七色のドリフト使い(再制作予定)   作:独田圭(ドクタケ)

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早苗って誰に対しても敬語を使うイメージがあるのは俺だけでしょうか?

毎度どうもDoctor Kです。

今回でインパクトブルーとの交流戦は終わりです。

前半では霊夢の頭脳チートっぷりが炸裂します。そして後半は決着シーンにしてます。

過去のシーンを読み返して見たら霊夢が車のメカについて語ってる描写が無かったので今回急遽ブッ込みました。間違ってたらすみません・・・



第17話 vs早苗(後編) アドバイスの意味

両者共に膠着した状態のバトルが続いている中、碓氷峠のスタート地点では池谷と霊夢が何やら話し合っていた。その輪の中には霧雨魔理沙も入っており、時折霊夢に疑問に思った事をぶつけている。

 

3人の話題は主にアリスのバトル相手、東風谷早苗についてだ。

 

霊夢「東風谷早苗というドライバーはプロ志望が強く、ジムカーナやサーキットの走行会に出場しては表彰台の常連に立っている程の腕を持つドライバーよ。」

 

魔理沙「そんな本格的な技術を持ちながら何でまた峠の走り屋なんかになったんだ?」

 

霊夢「それは当人にしか分からない事だけど、それが早苗の走りの原動力になってるのは確かね。」

 

魔理沙「厄介な相手である事には変わらないって事か。」

 

池谷「・・・そう言えば、樹が持ってた雑誌の中のインタビューで自分にとってドリフトは速く走る手段の1つだって言ってたな。」

 

霊夢「それはつまり、目的そのものでは無いって事ね。」

 

中々面白い考え方だ、と霊夢は思う。本格的なレーシング技術を持つ早苗にとってドリフトとは言ってみれば邪道なのだ。

 

【ドリフトはグリップ走行より遅い】というのは世間一般の常識ではある。普通に考えれば解る事なのだが車(正確にはタイヤ)には前に進もうとする力が働いている。タイヤのグリップ力を使い切る事が出来るうえに前に進もうとする力を殺さずに走れるグリップ走行とは違い、ドリフトで横向いているタイヤではその力を活かす事が出来ない。これがこの定説を裏付ける理由なのだ。

 

そんな事が解っていながら何故早苗はドリフトをするのか?

 

早苗がジムカーナをする事はとっくに分かっているだろう。ジムカーナというのは以前説明した通り、広い舗装路にパイロンを一定の数並べてコースを作りそこを如何に速く走れるかを競う競技である。だが、パイロンとの間隔はとても狭く、グリップで曲がろうものならアンダーステアを誘発してしまい曲がれるだけのスピードにまで落とさないと曲がらない、もっと簡単に言えばグリップ走行では処理出来ない箇所が出てくるという事になる。

 

これらを処理する為に使われるのがドリフトと呼ばれる技術である。つまり早苗は前述の定説が場合によっては当て嵌まらない事を知っているのでコーナーの種類に応じてドリフトとグリップを使い分けているのだ。

 

魔理沙「霊夢は早苗がどういう走りをするのか分るのか?」

 

霊夢「さっき池谷が持ってきた東風谷早苗のインタビュー記事を見てみたけどこれが中々面白いのよ。東風谷早苗の走りの哲学はシンプルさ。単純明快な思考こそ速く走る上で一番大事な事だと提唱しているわ。」

 

池谷「走り屋なんかがよく言うモチベーションなんかは彼女にとっては単なるおまけに過ぎないと言ってるしな。」

 

霊夢「東風谷早苗は雑誌のインタビューの中で感情の起伏を理論で制御するって言ってるけど、コレがもたらす恩恵というのはこうする事で無駄な情報を取っ払って冷静且つシンプルに物事を考える事が出来る。

…間違った事は言ってないわ。人というのは多くの知識を得るとかえって単純な事が見えにくくなるし、常に冷静さを保つ事はあらゆる分野に於いても重要な事だしね。モチベーションをおまけって言ってるのはそういう事が理由なのかも知れないわね。」

 

魔理沙「…そんな奴相手にアリスに勝機はあるのかよ。」

 

霊夢「…あるわ。」

 

俯いたまま弱々しく聞いてきた魔理沙の質問を即答で返した霊夢に驚いた魔理沙は思わず顔を上げる。

 

霊夢「私と早苗は職業が一緒だから早苗の考え方に共感する部分はあるけど、モチベーションは速く走る為には絶対に必要な資質だと私は思うわ。それに早苗の考え方にはある欠点が存在するのよ。」

 

魔理沙「ある欠点?」

 

霊夢「物事をシンプルに考えるという事はそれ以外の要素を一切排除という意味になるわ。私が思うにこの理論はサーキットを走る事を前提とした考え方だと思うわ。サーキットでは余計な事を考えなくても走れる環境が整っているからね。だけどバトルの舞台が峠である以上この理論の優位性は絶対とは言えないわ。何故ならこの理論は不確定要素に対応していない。」

 

霊夢曰く、峠のバトルはドライバーの技術の差や車の性能の差以外で決着するケースがあるとの事。そういった決着になる場合、必ず起こり得る事が不確定要素の介入だと霊夢は話す。セオリーだけで勝てる程峠のバトルは甘くはない。その他の要素を有り得ないの一言で終えてしまったらいざそれが起こった時に咄嗟の判断が出来なくなると霊夢は言う。

 

霊夢「その不確定要素を起こす起爆剤となるのがモチベーションよ。アリスに勝機があるとすればその一点に尽きるわ。」

 

魔理沙「アリスにはモチベーションという物はあるのか?」

 

霊夢「アリスの走りを皆どっち付かずって言うけど私から見ればアリスは感覚派と理論派の両方を併せ持っていると思うわ。守りに入ってる時は相手の車を観察したりしてるけど攻撃的になった時のアリスはモチベーションの塊みたいな物よ。」

 

霊夢はアリスの走りをそう評価していた。事実、思い返せば池谷とのバトルの時もアリスはオーバーテイク直前まで静観を貫いていたが5連ヘアピンの1個目で何の前触れも無く池谷を料理した。霊夢曰く、その時にモチベーション主体の走りに切り替わったのではと言う。

 

早苗達がアリスの走りの本質を見抜けないのは妙義山で見た時の走りと今の走りが全く違うからである。早苗は感覚派でも理論派でも無いと言っていたがそれは間違い。霊夢の言う通り、アリスは2つのタイプの走りを持ち併せているのだ。だが殆どの走り屋にはそれが解らずアリスの走りを【無頓着】と捉える人が多い。これこそがアリスの走りがどっち付かずと言われたる所以である。

 

 

 

 

 

霊夢「ランエボはWRCを制覇する目的で三菱が開発したのは知ってるわよね。」

 

魔理沙「まぁ一応・・・」

 

霊夢「その9代目に当たるエボⅨは初代から脈々と受け継がれている4G63型エンジンとこれまた初代から受け継いでいる前後違った形式のサスペンションを組み込んでコーナーでのスタビリティの高さを実現していると同時に、今代から連続可変バルブタイミング機構【MIVEC(マイベック)】を採用し、タービンコンプレッサーホイールを従来のアルミ合金からマグネシウム合金に変更した事によりランエボの弱点だったトラクションの弱さを克服したと同時にレスポンスの向上を実現させた。加速競走ではS2000は分が悪いわ。」

 

魔理沙「・・・専門用語が多過ぎて何が何だか分からないぜ。」

 

池谷「・・・要は歴代のランエボの中ではかなり高い戦闘力を持ってるって事だ。」

 

魔理沙「そういう事か、なんとなく解ったぜ。」

 

残念ながら魔理沙はメカの知識は全くの素人である為、霊夢が言った事の1割も理解出来て無かったが、いちいち最初から説明するのも面倒なので池谷がざっくりとした説明をしたところ、なんとか理解してくれたようだ。

 

・・・最も、根本的な部分は解っていないと思うが。

 

池谷(・・・こんなんで良いのか?)

 

霊夢(魔理沙には充分でしょ。)

 

これでも分かりやすく説明したつもりなんだけどと霊夢は思い、あれ程長々と説明したのに何一つ解っていなかった魔理沙にガックリと肩を落とす。・・・が、直ぐに切り替える。

 

魔理沙「それで、霊夢がスタート前にアリスに言ってた2つのアドバイス、・・・あれってどういう意味なんだ?ハイパワーターボ車とコースを知らない事があーだこーだって。」

 

霊夢「1つは簡単よ。ターボってのは前半は強力な味方になるけど、逆に後半はそのパワー故にタイヤを傷めつける足枷にしかならないのよ。特に碓氷の様なタイトなコーナーが続く峠ではタイヤの寿命も早くなる。況してやエボⅨとS2000の車重差はおよそ200kgあるから先に苦しくなるのは早苗の方ね。」

 

池谷「それにダウンヒルだから後半になればなる程エボⅨの方は不利な材料が多くなるって訳だ。」

 

霊夢「だからといってアリスの方も余裕がある訳では無いわ。この後半でなんとか隙を作って1発で早苗を仕留める事が出来なければこの勝負、アリスの負けよ。」

 

アリスも早苗と同じ状況に置かれている中で勝機を見い出すにはアリスの瞬発力と類稀な閃きに掛かっていると霊夢は言う。魔理沙もその事は理解したようで霊夢にもう1つのアドバイスの真意を促す。

 

霊夢「それともう1つ、コースを知らない事を逆手に取る。此方の方が重要よ。これには2つの真意があるの。」

 

魔理沙「だからそれが分からないって言ってるだろ。勿体ぶらないで教えてくれよ。」

 

霊夢「(・・・もう少し考えて欲しかったんだけど)・・・わかったわよ。まず初めに両者のテクニックが互角な場合、最終的に勝敗を分けるのは如何にコースを知っているかに限られる。これは走り屋の常識で【揺るがない】事実よ。ここまでは解るわね?」

 

魔理沙「おう・・・」

 

霊夢「ここで蓬莱をナビシートに乗せた理由を話すけど、蓬莱は昨日の昼間からスクーターに乗って碓氷のコースを何本も往復してるから私達よりも多くの情報を持ってるのよ。それならアリスにとって不利に働く要素をリカバリー出来ると踏んで蓬莱を横に乗せた訳。但し、アリスに余計な情報を与えないという条件付きでね。」

 

魔理沙「何でだよ、それじゃあ意味が無いじゃないか。」

 

霊夢「多過ぎる情報は時として思考の邪魔をするのよ。アリスみたいに閃きで勝機を見い出すタイプの走り屋には特にね。だから蓬莱にはコーナーの処理の仕方以外はコースの情報を詳しく教えるなって言っておいたわ。」

 

魔理沙「・・・よく池谷さんが許可したよなぁ。」

 

池谷「確かにリスクは大きいけど、霊夢が何の考えも無しに言い出したとは思えなかったからな、だから心中するk・・・霊夢「イヤよ。心中なんて。」・・・例えばの話だろ。」

 

相当嫌そうに言い放った霊夢に池谷はヤレヤレと肩を竦める。初めて会った時から自分に対する態度が全く変わってない事に池谷は苦笑する。

 

霊夢「で、話を戻すけど、1つ目の真意はそれ。そしてもう1つの真意は最初にも話した通り、最終的にはコースに対する熟練度の差が勝敗を決める。何度も言うけどこれは揺るがない事実なのよ。」

 

魔理沙「でもそれだとアリスに勝ち目が無いんじゃないか?」

 

霊夢「最後まで話を聞きなさいよ。それで今さっき早苗の理論の欠点として不確定要素に対応出来ないって言ったわよね?」

 

魔理沙「それは知ってるけど・・・・・・ちょ、まさかそれって!?」

 

霊夢「気付いたみたいね。・・・そう、恐らく早苗はそれを【当然の事】として捉えてると思うわ。それが早苗の理論だからね。」

 

流石の魔理沙も霊夢の言わんとしている事が分かったのだろう。霊夢のアドバイスにそこまでの意味があったとは・・・と言いたげな表情をしていたが驚きの余りそれが言葉に出来ない。

 

霊夢はそんな魔理沙を見て口角を吊り上げると魔理沙も気付いたであろうこのアドバイスの真意を口にした。

 

 

 

 

 

霊夢「アリスの天性の閃きで、早苗の【揺るがない】理論を・・・破綻させるわ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バトルは終盤、早苗のエボⅨ先行で始まったバトルは早苗が前を走り、その後ろをアリスのS2000がピッタリと喰い付いたままの状態が続いていた。

 

サドンデスデスマッチが採用されているこのバトルは後ろとの差が開いていなければポジションを入れ替えて決着が付くまでそれを繰り返す。つまり現状では2本目に入る可能性が濃厚になりつつある。

 

早苗の頭の中は2本目に入る事を想定したシミュレーションを考えていた。

 

早苗「(流石にタイヤが厳しくなってきましたね。でもそれは相手も同じ、況してやS2000はFRだからその負担は全てリア側に集中する。いくらドリフトが得意な貴女でもリアが踏ん張ってくれないとドリフトするのも厳しいでしょう。)」

 

このまま粘って2本目に入ればコッチの物。2本目に入れば4WDのエボⅨには有利な材料が多い。対するアリスのS2000はFR、1本目で決着を付ける事が出来なければアリスにとって圧倒的に不利な条件が突き付けられる。

 

蓬莱「(スタート前に霊夢さんは先輩に余計な情報を流すなって言いましたが、・・・本当に大丈夫なんでしょうか。せめて路面状況ぐらいは知らせておいた方が良かったんじゃないですか。)」

 

蓬莱は心の中で葛藤していた。この戦況が動かないまま2本目に突入してしまうといくらアリスでも付いていくのはかなり厳しい。だが霊夢の事だから何か裏があるに違いないと思ってる自分も居る。そのジレンマが蓬莱を縛り付けていた。

 

自分が尊敬するアリスの負ける姿は見たくない。だけどこの状況を打開する策を見付けられない。蓬莱は心の中で舌を打つ。歯痒い・・・今はその気持ちが大半を占めていた。

 

その時、幾つもの先のコーナーから木の葉を照らす車のヘッドライトの光を蓬莱は見逃さなかった。・・・対向車が来る。その事をアリスに知らせる。

 

蓬莱「対向車が来ます。でも距離からして、すれ違うのは3つ先ですね。気を付けて下さい。」

 

アリス「・・・OK。」

 

口では余裕ぶって返したがアリスは車の異変を感じ取っていた。先程からリアタイヤの踏ん張りが甘い。無理して車を走らせたツケがまわってきたんだとアリスは思った。

 

だが、それでもアリスの表情に焦りは見えない。自分が苦しい時は相手も苦しい筈、だから絶対に諦めてなる物か。なんとしてでも勝ちたいという気持ちが今のアリスを支えていた。

 

蓬莱の言葉通りなら、このコーナーで対向車とすれ違う筈、アリスはイン側に逃げる準備をしていた。そうして対向車とすれ違う準備をしたアリスだったが、すれ違う寸前、アリスは前を走るエボⅨに1つの違和感を覚えた。

 

アリス「(?・・・なんか対向車とすれ違う寸前に一瞬迷いが見えた様な気が。)」

 

それは些細な出来事だった。パッと見では気が付かない程の違和感。対向車とすれ違う間際、早苗の車からほんの一瞬だけ迷いが見えた。

 

アリス「(今の今まで隙が全く見当たらなかったけど、どうしてあの瞬間だけ・・・・・・まさか!!)」

 

アリスは閃いた。まさか今のが早苗の欠点では無かろうかと。イヤ、きっとそうに違いないたアリスは確信した。

 

この瞬間、アリスの頭の中で守りから攻撃へとスイッチが切り替わる。待ちに待った瞬間にアリスは心の中でほくそ笑んだ。

 

 

 

 

 

両者共に舞台は最終セクションへと移る。最後の区間は不規則なS字コーナーが続く区間でその殆どが低速コーナーになっている。ジムカーナを走り込んでいる早苗にしてみれば比較的得意な区間である。

 

2本目に持ち込むべく懸命に逃げる早苗。しかし、闘争心を前面に押し出すアリスの走りがそれを許さない。

 

そして、4つ目のS字コーナーに差し掛かった時、沙雪は早苗に指示を出した。

 

沙雪「次のコーナー、外側に砂が浮いてるわよ。ここはインベタグリップで。」

 

早苗「・・・・・・。」コクッ

 

この時早苗は外側に浮いてる砂に乗らないようにインベタのラインを描く事を意識し過ぎたせいでほんの僅かだが早めに減速してしまった。このバトルで初めて見せた早苗の隙をアリスは見逃さなかった。

 

アリス「(突っ込みが甘い!?・・・今だ!!)」

 

イン側に付く早苗とは裏腹にアリスは車を外側に振る。ドリフトしながら勢いそのままにアリスのS2000は一気に早苗のエボⅨに並びかける。

 

早苗「・・・なっ!?(そんなスピードでは絶対に曲がらない!!況してや外には砂が・・・)」

 

まさか此処で仕掛けて来るとは思っていなかった早苗は動揺を隠せなかった。直ぐにブロックしようにも体が金縛りの様に硬直して思うように動かない。

 

その間にアリスのS2000は外側の苦しいアプローチながらエボⅨを上回るコーナリングスピードであっという間に早苗の横に並んだ。

 

早苗「(・・・っ!?完全に横に並ばれた!!・・・でも次は私の得意な低速コーナー、絶対に前は譲らない!!)」

 

早苗は地元のメンツに賭けて、なんとしてでも2本目に持ち込む為に、アリスはチームの為に、次を走る拓海の為に、そして何より蓬莱の憧れの象徴であり続ける為に、互いの意地とプライドがぶつかり合う。

 

そして次の右のヘアピンに差し掛かるとアリスと早苗はブレーキを踏む。ブレーキング勝負は両者互角。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

互いに互角の勝負を繰り広げる中、先にブレーキランプが消えたのは・・・アリスのS2000だった。

 

ヘアピンの真ん中でアリスのS2000が頭1つ抜け出すとそこからの立ち上がり加速でも早苗のエボⅨを凌駕する。

 

早苗「(・・・やられた!!・・・一番得意な低速コーナーでやられた!!)」

 

ゴールも間近、そんな中で土壇場の大逆転を喰らった早苗は瞬間的に自身の敗北を悟った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「嘘・・・だろ、・・・早苗が・・・負けるなんて。」

 

碓氷峠のゴール地点に集まっていたギャラリーの殆どがこの結末に愕然としていた。

 

一瞬見間違いかと思ったが前を走っていたのは間違い無くスピードスターズの白いS2000だった。勿論早苗はその後ろに居た。

 

碓氷峠、引いては群馬エリアでも指折りのランエボ使い、東風谷早苗の敗北にギャラリーはスピードスターズもとい、アリス・マーガトロイドもとい、【七色のドリフト使い】の底力を思い知らされた。

 

ゴール地点に車を停めて一息付くとアリスは車から降りた。同じタイミングで車から降りた蓬莱に前回の妙義山同様抱き着かれたが、前回とは違い蓬莱の目には涙が浮かんでいた。蓬莱にしてみれば自分の仕事が全う出来たか不安に思ったであろう。

 

だがこれだけは言える。

 

 

 

 

 

蓬莱は確実にアリスの精神的支えになっていた事は間違いない筈だ。

 

現にアリスは静かに蓬莱の抱擁を受け止めていた。その光景は言葉にしていないが「お疲れ様。」と言っているようだった。

 

暫くして、早苗も車から降りてきた。負けた筈なのに何故か清々しい表情をしている。

 

早苗はそのままアリスの元に歩み寄ると未だ抱擁を受けてるアリスに声を掛けた。

 

早苗「・・・今回の負けは認めます。でも、いつか私は貴女を超えてみせます。その時が来るまで、・・・絶対誰にも負けないで下さい。」

 

いつか必ずリベンジを果たす。そう言い切った早苗はアリスに握手を求めた。その言葉は負け惜しみでも何でも無く、自分が長い間探し求めてきた真のライバルに出会えた嬉しさに満ち溢れていた。

 

その早苗に応えるかの様にアリスは握手を求めてきた早苗の手を握ると笑みを浮かべた。そして1言だけ早苗に言葉を返した。

 

アリス「・・・その時は、受けて立つわ。」

 

たった1言だけだったが早苗にはその1言で充分だった。自分もライバルとして認められた。それだけで心が満たされるのが分かった。

 

早苗に1言だけ声を交わしたアリスは蓬莱に「帰るわよ。」と言い車に乗り込むと心地良いV-TECサウンドを奏でながら走り去って行った。

 

残された早苗は夜空を見上げた。あの日、妙義山で出会った時と同じ様に。雲1つ無い綺麗な夜空に照らされた満月が今の早苗の心情を表してるようだった。

 

早苗「(峠で負けたのは久し振りだなぁ。・・・でも、次は負けませんよ。)」

 

次にあいまみえるのは何時になるだろうか。そう思いながら早苗は必ずリベンジを果たす事を心を誓った。

 

 

 

 

 

その後の拓海対真子のバトルも拓海が勝利を収め、ナイトキッズ、インパクトブルーの2大勢力を下した秋名スピードスターズが群馬エリアを代表する走り屋チームに登り詰めるのにそう時間は掛からなかった。

 

【完】

 

 




アリスも好き、早苗も好き。後は蓬莱の泣き顔が見たい←ゲス顔

・・・オホンッ、冗談です。

今後の予定としては、

茶番回を挟む→後1、2話程東方キャラとバトルする→エンペラー群馬侵略(もしくは渉とバトル)・・・の予定です。

尚、拓海対真子のバトルは原作以外の決着シーンが思い付かなかったのでカットしました。・・・申し訳無い。

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