忘れ去られた、もう一人の王   作:形右

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 では、第三話投稿です。

 今回は今代の聖王陛下を登場させてみました。

 それではどうぞ! 


聖王陛下襲来 ――ヴィヴィオ――

 

 ―――ユーノがフライハイトと暮らし始めて約一週間が経過した。

 ユーノは一応フライハイトの血縁者の捜索を元・六課にいた幼馴染のメンツを通して依頼していたが……恐らくこれは絶望的だろうということは重々理解しているつもりだった。

 あのような取り残され方をして、まともな身内が名乗り出てくるとは思えないし……仮に良い身内だったとしても、既にこの世にはいない可能性が高い。

 そのことは、十九年生きてきてなお……〝血縁者〟がいない彼自身が一番理解している。

 だから、ユーノとしてはフライハイトの両親や親類にいい人がいるのなら――あるいは、彼のことをやむなく手放してしまった理由が有るならば、それを解消する手伝いをし……酷い理由ならば、フライハイトが忘れてしまっている《過去》が耐えがたいものならば、それを忘れるなり受け入れるなりしたフライハイトを全力で支える。

 フライハイトを預かったときに、昔の自分と重なるようなこの子の境遇にこうするのがベストであろうと考えられる選択をとることにしていた。

 むろん、それはフライハイト自身がユーノのそばにいたいと望むならの話で有り、本当にユーノ(自分)のそばにいたくないなら陰ながら支える体制をとるつもりだ。嫌がるものを無理強いされるのは一番たちが悪いことを知っている。とりわけ血縁や家族と言ったことに関してということならばなおさらである……。

 

 ともかく、今は知らせ待ちの状態である。

 もうしばらくして、フライハイトがもっとこの街での生活に慣れた頃……それでもフライハイト自身の過去が分からない状態で、フライハイトが『自身の過去』を知りたいと望むなら、いずれ彼の記憶や本当の名を探す機会を設けようと思っている。

 ユーノの一族『スクライア』の本業は、過去の歴史の調査なのだ。過去への探求は専門と言ってもいい。きっと、見つかるだろう。

 

 とはいえ、そういったごたごたはもう少し後の話だ。

 

 まぁもちろん、一番大切というか重要なのは――フライハイトが幸せであるか否か、である。

 それが、ユーノにとってフライハイトがこれから先の未来を過ごす上で、何よりも重要視していることである。

 この優しくはかなき少年の未来に、幸多からん事を願って…………。

 

 しかし、今はもう暫くの間……この緩やかな時を楽しもう。

 穏やかに流れる時の砂粒に身を委ね、日常という流れをそのままに感じていよう。

 

 

 

 × × ×

 

 

 

 時空管理局・本局『無限書庫』内にて――

 

 ユーノはフライハイトを連れたまま、書庫内で作業をしてた。膝の上にフライハイトを乗せ、フライハイトの話に耳を向けつつも……得意のマルチタスクで作業も並行して行っている。

 この一週間で分かったことだが、どうやらフライハイトは本が好きであるらしい。

 一度ものは試しといった具合に『無限書庫』に連れてきたところ、すっかりここを気に入った彼は物語等を読みながらユーノに分からない部分などを聞いたりしている。膝の上に乗り始めたのはこの質問の為だったか、〝父〟のそばに居たいからのなのかはもうわからないが……ともかくユーノの膝の上、ここがフライハイトの指定席になったことだけは分かる。

 ユーノはいつものように翡翠の魔法陣を足元に広げながら書物を躍らせつつ、フライハイトに視線を向ける。

(それにしても意外だったなぁ……まだかなり小さいのに、無限書庫を楽しんでるなんて)

 〝息子〟は思ったよりもインドア派の様だ。

 五歳くらいなら外に飛び出して行きたがる年頃なような気もするが、フライハイトはユーノにくっついてここを訪れてからというものここに入り浸っている。

 さすがにこれはちょっとまずいので、ユーノは近いうちにフライハイトを連れてどこかに出かけようかと思っている。

 ユーノはインドア派に見えるが、司書長である彼は同時に放浪の一族でもある。

 要するに彼は割とアウトドア派なのだ。

(最近の子にはアウトドア派が増えてるらしいからなぁ、外に出ることもやっぱり大事だもんね…………)

 今度は発掘現場にでも連れて行ってみようかな、とユーノは思っていた。フライハイトは割と歴史が好きなようで、今も歴史に関する物語を読んでいる。

 それをみて、なんとなくフライハイトと出会ったあの遺跡のことを思い出した。

 ユーノが元々指揮を務めるはずだったのだが、今ユーノにはそれができない。そんな訳で、今の調査隊は彼が学会でお世話になっている教授に依頼している。温厚な方で、ユーノと同じスクライアの出身でもある。

 そんな大先輩たる方に依頼したのだが……調査隊は四日前から調査しているはずなのだが、未だにあれが何なのか分かったという報告はない。

 古代ベルカの『聖王』、『覇王』と同じ時代に作られたらしきあの遺跡は、一体何なのか? と、ユーノは疑問に思ったが……今はこちらの方も報告待ちの状態である。こういう時に焦ってしまうのがよくないことを、ユーノはよく知っている。

 なので、今はそれを思考の片隅に一度置くことにした。

 

 そんな時、ふと思ったことがある。先ほど『聖王』、『覇王』というので思い出したのだが…………あの少女もフライハイトと同じ位なのにこの場所が好きだったなぁ、ということを思い出した。

 フライハイトと同じように虹彩異色を持ち、今代の『聖王』としてこの世に生まれた少女。

 彼の親友が母親をしている、元気だがまだちょっぴり泣き虫な少女。

 最近姿を見せていないが、元気だろうか? とユーノはなんとなく思った。ある意味彼女もユーノにとっては子供みたいな存在である。

 フライハイトが膝の上を陣取るまでは、彼女の方がよく乗っていたものだ。

(元気かなぁ……〝ヴィヴィオ〟)

 そんなことを思っていると――

「ユーノくーん」

「えっ、ヴィヴィオ?」

「うん、久しぶり♪ やっと来れたよぉー」

 ――噂をすれば、影。と言ったところだろうか?

 

 虹の輝きを胸に宿す少女、ここに襲来である。

 

 

 

 × × ×

 

 

 確かに「噂をすれば影」ということわざはある。だがまさかこんなにタイミングよく飛び込んで来るとは…………かなり驚いた。

 とはいえ、可愛い聖王陛下がわざわざ来てくれたのだ。にこやかな笑みを浮かべたユーノは、今代の聖王に挨拶をする。

「やぁヴィヴィオ、いらっしゃい」

「ユーノくん、こんにちは!」

 そうユーノの挨拶に元気よく返事を返した聖王陛下こと――高町ヴィヴィオは、ユーノの下へと勢いよく飛び込んでいく。

『無限書庫』の無重力の中を泳ぐようにして、ユーノの背に張り付くヴィヴィオだが…………。その背に張り付き、ここ最近のお気に入りスポットであるユーノの膝の上へ座ろうと思ったのだが――そこにはすでに先客がいた。

 その先客である少年と目が合うと、二人そろってユーノにこう聞いて来た。

「ユーノくん、この子だぁれ?」

「ファータ、この子だぁれ?」

 二人ともまったく同じように質問をしてくる二人その様子がとても可愛らしく見えて、ユーノは思わず笑ってしまった。

「「?」」

「ふふ、あっごめんごめん。ええとヴィヴィオ、この子は今僕が預かっている子でねフライハイトっていうんだ。フライハイト、この子はヴィヴィオ。僕の大切な友達の娘なんだ」

「フライハイトかぁ……。初めまして。私ヴィヴィオ、よろしく」

「うん、ヴィヴィオ。よろしく……」

 そう言って少し控えめに答えたフライハイトだが、ヴィヴィオに顔を向け……フライハイトの蒼天と翡翠の瞳が彼女の顔を――より正確に言えば、彼女の翡翠と紅蓮の瞳をはっきりと捕らえたとき、フライハイトの動きが完全に止まった。

「? ハイト?」

「どーしたの?」

 ヴィヴィオがそう聞くと、フライハイトは硬直から脱しヴィヴィオに一気に詰め寄り、彼女の瞳を自らの瞳で凝視する。

「ふぁあっ!? な、なぁに……?」

「…………」

 蒼天と翡翠の瞳がヴィヴィオの瞳に吸い込まれて…………いや、正確にはというよりヴィヴィオからすれば、フライハイトの瞳に吸い込まれるような感じがしたという。

 女の子っぽいとはいえ、フライハイトは男の子であり……まじまじと見つめられてしまっているヴィヴィオは頬を染めてされるがままだ。

「あ、あのぉ…………」

「……………………」

 未だに無言のフライハイトに、ユーノもいったいどうしたのかが分からず……おまけに、なにやら話掛けがたいオーラさえ出している様なフライハイトに声を掛けられない。

 そんなしばしの沈黙の後、フライハイトらしからぬ声が彼自身の口から漏れ出した。それは静かなものではあったが、そこに込められているものがどんなもであるかは読み取り難い声であった。

 

 どこか友愛を含んだ悲しみと憎悪さえ抱くような怒りが混じり合ったような、しかしそれでいて消失感を感じさせる不思議な声でフライハイトは…………ヴィヴィオに対してこう口にした。

 

 ――――オリヴィエ―――― と。

 

「えっ…………?」

 ヴィヴィオはなぜそう呼ばれたのか分からず、一瞬惚けた顔になる。

 しかし、フライハイトの瞳はヴィヴィオをまっすぐにとらえて離さない。そんな状況が少しだけ、とはいえ共本人たちにとっては永遠にさえ等しいだろう沈黙が晴れたのは、子の沈黙の始まりと同じくフライハイトの動作と一言がきっかけとなった。

「……?」

「? な、何……?」

 いきなりフライハイトがヴィヴィオの手を取ったので、ヴィヴィオは更に困惑してあわあわと狼狽する。

「……違う」

「ふぇっ……?」

「君は…………オリヴィエじゃないんだね」

「あの、その、えっと…………」

 勝手に一人で納得している様なフライハイトに、ユーノが問いかける。

「ハイト、オリヴィエって…………?」

「…………よくわかんないけど、ヴィヴィオを見てたら〝オリヴィエ〟って浮かんできたの」

「そっか……」

 どうやら本人にもよく分かっていないらしく、正気に戻ったフライハイト自身も戸惑っている様だ。

 だがその間――疑問符を浮かべて自分の口から出た言葉に戸惑っているフライハイトに手を握られっぱなしのヴィヴィオは、まるで顔から火が出そうな勢いである。

「あの、その……は、ハイトくん? その…………手………」

「? ああ、ゴメン」

 何だかその軽すぎる対応に少々…………いや、かなりがっくりきたヴィヴィオだったが、フライハイトは全く気づかずに先程無意識の内に口にした〝オリヴィエ〟の意味を考え続けている様だった。

 しかし、そんなフライハイトにヴィヴィオが少しムスッとしたまま何度か話しかけているうちに、特にいがみ合うこともなく二人は仲良くなったらしく本を手元に寄せて話し始める。

 子供は素直だなぁとなんとも父親――ファータが板に付いて来たユーノは、二人が危険セクションに間違っても入らないように気を配りつつも、先ほどのフライハイトの言葉について考えていた。

 

 オリヴィエ――ニュアンスからか最近は女性につけられるケースが多い様であるが、実際は男性名である。

 ヴィヴィオの母親である高町なのはの出身世界である地球では確か花の名にもこの名がつけられていたりするらしいが…………この世界、というより〝ヴィヴィオ〟という少女に関連する情報でオリヴィエという名を出す、ということは彼女の母体(オリジナル)を知っている――ということになるのだが…………。

 オリヴィエ…………オリヴィエ・ゼーゲブレヒト。

【最後のゆりかごの聖王】と呼ばれた女性であり、聖王として歴史に大きく名を冠した最後の人物である――というのがこの世界における主立った概要であり、聖王家の最後の血筋だと呼ばれることが多い。

 事実、聖王家は古代ベルカの諸王時代の戦乱にて血筋は実質的に途絶えてしまっている。

 だが、この血筋には続きがあった…………いや、正確には〝無理矢理繋げられた〟のである。

 ほんの少し前に起こった『JS事件』、この事件の首謀者であるジェイル・スカリエッティは管理局上層部に作り出されて、彼らの都合のいい世界、秩序を整えるためにかの【アルハザード】時代の技術をもとに作り出された人工生命体であったが…………彼は管理局を離反し、その身に課せられた『無限の欲望』の名にふさわしく『聖王のゆりかご』を上層部より奪還し【世界】に対しての挑戦――動乱を引き起こした大犯罪者だが、彼は司法取引の下――その優秀な頭脳を以て、管理局に協力をする――という条件で現在も獄中での暮らしをしているものの、特に実刑等は施されていない。

 

 そんな彼が、起こした事件の際に武器として用いたのが『聖王のゆりかご』。しかし、これを起動させるには…………既に途絶えてしまった聖王家の血筋を引く者、つまり『ゆりかごの聖王』が必要になる。

 しかし、前出の通りに聖王家は既に絶えてしまっており〝聖王〟を冠するものはいなくなってしまった。

 だから、彼は〝聖王〟そのものをその手で『作り出した』。

 こうして、現世に再び生まれ落ちたのが『新たなるゆりかごの聖王』――ヴィヴィオである。

 彼女は【最後の聖王オリヴィエ】のクローンであり、ヴィヴィオにとってオリヴィエとは――仮に例えるならば双子の姉、というところだろうが……オリヴィエが生きた時代、世界はは今より三百年以上前のものである。

 なので、ヴィヴィオにとってオリヴィエはどちらかというと母か祖先と言った方がしっくりくるが、彼女には現代での母が既にいる為『ご先祖様』がヴィヴィオの最終的な認識である。

 

 だが、そんなヴィヴィオとオリヴィエの関係を知っている者はこの本局でもかなり限られた人間の身であるというのに、フライハイトはヴィヴィオとオリヴィエの関係を示唆する言葉を口にした。

 

 これは一体どういうことだと認識すればいいのだろうか?

 

 勿論、フライハイトはこの一週間のほとんどをここ『無限書庫』で過ごしてはいるが…………古代ベルカ関連の書物は閲覧はしていなかった。

 勿論、ヴィヴィオの見た目は実施に残っているオリヴィエのそれにそっくりではあるが、一目見ただけでそう口にできる人間がそうそういるとは言い難い。

 実際、既に絶えてしまっている血筋の末裔であるので、今彼女とオリヴィエを繋げる者はいない。

『JS事件』の真っ最中でもそうであり、『JS事件』が終わった後も、『聖王のゆりかご』の機動というニュースは流れたものの、ヴィヴィオにそういった偏見は向いていない。

 そんな訳で、初見であれば……古代ベルカの歴史などにかなり詳しい人間か聖王協会のシスターたちならば聖王家との関係に気づくかもしれない程度なのである。

 

 それをあっさりと、〝オリヴィエ〟の名を出してしまうこの少年はいったい……?

 

 だが、この少年もヴィヴィオ同様に古代ベルカの王やそれに準ずる人物なのか? というと、いまいち確信が持てないというのがユーノの今現在の見解である。

 

 その理由にはいくつかの彼自身の抱いた〝引っかかり〟が関連している。

 

 その〝引っかかり〟とは主に二つ。先の『JS事件』でヴィヴィオのことを利用したスカリエッティも一度はヴィヴィオを逃がしてしまっているが、何の意味もなくあんな辺境にそんな重要な人物を放置するだろうか? という点が一つ。

 もう一つは、まだユーノ自身が子供の頃に経験した『時間移動者』に存在である。

 《エストリア》という次元世界から当時ユーノたちが滞在していた《地球》にやって来た『ギアーズ』というこの世界でいえば――戦闘機人の様な存在である姉妹、アミタとキリエの二人の異世界渡航の際、ヴィヴィオや後何人か未来から来た人物があの時代に訪れたという事実がある。

 あの時確かに記憶を消し、時間移動については既に記憶にないが…………ヴィヴィオ達のことは記憶の片隅に残っており、ユーノはなんとなくではあるが、あの出来事はおそらく時間移動だったんだろうなという結論に至った。

 

 だから案外、古代ベルカからの時間と校舎なのではないか? 等と言う突拍子もない可能性も浮かんでしまったのだが、さすがに無理がる気がするのもまた事実なので、この可能性ももう一つの方もいまいち決定打にかける。

 

 ここまで思考を展開したものの、いかんせん情報が少ない。

 となれば、古代ベルカ関連の資料をあたってみようかとも思ったが、フライハイトに関する情報が合致するほどに有名な王または王家の情報はユーノの知識の中にもない。

 だとすると、この少ない情報の下で一人の人物に関連する項目の詳細を調べるのは至難の業ではあるだろう。

 

 さて、どうしたものだろうか…………と、ユーノは首をひねる。

 

(うーん…………、検索の為の情報――キーワードがほしいな)

 

 と、そこまで考えてユーノはフライハイトの身元捜索を元・機動六課のメンバーに依頼していたことを思い出す。

「はやてに今の状況を確認しておこうかな……」

 そう言ってユーノは、自身の幼馴染の一人であり元機動六課・部隊長八神はやて二等陸佐に通信を繋ぎ始める。

 ほどなく通信は繋がり、はやてが返事を返してきた。

『ひさしぶりやなぁ、ユーノ君。どうしたん? あっ、フライハイトの情報やったら、もうちょい待ってな。こっちも全力で調査中なんよ…………』

「うん。久しぶりだね、はやて。そっか……やっぱりまだ捜査中だよね、ゴメンね忙しい所に急に連絡しちゃって」

『ええて、今は割と暇やったし』

 そう答えたはやてに「そっか……」と返事を返し、先ほど考え付いた見解を彼女にも告げておこうと話を切り出していく。

「はやて、実は突然だったのにはもう一つ理由が有ってね。そっちの方を一度君に話しておこうと持って」

『何を?』

「実は――」

 ユーノははやてに先ほどのやり取りや、自身が疑問に感じた点たそれについての見解ををはやてに全て話した。

 とはいえ、これはあくまでも見解であり、推論なのだ。大きく分けた可能性のひとかけらに過ぎないこれらがそれほど役立つとは思えないが、それでもユーノははやてにそれを語った。

「――というわけでさ、こんなことを思ったんだけど……はやてはどう思う……?」

『うーん、そうやねぇ……正直私もおかしいというか、なんや腑に落ちんところもあるんやけども…………やっぱり私は、現時点ではやっぱり判断しかねる…情報不足、っていうんが私の感想やねぇ……』

「まぁ、そうだよね……。やっぱり情報が足りてないかぁ……」

『って、ユーノ君がそんなことゆーたら情報なんて手に入るわけあらへんやん。無限書庫で当て上げなら、私らでつかめる情報なんてあるハズなくなってまうやん?』

「たははは……、そんなことないと思うんだけど……」

『いやいや、ユーノ君。そろそろ自覚したほうがええよ? 管理局を支えてるんが自分とほかの司書さんたちやゆーこととかなぁ』

「うん、そうするよ」

『よろしい』

 なんてやり取りをしても、ユーノの謙虚すぎるところはあまり変わらないんだろうなぁ、と思うはやてだった。

『ともかく、今は情報が少ないさかい早とちりせんよーになぁ』

「うん」

『後他になんか良い案あればええんやけど、そうもいかへんなぁ……』

「そうなんだ…………」

 そうやってしばし二人は考え込み、はやてがこう提案してきた。

『よっしゃ、ユーノ君。今ちょうど昼時やし、フライハイトとヴィヴィオの二人も連れて食堂にけーへん? フライトハイトと顔合わせもしときたいし、それに今の捜索メンバーの皆とも顔合わせるのもええと思うんよ。丁度今元・六課メンバー皆揃ってるし……それに、うちの子ら――ヴォルケンの皆とフライハイトを合わせてみたらなんやもっとわかるかもしれへんし』

「あ、それいいね。うん、確かにこの間シャマル先生とはあったけど、他の人とも会ったら何か進展もあるかもね……じゃあこれから二人を連れて食堂に行くよ」

『それじゃあ十分後くらいに、一応皆にはその可能性についても話しとくさかい』

「うん」

『ほな、十分後くらいに食堂で』

「OK」

 そう言って通信を一度終了させると、ユーノはフライハイトとヴィヴィオに声を掛ける。

「二人ともー。そろそろお昼だし、食堂行かないかい? それにヴィヴィオ、今ちょうどなのはたちもいるみたいだからね」

「ママたちも?」

「うん」

 するとヴィヴィオの顔が一気にパアァァッ、と明るくなる。

「行く行くー! 早く行こ行こー!」

「フライハイトも僕の友達たちと会ってみない?」

「ファータの友達?」

「うん、そうだよ。僕の大事な友達」

 どうやらフライハイトは、〝父親〟の友人というものに興味を持ったらしい。

「……行く」

「そっか、じゃあ早速三人で行こう」

「うん♪」

 そう言って二人を連れて無限書庫を出る。

 そのあと本局の廊下を食堂へと向かって歩いていくユーノの両手は、小さな二つの手とつながっていた。

 

 その姿は、まさに――『親子』――そのものの様であったという。

 

 

 

 




 いかがだったでしょうか? お楽しみいただけていたなら幸いです。

 さて次回は、機動六課のメンツの登場でございます。

 個人的には、フライハイトのヒロインとなりそうなのはヴィヴィオかアインハルト、エレミアあたりか皇帝に仕える的なオリキャラ出そうかなぁ……なんて思ってます。
 あとユーノのヒロインはも決めたいですねぇ…………王道でなのは、それかフェイト、はやて…………機動六課のメンツもこの時期なら、ティアナあたりはもありかと思います。フェイトの紹介で『無限書庫』で勉強とかしてそうな気もしますし。

 どうしようかなぁ……と現在『絶賛思案中』です。

 まぁともかく、次回もお楽しみにしていただけたら幸いです。

 それではまた次回にお会いしましょう。
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