自分でも無意識に呟いた"ライダー"という言葉
そして"死"さえも覚悟して使ったあの黒いステッキを使いこなせていたこと。
更に考える間も無く自分の手に収まったあの懐かしささえも感じるあの剣、剣先から放たれた光。
初めての戦闘は謎を生むばかりだったが、今は目の前に現れた少女に俺は目を取られていた…。
Story Spun Friends
第五話 迎えた朝は心残りで
「宝具って…一体…?」
「知らないの? 今さっきあなたが見せた剣先から放たれる光…あれは間違いなく宝具と断定できる程の威力だった」
宝具…さっき凛さんが言ってた敵から感じたあのとんでもない魔力…
「…まぁ、知らないならいいけど」
「…それより「紡ーーーーーーーーーー!!」
俺がその少女に質問しようとするとイリヤが走ってきていきなり俺に抱きついてきた。
「ちょっ…イリヤ!今俺が話そうと…」
「バカバカバカ!紡のバカ!もうちょっとで死ぬかもしれなかったんだよ!?無茶しないで!」
そう言ってイリヤは俺の胸をドンドンと叩いた。
「…ごめんイリヤ、でも危ないとこだったんだ…って痛い!痛いから!痛い!!」
「えへへ…でも無事でよかった…。ところでさっきの人は?」
「俺も聞こうと思ってたんだよ、おい…」
俺がさっき少女のいた方を振り向くともう向こうへ向かって歩いて行っていた。
「誰なのかな…」
「さぁ…」
でもあの青のステッキを持ってるってことは…。
俺たちが少女の後ろ姿を見ていると後ろから「ドスドスドス」と地鳴りがする程の足踏みが聞こえてきた
「げっ…!」
「ちょっとアンターーーーーーーーー!!」
勿論それは超がつく程キレてた凛さんだった。
「あんたわかってるの!?"宝具"よ"宝具"!無事だったからよかったものの…喰らってたら死んでたんだから!」
「すみません!いやほんとすみませんでしたって!」
てかさっきから何か俺バカばっか言われてんな…
「まぁいいわ…それと私の言いたいこと…わかるわね」
「…」
俺はこくんと頷くだけの返事をした。
恐らく俺が言ったライダーという言葉だとかさっきの俺の攻撃だとかについて後で話せってことだろ…ってかこっちが聞きたいくらいなんだけど…。
「オーーーーッホッホッホッ!!」
「わっ なに!?」
俺たちの話が一段落つくと同時にさっきの少女が歩いて行った方向からバカみたいにでかい声が聞こえてきた。
「ゲッ、この声は…」
「ふふ…少しイレギュラーはあったようですが…結果は見てみれば一目瞭然!」
「まずは1枚! いただきましたわよ遠坂凛!」
「な、何かすっごいハデな人が出てきたんだけど!」
「相変わらず肺活量の大きい人ですね〜」
それを聞いた凛さんはその人の方向へ走り出し
「やっかましぃーーーーーーーーッ!!」
----跳び蹴りをかました
そして2人はごちゃごちゃ喋りながら殴り合いだの蹴り合いだののマジ喧嘩を始めた。
「…何やってるのあの人たち」
「…さぁ、ほっとけ」
パキ…パキ…
「わ、な、なんか地面が割れ出したよ!」
「あ〜鏡面界はカードが無くなると閉じようとするんですよ」
それを見たのかさっきの少女はステッキを利用して入った時と同じような円を描き俺たちを元の世界に戻した。
「も、戻ったのかな…?」
「はいそうです!2人ともお疲れ様でした〜!」
「…っはぁ〜!疲れた疲れた!」
俺は我慢出来なくなって地面に倒れこんだ。
「紡お疲れ、ごめんね…私ずっと驚いてばっかで何もできなくて…また紡1人に押し付けちゃって…」
「言っただろ、イリヤは無理しなくていーんだよ。危険な目に合うのは俺だけでいいんだよ」
「そ、そんなのダメだもん!紡に何かあったらって思ったら…私…」
「イリヤ…ん」
向こう側であの少女が俺たちをじっと見ていた。
明らかに俺とイリヤを気にかけてる様子で。
「っていうかあの2人…仲悪いってレベルじゃないよね…」
鏡面界から出てもまだ殴り合いをしてる凛さんと金髪の人を見てイリヤは苦笑いしながら言った。
というか…流石にバカだ。
「ふん…まぁいいわ、あんたもサファイアと何かあったのは大体わかった」
「あなたこそ…なんで2人もいますの?というかなんですのあの黒いステッキは…聞いてませんわ」
「まぁ色々あって…ね、そのうち話すわ」
「そう…それとそこのあなた!」
そういうとその金髪の人は俺を指差した。
「いいこと! あなたも敵にトドメの一撃を刺していたようですわね…でもカードを取ったのはこちら!悪く思わないでください!」
「いいよ別に、カードにはあんま興味ないし…」
「はぁ!?あんた!ちょっとそこは意地張りなさいよね!!」
俺がそういうと凛さんがギャーギャー俺に怒っていた。なんでそこまで張り合うんだよ…。
「とにかく!勝つのは私ですわ遠坂凛!覚悟しておきなさい」
そういうとその人と少女は一緒に歩いて行った…。
「さ、私たちも帰りましょ」
暗くてほとんど見えない道。虫の鳴き声。
深夜の雰囲気を肌で感じるのは久々だった。
俺とイリヤと凛さんはその中で帰路を共にしていた。
歩きながら凛さんはあの人のことを説明した。
「---ま、とりあえずは対抗馬ってとこかしらね」
「ライバルって感じだね…って紡?どうしたの?」
「え…なにが…?」
俺はふら…ふら…と揺れながら移動していた。
目眩がする、体が重くて思うように動かない。
「なにが…じゃないよ!顔色悪いよ!」
「ちょっと…頑張りすぎた…かも…」
「紡!?」
俺はそのままそこに倒れた。
薄れていく意識の中にイリヤの俺を呼ぶ声だけが聞こえていた-----。
「…」
眼が覚めるとさっきと変わらない景色の場所にいた。
察するにさっきからまだ10分もたってないってとこか…。
「紡!?大丈夫!?」
目の前にはイリヤの顔があった…っていうか俺の頭がイリヤの膝の上にあった。
「あぁだいじょ…つっ…」
頭と手に痛みがある。手は痺れるような感覚だった。
「多分魔力をつかいすぎたわね…ここでじっとしてる訳にもいかないし、ほら、私が送るわ。話は後日、本当にお疲れ様」
それからの記憶は…一切なかった。
--------助けて
燃える木の家。叫ぶ人たち。
逃げ惑う民衆の中、ある1人の男は一心不乱にある人物を探していた。
--------お願い、助けて
「…」
眼が覚めると毎日見ている天井があった。
今のは…なんだったんだ…。
夢にしては…リアルな…。
俺の疑問は晴れず、結局初めてのカード回収は多くの謎を残して終わった。
今日も俺はイリヤと一緒に学校へ歩いた。
少し遅れてすみません。