コナンの映画見てきました。
アムロボイスの安室さんがかっこよかったです。
「くっそ!!」
ベイカーは、悪態を付きながら走る。
制服を盗んだ男は一切足を緩めようとしない。
「あの野郎………!!」
ベイカーも後を追う。
その後ろにクイーン、エラリィと続く。
「絶対に捕まえるですよ、ベイカー」
クイーンは、厳しい顔のまま走り続ける。
「制服というのは極端な事を言えば身分証明書です。犯罪者の手に渡ればいくらでも悪用されてしまうんです」
例えば詐欺。
本物の制服に身を包まれた人間が行うのでは、説得力が違う。
「それより、誰一人としてあの盗人を捕まえようとしないのは何故だ?」
エラリィの言うように男は道を行く人を避けながら逃げている。
途中すれ違う人に羽交い締めにされたり止められたりという事が一切ない。
「多分、あいつはプラートの人間だよ」
「プラート?」
「この街の裏の人間。実質の支配者みたいなものだよ。賢い人間は近づかない」
「今回は、向こうから近づいてきたんだがな………とりあえず、ふん縛って警察だな」
「ちなみに言っておくと警察署長もプラートの一員だよ」
「クソ過ぎるだろこの街!!」
ベイカーの解説にエラリィは、突っ込む。
エラリィは、そう言いながら白衣のポケットを探る。
「あるのは、煙玉、爆竹、酸涙玉、ロケット花火か…………ロクなものがないな」
「逆に聞けど、何でそんなものポケットに入れてるの?」
子供のイタズラ道具のようなラインナップにベイカーは、頬を引きつらせながらたずねる。
「いや、そんなことより!!」
クイーンの指さす男が、商店街の人ごみの中に逃げ込んでいた。
「あんのやろー!!」
ベイカーは、更にスピードを上げ、男を見失わないよう商店街に飛び込む。
一行もそれに続く。
だが、人混みは壁となり、ベイカー達の行く手を阻む。
何とか見失わずに追うのが精一杯だ。
距離を詰めるどころではない。
「ふーむ」
頭を抱える一行の後ろから微妙に緊張のない声が響く。
「んじゃあ、私はこっちから行くよ」
ルイーズは、そう言うとトントンと準備運動代わりに軽くジャンプをする。
そして大きく膝を曲げるとそのまま商店街の日よけの布地の屋根まで飛び上がった。
「へ?」
「ほれほれ、マヌケな声を出してるんじゃあないよ。君たちは君たちで、ちゃんと男を追いたまえ」
ルイーズは、そう言うと別の屋根へと飛び移って行った。
「…………隊長」
「ツッコミはなしです。それにルイーズの言う事も一理あるんです」
クイーンは、そう言いながら足を進める。
「私達は下から。ルイーズは上から、両方から追っていれば先ず逃さないですよ」
「人混みで思うように進めないのは、僕達だけじゃない」
男も先ほどから人混みぶつかりながら進んでいる。
「よし!!」
ベイカーは、気合いを入れ直すと更に足を速めた。
ベイカーを先頭にクイーン達は進み、人混みを何とか避けながら男へと迫る。
ルイーズは、軽やかに屋根から屋根に飛び移りながら男を追う。
そんなベイカー達の頭上で風をきる音とボスンという布をクッションに使った音が交互に聞こえてくる。
「何だあれ!?」
ルイーズのその移動の仕方に道を行く人達が足を止める。
「っつ!!」
突然足を止めた通行人に思わずぶつかるベイカー。
「何すんだテメー……」
目つきの悪い男が拳を振りかぶる。
その瞬間、男の頭にりんごがぶつかり砕け散った。
「…………!?」
飛んできた方向を見ると、りんごを食べながら屋根から屋根へと飛び移るルイーズがいた。
「今のうちです!!」
男が突然の事に戸惑っているうちにベイカー達は男を避けて走り続ける。
「止まった人混みは、動きづらいな………」
エラリィは、そう悪態を吐く。
動いていた分まだ流れがあった。
だが、動かない人混みはさながら壁だ。
ルイーズの芸当に道行く人々は動きを止めて見てしまっている。
「まあ、ものは考えようかも。下手に動きを予想しなくていいからその分楽かもしれないし」
ベイカーは、そう言いながら更に男に迫る。
「埒があかんな………」
後ろに続くエラリィは、舌打ちをする。
「見失った時に下水路に逃げ込まれるのが一番マズいんだ。見失わないだけでも御の字かも」
「現状維持が限界か………」
エラリィは、大きくため息を吐く。
ベイカーは、頷きながら口を開く。
「ここを抜けたら大通りに出る。そしたら取り押さたいんですけど……」
躊躇いがちに提案するベイカーにクイーンは、頷く。
「いいんじゃないですか。ここの地の利はベイカーにあります。取り押えるタイミングは、任せるです」
「分かりました」
ベイカーは、男から目を離さずに追い続ける。
現状維持から少しずつ抜け出るように一歩また一歩と距離を詰めていく。
立ち止まる人の壁を動き出した。
せっかく詰めた距離を再び開けぬようにベイカーは、人の流れに飲まれるのように更に踏み込む。
そして、男が大通りに出た。
「今だ!!」
次の瞬間、エラリィが人混みからスルリと抜け出て男の右に現れる。
男は、エラリィをかわそうと身体を捻り方向を変える。
そこには、まるでそれを待っていたかのようにクイーンがいた。
クイーンは、男の手首を掴みそのまま地面に押さえつけた。
「確保です!!」
クイーンは、そう言うと男の手を背中に回したまま手錠をカチリとはめた。
「後は警察の仕事ですね」
クイーンは、そう言ってから眉をひそめる。
「………ない」
「え?」
「ベイカーの制服を持ってないです!!」
手を後ろで拘束されているのだ。
持つことはできない。普通ならその辺に転がっているはずなのに何もないのだ。
「何処に隠した!!」
ベイカーが詰め寄るが男は馬鹿にしたように笑っている。
「しらねーよ、バーカ!!」
「こいつ!!」
ベイカーは、男の胸倉を掴みあげる。
そんなベイカーをクイーンが手で制止する。
「とりあえず、ルイーズに任せるのが一番ですね」
クイーンの言葉にベイカーは、大きくため息を吐く。
「まあ、
ベイカーの言葉にクイーンは、頷いてから友人の名前を告げる。
「ルイーズ出番ですよ」
しかし、何の反応もない。
「あれ?」
不思議に思って振り返るが、後ろにも屋根にも人混みの中にもルイーズは、いなかった。
「あれぇぇぇぇえ!?」
◇◇◇◇◇
「はーい、ストップ」
薄暗い路地裏でルイーズは、屋根から走る人間の前に飛び降りた。
突然の事に思わず足を止める。
「やっほー。制服返してもらいにきたよ」
ルイーズは、真っ直ぐに見据える。
「大方、あっちは囮。本命は君だろう?あの盗人、ぶつかるフリをしてこっそり君にそれを託したってところかな?」
目の前の人間は、全身をローブで包み男か女かも判別がつかない。
ついでに言うならフードで顔の半分以上も覆われているので顔の判別もつかない。
目の前の人間は、仮面を被り更に顔を隠す。
「さてと、返してもらっていいかい?それ、一応、彼の晴れ着なんだよ」
【軍服が晴れ着か、随分おめでたい奴だ】
ボイスチェンジャーのかかったその声にルイーズは、眉をひそめる。
「たかだか盗人風情が随分徹底しているじゃあないか」
【準備をするのは当たり前だ。憲兵からものを盗むんだぞ】
「いやいや。盗むんじゃあないよ」
ルイーズは、指を突きつける。
たれ目に力を込めて睨みつける。
「もう一度言ってあげるよ。返したまえ」
【断ると言ったら?】
「何言ってんの?」
ルイーズは、ポケットから真っ黒な手袋を取り出す。
「拒否権なんてない」
きゅっと、拳に手袋をはめながら更に言葉を続ける。
「最初からこれは、命令だ」
仮面の人間はそれを聞いた瞬間、ベイカーの制服を放り投げ短剣を振りかざして襲ってきた。
振り抜かれる右の一刀目をルイーズは、一歩下がってかわす。
【舐めるな】
仮面の人間は、更に左手にもう一つの短剣を持ち、ルイーズに斬りつけた。
「んなこったろうと思ったよ」
ルイーズは、左手で弾くと右の拳を固め仮面の人間の顔面に向かって放った。
仮面の人間は、短剣で顔を防ぐ。
そこからルイーズは、目をそらさず右の拳をピタリと止める。
そして、先ほど防御に使った左の拳を固め、仮面の人間の土手っ腹に打ち込んだ。
【……………っ!!】
容赦のない一撃に思わず息が詰まる。
仮面の人間は、歯を食いしばって堪える。
【剛招来!!】
赤い闘気が現れ、ルイーズを弾き飛ばした。
ルイーズは、地面を転がりながら
立ち上がる。
「君、それって………」
【軍属の人間なら知っていて当然か………】
そう言って懐からあるモノを取り出す。
「リリアルオーブ………!!」
【そういうことだ!!】
向かってくる仮面の人間。
ルイーズは、思わず舌打ちをする。
「ったく、切り裂きジャックといい、君といい、どうして私の相手は、リリアルオーブ持ちなんだい!!」
ルイーズは、拳を短剣に向かって放った。
【この状態なら貴様の手袋ぐらい切り裂くぞ】
剛招来で力の上がっている短剣。
幾ら鉄と同等の強度を持っているとしてもただでは済まないと言いたいのだろう。
「そう言うのは」
ルイーズは、ぐっと拳を握りしめる。
「やってから言いたまえ!!」
ルイーズは、そう言って拳を短剣に思い切りぶつけた。
「っうっ!!」
【チィッ!】
思わずしびれる拳にルイーズは、唇を噛み締めて堪える。
仮面の人間は、弾かれた短剣を忌々しそうに睨む。
そんなルイーズの手袋に傷は一切付いていなかった。
【お前………なんだ、その手袋は……】
「教えな〜い」
ルイーズは、そう言うと一気に仮面の人間との距離を詰める。
「だぁっら!!」
放たれる拳を短剣で受ける。
受け止めた後、更に一歩下がり態勢を整え、技を放とうとする。
だが、ルイーズはそれを許さない。
下がった仮面の人間との距離を更に詰めて拳を握りしめ腹部に向かって叩き込む。
【っうぐ!!】
ルイーズの拳は、仮面の人間の腹部に鈍い衝撃を走らせ吹き飛ばした。
吹っ飛んだ仮面の人間は、ガラクタ置き場に突っ込んだ。
「ふむ………そこら辺の奴ならリリアルオーブ如きじゃ負けないね………」
ガラクタに沈む仮面の人間を見ながらルイーズは、大きくため息を吐く。
「さてと………とりあえず警察かな……相手してくれるかわからないけど……」
そう言ってルイーズは、眉を潜める。
「軍服がない………?」
短剣を両手に持った時地面に落ちたはずの軍服がないのだ。
その瞬間ルイーズの眼前に軍服が広がった。
「ちっ!!」
空を漂う軍服のせいでルイーズの視界が防がれてしまう。
その視覚から軍服を切り裂き白刃が現れた。
対応出来ないルイーズに白刃が迫る。
軍服で目潰しをし、その隙に相手に刃を突き立てるつもりなのだろう。
「よく考えている」
でもね、と言葉を続ける。
「私の方がもっと考えているんだよ!!」
ルイーズは、白刃近くの軍服を左手掴む。軍服の下には確かに人間の手の感触が存在した。
それを確認したルイーズは、そのまま自分の方に引っ張り、更に白刃の少し上、顔のあるであろう位置に思い切り拳を叩き込んだ。
パキンという音ともに服の上から仮面を打ち砕いた。
舌打ちとともに仮面の人間は、ルイーズの手を振り払い大きく距離をとった。
砕かれた仮面を必死に抑えながらルイーズを睨む。
【貴様………!】
「何被害者面してるんだい?」
ルイーズは、そう言いながら手錠を取り出す。
「さて、観念してもらうよ」
【いや、仕切り直しとさせてもらう】
仮面の人間は、その言葉を最後に懐から閃光弾を放り投げた。
あたり一面を強烈な光が覆う。
慌てて目をかばったルイーズがゆっくりと目を開けるとそこには誰もいなかった。
「…………やられた」
手元にあるのはボロボロになったベイカーの軍服だけだ。
「うーん………なんて説明しよう」
◇◇◇◇
「なんかボロボロになっちゃだんだよね」
「説明ど下手くそじゃないですか」
屯所に戻って合流したルイーズは、手元にあるベイカーのボロボロの軍服を渡した。
「冗談だよ。ちゃんと説明するよ」
ルイーズは、そう言って起こった事を全て説明した。
話を聞いていたクイーンは、少し考えてから口を開く。
「リリアルオーブを持った泥棒ですか……切り裂きジャックじゃないんですか?」
「いや、あいつとは背格好も得物も全部違った」
ルイーズは、そう言いながら軍帽をくるくると回す。
「それに私自身無傷だしね」
「わぁ………なんて説得力なんでしょう………」
クイーンは、げんなりとしながらそう言うとベイカーの方を向く。
「ベイカー、申し訳ないんですけど………しばらく訓練生の制服でお願いしてもいいですか?」
「俺は別にいいですよ。元々、そんなに気にしてないですし」
ルイーズは、軍帽をくるくると回しながらそんなベイカーに視線を向ける。
「ベイカー、少し腰を落としたまえ」
「へ?」
「いいからいいから」
怪訝そうな顔をしながらベイカーが、しゃがむとルイーズと目があった。
元々身長の低いルイーズは、そうでもしないと目線が合わないのだ。
「あの教」
「ほい」
ルイーズは、全てを言い切る前にベイカーに帽子を被せた。
「訓練生とは少しぐらい差をつけなきゃね?」
ウィンクをしながらルイーズにベイカーは、少し戸惑いながら頭にある軍帽を確認する。
ルイーズが調整したのだろう。サイズは、ベイカーの頭にぴったりだった。
「いいんですか?」
「いいよ」
「でも」
「いいってことさ。私が取り返せなかったんだもの。それなりの責任を私がするのが筋ってものだろう?」
まだ何か言いたげなベイカーの肩をクイーンがぽんと叩く。
「こうなったらルイーズは、聞かないんです。ありがたく受け取ってあげてくださいです」
クイーンの言葉にベイカーは、観念したように頷く。
「分かりました………ありがとうございます」
「どういたしまして」
ルイーズは、いつものちょっとだけ胡散臭い笑顔でそう言うと椅子に座らされている泥棒に目を向ける。
「さて、本題といこうか」
映画の待ち時間のためよったショッピングモールにいた親子。
娘「ドキンちゃんはバイキンマンが好きなんだよね」
母「違う」
お母さん、すっごい食い気味でガチトーンの返しでした。
うん、お母さん、貴女若い頃カップリングでもめたタイプでしょ?
では、また外伝23で( ̄▽ ̄)