Story Spun Friends   作:Gliscor

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第十二話 5月5日

 

-----絶望の中でただひとつだけ見えた光。

 

-----そこにたどり着いた瞬間俺の頭の中にはあらゆる知識が飛び込んできた。

 

 

 

 

 

待ってろ、みんな-------

 

今度こそは、必ず----------

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Story Spun Friends

 

第十二話 5月5日

 

 

 

 

 

「な、なんだお前は…」

 

見たところ20台中盤と思われるその男は俺を見るなり驚いた顔をしていた。

 

「俺はセイバーのサーヴァント…あんたが俺のマスター?」

 

「そ、そうに決まってるだろ! それより名前、お前の名前を言えよ!」

 

「…リアンだけど」

 

俺が自分の名前を言うとマスターはその表情を変えた。

 

「はぁ!? 聞いたこともねぇ名前だぞ! クソッ…ハズレかよ…終わったな」

 

俺はムッとした。

何しろ会っていきなりコケにされるのは初めての経験だった。

 

でも…怒るわけにはいかない。

どんな人物が俺のマスターであろうと俺はこの聖杯戦争を勝ち抜きみんなを守らなくちゃいけないんだ。

 

 

 

「まぁいい…俺はアロガン・パークロング、お前のマスターだよ…どうせお前みたいな誰かもわからない奴を引いた時点で俺の聖杯戦争は終わったけどな…一応明日から考えておいた作戦で戦うからな、ちゃんと俺の指示通り動けよ!」

 

「…了解」

 

 

 

そうして俺のサーヴァントとしての初日が終わった。

 

カレンダーには5月1日と表記されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冬木市にある教会。そこで1人の男は呟いた。

 

「7人目が現れたか…始めよう"聖杯戦争(願いを叶える戦い)"を…」

 

 

 

20XX年 5月1日

第四次聖杯戦争はその日に始まった---。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぁ………」

 

朝起きると体中から溢れる魔力を感じた。

 

…なるほど、俺の主人(マスター)は口は悪いけど優秀な魔術師らしい。

 

 

 

「セイバー、起きたか…こっちへこい、今日の作戦会議だ」

 

そう言ってマスターは俺を呼んだ。

まぁ…相変わらず少し不機嫌そうだけど…。

 

 

 

「これまでの情報収集によると…バーサーカーとそのマスターはこの街外れの森の中に身を潜めている」

 

そういうとマスターは地図に指をさした。

確かにここなら身も隠しやすい。

 

「俺は事前に罠を仕掛けておいた、ありったけの魔力を込めたものをだ。キャスターならともかくバーサーカーならその罠にもかかるだろう。いいか、"お前は足止めをするだけでいい"その罠にかけて体勢を崩せ」

 

「なっ…俺だって…」

 

「口答えをするな!! どこぞの英雄かもわからない奴に任せられるか!!」

 

「………!」

 

その時だったと思う…俺の中で何かが切れたのは。

 

「いいよ…わかったよ、マスターの命令には従うのがサーヴァントだ…」

 

「ふん、最初からそうしておけばいいものの…作戦は今夜決行、いいな」

 

そう言ってマスターは去っていった。

 

いいんだ…これで…あんなマスターでも、どんなに馬鹿にされてもこの戦いだけは協力して勝たなきゃいけない…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…よし、じゃあ言った通りにやれよ」

 

「了解…」

 

俺はマスターと別れて支持された通り敵のいる方角へ走った。

相手は狂戦士…油断はできないな…。

 

 

 

 

 

敵の陣地に着いた---瞬間、背後からの気配を感じた。

 

「-----ッ!」

 

すんでの所で敵の攻撃をかわした、もう少しでやられるところだったな…。

 

「なるほど…見張ってたか…」

 

「ガアァァァ………」

 

やはり狂戦士と呼ばれるだけはあるな…。

 

「貴様は…セイバーか! やれ、バーサーカー!!」

 

バーサーカーのマスターと思われる男性が姿を現した。

次の瞬間バーサーカーは俺目掛けて飛ぶ。

 

「うおっ! あっぶね…」

 

一撃で地面を割るほどの威力…一発でも喰らったらやばいな…。

 

 

 

俺はバーサーカーと攻撃を交えながらその罠の場所に誘導する。

そろそろちまちま攻撃するのにも飽きてきた…けど。

 

「グガァァ!?」

 

「…ビンゴ」

 

俺のマスターが仕掛けた罠にバーサーカーがかかり、それと同時に体勢を崩した。

 

「よし! よくやったぞセイバー、お前はもうどけ!」

 

その瞬間マスターはようやくその姿を現した。

 

「くっ…小癪な…バーサーカー! 宝具を使え、そいつらを殺せ!」

 

「なっ…!」

 

まずい、今宝具を使われると全滅だ…!

いくら罠にかかってると言っても…。

 

 

 

「マスター!!! 下がって!!」

 

 

 

俺がやるしかない、俺の-----宝具で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの国でみんなと鍛え上げた剣の腕。

 

俺の愛する人が作り上げてくれた剣。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朋友繋ぐ爾今の剣(プロミス)!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

剣を振るった後-----その場所に残ったのは俺とマスターとバーサーカーのマスターだけだった。

 

そして森の地形は大幅に変わっていた。

 

 

 

「そ…んな…バーサーカーが…」

 

バーサーカーのマスターはその場に膝を落としていた。

 

「悪いな…」

 

相手にどんな思いがあろうと俺は負ける訳にはいかないんだ…。

とりあえずは一勝、ってところか。

 

 

 

「ハハハ………すごい、すごいぞ…!」

 

 

 

「ハッハッハッハ!!!! 素晴らしい!! 素晴らしいぞセイバー! いける…お前の力ならこの聖杯戦争、貰ったも当然だ!! フハハハハ!!」

 

調子のいい人だな…。

 

でも…バーサーカーを倒す起点を作ってくれたのはマスターだし、魔術師としての腕も素晴らしい。

意外と…悪くない人なのかも知れない。

 

 

 

 

 

---そう、少しでも思ってしまった俺は人を見る目が無いのだろうか。

 

 

 

そんな俺の考えはこの先1分間に起こる出来事で覆った。

 

 

 

 

「…だが、お前の少し反抗的な性格に問題有りだ」

 

マスターは表情を変えたと思うと左手を掲げた。

 

 

 

 

 

 

「令呪によって命ずる…セイバー、そこにいるバーサーカーのマスターを…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「殺せ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ…!!」

 

令呪によって俺の体は縛られる。

嫌だ、そんなことをしたくもないのに…。

 

「ひっ…!! やめろ…やめてくれェ!!」

 

バーサーカーのマスターは怯えて地面を這いずる回る。

 

「マスター!? 何で…何でこんなことを…!!」

 

「セイバー…お前を扱うには令呪が足りないんだよ…なら、わかるよな?」

 

「バ、バカな…クソッ…!」

 

俺の意思には反して体は剣を持ち、それを振り上げる。

 

「や、やめろ…やめろ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ど、どうして…どうしてこんな事を…」

 

目の前には血を流すバーサーカーのマスターだった男。

そして俺を見下すマスター。

 

「はぁ? さっき言っただろ、そのくらい理解しろ」

 

「だからって…こんなこと…」

 

俺は罪のない人を殺めた。

違う…正確にはただの人殺しをした。

 

「セイバー、お前のそういうとこだよ。お前は絶対この先俺の作戦に従わない…後はわかるな?」

 

こいつ…人間として腐ってる…今ここで…殺してやる…!

 

「おっと、そんなに怖い目で見るなよ。 令呪をもって命ずる、セイバー、お前は俺に今後攻撃するな」

 

「クッ…!!」

 

俺の体は封じられた。

 

「ハッハッハ…お前の実力があるのはわかったよセイバー、まぁこれから"ヨロシク"な」

 

 

 

そう言ってマスターは帰って行った。

 

 

俺は…こんなことをしてまで聖杯なんて…。

 

 

自分の中でどうすればいいのかがわからなくなったのはその時だったと思う…。

 

 

 

時計の日付が5月3日へと変わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからマスターの命令に令呪によって俺は従わせれた。

マスターは俺の力でさっさと聖杯戦争を勝ち抜こうとしていた。

 

その日、マスターは聖杯戦争のルールを破り昼間の人がたくさん通る大通りで俺にアーチャーのマスターを襲わせた。

 

 

 

 

 

---やめろ

 

 

燃える街、血を流す民衆。

 

 

---やめてくれ

 

 

俺たちの戦いに巻き込まれ、人々は何人も倒れる。

 

 

---こんなの…違う

 

 

 

 

 

 

「ッ…お前は…」

 

------違う、違う、違う

 

「お前は…外道だ…人じゃない…」

 

------違う、俺じゃない

 

 

 

そう言い残しアーチャーは消えていった。

 

 

マスターはまた笑いながら令呪を奪いその場所から去って行った---。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜、俺の元にランサーとライダーが俺の前に現れた。

 

「お前か…バーサーカーとアーチャーを殺った奴ってのは…」

 

「悪いけど2人がかりでいかせてもらう---」

 

どうやら俺を倒す為に同盟を組んだらしい。

流石に---英雄2人を相手にするのは厳しい---。

 

 

 

「行くぞォ!」

 

 

 

負けていただろうな。

 

---もし、俺1人なら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な…なんだ…今のは…」

 

俺が"あれ"をするとその場に残っていたのはマスターとランサーのマスターと俺だけになった。

 

ランサーのマスターはその場で震えていた。

無理もないな----あれを見たら。

 

 

いっそ殺して欲しかった。死にたかった。

こんな俺を…こんなただの殺戮者に成り果てた俺を…。

だけどそれすらも令呪で封じられた俺は…まだ人と言えるのだろうか。

 

やり直したい、無かったことにしたかった。

そんな願いを叶えることなんて…。

 

その時、俺の頭の中に「聖杯」の存在が横切った。

 

 

 

 

 

5月3日が終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5月4日

 

アサシンが俺を暗殺しようとしてきたがそれを返り討ちにした。

アサシンのマスターを殺して令呪を奪った。

 

その日の夜、俺は震えていた。

 

人の---人の苦痛を訴える幻聴が耳から離れなかった。

 

「みんな…俺はどうすればいいんだ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、俺は最後のサーヴァントであるキャスターを倒した。

 

その瞬間---聖杯が俺とマスターの前に現れた。

 

「ハハ…ハ…やったぞ…やったぞ…!」

 

マスターは聖杯を前に大喜びしていた。

俺は…罪の重さに精神をやられてもう聖杯なんて気にしてはいなかった。

 

「よしセイバー、令呪をもって命ずる…聖杯を手に入れろ!」

 

マスターは最後の令呪を使い俺に命じた。

 

俺は聖杯を手に入れようとした。

 

 

 

 

 

---けど、その前に

 

 

 

 

「やっと使ったな-----最後の令呪」

 

 

「え?」

 

 

「死ね」

 

 

 

俺はマスターを----殺した。

 

最後の令呪を使い、全ての令呪を使い終えたマスターにもう俺への支配権は無い。

ずっと待ってたんだ---お前を殺せる時を。

 

 

「自分の犯した罪の重さに潰れて眠れ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聖杯…これを手にする為に俺は戦ってきた…。

 

 

 

 

 

 

本当にこれでいいのか?

 

俺はこんなことをしてまで…願いを…?

 

 

 

 

 

たくさんの後悔を抱きながら俺は聖杯の元へと近付いた。

 

 

 

だが---その瞬間聖杯は淡い光を放ちながら俺の元へと近づいてきた。

 

「なっ…!?」

 

 

 

 

 

 

光の中、走馬灯のように色んな光景が眼前に現れた。

 

薄れていく意識、その中で俺は思った。

 

 

あぁ…願いもまだ言ってないのに…。

 

そっか、そんな資格無いもんな…俺には…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこからの記憶は---------- 一切無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5月5日

 

冬木市の病院で1人の人間が産まれた。

 

名前は「神楽 紡」

 

体重は平均、身長も平均的の普通の男の子だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数年の時が過ぎた。

 

 

 

「つむぎ、あそぼ!」

 

 

 

1人の女の子と1人の男の子は今日も元気に過ごしていた---

 

 




この世界の聖杯は本当に願いを叶える万能の願望機です。

主人公が英雄でも無いのにこの聖杯戦争に参加出来たのはその「願いへの想いの強さ」が成した事態です。
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