Story Spun Friends   作:Gliscor

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第十話 朋友繋ぐ爾今の剣

 

--------(つるぎ)

 

それは扱う者の魂に等しく、その者の生きて来た道の全てが詰まっている。

 

 

剣を振るう者の想いは己の力の鼓舞、何かを欲する為。

 

 

 

-----そして

 

 

 

-----偏に心に決めた者を守る為

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Story Spun Friends

 

第十話 朋友繋ぐ爾今の剣

 

 

 

 

「そ、そんな…」

 

イリヤは俺の袖をぎゅっと握りながら震えていた。

 

俺だって嘘だと信じたい…2人目の敵が存在するなんて…。

 

「つ、紡! あれ!」

 

イリヤが指をさした方を見ると凛さんとルヴィアさんが血を流して倒れていた。

 

「そんな…! イリヤ!美遊!行くぞ!」

 

イリヤは俺の気持ちを汲み取り頷いた。

 

「待って!」

 

俺とイリヤが飛んで助けに行こうと動き始めようとしたその瞬間、美遊が俺たちを止めた。

 

「み、美遊さん…?」

 

「闇雲に近づいちゃダメ…敵の情報だってわからないのに…」

 

「だからって凛さんとルヴィアさんを放って置いておけるかよ!」

 

「2人とも落ち着いて下さい、生体反応はあります!生きてますよ!」

 

「うん…2人とも、ここは落ち着いて、一旦冷静になって行動すべきだと思う…」

 

確かに…美遊の言う通りなのかもしれない。

俺たちは落ち着いて作戦を立て始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「選択肢は2つ…敵を倒すか、もしくは隙をついて2人を確保し脱出するか…」

 

「美遊、あの槍は?」

 

「ダメ…一度使うと数時間は使えなくなる…」

 

「そっか…倒す選択肢は取れないか…」

 

「紡様の宝具は使えないのでしょうか? あの威力ならきっと…」

 

「そういえば…あなたの宝具さえあれば…!」

 

「ダ、ダメ!」

 

イリヤは即座にその意見を拒んだ。

 

「イリヤ…」

 

「紡は前の戦いでもそれを使って無茶してる…だから、これ以上使ったら…」

 

イリヤは泣きそうな顔で震えていた。

 

「イリヤ…大丈夫だよ、もう俺は無理しない。心配してくれてありがとな…」

 

俺はイリヤの頭をそっと撫でた。

 

「…なら、私が敵を引きつける。私が囮になって敵を引きつけてる内に2人で救出してそのまま空間から脱出して」

 

「バカ!それだとお前が危ないだろ!」

 

「そうだよ…美遊さんが…」

 

「私なら大丈夫、私が食い止めてる内に…」

 

「あの敵はタダモノじゃない! 俺が囮になるからお前たちが救出して脱出しろ!」

 

「なっ…それじゃ一緒! あなたも危ない!」

 

「も〜皆さん、喧嘩はやめてください」

 

 

その時-----俺はハッとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

--------喧嘩はやめて!

 

 

 

白い髪の女性は剣を持って睨み合ってる2人の男性にそう言った。

 

「止めるなクロワール! これは俺とこいつの問題なんだよ!」

 

「そうだ! 女は黙ってろ!」

 

「も〜、今回はなに? 食事? 修行? それとも別?」

 

「リアンが俺の太刀筋をバカにしやがったんだ! 今日という今日は許せねえ!」

 

「だからお前はダメなんだよ、ちっとは俺の言うこと聞きやがれ!」

 

ギャーギャー騒ぐ2人を見て呆れた表情で女性はため息をつく。

 

「なぁんだ、いつものことじゃない。どうでもいい」

 

「「どうでもよくねえ!!!」」

 

「ふーん…それなら2人の意見を混ぜたらいいのに」

 

「は?」

 

「だってあんたたちの喧嘩って大抵そんなんだもん、いい加減気付いたら?」

 

「「………」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今のは…」

 

前に見た夢…それと似たような記憶だった。

でも俺には…そんな記憶なんて…。

 

俺が意識を戻すとまだイリヤと美遊が話し合いをしていた。

 

「なぁ…」

 

「どうしたの? 紡」

 

「俺が今どんだけ魔力を使えるかわかんねぇけど多分足止めくらいならできる、美遊と俺で敵の気をそらしてその間にイリヤが2人を助け出すっていうのでどうだ?それなら文句ないだろ?」

 

「私はそれなら問題ない」

 

「うん…確かに紡と美遊さんなら…」

 

「決まりだな、行くぞ!」

 

 

 

俺と美遊は同時方向に動き出し、イリヤはそれと距離を離す。

 

ちょうど敵を挟んで対角線上の位置に立った。

 

「あなたは無理をしなくていい、少しでもいいから一点に集中した魔力弾をうって」

 

「流石に介護っぽくされるのは飽きてきたんだけどな…まぁ役割分担なら仕方ないけど。了解」

 

 

 

「シュート!!」

 

美遊は散弾を敵に放ったが黒い霧のようなものに阻まれた。

 

「あ、あれは…?」

 

「敵に損害無し、攻撃が届いていません…!」

 

「弾かれてる…? なら俺が…」

 

俺は魔力を一点に集めて放ったがそれも弾かれてしまう。

 

 

 

それに気付いた敵が剣を自身の体の上に構えた。

 

それを見た瞬間-----俺はゾクッとした。

 

「美遊!! 来るぞ!!!」

 

「えっ…」

 

 

敵の放った斬撃は---一瞬、物理保護を超えて美遊の肩に傷をつけた。

 

「美遊!? 大丈夫か!?」

 

「平気…それより敵の注意を引きつけないと…」

 

再び敵を見る頃には敵がもう次の攻撃の構えを取っていた。

 

 

「きゃあ!!」

 

今度はその斬撃が-----イリヤを切りつけた。

 

「イリヤ!!」

 

イリヤは腕から血を流し座り込んで動かない。

 

そしてイリヤに敵は近付いていた。

 

「イリヤスフィール!? 逃げて!!」

 

 

 

「イリヤ!!」

 

 

 

俺は全力で飛んだ。

イリヤを助けるために。

 

だけど距離が遠すぎた。このままじゃ間に合わない。

ダメだ、俺はイリヤを守らなきゃいけないのに…。

もう…大切な人が傷つくのは嫌だ…。

 

 

 

「い…いや…」

 

「助けて…紡…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う、うそ…」

 

美遊は目の前に起こった光景に驚愕していた。

 

俺はイリヤの声が聞こえたと思うと1秒もかからず敵の前に移動し、敵と剣を交えていた。

 

「つ、紡…」

 

驚くのは腕から血を流し震えているイリヤも同じだった。

そのイリヤに俺は声をかける。

 

「安心しろイリヤ…こいつは絶対に…」

 

 

 

 

 

 

 

 

-------俺が倒してやる

 

 

 

 

 

 

 

イリヤは身震いをした。

そこに立っているのはいつもの優しい神楽紡とは違う---別の人物のように感じたからだ。

 

 

 

「お前は…絶対に許さねえ…!」

 

その時俺の体から無限の魔力が湧き出すのを感じた。

 

 

「あ、あなたは一体…」

 

美遊もそれを感じ取り驚いていた。

 

「イリヤ…凛さんとルヴィアさんを連れて離れろ」

 

「え…でも紡…!」

 

「大丈夫だよ…絶対戻るから」

 

俺がそう言うとイリヤは少し頷いた。

 

「うん…絶対だからね…信じてる…!」

 

 

 

 

 

 

 

自分でもわからなかった。

 

この体から湧き出す力。そして今握っている剣。

 

だけど…これだけはわかっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

"みんなを守る"

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああああああああ!!」

 

 

俺は敵と剣を2.3度交える。

その度にお互いの剣を弾き、火花が散る。

 

 

 

 

 

 

 

痺れを切らし敵は大きく上空に剣を掲げた。

とてつもない魔力をその剣に込めているのが俺でもわかる。

 

 

「まずい!宝具を使う気よ!」

 

凛さんの声がした。

 

「紡…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時---俺は誰かの言葉を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リアンは何かを守ろうって決めた時が1番強いよね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は魔力を剣に込めた。

 

決定的な---一撃を。

 

 

 

 

 

 

 

 

魔力を込めるにつれて俺は寂しさを感じた。

 

この剣を使ってしまったら…あの日常には戻れない。

なぜかそんな気がした。

 

だけど俺には守るべき存在がある。

 

大切な人を、友を守る為に俺は剣を振る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

---その名は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朋友繋ぐ爾今の剣(プロミス)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は全てを出しきり天を仰ぐように寝ていた。

数十メートル先には"Saber"と書かれたカードが落ちていた。

 

「紡!!」

 

イリヤが全速力で俺の元へ駆けてきた。

それに続いて美遊達も俺の方に向けて走っていた。

 

「大丈夫!? 体は!?」

 

「あぁ…大丈夫だよ、ただ立てないくらいにはしんどいけど…」

 

後からやってきた美遊や凛さんは少し驚いた表情で俺に話しかけてきた。

 

「紡…あんた…」

 

「あなたは…一体何者ですの?」

 

 

 

 

 

 

 

今度は---覚えていた。

 

いや、"思い出した"んだ。あの剣と共に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんな…聞いて欲しいことがあるんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺は-----元サーヴァントだ」

 

 

 

 

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