Story Spun Friends   作:Gliscor

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第七話 見学よ

 

「はぁ!? いやそれは無いって!」

 

「うっさい! 文句は認めないわ、あんたは今回見学よ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Story Spun Friends

 

第七話 見学よ

 

 

 

 

11時50分---約束通りぴったり10分前に橋のふもとの公園に来た俺を待っていたのは凛さんだった。

 

ていうか何度目なんだよ凛さんと1対1で対面するの…。

 

 

「ちゃんと来たわね」

 

「まぁそりゃ来るけど…で、なに?」

 

「率直に言うわ。 あんた、今日は見学よ」

 

…はい?

 

俺の耳がおかしくなったのか凛さんの頭がおかしくなったのかな?

 

「えっと…すみません、今なんて?」

 

「だからあんたは見学よ」

 

「はぁ!? いやそれは無いって!」

 

「うっさい! 文句は認めないわ、あんたは今日見学よ!」

 

「いやいやおかしいって!凛さんだって俺が何のためにステッキ握って戦ってるかわかってるだろ!」

 

俺がそういうと凛さんは ハァ とひとつため息を吐いたかと思うと俺の左腕を引き上げた。

 

「っつ…」

 

「やっぱり…先日の戦いね?」

 

「…」

 

気付かれてた。まだ俺の体が治っていないことを。

 

「どういう訳か知らないけどあんたは自分の力で宝具を使える。でもそれはその威力と対価にあんたの魔力を吸い取って魔術回路をおかしくするってワケ。しかもあのステッキを使ってるなら余計ね」

 

「でも…俺がどうなろうと利用するあんたら側には関係無いだろ…」

 

「はぁ…あのね、いくら目的の為だろうと私がまだ子供のあんたを無茶させて見過ごすとでも思ってるの? いい、自分の体は大切にすること…わかったわね」

 

「…はい」

 

凛さんの真剣な表情に対して俺はもう反抗する気力は残っていなかった。この時に確信した。

 

この人は---"大人"なんだって。

 

「…まぁ、流石にタダで引き下がるとは私も思ってないけど…」

 

「いい? あんたはイリヤと美遊の護衛に回りなさい。本当にあの2人が危なくなったと思った時だけステッキの使用を許可するわ。わかったわね?」

 

「それなら…まぁ」

 

 

 

 

 

俺たちの話が終わるのと同時にイリヤ、美遊、そしてルヴィアさんがやってきた。

 

「よ、イリヤ。…悪いな、今日は力になってやれそうにない」

 

「なんで? やっぱり体がどこかおかしいの…?」

 

「そゆこと…変なヤブ医者にドクターストップくらってな…おっと」

 

凛さんが俺のことをギロリと睨んできていた。こえぇ。

 

「うん、紡はそうした方がいいよ。任せて、私だって役に立つから」

 

「そうだな…美遊だっているし、な」

 

俺がチラッと美遊の方を見るとひょいと視線を逸らされた。こいつ…。

 

 

 

「午前0時1分前…イリヤと紡、気をつけるのよ」

 

「速攻ですわ美遊、開始と同時に距離を詰めて一撃で仕留めなさい」

「はい」

 

その後凛さんとルヴィアさんがあーだこーだ愚痴り合ってたのはどうでもいいとして…。

 

 

 

---その時がやってきた

 

 

 

「「ジャンプ!」」

 

 

 

前と同じ---空間が180度変わったような感覚。

今回もその場所は禍々しいオーラを放っていた。

 

 

 

「敵は!?」

 

「上です! っていうか敵は--------」

 

上を見渡すと無数の魔法陣のような物が俺たちを見下ろしていた。

 

「何アレ…すごい数」

 

「--------敵は準備万端だったようです☆」

 

次の瞬間その魔法陣から無数のビームが飛んできた。

 

 

「うおあ!?」

 

「キャーーーーーマズいってこれマズいマズい!!」

 

俺とイリヤと凛さんはルビーの張った防御壁の中でてんてこ舞いだった。

 

「痛い! 痛いよ何これ!?」

 

 

 

 

「----シュート!」

 

敵の攻撃の嵐が終わった瞬間に美遊は即座に攻撃をしたがそれも虚しく弾かれてしまった。

 

「あれは魔力指向防御平面!? まさかこれほどの規模で…!」

 

 

次の瞬間、竜巻が俺たちを囲んだと思うと敵が明らかヤバそうな攻撃態勢を取っていた。

 

「ヤバいよね!? これヤバいよね!?」

 

みんながわいわいぎゃーぎゃー騒いでいるしこれはマジでやばいんだと悟った。

 

 

「…凛さん、これならいいよな」

 

俺は転身し、防御の為の策を考えた。

 

 

 

 

 

-------盾だ。みんなを護れるだけの頑丈な盾が欲しい…。

 

-------頼む。

 

 

 

 

 

 

----一瞬の光

 

----敵の攻撃かと思われたソレは…目を開くと全然違くて…。

 

 

 

 

 

 

「ウソ…なにこれ…」

 

美遊は驚愕の表情を浮かべ、地面にぺたんと座り込んだ。

 

 

 

白と黒の壁------どこまでも続くソレは水平線まで存在し、敵の攻撃から俺たちを守っていた。

 

「紡!? 紡がやったの!?」

 

イリヤは俺の方を向き、その驚いた表情で何度も問い直した。

 

「あぁ…そう…なのかな…」

 

俺だって何が起こったかわからない。また---ただ夢中でみんなを守りたいだけだった…ただそれだけだったのに。

 

「あんた…ほんとどれだけ謎を生んでくれれば気がすむのよ…!まぁいいわ、撤退よ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてサファイアが地面に円を描き俺たちはまた元いた世界に戻ってきた…。

 

「っはぁ…はぁ…」

 

頭がクラクラする。

まるで酸欠を起こしたかのような衝動に俺は駆られていた。

 

今は何もわからず、ただ自分の手を見つめていた…。

 

 

「紡…あんたって一体…」

 

「そうですわ、あんなバカでかい宝具…信じられませんわ…。ツムギ と言いましたか? あれは一体なんですの…?」

 

「俺だって…わかんねえよ…」

 

 

「紡!」

 

イリヤが俺の方にとてとてと近づいてきた。

 

「また助けられちゃったね…ありがとう」

 

「いいんだよ、俺はそれがしたくてこの仕事をやってるんだから…」

 

イリヤの頭にぽんと手を置いて話すとイリヤは少し恥ずかしそうにしていた。

 

 

 

「…まぁいいわ、あんただってわからないことを問い詰めても仕方ないし…それよりあの英霊よ! なんなのあれ!」

 

「いや〜もう魔術の域を超えてましたね〜そりゃ障壁で相殺しきれないハズですよ〜」

 

 

魔術を理解している人たちがあれこれ話していたが要はあいつは準備万端で武器も防御面もばっちり用意していたらしい。

 

 

「つまりあの魔法陣の上を越えなければいけません…」

 

「…と言ってもねぇ、練習もなしにいきなり飛ぶなんて…」

 

「あ、そうか」

 

そういうとイリヤはふわふわとその体を浮かせて…

 

「飛んじゃえばよかったんだね」

 

 

その様子を見てルヴィアさんと凛さんと美遊はあんぐりしていた。

 

「ちょっと! なんでいきなり飛べるの!?」

 

「え…そ、そんなすごいの? これ? こんなの紡だって出来るよ、ね?」

 

「はい?」

 

 

おいおい、なんでそこで俺に振るの?

 

しかも3人ともがじっと期待の眼差しで俺を見ていた。

 

「はぁ…やるしかないか…」

 

飛ぶイメージ、そんなものはいらず、俺も宙にひょいと浮くことができた。

 

「なっ…!」

 

「ほら! やっぱり紡ならできると思った!」

 

「な、なんでなのよ…私やルヴィアだって1日訓練してやっと出来るようになったのに…!」

 

 

「だって…」

 

イリヤの口から放たれたその言葉はあまりにも簡単の理由だった。

 

「魔法少女って、飛ぶものでしょ?」

 

凛さんとルヴィアさんは驚愕の表情をしたまま止まらなかった。

 

…まぁ、俺はイリヤにアニメ見るの付き合わされたのが原因だと思うけど…。

 

 

「くっ…負けてられませんわよ美遊!あなたも今すぐ飛んで見せなさい!」

 

美遊の口から放たれたその言葉は…。

 

 

「人は…飛べません」

 

小学生にしては夢もクソもないものだった。

 

「なっ…そんな考えだから飛べないのですわ! 来なさい!明日までに飛べるよう特訓ですわ!」

 

「あぅ…」

 

美遊はルヴィアさんに首根っこを掴まれて何処かへ行ってしまった…。

 

また結局ゆっくり話せなかった…。

 

「覚えてなさい遠坂凛ーッ!!」

 

 

 

 

 

俺たちが3人だけとなった。

 

「やれやれ…今日はとりあえずお開きね。 明日はちょうど学校休みだし私もいろいろ戦略練ってみるわ」

 

「それとイリヤ、ちょっと来て」

 

 

凛さんは唐突にさっきのルヴィアさんのようにイリヤの首根っこを掴んで奥の方へ連れて行った。

 

「え!? ちょっと凛さん!?」

 

「あ、紡は来んじゃないわよ!」

 

「はいはい…」

 

一体何を話すんだろうか…。

 

 

 

 

 

 

 

「さて、イリヤ。あんたにこれだけは言いたいと思ってね…」

 

凛さんは改まって腕を組んで私に話した。

 

「なに…?」

 

「紡のことなんだけど…今日で確信した。あんたにはあいつが何でこのカード回収に参加してるのか言っておかないといけないと思ってね」

 

紡…? 確かに巻き込まれたにしては一生懸命だけど…。

 

「あいつ------あんたの為に命をかけてんのよ」

 

「えっ…」

 

凛さんの口から放たれたのは思ってもみない言葉だった。

 

「紡…紡が? なんで?」

 

「そうね、説明するわ…」

 

 

 

 

 

それから凛さんが口にしたことに私は終始驚いていた。

 

黒いステッキは本人の魔力を吸い取り---最悪"死"に至る可能性があったこと。

 

そして私の為ならその命まで落としても構わないと言ったこと…。

 

 

全てが----私の為だってこと。

 

 

 

「な、なんで…」

 

「わからないわよ…でもあんたなら何か心当たりがあってもおかしくない…。それより今日のあいつの盾…あれを使った後のあいつを見た?」

 

「あっ…」

 

私は息を切らしていた紡を思い出した。

 

---そして、昨日の倒れた出来事。私は最悪の事態を想像してゾッとした。

 

「わかったわね…あいつ、あんたの為なら無茶しまくるわ。それこそ本当に自分なんてどうでもいいってね」

 

なんで…なんでそんなに…。

 

「このままじゃあいつの体が持たない…あいつを止められるのはあんただけなのよ…一言言ってちょうだい。これ以上無理はするな--って」

 

「う、うん…。でも…知らなかった…それなのに私は紡に甘えて…」

 

震える私の手を凛さんはぎゅっと握った。

 

「あんたは悪くないわよ、イリヤ…。さ、戻りましょう」

 

「うん…ありがとう凛さん…」

 

明日は学校も休み…紡とじっくり話そう。

私は心の中にそう秘め、紡の元へと歩いた。

 

 

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