まず始めに一言。
今回、アリスは出番無しです。代わりにライバルの早苗の方に焦点を当ててみました。
早苗の速さの秘密が解る!!・・・かも(汗)
秋名山にてアリスの走りに魔理沙が心の中で絶叫していた頃、池谷達はいつも通りガソリンスタンドで働いていた。
スタンドには何時もの如く健二が来ており、今日もスタンドは和気藹々としていた。
その時、1台の青い車がスタンドにやって来た。池谷達は何時もの様に一般客として対応する。しかし、その客は何故か車から降りてきた。普通の客なら車を降りずに窓を開けてガソリンの種類と入れる量を告げる筈。もしかしてと池谷は思わず身構える。
青い車・・・エボⅨから降りてきたのは早苗だった。取り敢えず池谷はいらっしゃいませと声を掛ける。
早苗「・・・ハイオク満タン、入れて下さい。」
池谷「(・・・なんだ、只の客か。)はい。ハイオク満タン!!」
拓海・樹「「はい!!」」
自分の思い過ごしかと思い、池谷は拓海達にハイオクを満タンに入れるように指示する。ガソリンを入れてる最中、早苗が池谷の元に歩み寄って来た。
早苗「私、東風谷早苗と言います。秋名スピードスターズの池谷さんって貴方ですか?」
池谷「・・・俺の事だけど、何の用かな。」
名指しで呼ばれた池谷はしばし考える。
自分と早苗と言った彼女とは何の面識も無い。しかしこの彼女は自分がスピードスターズのメンバーだと言う事を知っている。
・・・とすれば、考えられる事はと思った所で早苗がおもむろに口を開いた。
早苗「何寝惚けた事言ってるんですか。・・・私が此処に来た目的、貴方ならもう既に気が付いてるんじゃないですか?」
この言葉を聞いて只の憶測に過ぎなかった事が池谷の中で確信に変わった。もしかしなくてもこの娘は・・・
池谷は恐らく早苗が言うであろう次の一言を黙って待った。
早苗「私達、インパクトブルーとのバトルを受けてくれますか?」
早苗は顔に強気な笑みを浮かべながら単刀直入に用件を伝えた。それを聞いてやはりそう来たかと池谷は思ったが、直ぐには返答しなかった。何故ならチームリーダーとして言っておかなければならない事があったからだ。
池谷「言っておくが、俺達スピードスターズは地元でバトルする気は無い。もし君達が秋名でバトルするつもりで此処に来たのなら、・・・悪いけどお引き取り願おうか。」
この時早苗は池谷が二つ返事で了承してくれるものだと思っていた。ところが予想と違った返し方をされ早苗は表情にこそ出ていなかったが、内心ではとても驚いていた。
とはいえ、早苗の中に帰るという選択肢は毛頭無かった。池谷の言葉を言い換えると、要するに彼女らの地元でやるならバトルを受けても良いと言ってるのである。この条件は彼女達にとってはむしろ有利な条件となるのだ。それを態々断って帰るなど、そんな馬鹿な真似をする筈が無い。
早苗は池谷に了承の返事をする。池谷は交流戦の日にちと時間を伝えると早苗から離れようとした。だが早苗にはもう1つの要件が残っていた。先のやり取りと関係はあるがインパクトブルーとは関係の無い個人的な要件が。
早苗「それと【七色のドリフト使い】に伝言を頼めますか?」
池谷「・・・!!」
池谷は思わず足を止めた。その場に居た拓海と樹も作業の手を止める。七色のドリフト使いとはアリスの二つ名だと言う事は知っていたが、何故その名前を早苗が出したのか、池谷にはその意図が解らなかった。
因みに話は逸れるが、池谷を含めスピードスターズのメンバーのほとんどがアリスの二つ名は秋名山のギャラリーが言い始めた事だと思っていた。まさかその出所がスピードスターズの【誰かさん】が言い出した事だという事実を彼らは知る由もないであろう。
給油も終わり、キャップの閉め忘れが無いかを確認し、客としての対応を終えた所で早苗に先程の話の続きを促した。
池谷「さて、うちのチームのドライバーに伝言があるって言ってたな。要件は何かな。」
早苗「次の交流戦でインパクトブルーの東風谷早苗が【七色のドリフト使い】とバトルが出来る事を楽しみにしてると伝えて貰えますか。」
池谷「・・・その要望が叶う保証は無いけど、分かった。一応伝えておくよ。」
取り敢えず自分の言いたい事は相手に伝えた。早苗は自分の車に乗り込むと颯爽と駆ける様な走りでガソリンスタンドを去って行った。
拓海「池谷先輩、今のは・・・」
池谷「・・・あぁ、恐らくアリス宛への挑戦状だろう。それにあの雰囲気、流石は奇跡のエボ使いと言った所か。」
樹「何処かで聞いた事あると思ったら・・・まさか!?」
そう言うと樹は何時の間にか持って来ていたスポーツカー雑誌を手に取り、ペラペラと捲り始めた。
樹「・・・青いエボⅨ、奇跡のエボ使い、・・・あった、この娘だ!!」
樹が開いたページの中には、ド派手なドリフトを見せるエボⅨと、そのエボⅨのボンネットに座ってカメラに向かってウィンクとピースサインをする早苗の姿を写した2つの写真が載せられていた。「碓氷峠に彗星の如く現れた奇跡のエボ使い、東風谷早苗の素顔に迫る!!」とやたら長い見出しを付けた彼女の記事はおよそ2頁に渡って特集されていた。
樹曰く、こういう雑誌の特集記事に2頁を費やすのはレッドサンズの高橋兄弟以来なのだと言う。
しかし、高橋兄弟を特集した時の場合は2人で2頁という使い方をしていた為、1人の走り屋を2頁にも渡って特集する事はこれが実質初めてという事になる。
拓海「・・・凄いですね。写真を見ただけでもこのドライバーの凄さが解りますね。」
池谷「・・・ドリフトは速く走り為の過程で覚えただけであって、目的その物では無いか・・・」
早苗のインタビュー記事を見ながらそう呟いた池谷は何気なくその次のページを捲った。すると次のページには1台の車がカメラに写し出されていた。ドライバーの情報が無い事から、恐らく隠し撮りした物だと思われる。しかし池谷達はその車に見覚えがあった。
池谷「これって、アリスのS2000じゃないか?」
ドライバーの写真とかは載って無いので確証は無いがその車はどう見てもアリスのS2000と瓜二つだった。無限で統一されたエアロパーツ、同じく無限のブロンズのアルミホイール、青白く光るヘッドライトetc....。
その外観的特徴がアリスの車と良く酷似していた。
樹「アリスの奴、こんな取材を何時受けたんだ?」
拓海「・・・イヤ、多分その線は間違いだと思うよ。」
池谷「どういう事だ?」
拓海「無免許の時からずっと秋名を走ってたって言ってましたから、公になると色々マズイと思いますよ。」
池谷「無免の時からって、アリスは何時頃から秋名を走ってるんだ?」
拓海「俺が聞いた話では12歳の時から秋名を走ってたって言ってましたよ。だから運転歴では俺よか長いっすよ。」
拓海が車を乗り始めたのは13歳の頃。父文太が配達の手伝いを拓海に強要した事が切っ掛けだった。つまり拓海は今年で運転歴5年になる。単純に計算するとアリスは拓海より1年程運転歴が長いという事だ。余談だが、アリスが車に乗る様になった切っ掛けは【秋名の2大巨頭】と呼ばれた母アリシアへの強い憧れがあったからである。
その話を何時の間にか隣で聞いていた祐一は息子(娘)に法を破らせる親が何処に居るんだと思い、1人頭を抱えていた。
ガソリンスタンドを出た早苗はその足で帰路に着いた。だが直ぐに就寝はしない。彼女には寝る前にある事を日課にしていた。
彼女は守矢神社の敷地内にある母屋を住処にしている。その母屋から更に奥に進むと学校のグラウンド並の広さを持つ中庭に出た。中庭に着いた早苗はそこに車を停めると、物置からパイロンを何個か取り出して規則的に並べ始めた。
そうして出来たのは即席で作ったジムカーナのコースだった。
早苗はこうして即席でジムカーナを作っては毎晩違うコースを自分で考えて走り、自身のドラテクの向上に励んでいる。だがそれだけでは飽き足らず、暇さえあればサーキットの草レースに参加している。早苗は自身のドラテクを極める為なら弛まぬ努力を一切惜しまない。
以前はプロのレーサーになる為に走り込みの練習を積み重ねてきたが今ではそれに加え、自身がライバル視しているアリスに勝つ事を目的に日々精進を重ねている。
今までは女というハンデを逆手に取って男の走り屋を追い詰める事をモチベーションとしてきたが、今回ばかりはそれが通用しない。だからといって同じ女の走り屋に負ける訳にはいかない。
今度のバトルは自分にとって特別な意味を持つ事になるであろう。だからこそ、態々ガソリンスタンドに出向いてスピードスターズに宣戦布告をして来たのだ。
早苗「(・・・もし情けない走りをしたら、奇跡のエボ使いの名が廃る。だから悔いだけは残さない!!)」
あれだけの事をしておきながら無様な走りを見せようものならチーム内のみならずアリスにも笑われてしまう。こうして啖呵を切った以上は自分が持っている技術を総動員して挑むつもりだ。
普通ならプレッシャーを感じる所だが、東風谷早苗はそれをモチベーションの糧としていた。しかし早苗の走りの本質は常に緻密な作戦を練って正確な理論を持って相手の欠点を突く走りを主にしている。
ジムカーナで鍛えた腕を持つ早苗は低速コーナーの処理が抜群に上手い。道幅が狭く、アベレージスピードが低い碓氷峠のコーナーも彼女の手に掛かればいとも容易く処理出来てしまう。しかもありとあらゆるコーナーの全てをだ。
その中でも低速コーナーはまさに彼女の独壇場と言える。アウト・イン・アウトのライン取りは勿論、ドリフトしながら車をクリップに付ける技術、低速ギアのパンチの強さを活かした立ち上がり加速で他を凌駕する。
こうした技術を習得するまでにかなりの年月を要した。だから早苗は自身が身に付けた技術にはプライドがある。
今度のバトルでは、そのプライドと奇跡のエボ使いの誇りを賭けてアリスを迎え撃つ。明日からは対スピードスターズ戦に向けた作戦会議やら何やらで忙しくなるだろう。
最後は華麗なスピンターンでフィニッシュした早苗はパイロンを片付けて母屋へと戻り漸く就寝する事にした。
早苗「(早く彼女と走りたい。その日が待ち遠しいですよ。)」
布団を被り、横になった早苗は沸き立つテンションにワクワクしながら眼を瞑った。
【七色のドリフト使い】対【奇跡のエボ使い】のバトルは直ぐそこにまで迫っている。
・・・果たして勝つのはどっちだ。
【完】
自分で書いておいてアレですが、最後の方がメチャクチャになってしまい少し分かりにくかったと思います。
反省しないと・・・
話は変わりますが、イニDのユーロビートこそ至高と思っていましたが、東方ユーロもなかなか良いですね。Drive My LifeとかGrip&Break down!!とかEndless Sleepless Nightなんか特にね。
後、活動報告の方に質問コーナーを設置しました。気になる事があったら書き込んで下さい。質問返しは後に茶番回を作って、その本文の中で答える予定です。
・・・書き込み無かったらどうしよう。