騎士王がロキファミリアに入るらしいですよ   作:ポジティブ太郎

32 / 32
三十話 暴食王と料理長

ダンジョン18階層。

 ダンジョン内における数少ない『安全階層』であり冒険者達からは、『地下の楽園』(アンダーリゾート)と呼ばれている。

 ロキファミリア一行も深層突入への英気を養っていた。

 リヴェリアに内緒にしていた隠し酒を飲もうと試みるガレス。案の定リヴェリアに見つかり、憤怒の形相で鉄拳制裁をくらう。女性陣達は水浴びに出掛け、自身の薄板と周囲の巨峰とを見比べ、胸の格差社会の非情さに打ちひしがれるティオナ。場にはいないアルトリアとアイズの入浴姿を脳内に浮かべ、妄想に耽るレフィーヤ。

 そんな充実した一日を過ごしていた。

 

 ――彼らを除いて

 

 

 

「おいっ! 料理早く持って来い!!」

「す、すいませぇぇん! 人手が足りずとても追いつきません!!」

「おい、大丈夫か!? 料理長、また一人気絶しました!!」 

「くッ………!」

 

 彼らに楽園はやって来ない。

 ロキファミリアの料理人達は、死闘を繰り広げていた。

 

 

 

「………おかわりを所望します」

 

 両頬をリスの様に膨らませる金髪の少女。

 口内に溜め込んだ料理を咀嚼し、飲み込み……

 ――騎士王 アルトリア・ペンドラゴンもとい、暴食王がそこにいた。

 

 

「はいよぉぉぉぉ!!」

 

 白いコック帽を深く被る獣人の料理人が叫ぶ。

 一人また一人忽然と姿を消していく厨房の中を必死で走り回る。

 まな板の上で小気味良いリズムで包丁が振るわれると思えば、芳醇な香りを漂わせるシチューの大鍋をかき混ぜる。

 

 出来上がった料理が、アルトリアの座る席に運ばれる。

 

「はぁはぁ……おまちどぉ」

「おぉ……! ありがとうございます料理長」

「どういたしまして………」

 

 生気の抜けた表情で応える。

 目を輝かせ料理に飛びつくアルトリアを忌々しげに見つめていた。

 

 

 

「ふぅ……ごちそうさまでした」

「食べるの早っ!!??」

「そうですか? これでも一口一口味わっているのですが……」

 

 彼女の言葉に嘘はない。

 人生における至福の時を味わうかのような顔がそれを物語っている。

 自身が死に物狂いで作った料理を一瞬で平らげられた事に対する言いようのない悲しさと、料理に対する賞賛の嬉しさが心のなかで渦巻いていた。

 

「料理長……今日も素晴らしい料理ありがとうございました!」

「お、おう! あんたみたいな奴がいると作り甲斐があったってもんだぜ!!」

 

 若干テンションの上がった声で照れくさそうに耳を触る。

 

 ――やっと終わった……今日はいい夢が見られそうだぜ……

 内心、生還できた事に安堵していたが。

 

「では……食後のデザートをお願いします」

「………ん? ナンダッテ?」

「デザートをお願いします」

 

 まるで初めての単語を聞いたかの様に、首を傾ける。

 徐々に言葉の真意に気づき始めると共に、表情が硬直していく。

 

「前回いただいた『極東』の餡団子。あれは、実に美味でした! 以前、食べた事のある『大福』によく似た味わいで……」

 

 今回も美味しいデザートを期待しています、と期待の声を上げるアルトリア。

 アルトリアの声が聞こえていないのか、料理長は呆然自失と立ち尽くしていた。

 ワナワナと震え出す肩。

 

 そして………

 

「あああ``ーーーー!! 勘弁してくれぇぇーーーー!!」

 

 ――悲しき男の慟哭が響き渡った。

 

 

 

 

***************************************

 

 

「【ロキ・ファミリア】の連中が、この階層にいるらしいぜ」

「あぁ、知っている。それと、上からの指示だ……これで、奴らを嵌める」

 

 

 黒衣のローブを身にまとう二人組。

 懐から、石状の何かを取り出す。

 

 

 

 

「奴らに思い知らせてやる。闇組織の脅威を」

 

 

 




更新遅くてすみません! 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

ヘスティア・ファミリアのエセシスター(作者:カラスガラス)(原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)

本来より10年ほど早く下界を訪れたヘスティアと最強の眷族、あるいはぐーたら女神とおとぼけ転生者の話。追加でそれに巻き込まれる一同。


総合評価:4542/評価:6.92/連載:34話/更新日時:2024年08月26日(月) 00:00 小説情報

ロキ・ファミリアに父親がいるのは間違っているだろうか(作者:ユキシア)(原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)

【ロキ・ファミリア】の幹部を務めている極東の剣士、秋夜・リヨス・アールヴ。▼オラリオ最強の剣士とされている彼は愛する妻と娘、そして家族の為の刀を振るう。


総合評価:1583/評価:6.41/連載:20話/更新日時:2018年04月11日(水) 22:33 小説情報

生きているのなら、神様だって殺してみせるベル・クラネルくん。(作者:オティヌス)(原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)

この世界で唯一『迷宮』が存在する都市オラリオに、出会いを求め移住してきた少年、ベル・クラネル。▼しかし、彼にはある秘密があって......▼


総合評価:15632/評価:7.29/連載:58話/更新日時:2020年07月20日(月) 13:23 小説情報

ダンジョンでサーヴァントに出会うのは間違ってるでしょう!?(作者:夕鶴)(原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)

Fateシリーズのサーヴァントの容姿と能力持ちでダンまち世界にテンプレ転生した主人公がベル君相手に運命の夜しちゃって、仲間の転生者たちとヤベーよヤベーよってワチャワチャする話。▼FGO二部四章がメチャクチャ面白くてテンション上がってた時にamaz◯nで予約注文してたダンまちの15巻が届いたから勢いで書き上げた話。別に両作品最新情報のネタバレとかは無いです。▼…


総合評価:14388/評価:8.68/連載:27話/更新日時:2021年03月10日(水) 21:52 小説情報

【完結】最後のヘラの眷属が笑って◯○までの話(作者:ねをんゆう)(原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)

※完結しました。▼突然ロキ・ファミリアを襲撃した、かつての罪人"静寂のアルフィア"にそっくりな姿をした謎の女。▼顔面を殴るし、腹を蹴る。▼神にすら罵倒し、直ぐ手を出す。▼理不尽、暴君、傲岸不遜。▼そんな彼女の正体は、アルフィアに勝つまでアルフィアのコスプレをやめられない約束を、彼女の死後もクソブチギレながら忠実に守っている、哀れで面倒臭い…


総合評価:13559/評価:9.04/完結:69話/更新日時:2023年05月14日(日) 01:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>