相も変わらず忘れ去られたころにやってまいりました。
ようやっと模擬戦開始――の割には戦闘シーンが思ったより少ないという体たらくなので、次回に本格始動は持ち越しです。
あと、今回から『思デス』と同様、此方も感想はログイン不要でもできるように設定しようと思います。
ですが、誹謗中傷等の類はご遠慮ください。読むのが嫌な人はブラウザバック推奨です。
そんな訳で、これからはこれまでよりは早く投稿できると思ったので、という考えでこうしようとした矢先にまた投稿停滞という……いやぁ、世の中上手く行かないですね――( #`Д´)=○)゚3゚)・∵.ガッ ぐふぅ……っ、すんません。
まぁそんなグダグダで拙い駄作者ですが、よかったら今後もよろしくお願いします。
それでは本編の方をどうぞ。
自然豊かな次元世界――『カルナージ』を照らす朝日が昇る。
眩いばかりのその光は、『ホテル・アルピーノ』で眠っている一同の元へも優しく注がれ、今日という一日の始まりを告げた。
温かな日の光を感じ、それぞれの眠りは明ける。
それに合わせるかのように、小鳥たちがさえずり、流れる川の水は清涼な朝の空気を瑞々しく彩る。
はるか遠くに見える山々も、さんさんとした朝日にその姿をさらしその存在感を高める。
この世界の自然が、祝福を告げる様に目覚めだした。
本日も晴天、絶好の試合日和である。
* * *
陸戦場にて、一同集結。
今回行われるのは、所謂『紅白戦』スタイルでの模擬戦。
それぞれがDSAAの試合の様に
追条件として、大人組(とルーテシアとソフィア)にはランク――つまりは魔力出力に制限が掛かる。
以上が今回のルールの大まかな概要。続けて、参加メンバーを確認。
『赤組・チームリーダー』――フェイト・T・ハラオウン。
『青組・チームリーダー』――高町なのは。
この二人が実戦で例えるところの、チームを受け持っている隊長という事になる。その他のチームメンバーは言うなれば部下――隊員というところか。
そんな訳で、チーム分けをされたメンバーたちはそれぞれの隊長たちの元へと集う。
『青組』スバル、エリオ、ヴィヴィオ、ルーテシア、リオ、ソフィア、ハイト。
『赤組』ティアナ、アインハルト、ノーヴェ、セイン、キャロ、コロナ、ユーノ。
隊長含めて、全八人チームである。それぞれの
「――って、ちょっと待って!?」
「どうしたの、ファータ?」
「いやいや! なんでさらっと僕が参加することになってるの!?」
ユーノが驚きの声を上げている。それをみて、ハイトが不思議そうな顔をする。
何を驚いているのか、といった風のハイト(というか周り全員)に「いや、ちょっと待ってよ!」と言いたいユーノだったが、それはひとまず置いておいて今現在進行形で進んでいるこの状況に対する疑問から解決するのが先決だと判断し、このチーム分けについての疑問を訴えることにした。
「どうしたのとかじゃなくて……そもそもなんで僕がチームの中に入ってるのさ。それに、セインまで……」
至極当然の疑問だ、とユーノは思っていたろうが……そもそもほかの者たちからすれば、彼が参加しないこと自体が不服と思言える。なので、これは結局、多勢に無勢。言ってしまえば(一対多数であるけれども)民主主義に則った正当な結論であるといえる。まあもちろん、蹂躙(?)される側に回ってしまったユーノからすれば理不尽である、という印象が薄くはないのは否めないのだが。
さて、そんな彼の疑問にまず応えてくれたのは、『聖王教会』のシスター。元ナンバーズセインである。
「いやー、あたしも参加することになるとは思ってなかったんですけどねー」
そういうが、どうっからどう見ても彼女が加わることを前提にしているかのようにもいえるのだがそれは――とユーノが聞こうとすると、それを察したかのようにフェイトがそれについて彼に説明した。
曰く、
「お兄ちゃんから、セインが聖王教会からの差し入れを『ホテル・アルピーノ』に届けに来るのを教えてもらって、それでせっかくだから参戦にしてもらおうと思って」
という事らしい。
だが、それだけでよく決められたものだ……と一瞬思ったが、よくよく考えてみれば、船員がこんな面白そうなことを見逃したり断ったりはしないだろうことをユーノはなんとなく察した。というか、ヴィヴィオやハイト、或いはノーヴェ。その他にもはやてやヴェロサ、クロノやシャッハたちからも背人の普段のことはよく聞いている。
それだけあれば十分と言えそうなくらい、彼女はこういった楽しそうなことが大好きだ。
この場にいる彼女の妹であるノーヴェならばきっと「セインが
なので、きっとこのサプライズを考えていたなのはとフェイトは、これを見越していたのだろう。おまけに、丁度セインを加えれば人数は偶数であり、チーム戦をするとなれば非常に都合がいい。
だがもしもこの場が整わなかったらどうするつもりだったのだろうか、と思わなくもなかったが……なんとなくユーノは、はやてたちあたりか、或いは――いや、まさかとは思うが、クロノあたりが出張ってくるのではないか? 等と言う想像を巡らせてしまった。……どれも絶対にないとは言い切れず、在り得そうなのが微妙に恐い。
……というか、何故文官程度の自分如きにここまで凝ったサプライズを? などと思ったりもしたが、その疑問は浮かんできた瞬間に書き消えることになる。
何故か? その答えは非常に簡単である。
「ファータは僕たちと模擬戦やりたくないの?」
「え、いや別にそういう訳じゃ……」
僕が出てもたいして変わらない、そう続けようとしたユーノだったが、その二の句は告げられることはなかった。
「じゃあ、一緒にやろーよ。パパぁ~(きらきら)」
「うっ……!?」
「ねぇ、ファータぁ(きらきら)」
「お父様……(きらきら)」
そう、理由は至極簡単。
単に、子供のことをないがしろにしたくない親心ゆえの衝動に逆らうことができないからである。
三人のきらきら攻撃――いわゆる〝何かを訴える子供のまなざし攻撃〟的なアレ――に、ユーノは勝てず、結局――
「……わ、分かったよ……」
「「「やったぁー/やりました!」」」
「…………」
ここまで言ってもらえるのは素直に嬉しいのだが、かといってユーノの本職は戦闘魔導師ではないので、そこまで手放しに喜べないのは彼自身の変な生真面目さに起因するものかもしれない。
とはいえ、どう見ても逃げ道はなく、加えて自分を欲してくれているのだというのならありがたくお招きに預かるべきだ、とユーノは判断した。だからこそ、さっき了承の返事をしたわけであって――と、そんな事を考えている間に周りは既に林政ン体制に入り準備万端と言った面持ちだ。
ユーノもあわてて自身のバリアジャケットを展開する前準備を始める。
「じゃあ赤組、元気出していくよー!」
「青組もー」
なのはとフェイトがそう声を掛けると、皆一斉に自分のデバイスを握り締めて、持たないユーノとアインハルトたちはバリアジャケットを纏う構えを取り、元気にその言葉を澄んだ空へ向かって叫んだ。
「「「せーの!」」」
『――セーット、ア――ップ!!』
各々のデバイスたちがマスターたちの魔力光を放ちながら煌き、それぞれのバリアジャケットが生成・装着されていく。
シャキーン! と、ポーズを決める一同。
やる気十分、準備万端。早速それぞれの拠点へも戻り、改めてポジションの振り分けを伝えられる。
――フロントアタッカー―― 通称:FA LIFE:3000P
『赤』・ノーヴェ&アインハルト&セイン。
『青』・スバル&ヴィヴィオ&ハイト。
――ガードウィング―― 通称:GW LIFE:2800P
『赤』・フェイト。
『青』・エリオ&リオ。
――ウィングバック―― 通称:WB LIFE:2500P
『赤』・コロナ&ユーノ。
『青』・ソフィア。
――センターガード―― 通称:CG LIFE:2500P
『赤』・ティアナ。
『青』・なのは。
――フルバック―― 通称:FB LIFE:2200P
『赤』・ルーテシア。
『青』・キャロ。
ポジション分けを終えた各チームのメンバーたちは、早速作戦を確認し合う。
赤チームが、
「前半は主に、同ポジション同士でのぶつかり合いが多くなってくるだろうから、まずは1on1で様子見、それまでは自分のマッチアップ相手に集中」
「で、均衡が崩れたらそこから一気に攻め込む!」
「「「はい!」」」
青チームが、
「向こうは突破力の高い子がそろっているし、ユーノくんやルーテシアもかなり強いバックアップをしてくる」
「だからまずは守備を徹底してくんですね」
「そう、前半は守備を中心に固めた向こうの足を止めて行こう!」
「「「了解!」」」
両チームともに作戦を伝え合い、戦闘準備は万端。
それを確認したメガーヌが皆の準備ができたことを確認し、
「それではみんな元気に――試合開始~!」
と、開始を告げ……ガリューが幕開けを告げる鐘を鳴らすと皆一気に動き出す。
「〝ウィングロード〟ッ!」
「〝エアーライナー〟ッ!」
開始早々、スバルとノーヴェが空中に足場を作り出すと、彼女らはそのまま青と黄に彩られた空の航路を颯爽と駆け抜けていく。さらに、二人の作り出した魔力の航路に乗って魔導師たちは飛び出していく。空戦魔導師たちは飛び出していった仲間を見ながら自分たちが戦うべき相手を見据えてそこへと急行する。
「行くよ! リオ、ハイトくん」
「オッケー、ヴィヴィオ!」
「りょうーかい、お姉ちゃん」
「コロナさん、セインさん、お二人はどなたのお相手を?」
「私がリオをやります!」
「ほんじゃー、アタシはへーかの相手でもしよ―かねぇ」
「承りました!」
各
「いくよ、ストラーダ。今日こそ、フェイトさんとユーノさんを…………いや、『母さん』と『父さん』を撃ち落とす!」
「ふふふ。いいですよ、エリオくん。サポートは任せてください……私も、お母様とお父様を落とすのは目標の一つですから!」
「うわぁ……っ! エリオもソフィもすっかり本気……。油断したら落とされちゃうかもね、ユーノ?」
「いや、前線から離れて暫く経った僕にそれを言われてもなぁー……」
やる気十分なエリオとソフィと、そんな息子や娘たちの姿に嬉しそうなフェイトとそれを見て苦笑しているユーノ。
そんな飛び出していく面々を見送りながら、
「さてさて~、どっちが
「負けないんだからッ!」
と、FBを務めるルーテシアとキャロも気を引き締め、
(ユーノさんやフェイトさんがいるとはいえ、向こうにもソフィとハイトがいるし、なのはさんに大きいのを撃たれたら全滅の危険がある……)
(ティアナの徹甲狙撃弾は私のより速いし、固い……それに向こうにはユーノくんもフェイトちゃんもいる……)
((なら……))
((――必勝の一撃は、数の均衡が崩れた瞬間!))
その必殺となる一撃、それを撃ち放つ
* * *
「「おおおおおおォォォッ!!」」
ゴウンッ! という音と共に、青と黄の魔力光を散らせながら、自身の作り出した魔力の航路の上でスバルとノーヴェが激突。互いの得意な拳撃と蹴り技が同時に打ち放ち、ぶつかり合うその様はまるで剣士同士の鍔迫り合いのごとし。
格闘技に秀でた姉妹の攻防が繰り広げられる中、彼女らは互いに相手の重ねた研鑽の成果を実感しながら、相手を賞する。
「流石にやるね、ノーヴェ!」
「ッ――たりめぇよっ!」
ぶつかり合う二人の武装、スバルの『リボルバースパイク』とノーヴェの『ブレイクギア』がうなりをあげて火花を散らす。
刹那の均衡……だが、二人は互いの受けた衝撃を利用していったん距離をとる。
だが、両者の瞳はまっすぐと相手を見据え、彼女らの相棒である『マッハキャリバー』と『ジェットエッジ』もそんな相棒たち機外に応えるべく、ギュルルルッ! という音共にローラを回転させ推進力を高める。
デバイスたちの声援を受け、二人は笑みを浮かべると……相手へ向け、この場を譲らないという意志を示す様に疾走する。
「仕事はともかく、格闘戦技じゃあ――」
「とはいえあたしも、おねーちゃんだから――」
『負けない/られねぇーッッ!』
鋭い蹴りが繰り出され、二人が再度激突し、ガゴギィンッッッ! という張り詰めた音と共に、波紋のごとく戦場に響き渡る。
そんなナカジマ姉妹による
「リオ!」
「相手はコロナ? よーし、やっちゃうぞ―ッ!」
魔力弾を撃ち合いながら、リオとコロナはフィールドを移動しながら……コロナは〝己が闘うべき場所〟を、リオは〝相手と直接対峙できる場所〟をそれぞれ探る。互いの長所を生かせる場所の探り合いという名の派手な追いかけっこを始める。
リオとコロナのかなりダイナミックな魔力弾のぶつかり合いの余波が残る中、もう二組のFAたちがエンゲージ。
当初、ヴィヴィオ、ハイト、アインハルト、セインの四人は『ウィングロード』と『エアーライナー』の上で睨み合いになり、膠着状態となってしまったが……そんな状況を最初に打ち破ったのはヴィヴィオだった。
「ハァッ!」
当初、セインとアインハルトとしては予定通りに相手をするつもりだったのだが、ヴィヴィオがアインハルトへ向けて攻撃を仕掛けてきたので予定を変更。それぞれ、マッチアップ相手を変えたまではよかったのだが、
「ハイトくん!」
「オッケー……っ!」
「「……ッ!?」」
姉弟ならではの呼吸とでもいうのか……お互いにあくまで相手はハイトがセイン、ヴィヴィオがアインハルトなのだが、離れて1on1かと思っていたらその場所はごく近距離。しかも時折、お互いの援護まで行っている。
「ありゃりゃ……仲いいのは相変わらずだねぇ~」
「ありがと、セインお姉ちゃん!」
「おわっ!? かわいー顔して相変わらず容赦がないなぁーッ!」
「いきますよー、アインハルトさん!」
「くっ……!?」
そんな二人に翻弄され、いつの間にか線とアインハルトがほぼ一点に誘導されてしまう。
「しまっ……!」
「……!?」
二人がそれに気づいたときには、既に遅かった。
「今だよ!」
「一閃必中! 〝ディバインバスター〟」
母・なのはの得意魔法である『ディバインバスター』が、ヴィヴィオから撃ち放たれ、虹色の光を放つ高速砲がセインとアインハルトを襲う。
だが、彼女らとて場数を踏んできた強者。多少の動揺はあったものの、無論この程度では潰されはしない。
「アインハルト、しっかり捕まってろ!」
「ッ!? は、はいッ!」
セインの声により、アインハルトは何事かと思ったが先達であるセインの指示を受け、即座にセインの指示通りに彼女の身体にしっかり捕まる。それを確認すると、セインは彼女の先天的固有技能――通称・
「やっぱり当たんなかったね……」
「大丈夫、今のはハルお姉ちゃんだけなら最低でも掠ってはいたよ。それより、セインお姉ちゃんの行方を探らないと……」
セインの持つ『
とどのつまりそれは――。
(――――必ず潜行時間のリミットがあるという事……)
ハイトはそれを理解した上で、二人の居場所を探る。『ワイドエリアサーチ』を掛け、二人がそこへ飛び出した瞬間に拘束する――その一点に集中力を集める。
リオとコロナか、フェイトとエリオか、或いはなのはかティアナか。
魔力弾のぶつかり合いらしい音の喧騒さえもどこか遠くに聞こえる。
ハイトの知覚範囲、その範囲内のどこに飛び出してくるのか、それを探る。
探す。
感じ取るべく、周囲を視る。
そして、ついに――
「――そこッ……!」
それは、訪れた。
飛び出してきた方向はまさかの真正面であり、真っ向から向かってきた。
針の穴を通す様に駆け抜けてくる二人、だがそれもいくつかの予想した可能性の一つではあった。
故に、ハイトもヴィヴィオもそれを恐れずに対処すべく、次なる一手を打つ。
「〝ソニックシューター〟――ファイアッ!」
虹色の
この前衛後衛の布陣なら、そうそう遅れはとらない。
この勝負はもらった! と確信していた二人だったが――しかし、アインハルトのとった行動は二人の予想とは全く違うものだった。
「……『覇王流・旋衝波』……ッ!」
アインハルトがそうつぶやいた瞬間、ハイトは何か拙い状況にあることを察し、ヴィヴィオは何かがくるのは予想していたが、それ以上に何かを感じることは出来なかった。そうこうしている間に、アインハルトが〝受け〟の体勢に入る。勿論、それは単なる防御姿勢という訳ではなく、次なる彼女の行動――手さばき――によって、ヴィヴィオが放った『ソニックシューター』は一つ残らず
そう、文字通りの意味で放たれたそれらの中距離弾は着弾することなく、まとめてアインハルトの手中に収まってしまう。
(受け止めた!?
ヴィヴィオはアインハルトに向かう足を止められないまま、目の前に起こったことにただひたすらに驚いていた。
アインハルトはすっかり意識の一部が呆けてしまっているヴィヴィオへ向けて、彼女が放った攻撃をそのまま彼女維新へと向けて
それは勢いを殺しきれなかったヴィヴィオに向けて突き進んできた。
(うっそぉ~ッ……!?)
顔が引き攣ったままどうにかしてそれらの弾幕を防ごうとするが、咄嗟のことで防壁は張れない。なので、どうにか融合している〝クリス〟に頼んで防御に魔力を多めに回すことでカバーするが、それでもダメージは殺しきれずにヴィヴィオの
「ぐっ……!」 LIFE:3000→2300
着弾の際に起こった爆発の煙に巻かれながら自分のゲージの減りを見て、少しばかり手痛いのを食らった自覚はあったがそれでもまだ大ダメージではないことを確認。
ヴィヴィオはすぐさま、踏みとどまり目の前にいるはずの二人を迎え撃とうとする。
(すぐに体制を立て直して反撃を……ッ!?)
しかし、そう考えた彼女をそのままにするほど敵側も甘いわけでなく、体制を立て直そうとしたヴィヴィオの足首を突如真下から出現したセインが捕まえる。
「へへ~っ♪ 甘いよー、へーか」
「セイン……っ!?」
身動きの取れないヴィヴィオ。
先ほどまで抜群のコンビネーションを披露していた二人が、今度は相手側のコンビネーションアタックによって翻弄されてしまっている。
「油断大敵ってね? 言っちゃえ、覇王っ子!」
「はい……ッ!」
セインが拘束、アインハルトが畳み掛ける。
まさに隙を生じぬ二段構えと言ったところだが、三人の乱戦の最中も後方で拘束の準備をしていたハイトもまた、そこまでで終わる気などさらさらなかったのを二人はほんの僅かばかり思考の片隅に置いてしまっていたのもまた事実であった。
「〝チェーンバインド〟!」
ハイトの声が響く。
アインハルトの後方から飛び出してきた魔力の鎖だったが、それは敵であるアインハルトを素通りしてその後ろのヴィヴィオに絡まりつく。
「ハイトの〝チェーンバインド〟? なんでアインハルトじゃなくって、へーかに……って、まさか――ッ!?」
「……ま、まさか――ハイトくん!?」
セインとヴィヴィオの感じた危惧は当たっていたが、一足遅かった。
勢いよく飛び出してきた鎖は対象にがっちりと絡まると、そのまま一気に引き戻された。
「フィー―ッシュッ!」
「「ひゃああああああああ~~~ぁぁぁ……ッッッ!?」」
二人の悲鳴が重なって金色と水色の髪の少女たちは少年によって、豪快に一本釣りされた。
思いっきり地面から引っこ抜かれた為、ヴィヴィオとセインはろくに身動きが取れずにそのまま鎖の主の元へ手繰り寄せられた。
「セインおねーちゃん覚悟―ッ!」
「ぎゃああああああぁぁぁッ!?」
ハイトにそういわれて、セインは絶叫。本当ならさっさとヴィヴィオの足から手を離せばよかったのだが、ハイトの大胆すぎる戦法に思考がほんの僅か追いつかずそのまま一気に引っこ抜かれてしまった。
ハイトはそのまま向かってくるセインをヴィヴィオから引き離すようにして、新たなバインドをかける。
バインドによって固定されたセインへ向けて、今度はハイトが射撃魔法を発動する。
「〝シュートバレット〟!」
ミドルレンジの無い格闘型のアインハルトはあそこからでは助けには入ってはこられない。
蒼く光る魔力弾を交わす術もなく、セインはその弾丸が当たるのを耐えるしかないと覚悟を決めようとしたが――
「~~~ッ! ……? アレ?」
暫く待っても衝撃が来ないので、いったいどうしたのかと思い前を見る。すると、セインの目の前に翠の光を放つ障壁が展開されていた。
《油断大敵だよ、セイン》
「ファータ!?」
「えっ! パパぁッ!?」
唐突に飛んできた念話に驚いたヴィヴィオとハイトは、フィールドのサイドエリア付近でエリオ、ソフィの二人と交戦しているであろうユーノを見る。
確かに、ユーノはソフィとサポートが栓をしていたが、此方にはほんの少し目配せをしただけですぐにソフィの方に視線を戻すと念話で《これ以上はサポートを維持できないと思うから、脱出するなら早めにね、セイン》
「りょ、りょーかいです。ユーノさん!」
セインはすぐさまバインドブレイクを発動し、アインハルトの隣に舞い戻る。
《頑張ってね、二人とも。こっちもそれなりにソフィたちを止めておくから!》
「「は、はい!」」
少しまだ夢心地ではあるが、とにかく状況はほとんど最初と同じFA同士の睨み合いに立ち戻った。
けれど、
「やられちゃったね……でも、状況はまだほぼ互角」
「うん!」
彼女らの瞳に曇りもなく、
「いやー、申し訳ないなぁ……。まぁ、謝罪はこっから先の結果で示そうかねぇー!」
「ええ、やりましょう。セインさん」
ただひたすらに、目の前の壁を越える事だけを思っている。
――闘いは、まだ始まったばかりである。
* * *
次回、『熱戦、決戦! ――ヒートアップ・デュエル――』
いかがだったでしょうか? 面白かったのでしたら幸いです。
次回より本格的に模擬戦パートに入っていくので、バトルシーンの描写をもっと頑張っていこうと思います。
今後もお楽しみいただけるように頑張ります。あと、おそくなりましたがアンケートに答えて頂いた借金持ちの天秤座さん有難うございました。動かすの難しいと思っていたセインもかなり戦わせると面白い動きをできました。ただ、セインの能力があんまり鮮明に分からないのが少し困りました。無機物潜行って潜ってられる制限時間とかあるんでしょうか? 戦闘機人だから肺活量は超人的としても、STSだとルーを抱えてアジト戻ったりしてましたし、その制限時間も調べても詳細が分かんなかったので、もしご存じの方がいらっしゃたら教えて頂けたら嬉しいです。
さて、そんなこんなでしたが、お読みいただきありがとうございました。
次回以降もよろしくお願いします。