とある投影の魔術使い〈エミヤシロウ〉   作:機巧

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遅れてすみません。


上条当麻 Misery of fire

1

 

 

 

「大覇星祭、か……」

 

 

うだるような空気の暑さに、アスファルトに反射して襲いかかる熱波。そもそも、眩しいほどの日光。

 

その全てに加え、ただいましている資材運びに、気力が根こそぎ奪われ、死んだ魚のような目で辺りを見渡す、どこにでもいる普通の高校生、上条当麻。

 

先ほど上条が呟いたのは、学園都市で間も無く開催される、運動会の名前である。そして、上条をたったいま、憂鬱な気分にさせている原因でもあった。

 

 

そう、大覇星祭。

 

 

一言で言うと、9/19から9/25の一週間、学園都市に所属する全学校が合同で行う超大規模な運動会である。

そして、上条はとある出来事によって記憶を失っているため、上条主観で初めての参加となるこの運動会とやらは、1つ、他の運動会と一線を画す要素が存在する。

 

それは、『能力の使用が可能』ということだ。

 

学園都市は百万人単位の学生を抱えており、その全ての学校が参加すると言うとスケールがわかるかもしれない。しかも、全ての学生が、強弱はあるにしろ、なんらかの力に覚醒した超能力者なのである。

 

そしてこの日は、能力の使用が可能と言うだけでない。担任の先生とかから聞く限り、「能力者同士の大規模干渉のデータを収集する目的もあるみたいですよー」とのことで、能力の使用はむしろ推奨されていたりするらしい。

 

つまり、消える魔球、燃える魔球、凍る魔球その他諸々はザラである……らしい。

 

 

「うだー」

 

 

確かに、絵面だけ見れば楽しそうではあるだろう。絵面だけ見れば。

 

しかしよく考えて見てほしい。スポーツの皮を被ったバトル漫画に、普通にスポーツやっている人が挑んで果たして無事で済むだろうか。

 

そんなものは銃弾飛び交う戦場に、エプロンをつけて鍋片手に突っ込んでいくようなものである。

 

もちろん、『武器(能力)』があればその限りではないのだが、生憎と上条は『Level0』、つまりは無能力者であるからして、結局は生身で突っ込んでいく事になりそうなのであった。

 

上条はとある理由により、余程の能力者でなければ、なんとか逃げることは出来ると思っているが、そんなものは所詮一対一での話である。

 

四方八方から攻撃されたらそのままお陀仏ではあるし、そもそも運動会であるから、多数対多数。最早上条の出る幕はないどころか、上条にとっての修羅場だった。

 

さっきも言った通り、能力の使用は原則自由……どころか、積極的に使わないと救護班のお世話になるぞ、というのが、上条がここ一週間で聞いた大覇星祭だった。事と次第では、騎馬戦で、雷撃、斬撃、爆発、真空波が乱舞するらしい。

 

そのせいで能力者同士が能力をぶつけ合った結果できる幻の金属である『不在金属』とか、その他諸々の都市伝説があるくらいだ。

 

そんな能力が飛び交うところに生身で突撃したくはない。しかも、上条は何をしているのだっかか。

 

冒頭に行ったと思うが、資材運びである。

 

……大覇星祭の。

 

(……なんでまた自分が修羅場になるようなイベントのためにヘトヘトになるまで働かなくちゃならないんだ……)

 

つい先程なんて、校庭でテントを組み上げたところで『ごっめーん♩ やっぱテントいらないじゃん』で片付けた後からの『あーっ!何やってるんですか上条ちゃん!テントはやっぱりいるって連絡はありませんでしたかー?』とか怒られる始末である。不幸の一言で済ますのもなんか釈然としない。

 

 

(まあ、だけど、親父や母さん、衛宮も来れると考えれば、まぁいいのかもな。その点に関してだけはだけど)

 

 

大覇星祭は学園都市の数少ない一般公開日だ。生徒の関係者やただの一般客も開催中は学園都市に入る事ができ、 応援・観戦等で開放区域を自由に移動する事ができるらしい。

 

そんなわけで、両親も大覇星祭の際、学園都市に来るらしいのだ。この前、新しいマイホームがなんらかの事件によって爆破されていたため、元のアパートに住んでいるという2人のことは、心配であったため、こうして顔を合わす気概があるというのは良いものだ。

 

上条自身には記憶はないが、この前の事件で、とても愛されていた……いや、愛されていることはひしひしと実感していた。

 

もっとも、今となっては神裂(外見男)が風呂に入っているところに親父が衛宮を連れてきて、神裂に追いかけ回されたのも今となってはいい思い出だ(大嘘)。

 

ちなみに衛宮は花火を観に来るとのことだった。スポーツの方はいいのかとか、学校はいいのかと思う上条であったが、校長が大覇星祭の大ファンで、休みにしたらしい。それでいいのか私立学校、と猛烈にツッコミを入れたくなったが、それは良しとしよう。

 

 

つらつらとそんなことを考えている上条は、考えている間も無く、反射的に、右手を掲げた。

 

甲高い音が響き、それと共に飛んできていた炎が文字通り打ち消される(・・・・・・)

 

 

「うわっ!」

 

 

どうやら、何かしらの能力での火であったらしい。しかし、打ち消したと行っても、予測していたわけではなかったので、もちろん驚く。驚いた上条はよろめきつつ、なんでこんな日に炎なんか使っているのだろう、とそんなことを考えた。

 

 

 

 

2

 

 

等々力(とどろき)は学園都市に住む高校生だ。ちなみに所属は羽場跳高校である。

学園都市に行けば手に入るとかいう、超能力に惹かれ、7歳の時に親元を離れ、それ以来、学園都市に住んでいる。

無論親はそんな年齢で一人暮らしさせる事には反対したが、最後には等々力の熱意を受け入れて、快く送り出してくれたのだ。そんな親に等々力はとても感謝をしていた。

 

だから、年に一回親が自分の成果を見にきてくれるこの大覇星祭というイベントを等々力は心待ちにしているのだった。

 

しかも、とある競技で同走があの常盤台のエース、御坂美琴ときた。

 

普通なら同走がLevel5(御坂美琴)と聞いたら、そこで諦めてしまうようなものが一定数いるのだが、あいにくと、彼と競技のパートナーである、彼の友達である網目はその内に入らなかった。

 

むしろ、Level5を食ってやるくらいの気持ちで2人は練習していたのだ。

 

 

彼らが出る競技で、御坂美琴と闘う種目はは『二人三脚』。

 

すでに足を巻きつけても、阿吽の呼吸で動けるようになったし、勝つための必殺技も用意している。故に、気合が空回りしてしまうのも無理はなった。

 

それは、必殺技の練習をしていた時だった。

網目の「短時間だか触れたものの摩擦係数をいじる」能力と、等々力の「手のひらで空気中の水分を集め、分解・燃焼させる」能力を組み合わせて爆鳴気による文字通り爆発的な加速力を得る作戦だ。

 

少し噴出角度がずれ、爆発が、先程人影があった方の塀を越えた道路の方向に飛んで行ってしまった。

 

慌てて等々力と網目は道路に出て、

 

 

「すみません!大覇星祭に向けての練習でして、炎が飛んで行ってしまいました!」

 

 

と言ったが、等々力の前には変わりない道路があっただけだった。人1人いない。

 

 

「あれ?おかしいな」

 

 

そう思う等々力と網目だったが、先程の人影はかなり早く移動していたので、爆発が起きた時には既にここにいなかったのだ、と理解し、今度は安全に気をつけて練習に戻った。もっとも、ここであともう少し安全に配慮していたら、もう少しましな未来があったかもしれないが、ここでは関係ない。

 

 

結局彼らはその道路の片隅のマンホールの蓋(・・・・・・・)が開いていたことに、そしてその中から物音がしていたことに気づくことはなかった。

 

 






言い訳をしますと、作者自身が、設定自体を忘れていたことにつきます。2年放置したため、ここどうなんだっけというところや、この設定矛盾してね?と知識が増えたことによるものがあったので、組み上げ直すのに時間がかかりました。

申し訳ありません。fgo のイベント回っていたというわけではないです(大嘘)

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