Story Spun Friends   作:Gliscor

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第一話 そして2度目の始まりを

 

---体は真紅で染まっている

鉄の匂いで染まったこの体をもう誰も人とは認めてくれないだろう。

 

---吐き気がする、意識が朦朧とする

頭の中を過るのは叫び声、嘆く声。

 

一体どうやったら救われるのだろう。

一体どうやったら良いのだろう。

 

後ろに倒れている数分前まで自分の主人だった者。

夢を抱き、刃を突きつけられては朽ちていった者。

 

 

ただ従わされ、訳もわからないまま現れた"それ"を信じてはいなかった、だが今はすがるように無意識に"それ"を手に取った-------

 

 

 

-----もう1度だけ、やり直せるなら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Story Spun Friends

 

第一話 そして2度目の始まりを

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紡!はやくはやく!」

 

「はいはい、わーったから待ってろって」

 

ごくごく普通のただただ普通の平日の午後3時過ぎ。

俺、神楽 紡(かぐら つむぎ)は教室の前で焦る白色の髪の少女に帰宅を急かされている最中だ。

 

「あれ…国語の教科書どこやったっけ…」

「も〜…紡は…! 我慢出来ないから先に靴箱まで行っておくから!」

 

白色の髪の少女はビューン!と擬音が出そうなくらい速く廊下を駆け抜けて行った。

マズイ。遂に痺れを切らした様子だ、こりゃ後で大目玉食らうぞ…。

 

 

「いやぁ〜 いつ見てもも仲の良い事ですなぁ」

 

声のした方を振り向いて見るとクラスメートの栗原雀花、嶽間沢龍子、森山那奈亀がいた。

 

「なんだ、3バカか」

 

「3バカとは何だコラー!!バカって言った方がバカなんだぞ紡のバーカ!」

「そうだぞ!後バカなのはたっつーだけだ!!」

「そうだ!バカなのは俺だけだ! …ん?」

 

「いやぁ〜 いつ見てもバカですなぁ」

 

3人がいつも通りやいのやいの言ってる様子を見て俺は笑っていた。

こいつらとこんなやりとりをするのも日常茶飯事だ。

 

「3人とも、イリヤちゃんが待ってるんだから紡君にあまりちょっかい出さない方がいいんじゃ…」

 

そのやりとりを見て同じくクラスメートの桂美々は俺の事を心配してくれたのか注意をしてくれる。美々は俺たちのグループの中では1番優しく大人しくいつも気を使ってくれるいい奴だ。

 

「あぁいいんだよ美々。その内紡を放っておいて帰るから、ハッハッハ!」

 

大きな声を教室に響かせ3バカが爆笑する

 

「おいおい、そこまで言われたら流石に俺もキレるぞ…」

 

そう言って少し睨みを利かせるとビビったのか3バカは ひっ と言ってドアの前まで移動した。

 

「さぁさぁお帰りなさいませ紡様、こちらの方を開けておきますね」

 

まるでメイドのように腕をピシッとして教室のドアの前で待機する

 

「うむ、苦しゅうないぞ」

 

そう言って教室を出て俺は駆け出した、イリヤをこれ以上待たすと何言われるかわからない。

 

俺が背を向けた途端後ろで「バーカバーカ覚えてやがれ」などと発言していた奴らへの復讐は後日する事とした。

 

 

 

 

 

 

 

「も〜遅い!何してたの!?」

 

俺が靴箱へ着くとイリヤはカンカンだった。俺の制服の袖を引っ張ってまだかまだかと俺が靴を履くのを待機している。

 

「いや〜悪い悪い、バカ共に捕まっちまって」

 

「言い訳何か聞きたく無いもん!紡は昔からそうやって…」

 

何してたのか聞かれてからのこのセリフ、理不尽だ。

 

「もう何でもいいから行こ! ほら、紡も走って!」

 

「おい! 待てったら! ていうかそんなに急いでるなら先に1人で帰れば良かっただろ…」

 

「そ、それは…もう!何でもいいでしょ!ほら速くして!」

 

「はぁ…?」

 

俺がそう言うとイリヤは少し頬を赤くして振り払うように言った。

 

 

 

 

 

 

「ただいま〜」「ただいま」

 

玄関を開けるとそこにはセラが立っていた

 

「あら、2人ともお帰りなさい、そういえばイリヤさん宛に何か届いてましたよ」

 

「やっぱり届いてた!急げー!!」

 

その言葉を聞くや否やイリヤは目を輝かせながら家の中へ飛び込んで行った。

 

「はぁ〜…」

 

俺はイリヤみたいに無尽蔵のスタミナを持っている訳じゃないから流石に急かされて疲れた。どっと玄関に倒れ込む。

 

「ふふ、紡さんも大変ですね」

 

くす、と俺の様子を見てセラが笑う。

 

「あ〜うん…まぁ全然いいんだけどな…」

 

 

「何してるの〜? 紡も一緒に見ようよ〜」

 

そんな俺を尻目にイリヤの声がリビングから聞こえる。"見る"って言ってるしやっぱりアニメのDVDか何かか。いつも通りだな。

 

「ほいほい、今いくよ」

 

 

でもこんな "いつも通り"が 俺にとっては眩しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぁ〜〜〜〜、終わった終わった」

 

結局俺はイリヤに付き合わされ"また"別にそこまで興味の無いアニメを一緒に見てしまった。

 

「紡、お疲れ?」

 

そんな俺を見てリズ姉は話しかけて来た。

 

「まぁ流石に12話も見ると…ていうかイリヤ寝ちゃってるし…」

 

隣を見ると俺を誘っておいた張本人のイリヤはすやすやと俺の肩に寄り添って寝ていた。いい寝顔だなこのヤロウ。

 

「うむ、じゃあお風呂入ったら?多分沸いてる」

 

「うん、そうするよ。じゃあこの誘っておいて気持ち良さそうに寝てる人を宜しく」

 

そう言って俺はイリヤをリズ姉に渡し風呂へ向かった。

 

 

 

 

 

「っあぁ〜!今回もよく見た見た!」

 

瞼が重い目を擦りながら風呂に浸かっていた。

ふと、今日見たアニメの内容を思い出す。

今回もまた結局ハマってしまった…別にアニメにそこまで興味があるわけでも無いのにどういう訳かいっつもイリヤに誘われては渋々見て、結局その作品にハマってしまう。

 

魔法少女マジカルブシドームサシ、ねぇ…魔法か…。

 

その時俺の頭の中に浮かんできたのはある思い出だった。

父さんと母さんを失い、暗い中、どこに行っていいのかわからない。

そんな時、この家族が俺を迎えてくれた。

 

(まぁ、今この楽しい生活があるっていうだけで俺には魔法みたいなもんだよ…)

 

 

 

-----ッ!

 

その時、俺の左腕の甲に電流のような痛みが走った。

 

「…またか」

 

これで何度目だろう。今日は頻繁にこの痛みが体を走る。

まるで----何かと引かれ合うかのように。

 

考えも纏まらないまま、俺は風呂を後にした。

 

 

 

 

「ふぃ〜さっぱりした」

 

そう言いながら浴室のドアを開けると眠たそうにしているイリヤが立っていた。

 

「あ…紡…ふぁ…」

 

「おいおい、風呂で溺れんなよ」

 

「らいじょーぶだっれ…ふぁ〜…」

 

「どこがだ」

 

そういうとイリヤは目を擦りながら浴室へ入って行った。

ま、大丈夫だろ。

 

 

 

 

俺は自分の部屋に入ると今日の分の宿題を取り出し、それに取り組む。

時間は10時を回ったとこだった。流石にそろそろ眠たくなる時間だ。

暑いので少し窓を開けて左手でシャーペンを持ち問題を解こうとしたその瞬間だった-------------

 

「あ…がッ…!!」

 

左手に、これまでに無い程の激痛。

第六感が予言していた。来る。何か。とんでもないものが。

 

 

その時、窓の隙間からシュッと飛来物が入ってきた。

ガシャーーーーーーーンと音を立ててその飛来物は部屋の床に転がる。

 

「なん…だ…?」

 

 

 

それは、黒い色をした----------ステッキのような物だった。

 

 





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