Story Spun Friends   作:Gliscor

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この作品も残す所後少しになりました。
こんな未熟な私の作品ですが、もしよろしければ最後までお付き合い下さい。



第十四話 辞めるか、一緒に

 

Story Spun Friends

 

第十四話 辞めるか、一緒に

 

 

 

 

 

 

「どういうことですの? 敵はいないしカードもない…もぬけのカラというやつですわね」

 

その夜、残るカードを回収する為に鏡面界へと来た俺たちだが、どうも敵が見当たらない。

 

「場所を間違えたとか…?」

 

「まさか、それはないわ」

 

敵がいないのに対してみんなは考察をするがどうも結論は出ない。

それよりもこの感じ…。

 

「この雰囲気…昔、敵に奇襲を食らった時と似てるんだよな…」

 

「敵…って聖杯戦争ですの?」

 

そう。4日目のアサシンによる奇襲。

かわせはしたがあれが当たってたと思うと…。

 

「そう…あの時はギリギリかわせたけど危なかった…みんな、気を付けてくれ」

 

俺がそういうとみんなは空気を変えた…が、1人だけ違った。

 

「まぁなんとかなるわよ! 今回からは真の力を取り戻した紡だっているし!」

 

凛さんはのんきに笑いながらそういった。

ったく、俺が真剣に話したってのに…。

 

「あんまり信用すんなよ…俺だって無敵じゃないんだし…」

 

 

 

「とりあえず歩いて探すしかないのかな…」

 

「ん〜〜〜地味ですねぇ、もっとこうド派手に魔力砲ぶっ放してですねぇ…」

 

「そんなのできないよ…」

 

イリヤとルビーがいつも通りのんきに話しているとイリヤの足が急に止まった。

 

「イリヤ?」

 

「あ、ごめん…でも今なにか…」

 

 

 

その時。

 

イリヤの喉元目掛けて1本のナイフが飛んだ。

 

 

 

「イリッ……!」

 

 

 

俺は全力の魔力砲を敵に放った。

しかしもうそこには敵の姿は無かった。

 

「クソッ…イリヤ!! 大丈夫か!?」

 

「大丈夫です!薄皮一枚です!」

 

ルビーのその言葉に俺も美遊も安堵する。

だけど…敵はまだいる。

 

「アサシン…! やっぱりあいつか…!」

 

「紡! 敵の知ってる限りの情報をすぐ言いなさい!対策を立てるわ!」

 

俺がイリヤを抱えていると凛さんが焦った表情で俺に話す。

 

「多分…敵は複数いて…」

 

 

 

その情報を-----言った時にはもう遅かった。

 

アサシンは---俺たちを囲んでいた。

 

 

 

「敵を確認! 総数…50以上!」

 

50!?

バカな…俺の時はそんなに…!

 

「嘘でしょう!? 完全に包囲されてますわ!」

 

「クッソ…こうなったら強行突破よ! 3人で一点集中攻撃しなさい!」

 

凛さんの指示に合わせて俺と美遊はステッキを構えた。

 

あれ…イリヤは…?

 

 

 

 

後ろを振り向くとイリヤが倒れたままでいた。

 

「イリヤ!?」

 

「からだが…うごかな…」

 

イリヤは倒れたまま、起き上がれもできないでいた。

 

まさか…さっきのナイフが…!

 

「くそ…イリヤ…!!」

 

俺はすぐにイリヤの方へ走り出した。敵はもちろん動きの止まっているイリヤへ向けて全方向からナイフを投げた。

 

頼む…間に合ってくれ…!

 

せっかく記憶を取り戻しても…俺はダメなのか…?

 

 

 

 

 

そう思った瞬間だった。

目の前から突如光が見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いって…なん…だ…?」

 

突然の爆発。

瞬時に物理保護をかけて守れたが…。

 

「みんなは!?」

 

 

後ろを振り向くと傷だらけになりながらも凛さんとルヴィアさんを守っていた美遊。

 

「美遊!? 大丈夫か!?」

 

「わ、私は平気…それより紡とイリヤは…」

 

 

 

俺は思い出したように前を見た。

 

そこには-----。

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、なに…これ…」

 

呆然とするイリヤがいた。

 

「私が…やったの…? 紡、美遊…凛さん、ルヴィアさん…血が…そんな…」

 

「イリヤ…」

 

 

何なんだ、このイリヤの力は。

もしかして-----これが1年前に聞いた"あのこと"なのか…?

 

 

「なん…なの…どうして…こんな…」

 

イリヤは震えながら抱え込んでいた。

それを見てもみんなはかける言葉が無かった。

 

俺が何とか言ってやらないと…そう思っていたのに言葉が出てこない。

 

「敵も…紡と美遊まで巻き込んで…もう…もう…」

 

 

 

 

 

 

「もういや!!」

 

 

 

 

 

イリヤは鏡面界からジャンプした。

 

「ジャンプ…!? あっ…!」

 

 

まずい、イリヤを追いかけないといけない!

そう思ってジャンプを始めた俺を見て美遊は少し困った表情をしていた…。

 

 

 

 

 

 

 

-----必死に走った。

 

-----イリヤが心配で、イリヤに追いつきたくて。

 

 

だけど一向に追い付けない、イリヤの奴…どんだけ速く…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イリヤさん! 落ち着いて下さい!!」

 

ルビーはイリヤに声をかけるがイリヤの心の不安定さは消えない。

 

「もういや…! 帰る…帰るの!」

 

嫌だ。私は普通の人間なのに…紡まで傷つけて…私はなにをしてるんだろう。

 

「イリヤさん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見つけた!!」

 

本気で追いかけてやっとイリヤを見つけることができた。

俺はイリヤへ近づいた。今あいつは慌ててるはずだ、誰かが側にいてやらないと…。

 

「っ…紡…!」

 

俺がイリヤの隣へ行くとイリヤは苦い表情をした。

 

「イリヤ…落ち着け」

 

「っ…いやだ、いやだ、いやだ」

 

俺を振り払うかのようにイリヤはスピードを上げた。

 

「イリヤ!!」

 

「もう嫌なの!!」

 

そう言ったかと思うとイリヤがその場から消えた。

 

「ばっ…どこに!?」

 

今は思考を張り巡らせてる暇はない。

とりあえず…そう、家だ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ビンゴ!」

 

家へと戻ると玄関から家に入ろうとしているイリヤがいた。

あいつ…何やってんだ!

 

「バカ! そこから入ったら見つかっちゃうだろ!」

 

「つむぎ…」

 

「うおっ…ったく…」

 

イリヤは疲れ果てたのか俺に向かって倒れこんできた。

 

 

 

 

 

その夜は窓から部屋へ入りイリヤの部屋へ運んで寝かせた。

 

しかし、その突然力を発揮したイリヤへの疑問は晴れることはもちろんなかった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「いってきまーす」」

 

 

次の日の朝、いつものように俺たちは一緒に登校する。

イリヤの様子は…いつものようじゃないけど…。

 

「つ、つむぎ…」

 

イリヤは言葉に詰まりながら俺の名前を呼んだ。

今朝からイリヤはどこか気を使って話しているように感じる。

 

「ごめんね…その…大丈夫…?」

 

「全然、傷はルビーが治してくれたし」

 

俺の黒のステッキはとてつもない力が備わってる割にはルビーとサファイアが持っている能力の一部がない。

ルビーは昨晩イリヤが寝た後俺の回復をしてくれた。

 

「そ、そっか…で、でも…」

 

やはり申し訳なさそうな顔をしているイリヤの頭を俺はぐしゃぐしゃと撫でた。

 

「う、うわっ!?」

 

「イリヤ、気にすんなって。俺はあんなのちっとも痛くねえよ、てか俺たちは"家族"なんだろ? その家族に気を使ってどうすんだよ」

 

「う、うん…! ありがと…紡…」

 

 

イリヤの表情が少し柔らかくなった。

 

そうだ、イリヤは今精神的にやられてるに違いない。

こんな時こそ俺がこいつの側にいてやらないとな…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

だけど、流石にこの空気だけは俺にもどうしようもないな…。

 

 

 

イリヤと美遊は席が前後だが今日は1回も言葉を交わしていない。

というか…めちゃくちゃ空気重いなこれ…。

 

いつもの4人はひそひそと「喧嘩でもしたのか」だの話していた。

 

「なぁ紡、あいつら喧嘩でもしたのか…?」

 

突然、俺に矛先が飛んできた。

 

「し、知らねえよ…」

 

流石に昨日の事を言えない。

多分単にイリヤは合わす顔がないとか思ってそうだけど…。

 

「イリヤの事なら何でも知ってる紡でもわからないか…これは難題だな」

 

「人をイリヤ辞典みたいに言うなよ…」

 

 

さて、どうしたものか…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私、もうカード回収するつもりはないよ…」

 

体育の時間、俺とイリヤは木陰で今後の事をルビーを交えて話していた。

 

「いいんじゃないですか別にー、そもそもカード回収はあの2人に課された任務ですから」

 

「とめないの…?」

 

「はい、私的にはどうでもいいことですし〜、紡さんもそう思いますよね?」

 

ルビーは俺に話を振ってくる。

 

「そうだな…辞めるか、一緒に」

 

「えっ…」

 

昨日でイリヤは完全に精神がボロボロになっていた。

こんな状態でイリヤに無理をさせたくない。

 

これは…俺のお願いだったのかもしれない。

 

「紡も…?」

 

「そりゃそうだろ、だって俺がやる理由だってないし…」

 

「う、うん…」

 

「だろ、じゃあ今日学校が終わったら凛さんのところにでも行こうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうしたのよ…あんたたち2人とも急に呼び出したりして」

 

俺たちは凛さんの前に立つ、どこか張り詰めた空気が俺たちを包む。

 

「その…最初は正直、興味本意っていうか面白半分だった…でも、考えが甘かったっていうか… もう、戦うのはイヤです…」

 

「ま、そんなところよね…で、あんたは?」

 

凛さんは俺へと視線を向ける。

 

「俺も辞める、だって戦う目的がなくなるし」

 

それを聞くと凛さんは少し肩を落とした。

 

「そ…最後に聞きたいんだけどイリヤ、昨夜のアレは自分の意思で起こしたの?」

 

「ち…違うよ! あんなの私に出来るわけない! だ、だって…私は普通の人間で…」

 

イリヤは震えながら喋っていた。

その姿は…どこか怯えているようにも感じた。

 

「…そう、わかったわ。あんたたちが辞めるのを承諾するわ」

 

「いいの…?」

 

「ま、協力を強要したのはこっちだしね、小学生に戦え…なんて無理上がったのよ」

 

意外だ、凛さんがこんなにあっさりと引くなんて。

 

「…お疲れ様、もう戦わなくていいのよ。普通の生活に戻りなさい」

 

 

 

 

「…で」

 

凛さんが俺たちへの言葉を交わす裏に美遊が現れた。

 

「あんたはそれでいい? 美遊」

 

 

 

 

「み、美遊…」

 

イリヤはまた困ったような表情を浮かべていた。

 

「問題ありません、最後のカードは私1人で回収します」

 

そう言うと美遊は俺の方を横目で見る。それに俺も頷く。

 

 

 

 

実は---イリヤに隠れて俺は美遊と話し合いをしていた。

 

イリヤはきっともう戦うのを恐れる。でも1人で辞めるとただでさえ今精神がボロボロの状態なのに、更に責任感を感じてしまう、と。

 

だから俺がイリヤの側にいてやらなきゃいけない、一緒に辞めるフリをするけど、戦いの時になったら家からこっそり美遊の元へと行くと。

 

しかしそれだと少し遅れてしまう可能性がある…少しだけ1人で戦うことになるが美遊はそれで大丈夫かと俺が問うと、美遊はすぐに了承してくれた。

 

「イリヤのためなら」と。

 

俺も美遊も意思は同じだった。

 

 

 

 

何も心配するな、イリヤ。

俺がきっとお前を何も考えず楽しく生活できるように導くから…。

 

 




設定の矛盾に見事気付いた方にはもれなくプレゼントが…ありません。
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