教官   作:takoyaki

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外伝15です。
先日、カラオケで一個前のライダーのオープニングを歌いました。
何だか凄く疲れるなと思ったら間奏がありませんでした。
全部歌詞!!
これ歌いながら踊るとかやっぱりプロは凄いなと思いました。


「名曲だろ?」

「何をしているんですか!!」

ベイカーの全力のツッコミにルイーズは、耳を抑える。

「うるさいなぁ………ちょっと間違えただけだよ」

「そのちょっとが命取りなんです!!」

ベイカーの忠告にルイーズは、手だけでハイハイと返事をすると、目の前の男を真剣な表情で睨みつける。

「前言撤回するようで悪いけど、私の質問をもう一個使って聞くよ。君はこのゲームで一度も嘘を吐いていないね?」

「はい。分かってるとは思いますけど、後三個ですよ」

ルイーズは、押し黙ると耳元の茶髪をいじり始める。

ベイカーは、隣のエラリィに話しかける。

「お前は箱の中身分かる?」

「いいや。最初から聞いていたが、僕も分からなかった」

そう言って目の前の男に視線を移す。

「ゲームを管理する側が嘘を吐いた場合、プレイヤーになす術はない」

「それって、あいつが嘘を吐いているってこと?」

ベイカーの質問にエラリィは、頷く。

「だってそうだろ?あの人だってその辺の奴より頭がいいんだ。なのに、当てられないってのはそういう事だ」

ベイカーは、唇を噛む。

「残り三個の質問でそれを突き止められるの?そんなの?」

エラリィは、悔しそうに拳を握る。

「でも、当てるしかないだろ。でないと、あの人は、あの男と付き合う事になるぞ」

「おい、よくないな。そういう憶測でそういう迂闊な事を言うのは」

男は、そう言うとベイカー達に視線を向ける。

「僕は、一切嘘を吐いていない」

そう言うとルイーズの方を見てニヤリと笑う。

「迂闊なことと言えば、そう言えば迂闊なことをやって隊長の資格を失った奴がいたな〜誰だっけ?」

男はわざとらしくルイーズを見る。

ルイーズは、我関せずという形で自分の茶髪をいじりながら考え込んでいる。

代わりにクイーンとベイカーとエラリィが机をバンっと叩く。

男は三人に構わず続ける。

「確か、もう隊長じゃなくて、一人の隊員だよな?あれ?敬語じゃなくてもいいんじゃね?なあ、ルイーズ?」

煽ってくる男に対してルイーズは、見向きせず考え込む。

一切反応しない、ルイーズの代わりにクイーンが拳を握る。

「いい加減にしてくださいです!ルイーズが切り裂きジャックを追い詰めたんです!!迂闊だったのは、あの訓練生達です!!」

「どうだかなぁ………まあ、世間知らずのお嬢様ならそう信じちゃうのも無理はないよな」

「この………!!」

クイーンは、思わず拳を振りかぶる。

「やれやれ、賑やかだねぇ」

一触即発の空気の中ルイーズは、呑気にそう言うと茶髪から手を離す。

「考え事をしているんだから、もう少し静かにして欲しいねぇ」

ルイーズは、ため息を吐く。

「質問は決まったのか?」

男がニヤニヤと笑いながら尋ねる。

そんな男に構わず、ルイーズは、指を二つ出す。

「一つ、【はい】か【いいえ】だけで答える。

二つ、嘘を吐かない。吐いた場合、又は、答えに十秒詰まった場合は君の負けで良かったね?」

「はい。因みに残り一つだ。どうする?」

「な!?」

一行は、息を飲む。

野次馬達が騒めく。

ルイーズは伸びをした後、目の前の男を睨みつける。

「ま、いいけどね」

ルイーズは、冷めた目で目の前の男を睨みつける。

眠そうなその目からは想像も出来ない迫力に男は思わずたじろいだ。

「私の友人を泣かせるだけじゃ飽き足らず、馬鹿にした君にこの質問をしよう」

ルイーズは、そう言うと男に向かって人差し指を突きつけ、最後の質問をぶつける。

 

 

 

 

 

 

 

 

「君は、私の質問に対して【いいえ】というのかい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その質問が飛び出た瞬間、男は笑い出した。

「おまえ、最後の最後でそんな質問かよ!!救いようもない馬鹿だな!!言っとくけどこれでおまえの負けは確定だぞ!残り一つでどうやってあてるんだ?!」

「勝利宣言は、いいから早く質問に答えたまえ」

「んなもの、【いいえ】だ!!正しければ【はい】、間違っていれば【いいえ】と教えたはずだ!お前は質問を間違えているんだよ」

ルイーズは、その言葉を聞いた瞬間、目を丸くする。

「おや?おかしいじゃあないか?君は今、私の質問に対して【いいえ】と答えた。ということは、私の質問は、正しいってことだろ?」

ルイーズは、不満そうに指を突きつける。

「正しいんだから、【はい】と言いたまえよ」

ルイーズのその重箱の隅をつつくよつな言葉にに男は忌々しそうに舌打ちをする。

「往生際が悪いな。なら、【はい】。ほらこれで満足か?」

「おやおやおやおや?【はい】は、私の質問が正しい時に返す言葉だろう?」

ルイーズは、自分を指差す。

「私の質問は、こうだ。『君は私の質問に対して【いいえ】と答えるのかい?』だ」

ルイーズは、さらに言葉を続ける。

「君は、【はい】と返した。つまり、私の質問は間違っていたということだ」

ルイーズは、ニヤリと底意地の悪い笑みを浮かべる。

「間違っていた場合は、【いいえ】だったよねぇ?」

その言葉を聞いて、男はルイーズの言わんとすることをようやく理解した。

男の顔から血の気が引く。

「………………お前……!!」

「んふふふ。気付いた?」

男は、押し黙る。

「どういうこと?」

いまいち理解出来なかったベイカーがエラリィに尋ねる。

エラリィは、言葉を整理するように話し始める。

「ルイーズ教官の質問は、質問に対して【いいえ】と答えるかどうかだ」

「うん」

「【いいえ】と答える場合。ルイーズ教官の答えは正しいから【はい】と答えなくてはならない」

「そうだね」

「【はい】と答えた場合、【いいえ】と答えていないから、これは間違いだ。間違っているのだから【いいえ】と答えなくてはならない」

「うん、そうだね……………ん?」

ベイカーは、さっきまでの話を思い出す。

「あれ?【いいえ】と答える場合は正しいから【はい】。

【はい】と答える場合、間違っているから【いいえ】?これって………」

「あぁ。どう答えても嘘になる」

最初からルイーズの狙いは、これだったのだ。

つまるところ、最初からまともにゲームをするつもりなどなかったのだ。

ルイーズの頭にあったのは、如何にして勝つかということ。

「さあて、ルールでは十秒以内に答えられなかったら君の負けだ。これから数えてあげよう」

ルイーズは、時計を取り出し、秒針を数える。

「いーち」

秒針が一つ動く。

「にーい」

男は額に脂汗を浮かべる。

「さーん」

ルイーズは、更に続ける。

「よーん」

必死に正解を探すが見つからない。

「ごーお」

そんな中カウントだけが無慈悲に過ぎていく。

「ろーく」

もう折り返しだ。

「なーな」

カウントは止まらない。

「はーち」

敗北まで残り僅か。

「きゅーう」

ルイーズは、悪党顔負けの笑みを浮かべる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゅーう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルイーズは、指を突きつける。

「カウントは終わった。君の負けだ」

この瞬間ルイーズの勝ちが決まった。

「ルイーズゥーーーーーー!!」

クイーンは、泣きながらルイーズに抱きつく。

二人がそんなことをしていると男は箱を机から飛ばし身を乗り出した。

「こんな反則認められるか!!やり直しだ」

「反則?何を言っているんだい?私は、ルールに乗っ取ってやっただけだよ。君も了承したじゃあないか?」

ルイーズは、そう言って両手を広げる。

「目撃者は、こんなにいる。まさか、言い逃れをするつもりかい?」

クイーンを引き剥がして指差す。

「女の子をこんなに泣かせた挙句、自分の思い通りにならなかったら今度は逆ギレで言い逃れ。なんとまあ………」

ルイーズは、ニヤリと笑う。

「素晴らしい人格者じゃあないか。賞賛の拍手をいくらでも贈ってあげよう」

ぱちぱちと気の無い拍手をするルイーズ。

適当な拍手を終えるとルイーズは、落ちている箱を拾い中身を確認する。

「やっぱりね」

ルイーズは、そう言うと箱の中身を男に見せる。

「空っぽだ。箱の中には、何もなかった」

そう言ってルイーズが見せる箱の中には、何もなかった。

男は途端に持ち直した。

「何を言っているんだ?空気が入っているじゃないか?」

その言葉は、決定的だった。

それを聞いた瞬間、野次馬はため息を吐きながらその机から離れていった。

ルイーズは、ジロリと睨みつける。

「クイーンはね、空気という質問をしているよ」

「三番目に尋ねています」

「待て!そんなこと聞いていない!!」

「ほら、それだ」

ルイーズは、身を乗り出して顔を近づける。

「君はそう言うに決まっている。

おかしいと思ったんだ。彼女はポンコツスイーツ女なんて呼ばれてるけど」

「呼んでるのはルイーズだけです」

「クイーンが箱の中身を当てられないはずがない。この子は、私ほどじゃあないにしろ頭がいいんだ」

「さりげなく自分の自慢をするのがうっとおしいですね」

「っるさいな。少し、静かにしたまえよ」

ルイーズは、コホンと咳払いをする。

「二十個も質問出来るのに空気という答えが出ていない?そんな訳はない。実際、尋ねていた」

ルイーズは、そう言うと箱の蓋を閉じる。

「でも君はこういうわけだ。『そんな質問聞いていない』と」

「あぁ。その通りだ。立証できるか!?」

「当然」

そう言うとルイーズは、エラリィの方を向く。

「エラリィ、君、最初からいたって言っていたね」

「えぇ」

「GHS貸しておくれ」

エラリィは、そう言うとルイーズに渡す。

「訓練生はね、もうGHSを返してもらえるのさ」

エラリィからGHSを受け取ると画面を開く。

「君も知っていると思うけどGHSには、録音機能がある。試しに今日のヒットナンバーを聞いてみるかい?」

ルイーズは、再生ボタンに指をかける。

「………………っ!!」

男は席を立つとそのまま食堂から逃げ出した。

それについて行くように取り巻きも何人か後を追った。

人影が見えなくなるとルイーズは、ポチリと再生ボタンを押す。

流れてきたのは聞き覚えのある曲だった。

「………これって、サンオイルスターのOP」

 「名曲だろ?」

 エラリィは、若干得意そうに胸を張る。

ルイーズは、愉快そうに笑いながら、エラリィにGHSを返す。

「化かしあいで私に勝とうなんて百年早いんだよ」

そう言いながらエラリィにGHSを返すとカウンターからベイカーと自分の分の食事を持ってくる。

ちなみに唐揚げ定食だ。

「いただきます」

そう言うと食べ始めた。

怪訝そうにみるベイカーにエラリィは、頷く。

エラリィは、最初から録音などしていなかったのだ。

ルイーズは、唐揚げを口に含みながらご飯を食べる。

「それにしても、なんか、ルールギリギリの反則技でしたね」

ルイーズは、飲み込むと再びもう一つの唐揚げに手を伸ばす。

「まあね。エラリィも言っていたけど、ルールを持ってる奴……ゲームマスターに嘘つかれると対処のしようがないからね」

「だから、あんなことをしたと?」

嘘を吐いた証明できないなら嘘を吐かせてしまえばいい。

その発想がアレだ。

ベイカーの言葉にルイーズは、汁物を飲みながら嫌そうな顔をする。

「なんだい、その言い方。不満?」

「いいえ。スカッとしました」

ルイーズは、少し驚いたように目を丸くしたあと満面の笑みを浮かべる。

「でしょ!」

できるだけその笑顔を視界に入れないようにしながらベイカーは、クイーンの方を向く。

「ところで、クイーン教官は、どうしてあんなに嫌がったんですか?せっかく3Kが揃った人でしたのに………」

クイーンは、その言葉聞くと本当に嫌そうな顔をする。

「ルイーズのことを馬鹿にしたんですよ!!『君は優しい人だ。あんな役立たずで出来損ないの女の世話してあげるなんて』」

思い出しながらイライラしてきたようで、どんっと机を叩く。

「私は世話をしてるわけでもないし、そもそもルイーズは、性格はクソですけど、出来損ないとか役立たずと言われるような人じゃないんです!!」

「君、褒める気あるの?というか、君だって、結構私のこと馬鹿にしてるよね?」

ルイーズにじとっとした目を向けられるとクイーンは、胸を張る。

「私はいいんです。私以外の人が馬鹿にするのは許せないんです!!」

「えぇー…………」

胸を張っていうクイーンにルイーズは、ドン引きしている。

「あ、ベイカー達は別ですよ」

「その線引きはなんなんだい?」

ルイーズの言葉にクイーンは、続ける。

「五個もないルイーズのいいところを知っている人間です」

「これで、例えばって聞いて答えられなかったら怒」

「例えば、友達想いとか」

ルイーズの文句にかぶせてクイーンは、そう返す。

「助けてくれてありがとうです、ルイーズ」

クイーンは、にっこりと笑ってお礼を言った。

ルイーズは、目を丸くした後ぼそっと小さく声に出す。

「…………(どういたしまして)

それを見たクイーンは、にまにまと笑いだした。

「あれー?もしかして照れてるんですかー?あれあれ?」

(うるさいなぁ)

「可愛いところあるじゃないですか〜ルイーズちゃん」

「っるさい!!照れて悪いか!!慣れてないんだよ!!お礼を言われるの!!」

顔を真っ赤にしながらクイーンの頬を引っ張るルイーズ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「仲良いね」

「そうだな」

ベイカーとエラリィは、そんなことを言いながら食事を進めた。

 







まあ、ルイーズのやってることはほぼほぼ反則です。
相手も反則、こっちも反則という酷い騒ぎですね………



では、また外伝16で( ´ ▽ ` )ノ
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