七色のドリフト使い(再制作予定)   作:独田圭(ドクタケ)

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いやぁ~、この小説も遂に10話を突破しました。

タグに亀より遅い更新速度と書いていますが、思いの外速いペースで投稿出来ている事実に自分自身ビックリしてます。いつまで続くか分かりませんが・・・(汗)




第10話 拓海vs中里 躍動する豆腐屋

 

 

 

交流戦当日、アリス達は妙義山に向かって車を走らせていた。いつもならアリスの車の助手席には蓬莱が座ってる筈だが、この日は珍しく霊夢が助手席に座っていた。それどころか、蓬莱は現在この場に居合わせていない。

 

アリス「ねぇ霊夢、蓬莱がいないみたいだけどどうかしたの?」

 

霊夢「蓬莱なら先に妙義山に行って貰ったわ。」

 

霊夢の答えにアリスは納得する。更に霊夢はコース攻略の仕事内容を説明しだした。

 

霊夢「前の日に下見には行ったけど、バトル当日の路面コンディションが前の日と同じとは限らないのよ。それにコーナーの所々に何があるか、ヘアピンの数はいくつか、パッシングポイントの見極めとか、それらを全部頭に叩き込んでおかないと車のセッティングも出来ないし作戦も立てられないのよ。コース攻略ってのは極めて重要な仕事なのよ。」

 

アリスは霊夢の言葉を聞いて何故蓬莱にコース攻略の仕事を任せたかが何となく解った気がした。

 

普段は能天気でヘラヘラしている所為でアホの子と思われがちだが、実際はスピードスターズのメンバーの誰よりも記憶力がずば抜けていて1度脳内に情報をインプットすると何時経っても忘れる事は無い。

 

霊夢も頭は良いのだが、彼女は外報部長と戦術参謀を掛け持ちしている為、コース攻略まで手を回す事が出来ない。しかしコース攻略の仕事が無ければチームとして機能しない。戦術参謀は相手の車だけでも作戦はある程度組み立てられるが、それをより具体的な物にしていく為にはやはりコースの情報は欠かせない。メカニックに至ってはコースの情報無くして車をセッティングする事は不可能だ。路面状況や直線の長さ等はその峠によって違ってくる為それに応じて足回りやギア比を設定していかなくてはならない。

 

そこでコース攻略の仕事にアリス達の中で1番記憶力が良い蓬莱に白羽の矢が立ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妙義山に到着すると、既にナイトキッズの面々が待ち構えていた。

 

池谷「俺が秋名スピードスターズ、リーダーの池谷だ。宜しく頼む。」

 

中里「ナイトキッズの中里だ。この日が来るのを楽しみに待ってたぜ。」

 

互いに自己紹介を済ませ池谷は霊夢にアイコンタクトをとった。霊夢はそれに頷くと池谷達の前に出る。

 

霊夢「外報部長兼戦術参謀の博麗霊夢よ。バトルのやり方やルールは地元のあなた達が決めて頂戴。私達はどんな要望でも呑むわ。」

 

中里「ほぉ、大した自信だな。・・・まぁ良い、勝負は下り1本スタートは同時だ。俺の相手はそこのS2000の女だ、これでいいn ??「ちょっと待て毅。」・・・何だ慎吾。」

 

中里が話を締めようとした時、1人の男、ナイトキッズのNo.2庄司慎吾が割って入って来た。

 

慎吾「黙って聞いてれば毅1人で何話進めてやがんだ、俺にその小娘の相手をさせろ。これ見よがしにS2000なんかに乗りやがって・・・ムカつくぜ!!」

 

中里「おい慎吾、何企んでんだ。」

 

慎吾「アイツらはどんな要望でも呑むって言ったろ、だったら俺のバトルの時はガムテープデスマッチでやらせて貰うぜ。」

 

慎吾は霊夢にその趣の事を伝えると霊夢は若干驚いた表情をしたが了承の返事をし、そしてその事をアリスに伝えた。

 

アリス「霊夢、ガムテープデスマッチって何なの?」

 

霊夢「ガムテープデスマッチってのは右手とステアリングをガムテープで縛った状態でバトルする事よ。ステアリング操作が制限されるからFRはアクセルワークだけでコーナーをクリアしなければならないのよ。それに対してFFはオーバーステアをアクセルで止められるしサイドブレーキを引けばアンダーも消せる、FR殺しのルールなのよ。」

 

アリス「ふーん、要は荷重移動の技術を使って走ればいいって事ね。」

 

霊夢「しれっと難しい事言うわね・・・」

 

霊夢はアリスの発言に呆れたが、アリスはこのルールのコツを知っていた。

 

アリスの言う通りこのルールをFR車で走りきる為には荷重移動の技術を駆使して走らなければいけない。だが幸いな事にアリスは拓海と秋名を走り込みをしていた過程でこの技術を修得していた。故にアリスにとってガムテープデスマッチはさほど難しいルールではなかった。

 

アリス「じゃあ私は仮眠をとって来るから私の番になったら起こして頂戴。」

 

そう言ってアリスは自分の車に戻って行った。その頃スタート地点ではハチロクとGT-Rがバトルのスタートに備えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中里「改めて、ナイトキッズの中里だ。そっちの名前は?」

 

拓海「・・・藤原拓海。」

 

中里「覚えておくぞ、その名前。妙義の谷は深い、精々命だけは大事にしろよ。」

 

拓海のハチロクを興味深そうに見る中里。いつも通り眠そうな顔でバトル相手の中里を見据える拓海。

 

ひとしきり挨拶を交わした後、2人は車に乗り込んだ。霊夢はそれを確認すると2台の車の前に立った。

 

霊夢「こちらスタート地点、そろそろ始めても良いかしら。」

 

健二「『OK、いつでもいいぞ。』」

 

霊夢「分かったわ。それじゃあカウント始めるわよ!!」

 

霊夢がそう宣言するとさっきまで騒いでいたギャラリーは途端に静かになった。まるでこのバトルの行く末を見守るかの様に。

 

霊夢「5秒前!!・・・4・・・3・・・2・・・1・・・GO!!」

 

霊夢の合図と共に2台の車が走り出した。スタートダッシュに於いては4WDのGT-Rが圧倒的に有利。2個のタイヤで路面にパワーを伝えるFRとは違って4WDは4つのタイヤ全てを回す為、ホイールスピンという現象が殆ど起きない。

 

馬力の差と上り勾配を活かして中里のGT-Rが先頭に立った。

 

「速ぇェ、中里のGT-R。あっという間にハチロクとの差を広げているぞ。」

 

「妙義のダウンヒルのスタートは最初は上りだからな、ハチロクじゃあ勝負になんねぇよ。」

 

第1コーナーを抜けた頃にはGT-Rが既にハチロクとの差を広げていた。しかし霊夢にして見ればこれは予想通りの展開だ。確かに上り勾配でハチロクがGT-Rに付いて行くなど無理な話だが、上りの区間は最初だけでそれ以降は永遠に下りの区間が続くのだ。拓海の腕を持ってすれば充分勝機はあると霊夢はにらんでいた。

 

そこまで考えていた時にサポートカーの扉が開いて中から蓬莱が出てきた。

 

蓬莱「フワァ~、渋川から妙義までスクーターでの遠出は流石にキツ過ぎますよぉ・・・」

 

霊夢「あら蓬莱、もう起きたの?」

 

蓬莱「どっちみち車の中じゃあまともに寝れないですから。・・・それでバトルは?」

 

霊夢「もう始まったわよ。32が頭を取ってハチロクとの差を広げているわ。」

 

蓬莱「そうですか・・・」

 

霊夢からの報告を聞いた蓬莱は思考を切り替えた。いわゆるガチモードの突入である。目付きが変わり、纏う雰囲気も一瞬にして変わる。

 

・・・そこにいたのはいつものお調子者の蓬莱ではなく、賢者の雰囲気を纏った蓬莱の姿があった。

 

蓬莱「私が見る限り、あのR-32の馬力はおよそ380馬力、それに比べてハチロクは150馬力出てれば良い方ですね。確かに車の性能では勝負になりませんがそれはあくまでサーキットでバトルした場合の話です。だけどバトルのステージが公道である以上、その優位性は絶対とは言えません。それにR-32には唯一にして最大の弱点があります。」

 

霊夢「ずばり、ボディの重さでしょ。」

 

蓬莱「そう言う事です。スーパーフロントヘビーから来るアンダーステアがGT-Rの弱点。ドラテクや足回りのチューニングで誤魔化しても基本特性は変わりません。限界領域で下りを攻めていたら必ずフロントタイヤとブレーキが苦しくなって来ます。」

 

霊夢「まっ、そこはGT-Rのみならず重たいターボ車に乗ってる走り屋の宿命でしょうね。」

 

蓬莱「麓まで降りてくる頃にはコーナーの入り口でアンダーステアと格闘している事でしょう。藤原さんがそこに勝機を見出だせるかどうかがこのバトルの鍵になります。」

 

一通り話し終えた後蓬莱は一息ついた。その時、無線から信じられない情報が飛び込んで来た。

 

「『こちら中間地点、たった今2台の車が通過しました。中里さんがハチロクに煽られています!!』」

 

霊夢・蓬莱「「!!」」

 

2人は一瞬驚いたがその表情は直ぐに笑みへと変わった。

 

霊夢「これは嬉しい誤算だったわね・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中里のR-32は快調なペースで下りを攻めていた。

 

中里「(最初の内にあれだけのマージンを作ったんだ。そう簡単には追い付けまい。)」

 

スタート直後の上り勾配を利用して5秒程のアドバンテージを築いた中里はそう思っていた。

 

中里「このバトル、貰った!!」

 

最早勝利を確信した中里は何気無くバックミラーを見た。

 

するとそこには・・・

 

中里「何だと!?」

 

バックミラーには2つのヘッドライトが映し出されていた。リトラクタブル式のそれは間違いなくハチロクの物だった。

 

中里「(何故そこにいる!?まだ中盤を過ぎて少ししか経ってないんだぞ!?)」

 

余りに早く追い付かれた中里は思わずバックミラーを二度見する程驚愕していた。

 

しかしそれも束の間、中里の表情は驚愕から歓喜へと変わる。相手がハチロクと決まった時は正直落胆していたが、拓海がハチロクの元へと近付いた時拓海とハチロクから強いオーラが出ていたのを中里は見逃さなかった。

 

それを見た瞬間、中里は対戦相手に対する評価を改めた。この時中里はこれは予想以上にタフなバトルになると思った。

 

ところが蓋を開けて見れば、中里の予想の遥か斜め上を行くバトル内容になっていた。その事実に中里は喜びを噛み締めていた。

 

実は中里は以前、S13に乗っていた事があった。その頃にライバルだった走り屋は中里がR-32に乗り換えてからはライバルですら無くなった。つまり中里は自身がR-32乗り換えてから現在に至るまで自身が熱くなる様なバトルを経験した事が無かった。

 

それ故か今、中里のテンションは最高潮に達しようとしていた。

 

中里「(上等だ、そこまでやられちゃあハチロクが非力で型遅れな車だという意識はこれで完全に吹き飛んだぜ。一級品の戦闘力を持った良いマシンじゃ無ぇか!!目一杯ヤバいモードに突っ込んで行くぜぇ、付いてこれっか!!)」

 

久しく忘れていた自身が熱くなる感覚を噛み締めながら中里は更にアクセルを強く踏み込んだ。

 

そこから更にスピードを上げてハチロクを振り切ろうとする。

 

しかし拓海のハチロクは離される事無くR-32の後ろにピッタリと付いたまま追い掛ける。

 

始めは喜んでいた中里の表情にも次第に焦りの色が浮かぶ。

 

中里「(くっ・・・降りきれない。それどころか食い付かれたままの時間の方がどんどん長くなっていく。)」

 

後ろからのプレッシャーに押し潰されそうな気持ちを奮い立たせ猛然と下りを攻める。コーナーが目の前に迫って来ても中里はギリギリまでブレーキを我慢してコーナーに突っ込む。そこから一気にフルブレーキングでコーナーに進入しインベタのラインを描こうとする。

 

しかしその時、中里のR-32に異変が起こった。

 

中里「(・・・!?フロントタイヤの応答性が怪しい。アンダー気味だぜ。)」

 

先程の霊夢と蓬莱の会話でもあった様に中里のR-32は1500㎏をゆうに超す身重な車なのだ。そんな重い車で峠を攻めていればどの道タイヤとブレーキは熱ダレを起こす。

 

ペース配分をきっちり行っていたら熱ダレを起こすタイミングを遅らせる事は出来たが、中里の熱くなりやすい性格がそれを許さずスタートから全開走行を続け、更に拓海のハチロクに追い付かれた事により中里の性格に拍車をかけた。そしてムキになってハチロクを振り切ろうとした結果、遂にGT-Rの弱点が中里に牙を向いた。

 

今の中里に余裕など一切無かった。ハチロクからのプレッシャーとタイヤとブレーキの熱ダレが重なり、集中力が切れかかっていた。

 

左のヘアピンが迫って来てブレーキを踏むが、明らかなオーバースピードで進入した為にステアリングを切っても車は曲がろうとしない。中里痛恨のアンダーステア。その隙を拓海が見逃す筈が無い。チャンスとばかりに拓海のハチロクがガラ空きになったインを突く。

 

横に並ばれた事により、頭の中が真っ白になった中里はまだコーナーを抜けてないにも関わらずアクセルを全開にした。こうなった時、車はどういう動きをするか峠を攻めた事のある人なら分かるであろう。

 

4WDでアテーサETSという日産独自のトルク配分システムを搭載したGT-Rと言えど、このような事をすればトルクの配分作業が追い付かずリアタイヤは力負けしハーフスピン状態となった。

 

そして外側のガードレールに右のリア側面がヒットし反動で車はコーナーとは反対側にスピンしてようやく停止した。

 

 

 

 

 

この瞬間バトルの勝敗は決した。

 

【完】

 

 




はい、中里さん板金7万円コース決定です(笑)

とまぁそれはさて置き、原作とは違って妙義でのバトルだったのでバトルシーンを思い付くのに時間が掛かった挙句、結局原作頼みとなってしまいました。

オリジナリティーの無さを改善していかなければいけませんね、本当に・・・

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