騎士王がロキファミリアに入るらしいですよ   作:ポジティブ太郎

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三十話 暴食王と料理長

ダンジョン18階層。

 ダンジョン内における数少ない『安全階層』であり冒険者達からは、『地下の楽園』(アンダーリゾート)と呼ばれている。

 ロキファミリア一行も深層突入への英気を養っていた。

 リヴェリアに内緒にしていた隠し酒を飲もうと試みるガレス。案の定リヴェリアに見つかり、憤怒の形相で鉄拳制裁をくらう。女性陣達は水浴びに出掛け、自身の薄板と周囲の巨峰とを見比べ、胸の格差社会の非情さに打ちひしがれるティオナ。場にはいないアルトリアとアイズの入浴姿を脳内に浮かべ、妄想に耽るレフィーヤ。

 そんな充実した一日を過ごしていた。

 

 ――彼らを除いて

 

 

 

「おいっ! 料理早く持って来い!!」

「す、すいませぇぇん! 人手が足りずとても追いつきません!!」

「おい、大丈夫か!? 料理長、また一人気絶しました!!」 

「くッ………!」

 

 彼らに楽園はやって来ない。

 ロキファミリアの料理人達は、死闘を繰り広げていた。

 

 

 

「………おかわりを所望します」

 

 両頬をリスの様に膨らませる金髪の少女。

 口内に溜め込んだ料理を咀嚼し、飲み込み……

 ――騎士王 アルトリア・ペンドラゴンもとい、暴食王がそこにいた。

 

 

「はいよぉぉぉぉ!!」

 

 白いコック帽を深く被る獣人の料理人が叫ぶ。

 一人また一人忽然と姿を消していく厨房の中を必死で走り回る。

 まな板の上で小気味良いリズムで包丁が振るわれると思えば、芳醇な香りを漂わせるシチューの大鍋をかき混ぜる。

 

 出来上がった料理が、アルトリアの座る席に運ばれる。

 

「はぁはぁ……おまちどぉ」

「おぉ……! ありがとうございます料理長」

「どういたしまして………」

 

 生気の抜けた表情で応える。

 目を輝かせ料理に飛びつくアルトリアを忌々しげに見つめていた。

 

 

 

「ふぅ……ごちそうさまでした」

「食べるの早っ!!??」

「そうですか? これでも一口一口味わっているのですが……」

 

 彼女の言葉に嘘はない。

 人生における至福の時を味わうかのような顔がそれを物語っている。

 自身が死に物狂いで作った料理を一瞬で平らげられた事に対する言いようのない悲しさと、料理に対する賞賛の嬉しさが心のなかで渦巻いていた。

 

「料理長……今日も素晴らしい料理ありがとうございました!」

「お、おう! あんたみたいな奴がいると作り甲斐があったってもんだぜ!!」

 

 若干テンションの上がった声で照れくさそうに耳を触る。

 

 ――やっと終わった……今日はいい夢が見られそうだぜ……

 内心、生還できた事に安堵していたが。

 

「では……食後のデザートをお願いします」

「………ん? ナンダッテ?」

「デザートをお願いします」

 

 まるで初めての単語を聞いたかの様に、首を傾ける。

 徐々に言葉の真意に気づき始めると共に、表情が硬直していく。

 

「前回いただいた『極東』の餡団子。あれは、実に美味でした! 以前、食べた事のある『大福』によく似た味わいで……」

 

 今回も美味しいデザートを期待しています、と期待の声を上げるアルトリア。

 アルトリアの声が聞こえていないのか、料理長は呆然自失と立ち尽くしていた。

 ワナワナと震え出す肩。

 

 そして………

 

「あああ``ーーーー!! 勘弁してくれぇぇーーーー!!」

 

 ――悲しき男の慟哭が響き渡った。

 

 

 

 

***************************************

 

 

「【ロキ・ファミリア】の連中が、この階層にいるらしいぜ」

「あぁ、知っている。それと、上からの指示だ……これで、奴らを嵌める」

 

 

 黒衣のローブを身にまとう二人組。

 懐から、石状の何かを取り出す。

 

 

 

 

「奴らに思い知らせてやる。闇組織の脅威を」

 

 

 




更新遅くてすみません! 

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