ロンドン
「おい、あの黒い色のカレイドステッキが見当たらんのだが…どうしたか知らんか?」
「ステッキ…ですか? あれは言われた様に遠坂凛と
ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルトのアタッシュケースの中にしっかりと入れて置きましたが…?」
その時、その"黒のステッキを探している人"の顔が一瞬で青ざめた
「ア、アタッシュケースに…?」
その反応に"命令を受けた側の人"は不思議そうな顔をする
「はい、言われた通り、3本」
「バ、バカな…」
「は?」
「2人に持って行かせろと言ったのは"赤"と"青"のステッキ2本だけじゃ!!"黒"は言っておらん! あれは…あれは…」
ふるふる、とその男は震えていた
Story Spun Friends
第二話 3本目の…?
「な、なんだ…これ…?」
目の前に現れた非日常に俺は混乱していた。
空から急に降ってくる…まるでさっきみたアニメ"マジカルブシドームサシ"の様だな、と。
ひょい、と手に取ってみるとその形がよくわかった。円形に棒、典型的な魔法少女でも持ちそうなステッキ。
訳がわからないままその棒状の部分を掴むと
-----------「マスター登録、完了」
突然ステッキが光を放ち、紡の体を包んだ。
「は!? おいおいちょっと待っ…!!」
暫くすると光はその輝きを消し、視界は良好になっていた。
もう何が何だかわからない。
「って…何とも…無い…?」
光を放った割には何ともないじゃん、そう思ったのも最初の5秒だけだった。
次に自分の体を見ると…
「は?」
俺は黒のマントを羽織り、まるでアニメのキャラの様な格好をしていた。
「な…」
「なんじゃこりゃーーーーーーーー!!!!!!」
一方その頃、浴室では
「楽しいですよー!魔法少女!」
「羽エフェクトで空を飛んだり!」
「必殺ビームで敵を殲滅したり!!」
"恋の魔法でラブラブになったり!"
そのルビーのセリフにイリヤは「ピクッ」と反応する
「あ! 今反応しましたね!? いるんですね!意中の殿方が!!」
「い、いないいない! そんなのいないもん!」
ルビーとイリヤのやりとりに風呂がバシャバシャと揺れる
(ち、違うもん…紡のことなんて…別に…)
とりあえず状況を整理しよう…と、俺は部屋で1人で頭を抱える。
何か左手が痛む→突然空から黒のステッキが部屋にぶち込まれる→手にしたと思うと急にマスター登録とか言い出す→アニメみたいなマント姿に変身させられる
「ふっ…」
「わかるかボケーーーーーーーー!!!!!!!」
俺が1人で部屋でツッコミを入れていたその瞬間、窓の方に カッ と何かが光るのが見えた。
「な、なんだ!?」
驚いて窓の方を覗いてみるとそこにはピンク色(?)の格好をしたイリヤともう1人黒髪の女の人が立っていた。何だか黒髪方はギャーギャー騒いでいて剣幕な様子だった。
「イ、イリヤ…?なんであんな格好をして…ってより何かマズそうだろ!」
俺は急いで庭の方へ駆け出した、イリヤに何かあるとマズい。早く助けに行ってやらないと…!
「イリヤ!! 大丈夫か!?」
俺が庭着くと2人がこっちに反応する。
「つ、紡!? って何そのカッコ!?」
「ヤバ、人に見られ…って、え…?」
黒髪の女の人は俺の左腕の方を見てや否や驚愕していた
「え…こ、これ…?」
黒のステッキをひょい、と持ち上げると黒髪の女の人は更に驚いた反応をした
「そ、そんなの…"知らない"…」
何かやばいことに巻き込まれたなと、その時はそんな予感だけが頭の中に残っていた-------。
「はぁ…誤魔化すの大変だったね…」
肩をかくんと落としながらイリヤはそう言った
「ったくほんとだよ…何が何だか訳もわからん…」
あの後、あの黒髪の女の人は「とりあえず事情を話すから部屋にでも上げて頂戴」なんて言い出すもんだから、とりあえずイリヤの部屋で話をすることに。
…で、俺たちはセラに壁が壊れたりだとかの言い訳をしていたわけだけど…。
「あ、ちゃんと誤魔化せた?」
イリヤの部屋に入ると黒髪の女の人がイリヤのベッドに堂々の座り込んでいた。
このヤロウ…他人事みたいに言いやがって…
「あの…それで…?」
「あぁそうね、あんた達には説明しないと…」
「…ってわけよ」
てなことでかくがくしかじかでこの街に来たらしく、その遠坂凛さんはカード回収を命じられたらしい
「「はぁ…そうですか…」」
俺とイリヤはその現実をよくまだ受け入れれずにただただ聞いていた
「んで、そのカードを回収する為に貸し出されたのがこのバカステッキ、さっきイリヤが変身していたのあんたも見たでしょ?」
あぁ、あれね…
「バカステッキとは酷いですね〜それより紡さん?でしたっけ?」
「ん?」
「あなたの黒い格好、それに私とサファイアちゃんにそっくりなその黒いステッキ、その存在が私にはさっぱりですよ〜」
「あ〜これ? さっき急に空から降って来てさ、勝手にマスター登録だろか言い出すしこっちからしたらちんぷんかんぷんよ」
俺がぶんぶんとステッキを振り回してると凛さんが不思議そうに眺める。
「そ…んで一番謎なのがそれなわけ。見たところルビーとそっくりだしカレイドステッキと関連性が無いなんてことは無いと思うんだけど…」
うーん、と考え込んで数秒、凛さんは口を開けた。
「ま、それに関しては私が大師父の方に聞いておくわ。どれでだけどイリヤ」
わたし?といった感じでイリヤは自分を指差す。
「あんたにはカード回収の為に戦ってもらうから」
「はい?」
「えーーーーーーーーー!!」
突然の事実に驚くイリヤ
「だって仕方ないじゃない!こんのバカステッキがマスター変更をする気ゼロなんだから!」
「私のマスターはイリヤさんだけですからね〜年増女なんて認めませんよ〜♪」
「こんのバカ…」
凛さんとルビーの下らない言い争いはどうでもいいけど、ひとつはっきりさせたいことがあるな…
「あぁそう言えばあんた、えっと…紡ね」
質問しようとすると凛さんの方から話しかけてきた
「あんたはどうするの? あんたは別に戦う義務は無いけど」
「私は義務なんだ…」
イリヤはかくり、と肩を落とした
「俺は別に戦う必要なんて無い…って言いたいんだけど、その戦いって危険を伴うんですか?」
そう、気がかりなのは"イリヤがどんな目に合う"か、それが全てだ。
もし危険なら俺は絶対に同行しなければいかない。
------"あの日"そう誓ったんだから。
「ん〜、そうね…勿論危険よ、敵だって攻撃してくるんだから」
「なら、俺も一緒に戦います」
「そう?まぁ仲間は多いに越したことはないし、改めてよろしくね、紡。 それじゃこのカードはあんた達に渡しとくわ」
凛さんはそういうと"Archer"と書かれたカードを俺達に手渡した
---その時、俺の心臓が ドクン と打つのを感じた。
アーチャー…?
どこかで…その…単語を…
「…ぎ」
「つむぎ!」
「あっ…」
ぼーっとしていた俺はイリヤの声ではっとした。
「どうしたの? なんかぼーっとしてたけど…」
「あぁ、いやいや何でもないって」
今のは何だろうか、何か、俺は大切なことを…
「まぁいいわ、それじゃ追い追いまた連絡を取らせて貰うわ。しっかりと来ること。それじゃまたね」
そう言って凛さんは去ってしまった。
「はぁ…何だか凄いことになって来たね…」
「ほんとだな…イリヤ、無理はすんなよ。いつだって俺に全部任せていいんだからな」
「むっ〜それって私じゃ頼りないってこと!?」
「ん? そうじゃねえよ。あぁまあそれもあるけどな」
「も〜紡のバカー!」
---何て言いながら夜は更けていった。
こんな急な非日常に今はただ従うだけだけど、イリヤの表情は俺とは違ってどこかわくわくした様子を見せていた。
---だけど俺は、あの気になる感覚だけは忘れらなかった。
黒のカレイドステッキに人格は存在しません。
申し訳ありませんが、自分の話の内容に重きを置きたい為、本編で語られるこの世界の設定などは省略させて頂きます。あらかじめ本編の知識有りでお読み下さい。