どうしてこうなった? 異伝編   作:とんぱ

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BLEACH 第四十五話

 死神と破面(アランカル)滅却師(クインシー)。共に死闘を繰り広げた者達が足並みを揃えて霊王宮に到達する。これは尸魂界(ソウル・ソサエティ)の長き歴史の中でも初めての出来事だろう。そもそも、霊王宮に死神以外の存在が訪れること自体が有り得ない事だが。

 

「ここが霊王宮……凄い霊子の濃さだな」

 

 霊王宮の下部に存在する零番離殿に降り立った一護は、霊王宮の霊子濃度の濃さを感じ取る。これだけの霊子濃度ならば、周囲の霊子を隷属して戦う滅却師(クインシー)は通常よりも高い実力を発揮出来るだろう。

 死神も破面(アランカル)も同様に強くなるだろうが、霊子の扱いに関しては滅却師(クインシー)が一歩も二歩も先を行くだろう。その王たるユーハバッハとなれば尚更だ。

 

「霊王宮の形が変わっておる。ユーハバッハの仕業か」

 

 山本は霊王宮が以前とは違う様相になっている事に眉を顰める。ユーハバッハが瀞霊廷を覆っていた街並みを剥がし、それらを材料に霊王宮を作り変えたのだと知り怒りを顕わにする。

 そして同時にユーハバッハの恐るべき力を実感もする。これ程の所業を容易く行えるなど、どれだけの力があれば可能なのか。そして、そんなユーハバッハと戦えているクアルソ・ソーンブラの恐ろしさもまた実感する。

 

「それで、どうするつもりだ山本元柳斎。クアルソの戦いに手を出すつもりか?」

「……(けん)じゃ」

 

 藍染の問いに、山本は戦いの見守りという答えを返した。その答えに一護とバズビーが反論する。

 

「待てよ! ここまで来て何もしないってのかよ!?」

「そいつの言う通りだ! ユーハバッハを倒す為に来たってのに、何もしないでいられるかよ!」

 

 一護は世界を、ひいては誰かを護る為にも、バズビーはユーハバッハへの復讐の為にも、ここでジッとしているなど出来なかった。

 そんな二人に対し、山本は圧力を籠めた視線を向ける。その視線の強さに、二人は思わずたじろいでしまった。

 

「クアルソ・ソーンブラとユーハバッハの戦いに割って入りでもしたら、クアルソ・ソーンブラの邪魔になりかねんわ。儂らに出来る事があるとすれば、両者の戦いを見守り、戦況を見てクアルソ・ソーンブラの助力となる事くらいよ」

『……』

 

 山本の言葉に一護もバズビーも口を噤む。その言葉が正しいものだと二人も理解出来ているのだ。それでも納得し切れないのは二人が若く血気盛んな故か。

 霊王宮まで来て戦況を見守るなど悠長かもしれない。だが、山本の言う通り今の彼らがあの超越者達の戦いに割って入りでもしたら、瞬時に死にかねないだろう。死ぬだけならまだいい。それがクアルソの足を引っ張る事になってしまえば最悪だ。

 ならば霊王宮に来なければいいという話になるかもしれないが、万が一にでもクアルソが敗北した時、もしくは敗北しそうになった時、近くにいなければ何の対処も出来ないだろう。故に(けん)だ。戦況を見守り、状況に応じて臨機応変に動く。行き当たりばったりかもしれないが、この状況ではそれが最善の方法だった。

 

「流石は護廷十三隊総隊長。冷静な戦況把握が出来ているじゃないか。見直したよ。尤も、クアルソに助力が必要だとは思えないけどね」

「抜かせ。クアルソ・ソーンブラが勝つと盲目的に信じるなど出来る訳がないわ」

 

 藍染にそう言い返す山本だったが、その内心はクアルソが勝利するとほぼ確信していた。二段階目の進化を果たしたクアルソを見て、その勝利が揺るがないと感じたのだ。

 だが、だからと言って何もしない訳にもいかない。護廷を司る者として、護廷と世界の為に動く必要があるのだ。それが無駄な努力だとしてもだ。

 

「皆の者。この戦いを見届けよ。そして、いざという時は命を賭してでもクアルソ・ソーンブラを助けよ。それが、世界の為と知れ」

『……はっ!』

 

 死神が命を賭して破面(アランカル)を助ける。それは酷な命令だろう。だが、世界の為に必要ならば、その命令を護る。それが護廷十三隊に務める者の役目なのだ。

 

「お前達はお前達で勝手にやってればいい。俺達は俺達でやらせてもらうぜ。滅却師(クインシー)を裏切ったユーハバッハを倒すのは俺達だ」

「そういう事だ。敵対はしない。ユーハバッハを倒すまではな」

 

 リルトットの言葉にバズビーが同意し、そして六人の滅却師(クインシー)達はこの場から離れていく。だが、やる事は死神と然して変わらない。戦況を見守り、ユーハバッハに隙が出来た時を狙い、その命を奪う。それだけだ。

 そしてリルトットは思った通りの展開になった事に一人ほくそ笑んでいた。この状況が出来るのを待ち望んでいたのだ。これで生き残る目が増えたというものだ。

 

 そんなリルトットの思惑はさておき、死神や破面(アランカル)は天を見上げ、そこで起こっている激闘を目にする。

 彼らの視界には、四方八方から放たれる無数の虚閃(セロ)により、ユーハバッハが飲み込まれて行く場面が映っていた。

 

「おお!」

「やったか!?」

 

 虚閃(セロ)の嵐に飲み込まれるユーハバッハを見て、誰かがそう叫んだ。そしてそれを聞いた平子が怒鳴りあげた。

 

「あほっ! それ言うたらあかん奴や! フラグ立てんな!」

「ふ、フラグ?」

 

 平子の言葉の意味を多くの死神が理解出来ないでいた。理解しているのは一護や浦原など、現世で長く生きていた者達くらいだ。当然藍染も理解しているが。

 そして平子の言葉を証明するかのように、ユーハバッハは死からの復活を披露した。

 

「嘘だろ……」

「何であれで生きているんだよ!?」

 

 ユーハバッハの理不尽なまでの不死性に多くの者が驚愕する。ただでさえ強いというのに、その上死んでも復活するなどどうすれば良いというのか。

 そんな風に絶望し掛ける者達に対し、藍染はこの状況にあって冷静に語る。

 

「ふむ。どうやらユーハバッハは未来を改変し、己の死を覆したようだ。この能力を封じない限り、ユーハバッハを倒す事は不可能だろう」

 

 藍染はその類稀なる視力と洞察力により、遠距離にあるユーハバッハの口の動きを見切り、その言葉を読み取ったのだ。

 そんな藍染の説明を聞いて、やはり多くの死神が絶望する。

 

「どうすればいいんだよそれ。封じる事なんて出来るのか?」

「出来る」

『!?』

 

 一護のその質問に答えたのは藍染ではなく、一護が良く知る者だった。

 

「石田!? それに親父と……誰だ!? とにかく、どうしてここに親父たちが居るんだ!?」

 

 聞き覚えのある声に振り返った一護は、そこに居た石田雨竜とその父である石田竜弦、そして自身の父である黒崎一心の姿を目にする。

 彼らは現世にいた筈だ。それがどうしてここにいるのか。霊王宮は特殊な門がなければ来る事が出来ない特別な場所だ。彼らがここにいる事は本来有り得ない筈なのだ。

 

「霊王宮が見えざる帝国(ヴァンデンライヒ)の街並みによって上書きされたからな。それを利用してちょっとな」

「ちょっとって……」

 

 一心の説明に納得出来ない一護。だが、実際に一心達がこの場にいるのは説明の通りだった。

 もう少し詳しく説明すると、見えざる帝国(ヴァンデンライヒ)には特殊な通行証を使った移動手段が存在していた。それは見えざる帝国(ヴァンデンライヒ)の街並みを用いて作り変えた霊王宮でも有効だった。

 そして、見えざる帝国(ヴァンデンライヒ)と袂を別った石田雨竜の祖父、石田宗弦は、見えざる帝国(ヴァンデンライヒ)から追放される際にその通行証を持ち出していたのだ。それを利用して三人は現世から一気に霊王宮へと移動して来たのである。

 

「そんな事はどうでもいいだろう黒崎。今はユーハバッハをどうにかする方が先決だ」

「どうでもって……いや、確かにそうだな。それで、どうすればユーハバッハの能力を封じる事が出来るんだ?」

 

 雨竜の言う事を尤もだと納得し、一護は雨竜の言ったユーハバッハの能力を封じる手段を問い掛ける。

 

「これだ」

「これは……(やじり)か?」

 

 石田が懐から出したのは鏃だ。素材は銀で出来ているが、それ以外は何の変哲もなさそうな鏃。それでどうやってユーハバッハの能力を封じると言うのか。

 そんな一護の疑問に対し、疑問を口にする前に石田竜弦が答えた。

 

聖別(アウスヴェーレン)にかけられた滅却師(クインシー)は全て、心臓に銀の血栓が出来て死ぬ。その銀を集めて作った鏃だ」

 

 今から九年前。現世に住むほぼ全ての混血統滅却師(デミシュト・クインシー)――人間と滅却師(クインシー)の混血――がユーハバッハの聖別によって命を落とした。その中には雨竜の母もいた。生き残った混血統滅却師(デミシュト・クインシー)は雨竜だけだ。

 竜弦は聖別によって死んだ混血統滅却師(デミシュト・クインシー)の心臓に出来た銀を集め、それを鏃としたのだ。

 

「聖別により現れる銀は“静止の銀”と呼ばれ、聖別を発動させた者の血と混ぜる事で、その者の能力の全てをほんの一瞬だが無に出来る」

『!?』

 

 竜弦の説明を聞き、全ての者達が驚きを顕わにする。この鏃があれば、ユーハバッハの能力を僅かだが封じ、あの不死性を抑える事が出来るのだ。それで驚かない訳がなかった。

 竜弦は多くの死者から静止の銀を取り出し集めた。その中には当然自身の妻、雨竜の母もいた。己の妻を解剖する父を見て、雨竜は父のようにはならないと幼心に決めた。医者になれば妻すら冷酷に切り刻まなければならないのなら、医者になどなるものかと父に反目したのだ。

 だが、竜弦が妻の遺体を切り開いたのはユーハバッハを倒す為だった。妻を殺したユーハバッハに文字通り一矢報いる為、愛しの妻を切り開いたのだ。それを知って、雨竜の中にあった父への蟠りは解けようとしていた。まだ完全に蟠りがなくなった訳ではないが、全てが終われば人を救う為の医者になろうと思える程には。

 

「これでユーハバッハの能力を封じる。そうすれば、後はクアルソが倒してくれるだろう」

「……解った。ならば、お主を援護するのがわし等の役目じゃな」

 

 山本の言葉に死神達が頷く。命を懸けて雨竜を護り、ユーハバッハに一矢報いる。それが死神達にこの戦いで出来る唯一にして最大限の貢献だった。

 だが、ユーハバッハの力は彼らの想いすら打ち砕く程に高まっていた。彼らがそれを知るのは僅かな未来の事だった。

 

 

 

 

 

 

 持久戦を選択したユーハバッハ。だが、だからと言って何もせずにクアルソの攻撃を耐え凌ぐ訳ではない。

 

 ――私の“眼”にも奴は映らぬ……だが――

 

 ユーハバッハの未来予知にクアルソの姿は映らない。それにより、未来を見て最適な選択を取る事も、クアルソの未来を改変する事も不可能となった。

 だが、それ以外の事象ならば予知も改変も可能だ。その証拠に、ユーハバッハは己の死すら改変してみせた。ユーハバッハの能力、全知全能(ジ・オールマイティ)は完全に破られた訳ではないのだ。

 ユーハバッハは自身の未来の姿をその“眼”で見つつ、意識を集中させる。そして未来の自分が血反吐を吐いた瞬間、ユーハバッハは咄嗟に身を翻した。

 

「ッ!」

 

 クアルソが僅かな予備動作すらなく響転(ソニード)で近付き、ユーハバッハに掌底を放っていた。だが、その掌底は命中する寸前にユーハバッハに回避される。

 未来のクアルソを見る事は出来ない。だが、ユーハバッハは自分自身の未来を予知する事で、そこで受けたダメージからクアルソの攻撃を予測し回避に繋げたのだ。

 だが、クアルソも攻撃を回避されたからといってそこで攻撃を止める事などしない。当たれば当たったなりに、当たらなければ当たらなかったなりに、次に繋げて動くのは当然の話だ。

 

「ぐぅっ!?」

 

 掌底を回避したユーハバッハに対し、クアルソは即座に追撃として顎への裏打ちを放った。

 クアルソの先の一撃をギリギリの所で身を翻し回避した事で、クアルソとユーハバッハは互いにほぼ密着した状態だ。その状態で放たれた追撃は未来予知でも見切る事は出来ず、ユーハバッハはその一撃を敢え無く受けてしまう。

 その瞬間、ユーハバッハは己の死を予知し、その死を改変すべく力を発動する。それとほぼ同時に、顎への裏打ちによって体勢を崩したユーハバッハに向けて、クアルソが巨大な螺旋虚閃・炎(セロ・エスピラール・ジャーマ)を作り出し、ユーハバッハを燃やし尽くす。

 

「……」

 

 肉片一つ残さずに燃え尽きたユーハバッハ。それを確認したクアルソは、しかし瞬時に発生する霊圧を見て僅かに眉を顰める。

 

「無駄だと言った筈だ! 私は私の死すら改変する事が出来る! 何度やろうとも無駄だクアルソ・ソーンブラ!」

「……なるほど。完全に消滅しても復活可能か」

 

 クアルソが放った螺旋虚閃・炎(セロ・エスピラール・ジャーマ)により、ユーハバッハはその肉片すら残さずに消滅していた筈だった。だが、そこからでも復活出来るという事は肉体の損傷では倒しようがない事を示していた。

 しかし、不死身程度で勝負を諦めるクアルソではない。今までにも不死身やそれに等しい敵と戦った事はあるが、そんな敵にも何かしらの対処法が存在していた。ユーハバッハにもそれはある筈だ。

 そう考えたクアルソは、どうすれば倒せるかを考える。全身を消滅させても復活した事から、復活の核となるものはユーハバッハの肉体にはないと思われた。あったとしても別の場所に隠しているだろう。

 霊力を消費して復活している場合、核がないならば霊力が続く限り復活し続ける事になる。まさに持久戦だ。

 だが、ユーハバッハは未来を改変する事で死を改変したと言った。それはつまりユーハバッハが自身の能力で死を覆している事になる。自動で復活するのではなく、能動的な行為の結果復活しているのだ。

 つまり、ユーハバッハが未来を改変する能力を使えない状態に追い込んでから倒せば、ユーハバッハの復活を阻止する事が可能になる可能性が高い。そう予測したクアルソは、ユーハバッハを追い込む為に攻撃を再開した。

 

 クアルソがユーハバッハに向けて掌底を繰り出す。風間流の奥義にしてクアルソ(柳晶)が独自に開発した技、浸透掌である。

 対象に放った掌底による衝撃と振動と共に霊圧を対象の内部に流し込み、無防備な体内を破壊するという殺傷力の高い技だ。それによりクアルソはユーハバッハの体内、霊力を生み出す器官である魄睡と霊力を増幅する器官である鎖結を破壊しようとしたのだ。

 だが、その掌底はやはり寸前に回避される事となった。回避された瞬間にクアルソはユーハバッハに向けて追撃の浸透掌を放つが、それもまた回避される。そして回避と同時に距離を取ったユーハバッハは、全身にある異様な目を見開いて意識を集中させる。

 

「……素晴らしい回避だ。未来を読んだか」

 

 クアルソの霊力は一時から減り続けていた。ボス属性による霊力の減少と気付いたクアルソは、ユーハバッハの回避から再び未来予知をし出したのだろうと予想する。

 

「貴様の姿は映らずとも、貴様の動きを予測する材料はあるからな」

 

 クアルソの言葉にユーハバッハが笑みを浮かべながら言う。先程は一撃を回避しただけで、追撃は受けてしまった。

 だが、そこから更に意識を集中し、未来から読み取った攻撃を回避した事で変化した未来を更に予知し、次の攻撃も予測して回避する事に成功した。

 未来予知から変更した未来予知に繋げる時間は刹那の時。それ程までにクアルソが速い追撃を放っているという事だが、ユーハバッハはその速度に対応するように意識を集中させ、未来予知にてクアルソの攻撃を見切ったのだ。

 

 だが、この程度ではクアルソに勝てないのはユーハバッハも承知の上だ。攻撃を回避しただけだ。それだけでは意味がないだろう。クアルソの消耗などこの程度では然したるものにもならないだろう。

 故にユーハバッハは未来改変による擬似的な不死と、己自身の未来を予知する事でクアルソの攻撃を事前に察知する擬似未来予知とも言うべき二つの武器を使い、クアルソを消耗させようとする。

 尤も、クアルソの消耗という点で言えば実は既に叶っているのだが。未来予知を防ぐ為に発動し続けるボス属性は、相応の霊力をクアルソから奪っているのだから。それを知っていれば、ユーハバッハの戦い方は違ったものとなっていただろう。その場合はクアルソの戦い方も変わるので、意味のない仮定だが。

 

「さあ来いクアルソ・ソーンブラよ。どのような攻撃も、読み取ってみせよう」

「……」

 

 未来予知を発動し続けるユーハバッハ。それを防ぎ続けるクアルソ。何もせずにいれば消耗が激しいのはクアルソだった。

 ならば敵の攻撃を待つという選択肢はクアルソにはなく、未来を見ながらクアルソの攻撃を予測しようとしているユーハバッハに対し、クアルソは攻撃するしかなかった。

 

「はっ!」

「甘い!」

 

 クアルソが放った無限装弾虚閃(セロ・メトラジェッタ)を、ユーハバッハは未来で見た(・・)通りに回避する。

 

「解った事があるぞクアルソ・ソーンブラ! 貴様が様々な能力を無効化出来るのは己の肉体のみ! 肉体から離れた霊力はその能力の対象外となるのだな!」

 

 ユーハバッハはこれまでの経験から、クアルソのボス属性の特性を見抜いていた。

 クアルソの持つボス属性は、自身の肉体に作用する物理攻撃以外の能力を無効化する能力だ。だが、それは自身の肉体のみであり、衣服などには作用しない。そして、肉体から離れた霊力なども同様だ。

 つまり、クアルソが放った霊力である虚閃(セロ)などはユーハバッハの未来予知に映る事になるのだ。

 未だに映らないクアルソの姿。だが、放たれた霊力は未来にしっかりと映っている。そこからユーハバッハはボス属性の特性を一部だが見抜いたのだ。

 

「……」

 

 クアルソはユーハバッハの言葉を肯定も否定もしない。未来予知という能力者相手には流石に隠し通す事が出来ないと判断したが、わざわざ肯定する理由もないのだ。例え能力を言い当てられたからと言って、正直に肯定する必要はない。相手にそうではないかもと思わせ迷わせる事が出来る可能性があるのだから、黙っていればいいのだ。

 

「いかに貴様が強かろうと、未来予知出来る力で私を倒す事は出来ん!!」

 

 ユーハバッハの言う通り、ユーハバッハに未来で見られた力は通用しない。未来予知を誤認でもするか、夢と勘違いでもしていれば話は別だが。

 遠距離攻撃は未来予知の前に意味がない。ならば、やはり接近戦しかないだろう。それはクアルソもユーハバッハも同時に理解していた。仕掛けるなら接近戦。そこに勝機がある。それは互いに同じだった。

 

『……』

 

 クアルソとユーハバッハは互いに無言で対峙する。彼我の距離は十数m。両者にとっては一瞬で消え去る程度の間合いだ。

 戦闘力ではクアルソが上。基礎能力も、技術も、経験もだ。だが、ユーハバッハは未来予知と未来改変という強力な武器でクアルソに喰らいつこうとする。

 

 ――五秒後に私の顔が弾け飛ぶ――

 

 ユーハバッハは未来予知によって五秒後に起きる自身の惨状を見た。そしてそれを防ぐ為に更なる未来予知を試みる。予知による結果に対し様々な行動を加えて未来を改変し、そこから更なる別の未来を予知しようとしているのだ。

 これは今までのユーハバッハでは出来なかった力だ。ここまで危機的状況に追いやられた事はユーハバッハも初めてだった。千年前の敗北時も、命そのものを脅かされる事はなかった。負けはしたが、逃げ延び再起を図る事は可能だったのだ。

 だが、ユーハバッハは今までで最も追い詰められていた。クアルソをどうにかしない限り、三界融合はおろかこの場から逃げる事さえ出来ないだろう。その危機感が、ユーハバッハを更に進化させたのだ。

 

 

 

 ――五秒後に頭部が粉砕される。後方に仰け反るように己の未来を改変。だがそれでも頭部は粉砕された。後方では無意味のようだ。

 頭部が粉砕される二秒前に飛廉脚で後方に下がる。後方に下がった所に更に後ろに回られたのか、下がった瞬間に前方に向かって吹き飛んだ。血反吐を吐くおまけ付きでだ。クアルソという凄まじい精度の未来予測を可能とする敵を相手に、二秒も前に行動するのは悪手だ。動くならばギリギリだ。そうでなければクアルソが反応してしまう。

 頭部が粉砕される一瞬前に、体を捻りながら頭を傾げる。どうやら攻撃は回避出来たようだ。だが、次の瞬間には血反吐を吐き出している。腹部に攻撃を受けたか。だが初手を回避する事は出来た。ならばこの未来から次の未来に繋げる為の改変を行う。

 血反吐を吐き出す前に、残火の太刀を振るう。攻撃は最大の防御というものだ。だがそれでも駄目だ。クアルソが何をしているかは姿が映らぬ故に解らぬが、攻撃を放った私が残火の太刀によって斬り裂かれた。

 回避してから攻撃しては遅い。ならばクアルソの攻撃をギリギリで回避しつつ同時に攻撃する。頭部への一撃を極限まで引きつけ、そして回避。それと同時に残火の太刀でクアルソを斬り裂く。だが、それは回避されたようだ。悔しそうに歪む私の顔が映っている。

 だが、攻撃に対する返し技はなかった。あのタイミングならばクアルソも回避に集中せざるをえないということ。クアルソの技量とて限界はあるのだ。ならば……。

 

 

 

『……』

 

 クアルソとユーハバッハが対峙して僅か数秒。その数秒が数分にもなるような時間をユーハバッハが過ごした時、クアルソが動いた。

 無駄なフェイントを仕掛けるクアルソではなかった。ユーハバッハは未来予知にて己の姿を映し出し、未来の自身のダメージや反応からクアルソの動きを予想しているのだと、クアルソも理解していた。

 どのようなフェイントを入れようと、未来予知による結果のみを見ているユーハバッハには通用しない。ならばユーハバッハの未来予知を超える反応と予測で攻撃を繰り出し続けるしかないのだ。

 そしてクアルソはユーハバッハの頭部目掛けて拳を放つ。殺すつもりの一撃だが、様子見の一撃でもある。そんな一撃をユーハバッハは回避しようと動きつつ――相打ち覚悟で残火の太刀を振るった。

 

「むぅっ!」

「がっ!」

 

 クアルソの拳がユーハバッハの頭部を抉る。致命傷ではない。回避しようと動いた為に、頭部は抉れども致命には至らなかったのだ。

 そしてクアルソの左腕から血が流れ出ていた。ユーハバッハが振るった残火の太刀を受け流したが、完全には受け流し切れずに傷を負ったのだ。

 

「捨て身か。それもフェイントを交えての。不死身と予知ならではだな」

「ふ、ふふ……その通りだ。だが、それでも貴様に通用した事に変わりはない」

 

 そう、ユーハバッハは己の不死性を利用し、クアルソにカウンターを放ったのだ。

 ただカウンターを放つだけでは通用しないのは幾度もの予知と改変によりユーハバッハも承知の上だ。故にユーハバッハは捨て身のカウンターを放った。だが、それですら予知した未来ではクアルソに読まれた。

 だからユーハバッハはただの捨て身ではなく、ギリギリで回避しようとする動きを入れながら、クアルソの攻撃に対し最適なタイミングでカウンターを放ったのだ。

 相手がユーハバッハ以外ならば見抜けただろうフェイントとカウンターだが、然しものクアルソも未来を予知した上に改変によるシミュレーションを繰り返す事で、最適な動きを作り出したユーハバッハのカウンターを防ぎ切る事は出来なかったようだ。

 

 ダメージで言えばユーハバッハの方が圧倒的に上だ。だが、ユーハバッハはそのダメージを改変し、なかった事にする事が出来る。既に頭部の損傷もなくなり、万全の状態へと戻っていた。

 クアルソもまた同様だ。未来改変は出来ずとも、回道や再道による治癒は可能だ。腕の損傷は一瞬で消え去っていた。

 だが、この攻防によってどちらの消耗が激しかったかと言うと、クアルソの方だ。ボス属性による未来予知防御と回道による霊力の消耗。特にボス属性による消耗は大きかった。

 膨大な霊力を有している故に、長きに渡って戦う事は可能だが、それでも先の攻防の軍配がユーハバッハに上がっているのは事実だ。あまり時間を掛けてボス属性のデメリットに気付かれでもしたら面倒になるだろう。

 故にクアルソは、勝負を決しようとする。だが――

 

「止めよ。今のユーハバッハにそれは通じぬ」

『!?』

 

 勝負を決する。その前に、クアルソはユーハバッハの後方に潜む者達へと忠告の声を発した。

 ユーハバッハの後方にある瓦礫の影、そこには“静止の銀”を放ち、ユーハバッハの能力を一時的に封じようとしていた雨竜と、雨竜を援護しようとしていた一護達が隠れ潜んでいたのだ。

 ユーハバッハがクアルソとの戦いに集中している隙を狙い、“静止の銀”を放とうとしていたのだが、それはクアルソの言葉によって露見してしまう。いや、クアルソの言葉がなくとも無意味だった。

 

「クアルソ・ソーンブラの言う通りだ。今の私にそのようなものは通じぬ。死にたくなければ立ち去れ雨竜、そして一護よ」

『うっ……!』

 

 振り返りもせず、しかし全身に蠢く眼で一護達を睨みつけるユーハバッハ。その圧力により、一護達は一歩後ろへと後退してしまう。

 クアルソとユーハバッハが言う通り、今のユーハバッハに“静止の銀”が通用する筈もなかった。“静止の銀”自体はユーハバッハに確かに有効だ。当たりさえすればユーハバッハの能力を一時的にだが封じられるだろう。そう、当たりさえすれば、だ。

 ユーハバッハは未来予知と未来改変を最大限に活用している。しかもクアルソとの死闘により、以前よりも強化される始末だ。そんなユーハバッハに未来予知に映る“静止の銀”が当たる筈もないのだ。例えどのような状況に追い込まれようと、“静止の銀”が当たる未来を予知してしまえば、その時点でユーハバッハはその未来を回避するだろう。

 回避されただけならばまだいい。問題は、この二人の戦いに巻き込まれてしまう恐れがある事だ。今の両者の戦いに巻き込まれて生き残る事が出来るのは藍染くらいだろう。

 

「安心せよ雨竜。お前の行為は無駄ではない」

「え……?」

 

 ユーハバッハに一矢報いる為にここまで来た雨竜は、それが無為になった事に悔しさで表情を歪めていた。だが、そんな雨竜に対し、クアルソは優しく声を掛ける。

 それがただの慰めではないという事が、何故か雨竜には理解出来た。そしてクアルソに向けて何か言おうとした所で、ユーハバッハによって戦場から遠ざけられる事となった。

 

「下がらぬなら、下がらせてやろう」

『!?』

 

 そう言ってユーハバッハは残火の太刀を振るい、一護達が足場としていた宮殿を破壊する。空中で足場を作る事が出来ない一護達にとって、足場を奪われるだけで上空に立つユーハバッハに近付く事は困難となるのだ。

 一護達を殺す必要はない。殺そうとしてしまえば、クアルソによってその動きを止められてしまうだろう。それは未来予知で知っていた。そして、殺そうとせずに追い返すだけならば、クアルソが何もして来ない事も知っていた。故にユーハバッハは一護達を追い返すだけに留めたのだ。

 

「さて、これで邪魔者はいなくなったな。ゆっくりと決着をつけるとしよう!」

 

 ユーハバッハは二度と邪魔が入らぬよう、霊王宮の更に上へと移動する。クアルソも同様にだ。これで霊子を固める事が出来ない者は両者の戦いに割って入る事が出来ないだろう。

 邪魔が入らない場所でゆっくりと決着をつける。そんなユーハバッハの発言に対し、クアルソは首を振って拒絶した。

 

「お前との戦いは心躍るものだったが……決着は、直につけるとしよう」

「なに……!?」

 

 ユーハバッハとの戦いは楽しかった。これ程までに心躍る戦いは幾久しかった。二年前の藍染ですら、これ程まで長い時間戦う事はなかった。

 だが、それも終わりだ。霊王が死んだ今、世界は崩壊と融合の一途を辿っている。どうすれば元に戻せるかクアルソにも解らないが、ユーハバッハを倒さない限り話にならないのは理解できていた。故に、クアルソは全力の全力を出し切って、ユーハバッハを倒そうとする。

 

「終わりにするぞユーハバッハ」

「抜かせ!」

 

 クアルソの言葉にそう叫び返し、ユーハバッハは全身全霊を籠めて未来を見通す。何があろうとも見逃さない。僅かな痕跡もだ。クアルソの一挙手一投足を見る事は出来ないので、自身に起きる変化を髪の毛一本足りとも見逃さない。

 それ程の集中力で未来予知をしていたユーハバッハは、二秒後に自身が血反吐を吐き出すという未来を予知した。

 

 ――二秒後か! だが!――

 

 二秒という短い制限時間で様々な未来をシミュレーションし、最適の手段で攻撃を耐え凌ぐ。場合によっては反撃に転じる。

 たったの二秒だが、クアルソとの戦いで成長していくユーハバッハにとっては十分な時間だった。……その筈だった。

 

 ――右に……動けん!? 左、後ろ、前……動けないだと!? 残火の太刀……莫迦な!?――

 

 未来のユーハバッハは、何も出来なかった。どの方向にも動けない。残火の太刀も振るえない。指一本足りとも体を動かす事が出来ない。何をされているのか、未来を見ても理解出来ないでいた。

 天使のヴェール。ユーハバッハが知らない、クアルソの隠し持っていた能力だ。その効果は、自身の霊力や霊圧を隠蔽し、何の変哲もない通常の魂魄のように見せかけるというもの。だが、デメリットとして天使のヴェール発動中の霊力消費は10倍となり、更には肉体から離れた霊圧や霊力、つまりは虚閃(セロ)のような攻撃を隠蔽する事は出来ない。

 逆に言えば、肉体と繋げてさえいれば霊力による攻撃を隠蔽し、不可視の攻撃を放つ事も出来るという事になる。クアルソはそれを用い、肉体から霊力を伸ばしてユーハバッハを覆いつくし、全身を拘束したのである。

 

 ユーハバッハの全知全能(ジ・オールマイティ)は恐るべき能力だ。その名の通りの全知全能とまではいかないが、この世にある数多の能力の中で、限りなく全能に近しいと言えるだろう。

 だが、ユーハバッハが改変出来るのはあくまで未来のみ。能力を発動した瞬間、すなわち現在を改変する事は不可能だ。つまり、見えない霊力で全身を拘束された時点で、ユーハバッハは詰んでいたのだ。

 

 身動きは取れず反撃はおろか回避すら不可能。そう判断したユーハバッハは咄嗟に残日獄衣を発動する。攻撃に回していた力を防御の為に戻したのだ。だが、その判断は無意味だった。

 

「ごふぅっ!?」

 

 残日獄衣により一千五百万度の炎と化した筈のユーハバッハが、血反吐を吐き出した。その腹部と頭部にはクアルソの掌底が放たれていた。

 両の掌から放たれる頭部と腹部への浸透掌だ。それにより、一千五百万度の炎の防御すら貫き、ユーハバッハの脳内と体内に膨大な霊圧が浸透していく。

 

 ――この、程度で――

 

 それでもユーハバッハは未来を改変しようとした。己の死をなかった事にしようと全知全能(ジ・オールマイティ)を発動しようとする。

 

 ――ッ!?――

 

 だが、何時まで経っても能力が発動する事はなかった。脳を破壊されながらも、ユーハバッハはその原因を理解する。

 

 ――私の、魂魄が――

 

 ユーハバッハの肉体。つまり魂魄そのものにクアルソの霊圧が浸透していた。それにより、ユーハバッハの重要器官の殆どが破壊される事となった。霊力を生み出す鎖結も、霊力を増幅する魄睡も、想像力を働かせる脳もだ。

 そして、クアルソの霊圧は消え去る事なくユーハバッハの体内に残り続けていた。クアルソがそうなるように霊圧を放出し続けているのだ。それにより、ユーハバッハは霊力を必要とする能力の全てが使えない状態に陥ったのだ。

 それだけではない。滅却師(クインシー)にとって(ホロウ)の霊子は毒だ。ユーハバッハという滅却師(クインシー)の規格外は(ホロウ)の霊子すら吸収する事が可能だが、クアルソという破面(アランカル)の規格外の霊子は流石に吸収しきる事が出来ず、その膨大な霊圧は膨大な毒となってユーハバッハを蝕んでいったのだ。

 

 死しても死すら改変する能力も、使えなければ意味がない。そして、死という明確な終わりがあるからこそ、ユーハバッハはクアルソの攻撃を避けていた事も察していた。そうでなければ攻撃を避ける必要もないだろう。

 万が一にも死ぬ可能性がある。だからこそ避けていたのだ。それにより、クアルソはユーハバッハの未来改変の限界を見切った。死んだ後に復活出来るとしても、時間制限などの限界があるのだと考えたのだ。

 雨竜の動きがその考えを後押しした。雨竜は頭が切れる人物だとクアルソは思っている。その雨竜が無策でユーハバッハに向かう訳がない。何らかの手段により、ユーハバッハを倒そうとしていたのだろう。それはつまりユーハバッハを倒す為の手段があるという事に他ならなかった。

 

「口惜しいな」

 

 ユーハバッハが最後の力を使ってクアルソに語り掛ける。全ての能力を封じられてなお、それだけの力を残すユーハバッハはまさに傑物だったのだろう。その力の方向性さえ違っていれば、クアルソとユーハバッハには別の出会いがあったのかもしれない。

 

「道は閉ざされた。恐怖なき世界への道が。現世も、尸魂界(ソウル・ソサエティ)も、虚圏(ウェコムンド)も、一つとなるべきだったのだ。生と死は混じり合い、一つとなるべきだったのだ」

「……」

 

 ユーハバッハに残された力は言葉を語るだけしかない。それを感じ取っていたクアルソは、ユーハバッハの最期の言葉に耳を傾ける。

 

「無念だ。クアルソ・ソーンブラ。お前のお陰で生と死は形を失わず、命ある全ての者はこれから先も死の恐怖に怯え続けるのだ……永遠に」

 

 生と死の恐怖に怯える世界。元々そうなのだから、変わりなくあるだけだ。そう言う事は容易いだろう。だが、他の世界はいざ知らず、この世界では元々ユーハバッハの言う生と死が混ざり合った世界が正しい在り方だったのだ。

 遥か昔に起こった出来事により、世界は今の形に分かたれた。ユーハバッハはそれを元に戻し、世界から死の恐怖を取り除こうとしていたのだ。世界を在るべき姿に変えようとしていたのかもしれない。

 そうして悔しがるユーハバッハに対し、クアルソは反論する。

 

「死のない世界。それを理想と思う者もいるだろう。お前の理想に賛同する者もいるだろう。だが……人は死と共に成長してきた。死を恐れるからこそ、人は死なぬように努力してきた。限りある生を楽しもうと進み続けてきた。死がなくなった世界は、何の発展もない閉じた世界だ。私は、そんな世界を見たくはないな」

「……」

 

 クアルソの反論に対し、ユーハバッハは何も答えない。そんな事はユーハバッハにも解っていた事だ。それでも、あるべき世界へと戻したかったのだ。それが叶わなかった今、ユーハバッハはもう一つの無念を口に出した。

 

「無念だな。お前に勝つ事が出来なかった。これ程までに勝ちたいと思った敵はいなかったというのに」

「楽しかったよユーハバッハ。出来れば、別の出会いがしたかった」

「例えどのような出会いをしようと、私は世界を融合する為に動き出し、お前はそれを止める為に動いただろう……」

 

 ユーハバッハにはそんな確信があった。遥か過去に出会い、友となり、共に研鑽を高める仲になったとしても……最後にはこうなっただろうという確信が。

 

「最期に、聞かせよ……貴様は、何をした……? どのようにして、私の動きを封じた……?」

 

 命を失う直前となったユーハバッハの気掛かりはそこだった。あの時、全身を指一本足りとも動かせなくなった時、何をされたのか理解出来なかった。まるで見えない力で全身を抑え付けられたかのようだった。

 

「ふむ……。次があるかは解らんが、後学の為に教えよう」

「……」

 

 どこか含むような物言いに対し、無言で待つユーハバッハに向けてクアルソは言い放った。

 

「己の力を明かす者がどこにいる?」

「……ふ、はぁーはっはっは! その通りだな! 私も、次があれば気をつけよう! ……さらばだ、クアルソ・ソーンブラ」

 

 クアルソの正論とも言える言葉を聞いて、大声で笑いながらユーハバッハは死んでいった。

 

「さらばだユーハバッハよ。次があるならば、別の未来を夢見てほしい」

 

 死したユーハバッハに向けてクアルソが別れの言葉を告げる。こうして、長きに渡った滅却師(クインシー)との戦いは、終わりを告げたのであった。

 

 




 天使のヴェールまじ天使のヴェール。
 次話で鰤編終了予定。早く書き上げたいけど、スパロボという強敵が前に立っていてな……。私の未来予知でも何時になったら書きあがるのか見通す事が出来ぬ……!

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