隣には雪見だいふ……半霊が浮いている

 「おはようございます」

 

 「ここは?」

 少女が近くに座る

 座る為に上体を持ち上げる

 「冥界の白玉楼(はくぎょくろう)です」

 冥界というと、死者が転生または成仏を待つ間住む世界が思い付く

 白玉楼は文人だとかが死後に行く天上の楼閣……で合っているかな

 

 私、死んだんだ。でも手足の感覚はあるし、意識もハッキリしてる

 これが幽霊になった感覚?

 

 ██とは反対側の方を見ると、地平線の彼方まで生え揃う桃色の桜、ところ構わず漂う白い霊、適当な場所を繋ぐ石畳の通路、それらを照らす照明が見える

 白玉楼は丘の上に建っているみたい

 桜で地平線が見えない。これを1人で管理する██は凄いと思う

 

 ██はキョロキョロしている私を不審に思っているらしい。表情が分かりやすい

 笑えばきっと可愛いのに

 

 「もしかしなくても、外来人ですよね」

 「外来種?」

 「えっ……え?」

 外来人と言われて外来種が浮かんだので、とりあえず言ってみた。

 そしたら██は顎に手を添えて何かを考え始めて、難しい顔をした

 

 「あの?」

 「いえ、何でもありません。おおよそ、外来種と似たような意味だと思ってくれて構いません」

 「それなら、私は外来人だと思いますよ」

 「そうですか。それで……えぇと……なんて呼べば?」

 「あぁ、私は――」

 アレ、なんでかな。ハッキリと浮かんでこない。

 絵の具が混ざり合ってるような、そんな感覚。自分でもどういう意味か分からない。

 とりあえず、今は。

 

 「……すみません、自分の名前はあまり好きではないんです」

 嘘をつく事に抵抗はあるけど、こっちの方が話が分かりやすくなる。

 

 「私は魂魄(こんぱく)妖夢(ようむ)、白玉楼の庭師をしております。では、今日はお泊りになりますか?」

 

 「大丈夫なんですか? 迷惑ですよね?」

 「大丈夫なんですよ。迷惑だったらすぐ追い出してます」

 「で、ですが……」

 「……好意という物はですね」

 妖夢が、また難しい顔をして話しかけてくる

 「素直に受け取った方が良い物なのですよ。素直に受け取らないというのは、気が引けるからでしょうか」

 

 「は、はい……」

 「でしたら、遠慮なさらないで下さい。主人は客人を自由に泊めていいと言っていました。問題はありません」

 「えぇっと……分かりました…………」

 ここまで言ってくれてるんだし、折れてもいいよね……?

 

 「分かりました。少し用がありますので、失礼します。何かご用の時は近くの霊にお願いします」

 「分かりました、ありがとうございます」

 「いえ、いいんですよ。こちらが言い出したら事です」

 そう言って妖夢は立ち上がり、襖の奥の通路へと歩いて部屋から出て行った

 

 

 

 寝起きなのに眠い。

 ――少しだけ、少しだけ眠ろう。

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