東方重空光 〜 closs the Time axis   作:R-9/0

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 孤立



重なる横からの槍

 「了解と了承を。拒否は認めない」

 

 「勝手にやっちゃダメなんですか?」

 「コップ(あなた)が揺れていてはやりにくいのよ。それ以前に、私にも良心はある」

 良心はあっても拒否権が無いのは、紫が幻想郷を我が子のように思っているからだろう。

 私が幻想郷にとって脅威になる力を持っていると、遠回しに言っているような物なんだけどな。

 

 

 「ねぇ、アレ。」

 霊夢が外を指差し、紫がそちらを向く

 それに釣られ、私も外を見る

 「あんたの所の式神でしょ? 何かやってるみたいだけど」

 いくつかの光が立ち並び、周囲を照らしていく

 ……のが分かる程暗くはないか。

 

 「……ルールに沿っているようでどっちも本気でやってるわね」

 「どうするの? 私達は動けないわよ?」

 

 紫は悩む様子も無く、少しの空白の後に答えた。

 「あら、ちょうど準備さえすれば動ける人がいるわよね?」

 私の事なのん?

 「という訳で、よろしく」

 やっぱりか。

 「わ……私は……」

 「諦めて弱体化されちゃいなさい」

 弱体化言いやがった。

 

 

 

[◇]

 

 

 

 雨粒が落ち始める、剣で出来た籠の中に。

 

 光る球体が何個も籠を通る。

 だけど、弾幕の知識が無い僕でも簡単に避ける事ができる。

 僕に当てる気はないのか? まだナメてかかってるんだ。痛い目に遭わせてやれ。

 

 直後に球体が増え、隙間がほとんど無くなる。通れそうにない。

 どうする? 弾速がある。下手に出るのは危険だ。

 考える時間が無い。どうすればいいんだ? 賭けにはなるけれど、突っ込むしかない。

 

 腰を落として足に体重を乗せ思いっきり前に飛ぶ。

 が、足に何かが引っかかり顔を地面にぶつける。

 顔の痛みに耐えながら前を見ると、青みを帯びた火が現れすぐに人型を形作る。

 クソキツネ()だ。

 

 瞬きをしたら……えーと、森で担いで走ったのがまだ記憶に新しい、風に揺れる“彼”がモップ()に膝を掴まれ、……いや、受け止められている。

 

 “彼”が突然消える。

 かき氷()の後ろに“彼”が現れ、同時に大量の氷が藍に放たれる。

 

 

 「頭が痛くなってきたんだけど、帰っても……いいかな?」

 「ダメだ、撤退は許可出来ないぜ。」

 「なのぜー」

 魔理沙の隣にいる妖怪に鱗を飛ばす。

 金属同士がぶつかるような、快い音がする。

 「さ"んだっ!」

 地面に重い袋を落とすような、心地いい音がする。

 

 

 

[◇]

 

 

 

 「土産は?」

 「ぐったりした藍とか見た事無かったわねぇ」

 「了解」

 空間を裂くように存在する穴をくぐり抜け、目に囲まれた空間の中を、空に漂うような感覚を覚えながら通り過ぎる

 

 

 足が土を踏むような感触を感じると同時に動く物の気配を探る

 

 ……までもなかった。

 近くで藍、青鱗翼の人が戦っており、魔理沙とルーミアが見学している

 青鱗翼の人が(こうか)の外に出ようとしているみたいなので、足元に枝を飛ばして転ばせる

 

 藍を懐までの距離を0まで縮めて飛び込み、膝蹴りをするが、片手で掴まれる

 「魔理沙が運んできた外来人か。何の用だ」

 藍さん? 膝がミシミシ言ってます。痛いです。

 「横槍入れさして貰うよ、殺して貰っちゃあ困る」

 「スペルカードルールに則った決闘だ。下手しなければ死なない」

 「下手しなければ、な。殺人許可証って知ってるか?」

 

 

 膝が限界なので体を粒子にまで密度を薄め、緑に発光させて視界を奪う

 藍の背後に粒子(からだ)(あつ)め、実体を取り戻す

 

 「鉄屑――」

 1枚のカードを霊力で作り出し、宣言する

 「『貫く百筋の槍』」

 大気の密度を高めて爆発させ、大量の氷の杭を飛ばす

 

 「式輝『狐狸妖怪レーザー』」

 宣言と同時に弾の集合体が放たれ、レーザーが飛び交い針が撃ち落とされる

 こんな感じで迎撃する兵器が実在したような……

 

 カードを作り、宣言する――

 「紅符『スカーレッ――』」

 「境符『永夜四重結界』」

 前に4つの結界が展開され、動きを止めにくる

 

 「……『――トシュート』」

 スペルの宣言を続け発動するが、弾幕は出て来ない

 弾幕用じゃなく本物の結界張られたみたいだけど。

 

 

 「時間よ。戻ってらっしゃい」

 「……紫様」

 間にスキマが開き、中から紫が出てくる

 スキマの中からでもスペル使えるのか。敵には回したくないですね。

 

 「最初からこうすりゃ、横槍飛ばす必要無かったろうに」

 「意外と早く終わったのよ、だけど、念の為に安全策を取ろうと思ってね。さ、皆急いで神社まで来て」

 目の前にスキマを出される

 軽くトラウマ物だと思う。

 

 

 魔理沙、ルーミア、青鱗翼の人、藍と周りを見る

 「今度は純粋に手合わせ願いたい物だな」

 藍がそう言い残してスキマをくぐり、どこかへと行く

 他3人は円陣を組んで相談し合ってるみたいだ

 

 

 「どうしたの?」

 「あぁいや、あの3人はどうすんのかなって」

 言葉と視線で気になった事を紫に話す

 「2人は大人しく来てくれるみたいだけど、あの外来人、平太(ひらた)と言ったかしらね。嫌みたいよ」

 もう少し早めに名前知りたかったよ。

 

 「説得してみるけど、使える時間は?」

 「8分ぐらいが目安」

 「了解」 

 

 

 

 平太に近付き、声をかける

 「きゅうりに蜂蜜かけるとメロンの味がするらしい」

 「えっ」

 「どうしても……着いて行きたくはないのか?」

 関係の無い話をして揺さぶり、毒気を薄めてから本命の質問に移る

 「君は自分を殺そうとした奴の仲間を信じて着いて行けるか?」

 無駄だったようだ

 

 「にしてはルーミアと円陣組んでたみたいだが?」

 「アレは流れという物だ」

 「そ、そうか……」

 第三の眼(サードアイ)を使い、心の中を覗く

 『妖怪は殺――』

 見なかった事にしよう。面倒な事になりそうだし。

 

 

 平太の肩をポンと叩いてから紫の元へ戻り、こう報告する。

 「なんの成果も得られませんでしたーッ!」

 「そう。それなら早くスキマに入りなさい。また会える保証が無いってだけよ。心配しなくてもいいわ」

 それなら安心出来そう。

 だけど、まだやる事は残ってる。

 

 「残りは?」

 「2分。もう行かなきゃマズいわよ」

 2分か。まぁ、充分。

 

 

 平太の元へもう一度行く

 「……何の用だ?」

 

 一度肺を酸素で満たし、少し息を整えて声を出す

 「ありがとう。それじゃあ、“またな”」

 「また会えなんてしな――」

 「時間よ。次会う時は忘れているでしょう」

 いつの間にか私の後ろにいた紫が、平太の発言を遮り私をスキマの中に引っ張り込む

 

 多数の目に見つめられながら、上下左右が分からなくなりそうなスキマの中を漂う

 

 

 

 ……漂う?




 もなかさんとのクロス終了です。ありがとうございました。

 さて、これを半分ぐらい書いた所で意図せず伏線になってしまい、回収しなければ矛盾が生じる箇所がある事に気付いた。
 ……プロット書き換えるか
Q.あなたは今まで変えてきたプロットの回数を覚えてるの?
A.13回。私は腰軽ですわ

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