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ぺらぺらと本がめくられる音だけがする部屋。
その音を聞き流しながら、俺は床に座って、背にあるベットの淵に体重を預けながら、ぐだ~っと脱力する。
そして、そのまま天井を見上げながら一言。
「暇だ……」
「しゃんとしなさい。見っともない」
独り言に間髪いれずに厳しい言葉が飛んできた。
誰が言ったのかなんてすぐに分かった。それほどまでに聞きなれた声と、言われなれた言葉。
ほんの少しだけ気を重くしながら、声をした方を向けば、そこにはキャスターのエレナ・ブラヴァツキー、彼女がいた。
エレナは俺のすぐ近くでベットの上に腰を降ろし、今日も今日とて彼女は何やら難しい本を読書中。こちらを見向きもしない。
「そんなこと言われたって仕方ないだろ。暇なんだからさ……」
「暇って……あなたね。だったら、いつもの様にサーヴァントの誰かと訓練でもお勉強でもしてたら?」
「それが休みだから暇なんだってば」
「そうだったわね」
俺の日々は来るべき新たな特異点事象に迅速勝つ適切な対応をする為に訓練と勉強の日々。
未熟な俺に召喚に応じてくれた皆厳しい訓練をつけてくれて、たくさんのことを教えてくれる。
そんな日々を送っているが、カルデアにも休日というものがある。それが今日なのだ。
訓練の日々に続き、ここ最近は特別な特異点事象の人理修復に向かうことが何度もあった。
そんな多忙な日々を送る俺を見かねて、マシュを始めとする皆に休日と言い渡され、今日ゆっくり休むように言われた。
しかし、突然休日と言われても何して過せばいいのか分からない。
自主練なり、自主勉でもすれば暇じゃなくなるんだろうけど、それでは休日の意味がない。
ぐだ~っとだらだらしていたい。だけど、暇なのだ。
「だったら、サーヴァントの誰かとお話でもお茶でもしてくればいいじゃない。呼べば、来てくれるでしょう?」
「それはそうかもしれないけど、何って言うかめんどくさい。部屋から出たくない」
「はぁ……」
心底呆れ果てたような溜息をつくエレナ。
どうせ、だらしないとか思っているはずだ。仕方ないだろう。
部屋に来られたら嫌とかそういうのじゃなくて、ただそういう気分じゃないだけの話。
こうして部屋でぐだ~っとしているのが一番楽。しかし、暇なものは暇なのだ。
「というか……」
「何かしら?」
ようやくエレナがこちらを向いた。
「エレナこそ、こんなところで何してるのさ」
「見て分からないかしら? 私は今読書中なのよ」
それは見たら分かる。
そんなことは別に聞いてない。俺が聞きたいのはもっと別のこと。
「そうじゃなくて、何で俺の部屋にいるのかってことだよ。読書なら自分の部屋ですればいいだろ」
今、俺達二人がいるのは俺の自室。
なのにエレナはさも自分の部屋にいるかのようにくつろぎながら読書に没頭している。
「いいじゃない。いつも自室だからたまには別の場所でもと思って、気分転換よ。それに何処で読書しようが私の勝手でしょう」
「だからって、何も俺の部屋じゃなくてもさ……」
「そんなこと言ってあなた、私を追い出さないでしょう。それとも私と二人っきりは嫌なのかしら?」
そんな寂しそうな目で見つめられると、俺はこれ以上何も言えなくなった。
「ふふっ」
すると、エレナは静かに勝ち誇ったような表情を浮かべていた。エレナの奴、俺がこう答えると分かりきって、わざっと聞いてきた。相変わらず、いい様に扱われているみたいで何だか腑に落ちない。
まあ実際、こうして自室でエレナと二人っきりで過すのは嫌じゃない。むしろ、幸せな気分ではある。言ったら言ったで、いつもみたいにまた子ども扱いされてるから口が裂けても言えないけど。
「ところで一つ、聞いてもいいかしら?」
「?」
「あれは何かしら?」
エレナの視線の先を追えば、そこにはベットの枕元の鉄格子につながれた両手を縛る拘束具があった。
「ああ、あれ。気づいたらあった」
「気づいたらって……あなたね、どうしたらあんなものがあるのよ」
「さあ? 本当、気づいたらあっただけだし」
多分、あの拘束具は俺に使うために誰かが持ってきたはず。エレナ以外にも自室にはよくいろんなサーヴァントの皆が来てくれるから、誰が待ってきたかいまひとつ確かではない。
外せばいいんだろうけど、枕元の鉄格子部分と拘束部分を繋ぐ鎖が鉄格子にかなり強く繋がれていて、俺の力では中々取れなかった。
後でロマンや、力のあるサーヴァントの誰かに頼んで取ってもらおうと思っていて、忘れてそのままだった。
「まあ、いいわ」
そう言うとエレナは納得したのか、視線を再び本へと戻し、読書を再開した。
特にあの拘束を警戒した様子はない。それどころか、エレナはいろんな意味で無防備だ。相変わらず、ベットの上に腰掛て読書中。いつもと変らない、肩や二の腕、首元が艶かしく露出したあの姿でだ。
普段一緒にいても特に気にはならないけど、こうして何もせず二人っきりで静かにいると、ついつい気になってしまうしてしまう。正直、何というかこう……くるものがある。
エレナがこんなにも無防備なのは、多少なりにでも信頼してくれてのことなのは分かるけど、ここまで無防備だと男である俺としては正直複雑だ。
もっともエレナは、英霊なのだから身の危険を感じたところで難なく対処するだろう。第一ここはカルデア。身の危険を感じることなんて、一部のサーヴァントがどんちゃん騒ぎでも起さない限り、早々ない。
しかし、二人っきりなのにここまで無防備だと男として見られないじゃないかと思う。それは今に始まったことじゃないが。いつもエレナは俺のことを弟か、子ども扱いしてばかりだし。
仕方ないところもありはするが、何だかなぁ。
「……」
「……」
会話がなくなると、部屋は再びページをめくる音だけになる。
エレナは読書中で、俺はぐだ~っとしたまま。俺も読書でもしようか。でも、読みたい本もなければ、そもそも今手元に本そのものがない。取りに行くのもめんどくさい。
言い渡された休日のゆっくり休むというのは達成しているが、こうもやることもなく時間だけが過ぎていくと思うと、何だか時間が勿体ない気がする。果てしなく暇だ。そろそろ限界。何かいいことでも……。
「……」
何となく部屋を見渡していると、俺の目にさっき話した拘束具が目に止まった。
そして、流れるように読書に没頭しているエレナを見た。
「(そうだ、これでエレナを縛ったらいいんだ)」
そんな名案を思いついた。
これなら丁度いい暇つぶしになるし、こんなにも無防備の今なら上手くいくはずだ。何だか凄い自信が沸いてきた。
何より、エレナのいつも余裕のある態度を崩してみたい。きっと縛れば崩れるはず。
まあ、成功失敗に関わらず、後で怒られはするだろう。でも、そこは師弟仲。大目に見てもらえるはずだ。怒られても母親に怒られる程度。大丈夫。
思い立ったが吉日というし、俺はさっそく行動に起した。相手は英霊なのだから、失敗すだろうなとうっすら思いつつ。
「あのさ、エレナ」
「何かしら……きゃっ!?」
可愛しく悲鳴の様な声を小さくあげるエレナ。
ことは予想外にも成功してしまった。
エレナが拘束具に両手を頭の上で縛られ、ベットの白いシーツの上に横たわっている。
ベットに倒れた拍子に羽織っていたあの上着は脱げてしまったようで、下敷きになっていた。
ちなみに俺はエレナの上にいる。と言ってもエレナにまたがり、両膝で立っているだけなのだが。
正直、こんなに上手くいくとは思っていなかった。
自分でも恐ろしいぐらいスムーズにエレナの両手首に拘束具をつけることが出来、今こうして捕まえることが出来ている。
「ちょっとあなた何してるのっ!」
言葉は怒っているが、エレナの声はいつもより心なしか弱弱しい。
おそらく、あっさりこんな風にことになるなんてエレナ自信も思っていたなかったんだろう。
頭の上で両手首を縛られているせいか、自然と脇が見え、強調されるような感じになっている。正直、物凄くいやらしい。
それが恥ずかしいらしく、エレナの頬は赤く染め、目じりにはうっすらと涙が浮かんでいる。その姿があまりにも情欲的で、初めてエレナから優位を取れたいう思いと同時に、嗜虐心が高まっていくのが分かった。
「本当っ、何してるのっ。私、怒るわよ……!」
と言いつつも声どころか、その様子すら弱々しい。
こんなエレナは出会って、再開してから、始めて見た。これは後で思った以上に怒られるのは避けられないが、多分こんなチャンスはもう二度とない。
自分でも言い表せない初めて感じる内なる深い思いを解き放っていった。
「いい加減に……! ひゃっ!?」
エレナの首筋に口付けを落とす。
白く、キメ細やかな首筋の肌はすべすべとして、唇で触れているだけでも気持ちのいいものだった。
「は……んっ、うぅ、あっ、やっ……んぅっ、ばっばかぁ……」
制止するようなエレナの声が聞こえたが無視して、首筋に何度か繰り返し口付けを繰り返す。
一通りそうすると、今度は流れるようにあの強調されていた脇へと口付け、舐めてみた。
「あっ、うぅぅ……っ」
普段の母親のようにどっしり構えているエレナからは到底聞けない、とろけた甘美な嬌声が聞こえた。
凄い声。正直、やばいくらい興奮する。熱く天へと高ぶるものを感じるほどに。
エレナの脇はぷにぷにとしていて柔らかい。感触が楽しい。恥ずかしさから何なのかエレナの脇はじんわりと汗が滲み出ており、口づけして舐めるたびに汗の味がした。
汗なのだからしよっぱくはあるが、不思議なことにエレナの汗の味はしょっぱいながらも何だかとても甘い味がする。病み付きになってしまいそうだ。
「ちょ……ちょっ、と……あっ、あぅぅっ……やだぁ……そんなところ舐め、ないで……汚いわよ……んゃぁっ」
「そんなことない」
「だからって……あっ、やぁんっ、んぅぅっ……」
エレナの何もない綺麗な脇に口付けしながら、責めるように舐める。
そうしていると何だかほのかに漂ってくる甘いエレナの汗の香り。いい匂いだ。
嗅がずにはいられないその甘いエレナの香りはただ高ぶらせるだけではなく、どこかほっと安心する香りのようにも感じ、心地よくなってくる。
ふと、上目でエレナの表情を見た。
「んぅっ……ふぅぁっ、やっんっ、んんっ……」
甘い声、嬌声を上げていることはエレナ自信も自覚はあるようで、これ以上声が大きくならないように必死に押し殺しているのが見えた。
声を我慢するエレナの苦悶の表情。その表情の中には何だか嬉しそうにしているように見え、とても愛らしかった。
そうしてエレナの魅惑の姿に夢中になりながらも堪能すると、一旦顔を上げた。
すると、カチャッという音が聞こえた。
「あっ……」
恐る恐る頭の上で両手首絞られているだろうところを見れば、無常にも拘束具は取れていた。
さっきまでどんだけエレナが手首を動かしても外れる気配一切なかったのに、何で今になって外れたんだ。
というか、ヤバい。この次の場面は確実に怒られる……!
手首の縛りが解けたのを目の当たりにしてして俺は一気に我に返った。
「――ッ、あれ?」
とっさに両手で防御の体勢を取ったが、一向に怒られる気配はない。
防御を解き、ゆっくりエレナの様子を見れば、エレナは熱っぽい吐息を零しながら、息を整えていた。
「はぁっ……っ、はぁ……はぁ……っ」
息を整えたエレナと目があった。
一瞬、これで本当に怒られると思ったがそうではない。
エレナの瞳は涙目ながらも、とろりと惚けており、何かを期待しているかのような目の色をしている。
「はぁっ……よくもやって、くれたわね……っ、馬鹿弟子……」
「エ、エレナ?」
「ん……」
目じりに涙を浮かべながらエレナは、ゆっくりと両腕を伸ばしてきた。
その両腕はこっちに来なさいと言わんばかり。
じっと俺を見つめるエレナの瞳は潤み、表情は何だか発情しきっていた。
「私をその気にさせたんだから、あなたの体でちゃんと責任、とってもらうから」
そう言う上気したエレナの表情は憂いを帯びていて、誘っているよう。
エレナのその言葉を聞いて、俺の中で何かが完全に弾けた様な感じがした。
そして俺はゆっくりとエレナへ、誘われるようにその腕の中へ堕ちていった。
…
某抱き枕カバーイラストを描いてくださった松竜様には感謝っ……!圧倒的感謝っ……!
そして脇をprprせずにはいられなかった……
続きがありますのでよければぜひ。
「愛しい小さな彼女に教わって」、https://goo.gl/aXttN2