もしもガルパンの世界にアニメ疾風!アイアンリーガーが存在してたら。
曲を聴きながらどうぞ。ガルパンはいいぞ。
ガルパンってアイアンリーガーに何か似てるな、という事で色々妄想してみました。
個人的にアイアンリーガーは最高のアニメの一つだと思ってます。
この作品は妄想で出来ております。なにとぞご注意を。
もしも、ガルパンの世界にアニメ疾風!アイアンリーガーが存在してたら。
ある日のさおりさんルーム
「今日のご飯会もそろそろお開きだね~」ζ*'ヮ')ζ
「やっぱり、さおりさんの料理はいつも美味しいですねえ」∬゚ ヮ゚)⌒
「ご馳走様でした!」(U^ω^)
「私ももうちょっと上手くなりたいなあ、料理」lw 'ヮ'ノv
「え!?まさかみぽりん誰かに手料理をご馳走しちゃうの?!男!?男なの!?!?」ζ*'ヮ')ζ
「うぃええ・・・違うけど・・・。一応女性としてって事で・・・」lw 'ヮ'ノv
「女性として上手くなりたいって事だ、沙織」|イ-_-Y|
「や・だ・もー!!!」ζ*'ヮ')ζ
「やっぱり、さおりさんはいつも五月蝿いですねえ」∬゚ ヮ゚)⌒
「五十鈴殿。目が笑っていません・・・」(U^ω^;)
大切な友達とのご飯会。
冗談が飛び交い、笑い声がこだまする。
大洗女子学園戦車隊あんこうチームの結束力の源ともいえるこの集まりも、終盤に差し掛かってきていた。
「また来週もやろうよ!ね?」
「いいですねえ!では次回は不肖この秋山優花里の家で開催という事でどうでしょうか?!」
「ゆかりんの家?大丈夫なの?」
「問題なしですぅ!それに、是非見て頂きたい物があるんです!」
「…何を見せるつもりなんだ?秋山さん」
「フフフ、それはですね―――」
『友情は瞬間が咲かせる花であり、そして時間が実らせる果実である。』――アウグスト・フォン・コッツェブー
「突然ですが、皆さん熱血アニメといえば何を思い浮かべますか?」
◇
≪44ソニッック!!オン!!!ファイアアアアア!!!!≫
≪エッックス!!サンシャィィイイイン!!!リミテッドエディション!!!!≫
上記は、野球を行う2人のアイアンリーガー達の必殺技。そして魂の雄叫びである。
アニメ【疾風!アイアンリーガー】通称アイアンリーガーについて唐突ながらご説明を。
【疾風!アイアンリーガー】とは、1993年から約1年間火曜夕方に放映されていたスポーツ物の熱血アニメである。
この年から放映されたアニメにはスラムダンクやVガンダムといった有名どころが多々ある為、アイアンリーガーはそれらに埋没されてしまった感は否めないが、友情!努力!勝利!を強く感じられる名作アニメの1つである。
何だただの古臭い熱血アニメかと思うかもしれないが、この作品のすごい所は、回が進むごとに悪役が改心して正々堂々とした様をみせていく所にある。最終的には悪役全員が改心する。
このアニメではスポーツ競技用に特化したロボットの事をアイアンリーガーといい、彼らが様々なスポーツを行うアイアンリーグはラフプレーが横行し、観客はおろか、実況・解説などのプレス、ロボットではない人間までもが破壊と暴力に興じる、ダーティな見世物と化していた。
その中で唯一ラフプレー等はせず正々堂々と試合をするチーム、シルバーキャッスルと戦い、さりげなく、そしてじわりじわりと悪役キャラが改心していく様はとても見応えがあるといえる。
そしてアニメ最終回。とある悪役の改心した姿と流れるBGMに号泣した人は決して少数じゃないはず。
以下、劇中とある悪役達のやりとりの一部。
≪サッカーは11人でやるもんだぜ、ファイタースピリッツ。俺達はバラバラだ。これじゃシルバーキャッスルには勝てやしねえぜ≫
≪ふん・・・!青臭い事を言うな。お前達とでは組んでも無駄というものだ。俺は、一人でも闘ってやる・・・≫
≪……解らせてやるぜ、ファイタースピリッツ。チームワークの大切さをな≫
≪…何故だ?・・・パワーがダウンしている・・・。何故、こうなっちまったんだ…≫
≪受け取れ!ファイタースピリッツ! 立てよ!!この野郎!!!≫
≪ゴールドアーム……俺にパスを?何故…?≫
≪馬鹿野郎!‘仲間’にパスするのは当然だろうが!≫
≪・・・‘仲間’?≫
≪まだ解らねえのか!!≫
≪ゴールドマスク・・・ゴールドフット・・・≫
≪今あいつ等に対抗できる方法は、たった一つしかねえんだ! 全員の全ての力を活かす、チームワークだ!≫
≪しかし、パワーが・・・≫
≪心配するな!俺達が付いてるぜ!≫
≪どうした!早くしろッ!≫
≪何してんだスピリッツ、さっきまでの元気は何処へいったんだ!!≫
≪立ち上がるんだ!情けねえぞ!≫
≪最後まで諦めるんじゃねえ!≫
≪貴様のパワーをみせてみろ!!≫
≪立て!立ち上がれーッ!!!≫
≪ぉぉ・・・≫
≪だらしねえぞ!!もう終わりか!?≫
≪ぉぉお・・・!≫
≪てめえの力は……そんなもんだったのかよおおおッ!!!≫
≪シュートしやがれ!!!ファイタースピリッツ!!!!≫
≪ぉおおおおおお!!!!!くそったれがああああああ!!!!≫
≪いくぜええええ!!!!≫
≪これが俺達の!!!魂のシュートだ!!!!!≫
正々堂々と、試合終了。
◇
自宅TV前
「いつ見ても、このシーンは感動しますね・・・」
少年期の頃、私はこのアニメアイアンリーガーを見て育った。
しかしこのアニメを見ていた頃は、私にとって、思い出したくない過去でもある。
あの頃の私には、
『話しかけんな。お前なんて友達じゃない』
友達なんて、居なかった。
◇
例えばこんな華さん
『 少年期 』
小さな頃、悲しい事があると私は電信柱を見続け佇んでいた。時には親が叱りに来るまで。
電信柱は、日が暮れてくると光を放つ。
それはキラキラと光り、とても綺麗で、まるで夢心地だった。
流す涙すら、忘れさせてくれるほどに。
『お嬢』
『しんざぶろう』
『またここですか。・・・お身体に障ります、早く家に帰りましょう』
『・・・わたくしは、変なのですか?』
『お嬢?』
『クラスの皆が、わたくしのことをこう言います。お前は変な奴だと、気持ち悪い奴だと』
『お嬢はお嬢です。変な奴なんかでも、気持ち悪い奴なんかでもありません』
『しんざぶろう』
少年期、子供とは正直で残酷な存在だ。
お前は俺とは私とは違うから消え失せろと、包み隠さずしっかり言ってくるし行動してくる。
『わたくしは、大人になりたいです』
―――そうすれば、
『おかあさまやしんざぶろうのような大人になって、どんな時でも心動じない大人になりたいです』
友達がいなくても、多分平気でしょうから。
『・・・もう帰りましょうお嬢。TVが始まりますよ』
『・・・はい』
ああ、でも、
わたくしはいつごろ、大人になるのでしょう?
学校が終わると、すぐに家の近くの公園に遊びに行った。
家の中に居るだけなのも暇だし、遊ぶ友達もいない。なので公園でひとり遊びをする。
そんな日を続けていると、見ていたアニメも気付けばいつのまにか終わっていた。
どんな話でどんなラストだったか、もはや覚えてはいなかった。
―――べつにいいです。特に面白いとも思いませんでしたし。
・・・でもそれを見ると、胸がなんだか熱くなった事だけは、覚えていた。
『ねえ』
『・・・』
『ねえったら!』
ふと顔を上げると、そこには変な髪型の男の子がいた。
『一人で遊んでるの?』
『・・・はい』
『一緒に遊ぼうよ!』
『・・・はい』
『じゃあこおり鬼しよっか!』
『わたくし、走るのは苦手で・・・。といいますか、二人だけでこおり鬼って・・・』
『大丈夫大丈夫!さあ!!いくよおお!!!?』
そこから、二人だけのこおり鬼が始まった。
こおり鬼とは、鬼が触れた人が鬼になる普通の鬼ごっことは違い、触れた相手が動けなくなるのがルールだ。鬼は時間内に参加者全員を触って動けなくすれば勝ち。
なお、動けなくなった者は鬼ではない参加者が触れると再び動き出せる。
少々特殊な遊びであるが、チームワークや頭脳と体力、洞察力を意外にも使う遊びの一つである。(尚、地方によって多少ルールは異なる)
ちなみに今回鬼はずっと、男の子だった。
『ぜぇ、ぜぇ、・・・走るの、に、苦手なんだよね?』
『はい』
・・・この目。この人も、わたくしを変だと、気持ち悪いと言うのでしょう。
外は、冷たい風が吹く。
今度からは、この公園で遊ぶのはやめにしましょうか・・・。
『君、いいね・・・!オイルが沸騰してきた!じゃあまた明日!』
『はい?』
『明日こそ、捕まえてやるから!勿論正々堂々とね!逃げないでよ? じゃ!』
『また明日って・・・』
なんだか拍子抜けしてしまいました。
次の日
『だー!また捕まえられなかった!』
次の日
『だー!!また捕まえられなかった!!』
次の日
『だー!!!また捕まえられなかった!!!』
次の日
『だー!!!!また捕まえられなかった!!!!』
―――この方は正気を失っているのでしょうか?
『あのう、』
『ぜぇ、ぜえぇぇ、、何?』
『何でこんなにもしつこいのですか?』
『・・・もしかして楽しくなかった?』
・・・そう言われると、
『いいえ。そんなわけでは』
『ならよかった!さあ!今日はあともう一回だよ!』
『ですから!こう何度も何度もするのは何故なんですか?』
そう言うと、その子は不敵に笑って
『どんな試合でも、どんな相手でも、全ての力を出し尽くして戦う。それが!アイアンリーガーだから!!』
正々堂々と、こおり鬼開始。そして、男の子の敗北。
『じゃ!また明日!』
『いえあの・・・。アイアンリーガーはたしかロボットのはずじゃ・・・』
子供は、細かい事は気にしない。
聞くところによれば、この男の子は自分と同い年だという。学校も同じだった。
しかし学校では一度も会う事はなかった。名前も分からないまま遊ぶ毎日。
日がな一日追いかけっこ。一所懸命に追いかけてくる、変な髪形の男の子。
わたくしの事を変だとも気持ち悪いとも言ってこない、わたくしの遊び相手。
そんなある日、
『・・・え?』
『ごめん。もう、一緒には遊べなくなる・・・』
外は、冷たい風が吹く。
『ど、どうしてですか!』
『転校するんだ。・・・親の都合で』
気になるあの子、名前も知らなかった遊び相手、もう名前も思い出せない友達。
少年期は皆が皆、この悲しみを味わうのかもしれない。
少なくとも、今この少女は味わっている。
『そんな・・・いつですか?』
『・・・明日』
―――もっとお話してみたかった、もっと遊んでみたかったのに。
『ごめん・・・。もっと君とお話、してみたかった。華道?の話とか私の好きな物の話とか』
華道という日本の伝統文化を自分がしている事は、以前話していた。
『・・・往かせません』
『へ?』
―――いいですか、お嬢。この物騒な時代、お嬢といえど運動神経を磨かねばなりません。
だらんと右腕を下げ、左手をへそ前に合わせ、両足を大きく広げ相手に対して腰を落とした半身の姿勢。
いつでも最高速を、神速の居合わせを発生させられる構え。
華道とは元々いけばなといい、武士の住まいに花をいけた事が始まりだという。(諸説あり)
その縁で、古くから続く華道五十鈴流は、江戸時代ある武士からとある刀法を伝授された。
どのような体勢・状況でも瞬く間に抜刀し外敵を両断するその刀法は居合・抜刀術とも言い、
この刀法と五十鈴流華道。裏と表。五十鈴家はこれらを一つの作法として確立させ大成。
この作法のみを以って五十鈴家は、
八百石という禄を水戸藩から受けていた。
『転校したければ、わたくしを倒してから往きなさい』
『え~っと・・・』
無手で居合が出来るのか? 答えは、出来る。出来るのだ。何故なら元来刀剣とは、単に己の身体の延長線であるが故に。
五十鈴家の人間がこの構えをとる時は、己の人生がここで終わってもいいと断ずる時のみ。
―――おかあさま、おとうさま、しんざぶろう。
今日、わたくしは死ぬかもしれません。
『・・・そんな怖い顔しないでよ。私だって、転校したくてしたいわけじゃないんだよ?』
『・・・・・』
『君と一緒に、もっと遊びたかった』
『・・・・・』
『君と一緒に、学校にだって行ってみたかった。友達の君と』
『・・・・・友達?』
『そうだよ、私と君は友達。違った?』
『・・・違わないと思います』
この男の子はわたくしの事を変だとも気持ち悪いとも言ってこない、ただの遊び相手?
いいえ、初めて出来た、わたくしの友達。
―――でも、でも。
友達が出来るというのは嬉しいものではないのですか。こんなにも、悲しいものなのですか。
いつのまにか目の前の友達は、目に涙を浮かべていた。
わたくしと、一緒で。
『・・・さあっ!しめっぽいのは終わりにしよう!君と私の遊びは、今日が最後なんだから。だから、決着はいつも通りこおり鬼にしようよ』
『・・・いいでしょう。転校したければ、わたくしをこおりづけにしてから往きなさい』
友達はだらんと左腕を下げ、右手を縦拳に構え相手に対して半身の姿勢。いつでも大爆発を、八極を発生させられる構え。
―――懐に入れば、勝てる。
―――懐になど、入れさせるものですか。
元来こおり鬼とは、鬼ごっこ系統の遊びとは、いつもこのような駆け引きで行われる。
『どんな試合でも、どんな相手でも、』
『どんな試合でも、どんな相手でも、』
正々堂々と、
『全ての力を出し尽くして戦う。それが!アイアンリーガーだ!!』
『全ての力を出し尽くして戦う。それが!アイアンリーガーだ!!』
試合開始。
目覚めた時は 外は夕焼け。妙にさみしくて、目をこする。
そうか。
わたくしは、遊び疲れて眠ってたのか。
夢の中では、お空の上で、友達と一緒に遊んでたのだけれど、
夢から覚めたら、
一緒に、遊べなくなって・・・・・。
夕焼け空が、電信柱の光が、あんなにもキラキラ。あんなにも遠い。
『さようなら。君の事は、忘れないよ』
『―――――ぁぁああああああああッ!!!!!』
・・・・・わたくしは、私は強い女です。決してあなたの事を忘れません。そして、私は弱い女です。
あなたの事は忘れられません。
正々堂々と、試合終了。
「ああ、どうして私は大人になるのでしょう」
思い出したくも無い事を、ふとした時に思い出す。
大人になるとは、そういう事なのでしょうか。
あの最後のこおり鬼の日から、私は自分を変えた。
自分は変な人間でもある。気持ち悪い人間でもある。
そう自身を納得させた。一般的に、それは諦観ともいうが。
そうすると、不思議と周りから悪口は生まれなくなった。同時に、友達も生まれなくなったが。
・・・沙織さんと会う、中学の頃まで。
「・・・さあっ、しめっぽいのは終わりにしましょう。今日は優花里さんの家でご飯会なのですから。
楽しい日になるといいですねえ、かけがえのない友達と一緒なんですから」
どんな日になるのでしょう?想像するだけで笑みが生まれます。
この気持ちは、あの男の子と会えなければ、きっと知らずにいたのでしょう。
・・・あの日々を思い出すと、悲しくて悲しくてたまりませんが。悔しくて悔しくて、たまりませんが。
「ようこそおいで下さいました!!申し訳ございません、このような部屋で」
みほさん達と合流し、優花里さんの部屋へ。
いやに変な笑顔で私達を迎える優花里さん。
「や・だ・もー!その変な笑顔やめてよゆかりん!」
「え?す、すみません・・・」
「あはは・・・」
さおりさんが怒り、みほさんが苦笑いをし、まこさんが寝てる。
―――心から、ここが大好きです。
「さて、皆さん。この前私が言った事覚えてます?」
「熱血アニメだっけ?ゆかりん」
「この際アニメじゃなくてもいいですよ、武部殿!」
「うーーん・・・私あんまりアニメとか見ないし・・・。ガンダム0083とか?みぽりんは?」
「私はガオガイガーかなあ。あとボコとガメラ!・・・麻子さんおきてっ」
「うーん・・・眠い・・・。・・・ボンバーマンジェッターズ」
「私は、ワンピースでしょうか。グランドラインに入る前の」
「ほほう、皆さん結構いける口ですね!しかし!そんなんじゃいけませんよ!最高の熱血アニメといえばこれです!!」
そう言って出されたのは、
「それは・・・」
「はい。疾風!アイアンリーガーです!!」
『さようなら。君の事は、忘れないよ』
「は、華さん?」
「?五十鈴さん・・・?」
「私。今日は、これでお暇させていただきます」
「ちょ、ちょっと待ってよ華!急に立ち上ってそんなどうしたの?」
「・・・優花里さん?」
「は、はい!五十鈴殿」
「もしかして、これからそのアニメの上映会でもするのですか?」
「そ、その通りです!不肖この秋山優花里が結構本気で編集して、いい時間でこのアニメを見終われるようにしました!
ゴールド兄弟の熱さ!シルバーキャッスルの友情!はぐれリーガーとの死闘!そしてファイター兄弟とギロチ様の」
「私、そのアニメ大っ嫌いなんです。だから帰ります」
優花里さんを睨みつけながら、言い切る。
申し訳ありません優花里さん。もうこれ以上、あの頃を思い出したくないのです。
「・・・聞き捨てなりません。アイアンリーガーが、大嫌い?五十鈴殿このアニメ見たことあるんですか?」
「ええ、小さな頃に見ました」
「・・・小さな頃の記憶なんて曖昧なものです。今見直せば大嫌いじゃなくなりますよ、絶対」
「それはありません。その名前を聞くだけで、思い出したくも無い苦しい想い出まで蘇ってくるんですから」
「苦しい想い出?」
「華・・・、たかがアニメじゃん。大人気ない。見てあげようよ」
「たかが、アニメだからです。こんなアニメの為にせっかくのこの時間を消費したくありません」
「五十鈴さん、マジで怒ってるな・・・」
「あわわわ・・・」
麻子さんがお眠モードから完全覚醒し、みほさんがあわあわしている。
優花里さんは・・・
「・・・実は、これは私にとって思い入れのあるアニメなんです」
「ゆかりん、泣いて・・・」
「このアニメがあったから、今までボッチでも生きてこれました。
このアニメがあったから、今こうやって皆さんと友達になれたと、胸を張って言えます」
「・・・・・」
「どんな試合でも、どんな相手でも、全ての力を出し尽くして戦う。
・・・このアニメでとあるキャラが言う台詞なんですが、私はこれが一番のお気に入りなんです。
このアニメの登場人物達は、皆戦車みたいで正々堂々として格好いいんです。
・・・五十鈴殿。絶対損はさせません。一緒に、見ませんか?」
『どんな試合でも、どんな相手でも、全ての力を出し尽くして戦う。それが!アイアンリーガーだから!!』
『ごめん。もう、一緒には遊べなくなる・・・』
―――あの頃の幼稚なわたくしには、友達なんて、いなかったんです。
いなくなったんです。
「わたくしは、もう大人です。こんなつまらないクソアニメなんて、幼稚なアニメなんて絶対見ません」
―――ガタッ
音がした方角は、はたしてどちらか。
空気が凍る。
武部沙織は真剣な眼差しで眼鏡をはずし、
冷泉麻子は縦横無尽に戦車を動かす操縦手の眼光に変わり、
西住みほは軍神西住隊長となり、
「華。それ言いすぎだよ」
「他人の趣味嗜好は人それぞれだろう」
「華さん。落ち着いて」
秋山優花里は、
五十鈴華は、
「・・・言ってしまいましたね、五十鈴殿。言うに事欠いてクソアニメと」
「・・・汚い言葉を使った事は謝ります、言い過ぎました。
でもつまらなかったとわたくしは感じたのですから、何か問題でも?」
神速の装填手と、絶対必中の砲手となった。
臨戦態勢。
喧嘩になる! 誰もがそう思った。その時、
「じゃあ優花里さん、華さん」
車長は、
「勝負して決めたらどうですか?」
素っ頓狂な提案をした。
「華さんが勝てば、アニメは見ないで今日はご飯会。優花里さんが勝てば、今日はアニメの鑑賞会してご飯会。如何ですか?」
「いいでしょう」
「のりました」
「・・・でも何で勝負なの?」
「こうやって、何かでケリをつけたほうがいいんだ沙織。取り返しがつかなくなる前にな」
勝負の内容は。
「勝負は1回。種目は氷鬼です」
「得意種目です。やってやりましょう」
「こちらの台詞です。氷づけにして差し上げます」
―――さあ、鬼はどちらですか? そして早く開始の宣言を!!!
「?何を言ってるんですか?優花里さん華さん」
彼女は大洗を優勝に導いたあんこうチームリーダー、西住みほ。
「鬼は私で、逃げるのは貴女方2人ですよ?」
蒼く輝く炎を宿した、大洗随一の軍神である。
ルールはこうだ。
フィールドは近くにある公園内のみ。制限時間は5分間。
西住みほが最初に氷づけにした者が、制限時間内ずっと氷ったままであればその者の負け。
ただし、制限時間内に2人とも氷付けになった場合はドローで再試合。
終了時に2人とも氷づけでなかったなら、
「その時は、お2人だけで同じ勝負をしてもらいます」
「・・・時間が惜しいです。早く始めましょう。お腹がすいてきました」
「・・・編集したとはいえ、アニメの再生時間は結構長いです。始めましょう」
「じゃあ審判は私と麻子だね。・・・よーいスタート!!!」
以下審判らによるダイジェスト
「ああ!ゆかりんが氷づけに!」
「・・・ああ。 そしてすぐに五十鈴さんも氷づけになったな」
再試合
「ああ!華が氷づけに!」
「・・・ああ。 そしてすぐに秋山さんも氷づけになったな」
再試合
「ああ!ゆかりんが以下略」
「・・・ああ。 そして以下略」
再試合
「以下略」
「以下略」
再試合
「略」
「略」
再試合
「や・だ・もー!!!全然決着つかないじゃん!!!」
「もう眠い・・・。しかし西住さん強すぎだろう」
「ぜぇ、、ぜぇえ、、、な、なんて事でしょう・・・。このままでは時間ばかりが経過してしまいます。アニメとご飯会が・・・!」
「ぜぇ、、ぜぇえ、、、このままではご飯会が・・・!」
―――西住みほが鬼である限り、勝敗はつかない。
秋山優花里と五十鈴華は同時に心中に期した。
重なるアイコンタクト。
―――ここは協力して、あの軍神に勝つしかない。
今回の氷鬼のルールでは、試合終了時に2人とも氷づけでなければサシの勝負となる。
そうなれば必ず決着がつく。
西住みほに、捕まえられなければ。
しかしそれこそが困難であった。
西住みほという人間はいつものほほんとして、前方不注意で頭を電柱にぶつけるほどののんびりさんである。
しかし、一度スイッチが入れば身体能力はおろか頭の回転すら常人をはるかに凌駕する超人へと変わる。
かの源義経の八艘跳びもかくやと言わんばかりの身体能力、強力な戦車や超重戦車で武装した敵すら少数で打ち倒し勝利を手中に収める頭脳。
大洗女子学園が並みいる強豪校を全て倒し廃校を免れたのは、彼女がここに居たからだ。大洗の戦車道チームは皆一同にそう語る。
正に軍神。 そんな彼女を、今凌駕しなければならない。
勝機は。
―――氷鬼は、他の者が氷った者に触れば氷が解け動けるようになる。
片方が氷づけにされたら、片方が時間いっぱいまで逃げ切り時間終了間際に相方の氷を解かせてはどうか。
もしくは、互いに相方の氷を解かせながら時間終了まで粘りきってはどうか。
・・・策として不足はない。
西住みほに、その意図を読ませなければ。
勿論、最初から最後まで両者共に氷づけにされなければそれに越した事はない。重要なのは、チームワーク。
―――懐になど、入れさせるものですか。
「・・・・・」
「・・・・・」
五十鈴華と秋山優花里は、不可思議な自覚の中にある。
ここに立つまで喧嘩寸前の険悪な雰囲気となっていた彼女らであったが、今はそれを覚えない。
消えたのではない。五十鈴華は、今もあのアニメを絶対見たくないと思っているし、秋山優花里は今もあのアニメを馬鹿にされた事を許してない。
しかし今2人を包んでいるのは、シンプルな闘争心だった。
(・・・懐かしい)
五十鈴華は少年期のあの日、変な髪形の男の子との最後の遊びを思い出す。あの変な髪形は、後にパンチパーマという名の髪型だと知った。
そういえばあの日も、こんな気持ちだった。
「優花里さん。アニメを見たければ、みほさんとわたくしに勝ってからにしなさい」
隣に目を見やりながら、ふと口に出すあの日の台詞。
「五十鈴殿。ご飯会に往きたかったら、西住殿と私に勝ってから往って下さい」
秋山優花里は少年期のあの日、今日と同じ遊びをした事を思い出す。
・・・今隣りにいる女性と、共に遊んだ日々を。
「どんな試合でも、どんな相手でも!!」
「全ての力を出し尽くして戦う!!それが!!!アイアンリーガーだ!!!」
例えばこんな華さんと秋山殿
『WITH~友よ共に~』
少年期のあの日々を、秋山優花里は忘れた事など一度としてなかった。
転校した日、気に入っていたパンチパーマをやめて現在のヘアースタイルにしたのは、男の子みたいだからやめなさいと自身の母親から言われたのもあるが、全ては彼女なりの意思表示だった。
たとえ彼女が自分を忘れても、自分は彼女を忘れない。
そしてこの学園で彼女、五十鈴華を初めて目にした時、秋山優花里は静かに歓喜に震えた。
―――あの子だ!
一目で分かった。彼女は全然変わっていなかったから。
しかし相手は自分を見ても、初対面のように振舞った。
・・・遠い昔の事だ、彼女が忘れていても無理はない。
子供の頃の記憶など、曖昧なものだ。今を生きる強い彼女には、思い出など必要ないのだろう。
秋山優花里はそう決め付けた。
しかし、期待はしていた。皆が自宅に来た時がそうだ。昔の髪型の自分の写真を彼女が見たら、思い出すのではないのかと。
・・・そんな事はなかったが。
五十鈴流の家元である彼女の母と衝突し、それでも己の道を突き進む彼女。
数撃てば当たるなんて事はしない、何事も一発でいいはず。と言った彼女。
0.5秒の停止時間さえあれば、確実に撃破してみせる。と言った彼女。
昔とちっとも変わっていない、とても強い女性五十鈴華。
秋山優花里は、神速の装填手だとよくチームの皆に言われる。
当然だろう。夢にまで見た彼女と同じチームで、同じ戦車で、また一緒に遊ぶ事が出来るのだから。
気の持ちようが、他者とは違っていた。
実は今回アイアンリーガーを皆で一緒に見ようと勧めたのは、人見知りな彼女なりの一世一代の決断だった。
―――再会を祝いたい。
日に日に強くなるこの気持ちには勝てなかった。
だから、五十鈴華がこのアニメを馬鹿にしたのは許せなかった。
少年期、友達がいなかった秋山優花里は、このアニメを見て勇気と友情の素晴らしさを学んだ。
『話しかけんな。お前なんて友達じゃない』
こんな事を周囲から言われても、アイアンリーガーのように秋山優花里はめげずに友達を作ろうとした。
だから、一人で遊んでいた五十鈴華に勇気を振り絞って声を掛ける事ができたのだ。
―――君が忘れているとしても、私と君の友情のきっかけを馬鹿にする事だけは許さない。
彼女達は、少年期のあの日々を忘れた事など一度としてなかった。
ただ、思い出の色が違っていただけ。
「どんな試合でも、どんな相手でも!!」
「全ての力を出し尽くして戦う!!それが!!!アイアンリーガーだ!!!」
あの日の台詞。驚愕に見開くお互いの瞳。
―――彼女は、忘れてなどいなかった。
―――友達は、いなくなってなどいなかった。
今日はあの日の続きなのだろうか。
『もっと君とお話、してみたかった。華道?の話とか私の好きな物の話とか』
『君と一緒に、もっと遊びたかった』
『・・・往かせません』
『転校したければ、わたくしを倒してから往きなさい』
―――私達、夢が叶いました。
孤独のその横には、必ず友が。
夢叶う、その横にも、そう友が居る。
ガールズ&パンツァーとは、アイアンリーガーとは、そんなアニメである。
正々堂々と、試合終了。
エピローグ
あんこうチームの3人は微笑みながら、チームの装填手と砲手を見つめる。
西住みほは、自分の案がそこはかと上手くいった事で自信げに。
武部沙織は、いつの間にか仲直りしたらしい友人達を誇らしげに。
冷泉麻子は、これからのご飯会とアニメが楽しみだと満足げに。
「・・・五十鈴殿。実は、ずっと前から言いたかった事があります」
「奇遇ですね。私も言いたい事があります。お先にどうぞ」
2人だけの最終決戦。あの日と同じ、サシの勝負。
「私、・・・君の事は忘れなかったよ」
「・・・性別だけは、せめて最初に言ってほしかったです。私ずっと男の子だと思ってました」
2人は共に涙し、笑いあい、構える。 あの日のように。
だらんと右腕を下げ、左手をへそ前に合わせ、両足を大きく広げ相手に対して腰を落とした半身の姿勢。
いつでも最高速を、神速の居合わせを発生させられる構え。
―――五十鈴家の人間がこの構えをとる時は、己の人生がここで終わってもいいと断ずる時のみ。五十鈴華は母からそう教わった。
だらんと左腕を下げ、右手を縦拳に構え相手に対して半身の姿勢。
いつでも大爆発を、八極を発生させられる構え。
―――秋山家の人間がこの構えをとる時は、己の人生がここで終わってもいいと断ずる時のみ。秋山優花里は母からそう教わった。
「怖いですか?当然です。五十鈴流後継者で大人の私に貴女が勝てるもんですか」
「私と君の遊びはあの日が最後だと言いましたね。あれは、嘘です」
これからも、ずっとずっと一緒に遊んでいけるさ。
『友情は瞬間が咲かせる花であり、そして時間が実らせる果実である。』――アウグスト・フォン・コッツェブー
正々堂々と、試合開始!!