あけましておめでとうございます!!
てなわけで、新年一発目、どうぞ!!
「仕方ないなぁ〜」
ルイーズは、そう恩着せがましく言うと、指を一本立てる。
「それじゃあ、絞り込んでおくれよ。特定は、私がやるから」
「ま、まあそれなら」
((いいんだ…………))
エラリィとクイーンが心の中で呆れているとベイカーは、手がかりの紙を机に置き、地図を見ながら考え込む。
(ずっと石畳だったってことは、つまり山に監禁されていたわけじゃない)
ベイカーは、市街地図にある山を選択肢から外す。
「ルイーズ教官」
「何だい?」
「この鐘が鳴ったのって何時か分かりますか?」
ルイーズは、ふむと考え込む。
「可能性でいいかい?」
「はい」
「多分正午」
ルイーズの答えに横で聞いていたクイーンが首を傾げる。
「なんでそう思うんですか?」
ルイーズは、指を一つ立てる。
「まず一つ、彼は鐘の音がしたと言っていた。普通に考えればそれは時計の鐘の音だろう?」
ルイーズの言葉にクイーンが頷く。
「もう一つ。あの子に陽射しが強かったか弱かったかを聞いたら、迷わず強かったって答えた。
朝から走っていたら答えは微妙に迷うところだろう?」
朝は昼に比べれば弱い。
ずっと走っていればどう答えるべきか迷うところだ。
「となれば少なくとも太陽が一番高い、昼頃になる」
ルイーズは、指をもう一本立てながら続ける。
「そして、もう一つ。最初の一つ目と繋がるんだけど、彼は途中で時計の鐘が鳴るのを一回聞いたと言っていた。今、正午から三十分経っている。十一時から走っているのなら鐘は二回聞いていないといけない。
ところが、一回しか聞いていないというなら、鐘がなったのは正午ということになるだろう?」
ルイーズの説明にクイーンは、なるほどと頷く。
「最初の鐘の聞こえないところにいた、という可能性はないんですか?」
ルイーズは、指をくるくると回す。
「逆に聞くけど、クイーン。あの状態で君は二時間以上走れる自信あるかい?」
傷だらけ痣だらけ。
監禁状態で精神をすり減らされ、なんとか隙を見て逃げ出したとはいえ、いつ追いつかれるか分からない恐怖に怯えながら逃げる。
「…………無理ですね」
「そういう事」
二人の会話を聞きながらベイカーは、エラリィに尋ねる。
「コンパスと定規ある?」
「ないな。研究室にならあるが」
「後で取りに行ってもらってもいい?」
「いいぞ」
ベイカーは、それを確認し、ルイーズの方を見る。
「ルイーズ教官、スコットの短距離走のタイムって今わかりますか?」
ルイーズは、首を横に振る。
「いや。いくら私のところの訓練生でもデータが手元にないと無」
「あるのですよ」
クイーンは、そう言って訓練生のデータを渡す。
「いつの間に………」
「エマ先生呼びに行く時です」
「………一分一秒を争う時だった思うんだけど」
「あの程度の怪我でルイーズがいれば別にどうってことないですよ」
クイーンは、肩をすくめる。
「エラリィに地図を持ってこいって言ったあたりからこうなること想像はついてたんですよ。なんだったらコンパスと定規もあるですよ」
クイーンは、コンパスと更に定規取り出す。
ルイーズは、目をパチパチとしながらその後適当に拍手を送る。
「流石。ついでに計算してくれない?」
「いいですよ」
クイーンは、そういうとルイーズから資料を再び受け取りチラッと数字を見ると直ぐにコンパスと定規を使って訓練学校を中心に地図上に円を描いた。
「ベイカーがやりたかったかったのは、こういう事ですよね。長距離走用のペース配分は出来ないから、短距離走の状態での行動範囲を絞る」
「すごいですね!クイーン教官!ちゃんと頭良かったんですね」
「…………ベイカーも大概失礼ですよね」
クイーンの言葉に聞こえないふりをしながらベイカーは、円を指差す。
「スコットが逃げてきたのはこの円の中にあるはずです」
鐘の鳴った時間、短距離走の速さ。
それがこの円を作り上げた根拠だ。
クイーンは、ふむと頷く。
「だいぶ探す範囲も狭まったって感じですね」
ベイカーは、首を傾げる。
「何言ってるんですか?ここからですよ」
ベイカーは、そう言ってポケットからペンを出す。
「石畳を走ってきたって事は、この円の中にある山は消される」
ベイカーは、山のところを斜線で消す。
「時計の鐘の音ってことは普通に考えれば時計の機能の一つだよなぁ……ルイーズ教官、なんか時計塔とか知りませんか?」
「私は知らないけどクイーンなら知ってるよ」
「へ?」
予想外のところで話を振られたクイーンは、目を丸くする。
そんなクイーンに構わずルイーズは、続ける。
「君なら知っているだろう?数多の男と付き合った君ならありとあらゆるデートの経験者だ。この円の中に時計塔のようなものがあるのはどこだい?」
「ルイーズ。誤解を招くのでやめて欲しいです。まるで私が尻軽女みたいじゃないですか?」
「そうだね。『数多の男と付き合ってフラれた』に訂正しておくよ」
「どうしてそんな事ばっかり言うんですか!!」
涙目で掴みかかるクイーンの顔にアイアンクローをかけてそれ以上近づけさせない。
「いいから、地図に落とし込んでおくれ。時計塔なんてデートの待ち合わせでもよく使うところだろう?」
クイーンは、まだ言いたそうな顔だったが渋々地図に丸をつけていく。
「フラれたのは、私のせいじゃないんですけど………なんで私の方がスペック高いと男性は、みんな嫌そうな顔して去っていくんですか………」
ぐすぐすと泣きながら丸をつけていくクイーン。
「ここと、ここと、この時は雨が降っていたのです………あと、ここでの待ち合わせの時は、私が遅れてきたんですよね。そしたら、別の女の人と……」
「クイーン教官!!円の外にも丸してますよ!!とりあえず円の中だけでいいんです!!」
「はっ!私としたことが!!」
円の中の時計塔は、一つだったのだが、外にも散々チェックを入れていた。
「うぅ………このままでは尊敬出来る隊長ランキングに入れないです……」
「安心してください。ルイーズ教官よりは尊敬できますから」
「そんな最下位争いがしたいんじゃないんです!!」
「おい。私になら何言っても許されるわけじゃあないんだゼ」
ルイーズは、そう言いながら二人にアイアンクローを決める。
「「いだだだだだだだ」」
「さて、エラリィ。君は音の聞こえる範囲を計算して同じようにコンパスで丸しておくれ。技術職ならそれぐらいできるだろう?」
ルイーズは、二人のコメカミに激痛を与えながらエラリィに指示を出す。
「いいですけど………」
エラリィは、そう言いながらコンパスで時計塔を中心に円を描く。
「……でも、この時計塔、鐘の音なんてなりませんよ?」
「「へ?」」
エラリィの言葉にルイーズのアイアンクローからようやく解放された二人の間抜けな声が重なる。
「流れるのは、鐘の音じゃなくて音楽ですよ」
「………………マジ?」
「マジ」
「クイーン教官が泣きながらチェックした円の外の奴も?」
「ああ。音楽が流れる」
エラリィからの意外な言葉にルイーズは、感心している。
「よく知っているねぇ。でもなんで知っているんだい?」
「サンオイルスターのグッズ販売店がこの辺なんですよ。だから、よく通るんです」
「へぇ………世の中色んなところで繋がるもんだねぇ」
ルイーズは、感心しながら地図を見る。
「というか、クイーン。なんで君が知らないんだい?」
「いや、だって例えば十一時集合って言えば十分前に来るのもじゃないですか。それまでに集まればそのまま目的地にいくんですから関係ないですよ」
「なるほど。合流すれば、後は二人の世界だもんねぇ。音なんて気にならないっと」
「そういう事です!!恋する二人の世界は、何者にも邪魔できないんです!」
「へーシラナカッタ。スゴイネ」
自信満々に言うクイーンをスルーしてルイーズは、地図を見る。
「さてと……………」
円の中に斜線が引かれている。
ルイーズは、自分のペンで先ほどエラリィが書いた円を塗りつぶす。
スコットは、鐘の音が聞こえたと言っていた。
という事はここは、通っていないという事になる。
(ふむ………となると)
考え込むルイーズの顔を伺うようにベイカーがコンパスを持つ。
「あのルイーズ教官、もう一度最初から考え直しましょうか?」
「いや。そこまで戻らなくていい」
ルイーズは、そう言うとペンである場所を丸した。
「ここって………」
ベイカーが目を丸くしている。
「鐘が鳴るのは何も時計塔だけじゃあない」
そう言ってニヤリと笑う。
「君たちが一番分かっているだろう?」
ルイーズが丸をしたのは、学校だった。
「そうか!そう言えばそうだ!!」
ベイカーは、パンと手を叩く。
「次いでに言えばこの学校は確か授業のスケジュールの関係で正午に昼食だ。間違いなく鐘は正午になる」
そこは、訓練学校とはまた別の学校だった。
確かに学校も鐘が鳴る。学校によってスケジュールが違うので正午に鐘が鳴るかは分かれるがここはドンピシャのようだ。
ベイカーは、エラリィが作った丸と同じだけの丸をその学校を中心に描く。
描きあがるとそれをルイーズに見せる。
「ルイーズ教官、どうですか?」
地図を受け取ったルイーズは、ニヤリと笑う。
「想像以上だよ」
そう言うと地図の中から潜伏先に使えそうな場所をピックアップして机の上に再び広げる。
「よし!それじゃあこの場限りの急造の部隊で救出作戦を実行するよ!!」
そう言うと地図の丸印をペンで示す。
「言い出しっぺだから私が今回は隊長を務める。異論はあるかい?」
全員首を横に振る。
「とりあえず、私が潜伏に使えそうなところをピックアップしといた。ここをしらみつぶしに探す」
ただし、と言葉を続ける。
「手分けして探すという事はしない。四人一組で行動する」
「理由は?」
ベイカーの質問にルイーズは、頷いて答える。
「奴らは私達が軍属でもひるまない。一人で行動すればそれこそ捕まって新たな救出者を作ってしまうからだよ」
「俺たちなら捕まってしまうと?その辺のゴロツキ相手に?」
ベイカーの不満そうな顔にルイーズは、ため息を吐く。
「ゴロツキ相手も十人束になればタダじゃあすまないよ」
ルイーズの注意にベイカーは、うっと言葉に詰まる。
「そんな訳で絶対に四人で行動する事、いいね?」
「「「はい!」」」
そう言うとエラリィが不思議そうに手を挙げる。
「あのなんで僕も実行部隊に数えられているんですか?」
エラリィの質問にルイーズが手をひらひらっと振る。
「ん?あぁ。君、確か戦闘訓練に参加した事あるんだろう?クイーンから聞いてるよ。そんなわけだから今回、君も参加」
ルイーズの返答にエラリィは、クイーンをジロリと睨む。
クイーンは、そっぽ向いて口笛を吹きながら自分は関係ないとの顔だ。
「まあ、いいです。それで、各自武器を持って集合ですか?」
「そう言う事!!ほんじゃあ五分以内に武器持って玄関に集合!!」
段々話が動き始めた気がしますね!
エクシリア内の時間や距離の単位が微妙に分からないので苦労しました………
まあ、二次創作という事で見逃してもらえるとありがたいです(つД`)ノ
さて、ではではまた、このメンバーをよろしくお願いします。
年内完結を目標に頑張ります!!