次回からこの物語のsts時系列における最後の戦いは次回から始まっていきます。どうにかしてvivid編までたどり着けるように頑張ります。そして、GOD編もいずれ出来たら……と思っています。
まぁとりあえず、今回の話をどうぞ。
「……ハッ!」
ユーノは、目を覚ました。
目を覚ました彼の視界にまず入ってきたのは、先程までいた『無限書庫』ではなく……彼にとってはなじみ深い管理局本局の医務室の天井。そのまっさらな白い天井を見ていると、なんだか思考もぼんやりと白く染まり……再び意識を失いそうになる。
だが、そのぼんやりと霞んでいく視界を再び鮮明に変える様に、大切な人たちの声が聞こえてきた。
「ユーノ……よかった、目……覚めたんだね」
「……フェイト」
「ホンマ、良かったわ……二人とも無事で……」
「はやても……」
「ユーノ、一体何があったか、についてはなのはの方から大体の話は聞いた。その襲撃者について、君の意見・見解を聞いておきたい」
「クロノも……忙しいのにゴメン。あ、そういえば……なのはから聞いたってことは……」
「ああ、安心しろ。なのはの方も目覚めてる。今は異常がないかをシャマル先生にチェックをしてもらっているところだ。勿論ユーノ、君もこの後受けてもらうことになるから覚えておいてくれ」
「あ、うん……」
クロノの言葉にとりあえず一安心したユーノは、周囲を改めて見回してみる。
そこにいたメンバーは、なかなかに錚々たるメンバーだった。やはり『無限書庫』を襲撃してきた、ということでフェイトやはやてを筆頭とした元六課のメンバー、スバル、ティアナ、エリオ、キャロと言ったフォワード陣や現・提督のクロノまで来ている。その他にも、はやての守護騎士であるヴォルケンリッターの面々や無限書庫の司書でもあるフェイトの使い魔アルフも……色々な人たちに迷惑をかけてしまった、と思うと同時に自分自身の無力さをユーノは痛感した。
自分の無力さを嘆くことになるのは初めてではないが、またその無力さのせいで……大切な人を危険にさらしてしまうことになっている。これじゃあ、まるっきり……そう『あの時』と同じ……。嘆くしかできない、しかも今回は資料収集等……
だって、そうではないか。
あの女魔導師……『ラス』といったか、彼女も言っていた。フライハイト……《皇帝・アブソルート》の記録や人々の記憶は
そのことを、クロノに事情や彼自身の見解を語りつつ……マルチタスク、というには少々規模の小さい別思考を展開させつつ、霞の掛かったような〝ズレ〟のようなもの――彼が感じていた疑念や矛盾のその本質が何であるかが、ユーノの中で一ピースずつ組み立てられ……、一つのビジョンを形作っていく……。
「――ユーノ。おい、聞いているのか……?」
「あ、あぁ……ゴメン。少し気になったことがあって…………」
「気になったこと……? 一体それは何だ?」
クロノは怪訝そうな顔をして、ユーノにそう聞き返す。ユーノはそれを語ろうとした、しかしその時ふと思いついた、ある《可能性》。これまでずっと考えていたそれは、より鮮明に彼の中で構築され、バラバラだったはずのピースが……彼の中で……完全に組み合わさったのだった。
「まさか……」
「おい、本当に大丈夫か……?」
「ゴメン、クロノ……。ちょっと……っ!」
「ユーノ!?」
「ユーノくん!?」
ユーノは病室から飛び出していく。それに驚き、呆然とする一同。
「ティ、ティア……せんせーどうしたのかぁ……?」
「さ、さぁ……? 何か気になることがどうのこうのって……言ってたけど」
「……とにかく、ユーノを追うことにしよう。あの調子だと、あのまま徹夜にでも直行しかねないからな……あのフェレットモドキは。アルフ、案内を頼む」
しかし、その表情にそこまでの怒りもない。手のかかる弟を見るかのような目であった。
それを見て、一同は……同じように苦笑にも似た笑みを浮かべながら一同もまた『世界の叡智眠りし本棚』へと向かって行った。
* * *
『無限書庫』内にて――。
――ずっと引っかかっていた疑問・疑念。
それの確認の為、再び彼は『
――あいつは言った、皇帝に関する記録は世界から消えたと。その過程にはいろいろと疑問が生じる部分が多かったが、しかしそれでも何よりも彼の中で渦巻いていたある一つの可能性の話。
――――本当に、〝記録〟が
『槍』は話を聞く限り、かつこの世界に残っている事象や歴史を顧みてみれば……あの『槍』が〝時を操る〟ことに関しては疑いようはない。だが、その効力や……その効力の『範囲』については……何もはっきりとしたことを目の当たりにしたことはない。
――――そしてそれが、『自分の庭』にまで及ぶのか……についてもまだ、何も分かっていない。
この『無限書庫』は、次元世界中の書物を〝収集〟する。
その方法は、
だがしかし、それを今……確かめるための術が……ある。
いや、正確には――その片方に賭ける際に、そのどちらかが必然と分かるかも――というだけの話だ。
無限書庫には、情報を集める力がある。
勿論それは、存在しうる情報を――である。
だが、それが……この「本棚」が存在していた時間の間に、その情報が〝あるならば〟の話である。だから、『
それは例えば――《古代ベルカ》。
最早既に消え去った世界の記憶さえも、この書庫はその身の内に保有している。それは、例えば……『聖王』であり『覇王』であり、『
だから、その収集の力が……
――ベルカにあった《皇帝》の記述は全て世界から消えた。
――《皇帝》の存在は、世界の表面上からは拭い去られた。
――ならば必然的にベルカにあったであろう『それら』は、『槍』の効果の範疇……。
だが、
――複製されたものならば……、話は別ではないか?
そう、考えた。
――《皇帝》は世界の中に〝いない〟認識になっている、それが『槍』の効果……。
――だから、「検索」では出てこない……のかもしれない……。
――ただ、それだけの都合のいい……《とある可能性の話》。
その一点、馬鹿げているかもしれない。だが、少なくとも……試してみる価値くらいは有る。
――――その一点。
これが、彼をここに向かわせた理由のほとんどである。
不確かではある。しかし、それでも……歩むその足を止めることができないのは……彼が、この歴史の、世界の叡智の申し子だからなのかもしれない。彼にはそれこそ――記憶の〝呼び声〟さえ、無意識の内に聞き取っていたのだろう。
そして、彼を呼ぶ……その声の主たちは――――。
検索条件は、この世の全ての記憶から外されたもの。条件を持たない、《ブランカ―》達の、探索。全てを除外したその先に眠る、忘れ去られた、抜き取られた〝空白の時間〟の産物たちが今……彼の手に、収まった。
まるで、目覚めの時を待っていたかのように。
「見つけた……」
そして明かされる、《皇帝》の全容。
皇の居城にして、あの「ゆりかご」をも凌ぐ破壊兵器。禁断の力、『
そしてそれらを統括するための「管理者」の存在。この兵器のユニット、その性質は元々は単なる制御、かつ『槍』と『静寂の終焉』の両方を運用する補助役でしかなかった。しかし、ベルカにおいてその管理者が表に出てきたという記録はない。
しかしその理由は非常に単純。それを使いこなせるものが一人もいなかったから、である。
ただ、その使用者たる《皇》がベルカにおいて一人だけいた。それが《アブソルート》。
そして、それを永い眠りの中でかぎつけたとしか思えない行動をその〝プログラム〟は起こすこととなる。まるで人間が〝鬱憤〟でも晴らそうとするかのように、自分で使用者を……そうかつての『闇の書』のように、主を勝手に制定して動き出す……そんな歪んだ動きをとることになってしまう。
そのまさしく亡霊が憑ついてるかのごとく、その歪み切ったアルゴリズムを狂わせたその影のような闇は……名を、『
段々と明かされていく、嘗ての狂気の証やそれに関する真相や、どうにもおかしかった〝矛盾〟のその大体の見当が付いて行く。
――〝息子〟解き放つために必要なのは……「根競べ」で、「早さ」だ……。
――〝息子〟が囚われているのは、まさしくプログラムの檻の様なものだ。
――それを、壊すのに必要なのは……
……明かされていく真実、ついに忘却の彼方で止まっていた物語が再生されたこの時代で、動き出していく……。
* * *
情報は、そろった。
後は、動けばいい。
〝息子〟と〝娘〟を救い出すのに必要なものは既に出揃った。
後はそれを実行するために、行かなくてはならない。
――――〝息子〟と〝娘〟の下へと、行くのだ。
決意を固める。これで自分が行うべき準備らしい準備は終わった。
後は、いやそれは愚問だろうか。
「――増援、必要なんだろう?」
来るのは、分かっていたのだから。
「うん、頼むよ……皆」
「うん!」
「任せて」
「オッケーや」
「了解です!」
「了解しました」
「やりましょう!」
「必ず助けましょう!」
「ぶっ潰しに行くとすっか」
「我らの力を……示そう」
「後方支援はお任せです」
「皆を守る盾となるのが、我が役目」
「頑張るですっ!」
「やってやろーじゃん」
「それじゃあ、行こうか……」
「ああ」
現管理局最強クラスの布陣が、動き出す。
* * *
そして、救出作戦は開始される――。
[Salvage_to_kings.]
次回、《闇を打ち破るもの ――救いたい、願い――》
いかがだったでしょうか?
それではいよいよ次回から決戦が始まっていきます。次回以降もお付き合いいただければ嬉しいです。
これからも頑張って書いていきます。