今回は非常に短いです。まぁその分次回が長くなるとも言えますけども……その辺はおいておいて、今回は『合宿編』の導入と言ったところでしょうか。
みんなが参加して楽しく高め合う合宿と言った感じにできればいいのですが、うまくかけているかは正直不安だと感じつつ、次話投稿となります。
あと、人数的に模擬戦どうするか少し迷ってます。ユーノかソフィ抜くか……それとも誰か一人追加するか……そのことについて、ちょっとアンケートを取りたいと思います。活動報告を出しておくので、そちらの方に意見をお寄せいただければ嬉しいです。
後は、このまま順調に『インターミドル編』か『GOD編』につなげていけるといいのですが、どちらをさきにするか今は少し迷っています。一応正史ではインターミドルの方が先なのですが、ハイトが加わっている都合上みんな強くなっているのでもしかしたらGODの方が先になるかもしれないと、そんなことを考えつつ投稿していきます。
それでは、どうぞ。
『旋律が告げる、お楽しみの予感 ――サプライズアタック――』
学生にとっての試練というと、何を思い浮かべるだろうか?
恐らく、大半の生徒は『試験』と答えるのであろう。
学科、実技、それらの違いは有れども……きっと大半の生徒はそれらを受けなければならないことに、きっと各々が気の滅入る思いを大なり小なり抱えているだろう。
しかし、それも運動や勉強が差して嫌いでない優等生にはあまり苦手な物という訳でもないだろう。
だが、それでもやはり――
「うぅぅぅ……!」
決して楽しいだけ、というものではないのは至極当たり前のことである。
「頭痛い~……」
教科書片手に頭を搔いている黒髪の少女、リオ。
「だよねー……」
机に顎を乗せてうだーっ、となっている金髪の少女ヴィヴィオ。そんな二人を「たはは……」と苦笑してみている亜麻色の髪の少女コロナ。いつも元気な三人娘たちも、この時期は少しばかりパワーダウン気味である。
St.ヒルデ魔法学院――ただいま一学期、前期試験期間の真っ最中である。
「今日も試験だよぉー! 大変だよー……!!」
あまり勉強が得意でない方のリオはすっかり涙目である。
勉強が嫌いという訳でもないが、スポーツ系の方が好きな彼女はじっとしているのは得意でないのかもしれない。
とはいえ、他二人が完全に余裕かというとそうでもなく……。コロナはいつも百点を連発するくらいなので、多少手を抜いたところできっとそこまでひどい事にはならないだろうが、真面目な彼女がそんなことするはずもなく……しっかりと復習を重ねているので、やっている量はあまり変わらない。
ヴィヴィオもコロナほどではないにしろ、『無限書庫』の司書業務やユーノに教えてもらったりするので勉強自体は嫌いでないが、こうしてペーパーテストをさせられるのは楽しいと言い切れるものではない。
しかし――。
「すぅ、すぅ……」
そういった苦労から最も縁遠い人物がここに一人……。
「…………なんであんなで毎回百点取れるんだろう……?」
知識的意味でも父親と似たタイプな彼は普段の授業でも十分知識を養い、普段の趣味の範囲でもそれなりに知識を取り込み、司書の仕事では父親に次ぐ検索・閲覧能力を発揮する。はっきり言ってかなり理不尽だと言いたくなる。
「「……恨めしい」」
「ふ、二人とも……落ち着いて」
ジト目を向けられても、知識の申し子(の息子)である彼には少しも届かない。
記憶を失っても、シュティレの言うところの多少スペックダウンをしても尚……彼は日常や自身の趣味を妨げるような壁を持たないらしい。
……なんとも羨ましい事である。
そんなわけで、姉と友人にちょっぴり妬ましい視線をもらいながらも、試験期間は過ぎ去っていく。
(……今日最後の科目かぁ…………ねむい)
(これさえ終われば……!)
(土日合わせて四日の試験休み!)
(そして――)
(((――合宿!)))
そう、この試験が明ければ四日間の試験休み。
そしてそれを利用して――大人たちも混ざった練習合宿が行われる。
行先はルーテシアの住まう無人世界『カルナージ』。そこに有るホテルアルピーノでの訓練合宿と異世界旅行を兼ねたイベントという事である。
そしてそこには――。
たくさんの実力者たち――強者たちの集い、その合宿は一波乱を巻き起こすだろう。
楽しい合宿の
* * *
――そんな訳で。
「「「無事試験終了しました~!」」」
そんな元気な声と共にヴィヴィオ、リオ、コロナの三人は試験終了をなのはとフェイトに告げる。
「はーい、皆お疲れ様~♪」
「結果はどうだった?」
そういって三人をねぎらい、三人の頑張りの程を訪ねてみる。その問いかけに、三人とも笑顔で試験の結果容姿を広げて見せながら答える。
「花丸評価、いただきました!」
「皆揃って~!」
「優等生です!」
試験の方は皆滞りなく終わり、三人ともしっかりと試験を乗り越えた。
「みんな頑張ったね―……って、アレ? ハイトは――」
「あ、今ユーノと一緒にキッチンでお茶入れてるよ?」
「結果発表に一人だけ混ざらないなんて、今回は見られるのが恥ずかしかったのかな~?」
ニヤッとなのはは冗談めかして言うが、
「なのはママ、そうじゃないみたい……」
ヴィヴィオがソファの上に放り出された結果用紙を――というか、かなり粗雑に持って帰ってこられたらしい皺交じりのそれを――拾い上げ、なのはとフェイトの前に広げる。
「お、どれどれ~?」
「えーと…………?」
二人はそれをしげしげと眺め、そして驚愕のあまり固まってしまう。
そこには、実技・筆記ともにオールSの評価のついた結果がまざまざと、おしげもなく提示されていた。
「「…………(唖然)」」
これまでも、成績がいいのは分かっていたけども……最近はノーヴェを怒らせたり、アインハルトとのなんやかんやがあって少しばかりわたわたとしていたというのに――――ハイト、なんと恐ろしい子……ッ!?
そんな旋律と冗談が入り混じった感想が湧き出る中、その当人が姉のソフィと父親のユーノと一緒にお茶の乗ったお盆を手にやって来た。
「お茶はいったよー」
どこまでも間延びしたその声に、毒気を抜かれはしたというか……なんだかもうこれは天命だというしかないと悟った母親と娘たちだったという。
「??? どうしたの……?」
母親たちが何だか呆けているので不思議そうに声を掛けるハイト。自分が何をしたかを今一つ把握していないというか、興味なさすぎるのでは? と言った感じの彼の頭を、ママンズはただそっと撫で、口を揃え『偉かったね―』とだけ言った。ちなみに、後からそれに姉たちと友人たち、父親までも加わり、なんだかちょっと狭苦しかったという感想をハイトはその後に残すのだった。
さて、そんなこんなは有ったものの――とにかく、一同は滞りなく試験休みに入ることができた。
学校から直接
「待って、ユーノくん。もう二人、お客様が来るから」
「あ、そうだったね。うっかりしてたよ」
「もう、しっかりしてよ~?」
「ねぇ、ママ、パパ。お客様って……?」
するとその時、ピンポーン! と、玄関でチャイムが鳴ったのが聞こえた。
《いらっしゃったようです》
レイジングハートがそう告げる。
誰が来るのか気になっていたヴィヴィオはトテトテと玄関へ向かう。
するとそこにいたのは――。
「こ、こんにちは……」
「アインハルトさ~ん!」
ヴィヴィオは嬉しそうな声を上げた。
そう、そこには――少し恥ずかしそうにしながら、ノーヴェに連れてこられたアインハルトがいた。どうやら、ハイトの方はノーヴェにアインハルトを合宿に誘ってみたいという提案をしていたらしく、連絡先を交換していなかったハイトに変わりノーヴェが彼女の方に連絡を取った。
実は、ハイトに言われた通りに謝罪のためにこれまでの対戦者のところに出向いた際、学業優先を盾に取られハイトはいくことができず、丁度あの場にいたノーヴェが保護者役もかねて代わりに行ったので、ノーヴェもアインハルトとそれなりに言葉を交わし、事情を聞いたらしい。ちなみに余談だが……何故その際にハイトとは違ってちゃんと連絡先を交換していたのかについては、大人としての良識か、前途ある選手を見つけた際に
そんな訳もあり、彼女が今回アインハルトをスクライア家まで案内することになったという訳だ。
「ハイトさんの方から、異世界での合宿のするからとのことでしたので……。それで、ノーヴェさんに連れてきていただいたのですが……その、ご一緒させてもらってもよろしいでしょうか?」
「もちろん! もー、全力で大歓迎です!」
美しい虹彩異色の瞳を輝かせながら、凄く嬉しそうにアインハルトの手を握りぶんぶんと振るヴィヴィオ。するとその後ろからハイトがやってきて「二人とも、いらっしゃーい」と間延びした声で出迎える。
「お姉ちゃん、とりあえずハルお姉ちゃんに上がってもらおう……? ノーヴェもほらほら」
「――ハッ!? そ、そうだった……と、とりあえずどうぞアインハルトさん、ノーヴェ」
「はい、では……お邪魔します」
「お邪魔しまーす」
やっぱりサプライズは組んで正解だった、とハイトはなんとなくヴィヴィオを見て思った。
そうしてアインハルトとノーヴェを加えた一同は、どうせここまでそろい踏みしたならという事で途中でリオとコロナの家によってから、二人の家族に挨拶をして出発しようという事になった。
かなり広めのワンボックスカーに乗って、ユーノの運転で一気に目的地へと出発する。
休日旅行と、異世界渡航と、そして訓練合宿を兼ねた楽しいイベントが始まっていく。
* * * 『回想 お誘いの知らせ』
「――――合宿、ですか?」
唐突に受けた連絡の主は先日少し――いや、その前のことも含めて(そもそも、彼女が彼らと関わるきっかけになったあの出来事からして――当初の挑戦は彼女へ向けてのものだったのだが)かなりお世話になったノーヴェ・ナカジマだった。
『おう。ハイトが「来てみたらー?」ってなぁ』
中々に嬉しい申し出だが、
「そう、ですか……。ですが、私は鍛錬が――」
この前は確かに負けはしたし、これまでのような我武者羅な戦いもしないつもりだが……それでも競技の格闘技の練習合宿では――と思うところがあるのも事実。それに、家族と友人で行くのに、いきなり言ったら迷惑だろうという気持ちも少なからずあった。
しかし、
『ああ、そうそう。ハイトの奴から伝言をもう一つ頼まれてたんだった』
「伝言、ですか?」
断ろうとした矢先に、いきなり追加の伝言という事で少々出鼻をくじかれたような気がしたが、それでも(この時代で出会ったのは最近だが)古くからの友人からの伝言となれば友として蔑ろにするわけにもいかない。
そうこうしているうちに、『そうそう――ええっと……あっ。これだ、これだ。ほら』といってノーヴェがそのメッセージをアインハルトの方に送信してくれた。
早速それを読むアインハルトだったが――。
「……? ――っ!?」
少し読むと、まるで心でも読まれたかのような驚き方をして固まる。
『??? どうしたんだ?』
「…………いえ……その」
『ん? …………ぷっ!? ~~っ、ははは! こりゃ一本取られたな!』
何か変なことでも書いてあったのかと、ハイトから「ハルお姉ちゃんがいきたがらない様だったら、これ送っておいて」との言伝の下、渡されたそれに書かれた予想外の内容にノーヴェは思わず吹き出してしまった。
するとそこには――――。
【なんだかこの前それなりに言葉を交わしたけど、なんだかハルお姉ちゃんはすごい頑固だろうっていう記憶が警告してる気がするから、一言二言載せておくことにします
もしかして、迷惑だとか考えてる? 迷惑なわけがないよ。
相手が不足だっていうなら、なおのこと来て見なよ。絶対、良い意味で後悔するから♪ それでも不服なら合宿中好きなだけ相手するよ。まぁ、さっきの通り、絶対に不服になんてならないだろうけどね。
そ・れ・に! ファータとママたちを含めて、腕利きの魔導師が一堂に揃うから来てみるだけでも損はないよ? それに、戦えるから、経験を得たいなら……きっとこれ以上の機会はないよ。
あと、ファータが古代ベルカ関係の書籍を集めて持ってきてくれるからきっと興味を惹かれると思うよ? 合宿先のホテルと周辺施設を運営しているルーお姉ちゃんもそういう本いっぱい持ってるし。
だから……きっと、楽しいよ。
是非来てね。……まぁ、僕の意地悪な記憶は、ここまですれば大成功って告げてるけど――どうかな?】
――――とまぁ、そんなことが書かれており、既にアインハルトは断る選択肢のカードを失ってしまった。……というか、寧ろ行きたくなってきた。
『で、どうする?』
「……ご一緒させていただきます」
『おうよ!』
そんな少しだけ意地悪なメッセージは、かえってどこまでも少女の興味を引くことになり……全ては少年の思惑通りに進むのでしたとさ……。
めでたし、めでたし(?)。
* * *
次回、『合宿開始と力の形 ――ブランニューハート――』