Story Spun Friends
第六話 完璧だね
「ねぇねぇ紡、ほんとに大丈夫なの?」
「だから大丈夫だって何回も言ってんだろ」
俺はイリヤと一緒に学校へと登校中だ。
俺は大丈夫だって言ってるのにイリヤは何度も聞き返してくる、これでもう10回目だ。
「だって倒れた時はほんとに心配したんだもん!凛さんだって慌てたんだから!」
「だから悪かったっ…って凛さんが?マジで?」
「え?うん…なんかテキパキと紡の手当てしてくれてたんだよ」
「マジっすか……」
てっきり俺は凛さんに嫌われてんのかと思った。
結構反発的な態度とっちゃったし…。
「っ…」
大丈夫とは言ったものの手の痺れはまだ取れない、たまにビリっとくる。
「紡!? ほら言ったでしょ、大丈夫なの!?」
「まぁ普通の生活くらいはできるだろ…」
「やっぱり昨日のあの光る斬撃が原因なんですかね〜」
ルビーがにゅっとイリヤの髪から身を乗り出した。
「そうだよね…紡、あれってなんなの…?」
「だから俺もわからないんだって…あの時はただ夢中で---2人が危ない、そう思って無意識に動いただけだよ」
「ふ〜むふむふむ、でもあれは確かに"宝具"並の威力でしたよ〜、紡さんの謎は深まるばかりですね」
"宝具"…またそれか、どうやらちゃんと聞いておいた方が良さそうだな。
「なぁルビー、宝具って…」
俺が質問しようとするともう学校が見えていた。
「2人とも学校に着きましたよ!紡さん、この話はまた人目のつかないとこでしましょう、では!」
そう言ってルビーは去っていった----イリヤの髪の中にだけど。
にしても"宝具"、"夢"…わからないことばかりで頭が痛いっての…。
「ねぇねぇ、紡。それよりあの女の子…見た感じ私たちと同じくらいの年齢だったよね」
「そうなんじゃねえの、それがどうかしたか?」
「いや、何となくだけどね…これって…」
ざわつく教室、黒板に自分の名前を書く黒い髪の女の子。
…なるほど、そうですかい。
「美遊・エーデルフェルトです」
休み時間になって美遊の席にはみんなが寄ってたかっての質問タイムだった。
「…やっぱり囲まれてんなぁ、俺だって聞きたいことあるんだけど」
「それでは代わりに私がお話を伺います」
俺が愚痴るように呟くといきなり俺の肩口からルビーの色違いみたいなのがにゅっと飛び出てきた。
「な、なんだお前!?」
とりあえず人目につくとこじゃまずいし…そうだ、イリヤでも引き連れてどっか行こう。
「イリヤ! ちょっと来い!」
「つ、紡!? いきなりどうしたの!?」
俺はイリヤを引っ張って廊下の窓際まで移動した。
「ちょっと、いきなりどうしたの?」
「いや…それが…」
「お初にお目にかかります。サファイアと申します。姉がお世話になっています」
「あら〜サファイアちゃんも来てたんですね」
「姉ってお前かよ!」
てかお前らに姉妹とかいう概念あんのかよ。
「へ〜ステッキって2本あったんだ」
「そうです、私とサファイアちゃんは同時に作られた姉妹なんですよ。紡さんの黒のステッキはちょっとわかりませんけど」
「そうです、美遊様のご挨拶ついでに来たわけです」
「ちょうどいいですし朝の話の続きと色々説明タイムにしましょうかね〜」
それからルビーとサファイアは自分達---カレイドステッキというものの説明。宝具とは何たるかだとかこの冬木市に潜むカードについての知ってること等の説明をしてくれた。
「なるほどな…」
「な、な、なるほど…?」
俺が理解している隣でイリヤは頭から蒸気を発してギブアップという様子を見せていた。
「で、そこでですよ! 美遊さんはカードを使って宝具を具現化させ使用していたわけですが---」
「紡様はどういう訳か自分の力で宝具を使用した----と」
「ちょっとサファイアちゃん!私のセリフを取らないで!」
カードによる英霊の宝具を一瞬だけ具現化し使用…それは明らかに俺と真逆だった。
俺はあの夜、自分で宝具を使ったのだから…。
「紡…なんかすごいね」
「そうです、理由はともあれ紡様は凄い力を持っていると見られます。私たちも全力でサポートしますのでイリヤ様も美遊様と協力してのカード回収にどうかご協力ください」
「うん、イマイチ自信がないけど頑張ってみる!」
「そうです!私がついてますから大丈夫ですよ!」
「---サファイア」
俺たちが会話に夢中になっていた後ろに美遊がきていた。
「誰かに見られたら面倒。カバンの中に入っていて」
「あ、おい…」
俺が話しかけようとするも虚しく、美遊はそのまま教室へと歩いて行った。
「行っちゃったね…」
「あぁ…まぁ挨拶はまた今度にして今日は美遊がどんな奴なのか見てような」
「そうだね…友達になれるといいんだけど…」
「なれるよ…お前なら、きっとな」
「そ、そうかな…ありがと」
お前が仲良くなれないなんてことはない…きっとな。
俺だって---お前に助けられたんだからな…。
それからの美遊は凄かった。
数学では問題をなんかよくわからん数式を使って解き、美術は全然意味がわからないけど凄いらしく、家庭科では先生を唸らせていた。
「…完璧だね」
「…そうだな」
イリヤは終始驚愕していた様子で開いた口が塞がってなかった。
…まぁ、でも。
「イリヤ、次は負けないだろ」
「そうだね!短距離走なら私だって…」
---そう、思っていた時期が僕たちにもありました。
-----6秒9!?
「そ…そんな…ありえない…!!」
イリヤが50m走で負けるとこなんて初めて見た…それ程に美遊は圧倒的だった。
「つ、紡…」
イリヤが俺の方へふらふらになりながら歩いてきた。
「あ、後は…またせた…から」
「イリヤーーーーーー!!!」
ガクッとなりながらイリヤは俺の前に倒れこんだ。
任せろ…お前の仇は俺が取ってやる。
「美遊」
俺は美遊に声を掛けて勝負しようと申し込んだ。
美遊は了承してくれた。
「お、今度は紡が美遊と走るのか」
「ま〜あいつには流石の美遊も敵わないだろうな〜なんたってイリヤ以上だからな」
「おーい紡! 女子に負けんじゃねえぞこのヘッポコ!」
後ろで3バカ共がきゃんきゃん騒いでいた。
「うっせバーカ! 黙って見てろ!」
俺と美遊はスタートに着いた。
任せろイリヤ…ただではお前を死なせん!
「よーい…ドン!」
「ちょっと2人とも〜いつまで電柱の下でいじけて体育座りしてるんですか〜!」
「別にいじけてないもん…ただ才能の差を見せつけられたっていうか…」
「そうだもん、いじけてないもん…もん…」
「紡さんに至ってはガチショックじゃないですか!あとその口調やめてください!」
そんなこんなで俺たちと美遊の学校初日は終了した。
とりあえず頼もしい仲間と一緒にカード回収できるなら全然良いに越したことはない---イリヤが無事でいられるなら。
イリヤの手元にある凛さんからの手紙には
「今夜0時に橋のふもとの公園に来て、それと紡は1人で10分前に来ること」
---と、書かれていた。
出来れば本編と同じような部分を綴るのは避けたいけどいかんせんストーリーの構成上避けられない…。