申し訳ありません!!投稿の順番を間違えました!
どうしようか迷いましたが載せ直します!!
てなわけで、どうぞ!
「…………ねぇ、いつまでここにいなきゃいけないの?」
「とりあえず、明日までだろ。後、このセリフはもう十回以上言ってるからな」
エラリィは、読んでいた本をパタンと閉じる。
「教官達は、警察署で資料見てるんだよね?」
「だろうな」
「俺たちは………やっぱり、本部かな?」
「まあ、そうだろうな。でなきゃ分担した意味がない」
そう答えながらもエラリィの顔は晴れない。
ベイカーも似たようなものだ。
別に何一つ悪いことはしていないのだが、目立ち過ぎている。
何を言われるか分かったものではない。
「まあ、いいだろ。憲兵が事件の資料を探しに行くんだ。何もおかしなところはない」
エラリィは、再び本に視線を戻す。
そんなエラリィをじぃっと見るベイカー。
「なんだ?」
「そう、憲兵なら問題ないよね?でも、お前は技術者でしょ?なんで、お前にまで指示が出たの?」
ベイカーの質問にエラリィは再び本を閉じる。
「お前は、僕だけ仲間外れにしたいのか?」
「?別にお前の仕事をするのが仲間外れってわけじゃないでしょ?」
「一人で作業する寂しさをお前は知らないな」
「いや、なんで、うちの隊に来たの?」
「…………………」
エラリィの言葉にベイカーは、ど直球の正論をぶつける。
「………ルイーズ教官に誘われたからな」
時間をかけてようやく見つけた答えをベイカーに伝える。
ベイカーは、目を丸くした後、少し不満そうな顔をする。
「仲いいじゃん」
それを聞いたエラリィは、お返しとばかりに口を開く。
「なんだ、僕とルイーズ教官の仲がいいと不満か?」
「別に」
「意地を張るな。僕は、ルイーズ教官と呼ぶが、あの人はいつまでもお前の教官だ」
「あのね」
ニヤニヤしているエラリィにベイカーは、うんざりしたような顔をする。
「不満なのは、お前と教官の仲がいいことじゃない」
そう言ってエラリィをジロリと睨みつける。
「不満なのは、お前と隊長の仲が悪いことだよ」
ベイカーの言葉にエラリィは、ぐっと押し黙った。
「いくら鈍い俺でも気付くよ。お前、一度も隊長と会話してないでしょ」
「……そうか?結構話していたと思うが……」
「俺とね」
ベイカーは、ピシャリと言い放つ。
「俺に会話しながらか参加していたよね?隊長と話さず」
そう、エラリィはベイカー、あるいはルイーズ相手にしか受け答えしていない。
「何があったの?」
「………お前には、関係のない話だ」
「隊長と隊員の話だよ。そんな言葉、まかり通るもんか」
「うるさいっ!!関係ないって言ってるだろ!!」
エラリィが大声を張り上げる。
それにベイカーは、動じずに口を開く。
「珍しいね、サンオイルスター以外でそこまで感情的になるの」
淡々というベイカーにエラリィは、眼鏡を整え、落ち着ける。
「誰にだって触れてほしくないことの一つや二つあるんだよ」
「そう」
ベイカーは、そう言った後何てことなさそうに告げる。
「でも、教官は触れてくると思うよ」
「!?」
「そりゃあ、そうでしょ。あの人、分かりづらいけど友達想いだよ。隊長のことなら力になるさ」
「……………」
「教官にも怒鳴りつける?」
「……………いや、やめておく」
エラリィは、どっと疲れたように椅子に腰掛ける。
「そっか、そうだよな………」
ポツリと呟く。
それから気まずそうにベイカーを見る。
「すまない。怒鳴りつけて」
「……………ま、謝ったなら許してあげるよ」
ベイカーは、悪戯っぽく笑う。
そんなことをしているとコンコンと、扉をノックする音がする。
「どうぞ」
ベイカーが答えると扉を開け、一人の男が入ってきた。
その顔を見た瞬間、ベイカーは目を丸くする。
「署長………!」
そこには、クイーンとルイーズのタッグでやり込められたドヴォールの警察署長がいた。
「ど、どうしたんですか?」
「今日は礼を言いに来た」
そう言うと署長は、深々と頭をさげる。
「ありがとう。仲間を守ってくれて」
「仲間…………?」
ベイカーは、首をかしげる。
あの時助けた男は、どうにも警察官に見えなかった。
「そっちじゃないだろ」
エラリィが耳打ちをする。
「あ!」
ポンと手を叩く。
「プ………むぐぐ」
「すいません。気の利かない馬鹿で」
エラリィは、ベイカーが言い切る前に口を押さえた。
もごもごとベイカーは、不満げだが、エラリィは、無視した。
「それにしても、わざわざお礼に来るなんて驚きました」
エラリィの言葉に署長は、静かに頷く。
「礼も言うさ、仲間守ってくれたのだからな」
署長は、そう言いながら紙を一枚渡す。
ベイカーは、渡された紙を広げる。
『実は、あまり公にはしていないが、この街で起こる切り裂きジャック事件の被害者は、全員プラートの一員だ』
その文字を見た瞬間、ベイカーとエラリィは、眉をひそめる。
エラリィは、懐から手帳を取り出し、ペンを走らせる。
「へぇ、仲間想いなんですね」
『全員?ほとんどではなく?』
喋りながら紙に質問を書き込む。
「まあ、上に立つものなら当然だな」
署長は、そう言いながら頷く。
エラリィの質問に迷うことなく署長は、頷く。
署長は、更に筆を進める。
『何か切り裂きジャックの恨みを買うようなことをしてしまったのだろうが、正直分からない』
「流石ですね」
今度は ベイカーが相槌を打ちながらメモ帳に書き込む。
『なにか心当たりはないんですか?』
「まあな」
『心当たりが多すぎる』
ベイカーの頬が引きつる。
元々、褒められた組織ではない。
叩けば埃が出るなんて言うレベルではない。
叩けば死体が出るレベルだ。
「ところで、教官達に会いましたか?」
『そのこと、ルイーズ教官達には伝えたんですか?』
「いや」
『いや。後で伝える』
「そっか、すれ違っちゃいましたね。警察署に行ったんですよ」
「そうか………わかった。挨拶したいし、そろそろ戻る」
署長は、そう言うと立ち上がるとそのまま病室を後にした。
「………どう思う?」
ベイカーが声を潜めて尋ねるとエラリィは、紙を見ながら考える。
「考えられるのは二つ」
そう言って指を一本立てる。
「一つ、プラートだから狙われた」
そしてもう一つ立てる。
「二つ、プラートの何かが切り裂きジャックに狙われる理由だった」
エラリィは、そう言いながら二番目に立てた指を動かす。
「僕としてはこれが一番、アリだと思っている」
「なんで?」
「プラートは、ここにしかいないだろ?」
「まあね」
「一つ目の理由だと、これの説明がつかない」
「……………そっか」
ベイカーは、そう言いながらも考え込む。
「どうした?」
「じゃあ、プラートは何をやってしまったんだろ?」
「それは、分からないと言っていたな」
ベイカーは、ペンを持つ。
「プラートがやっていそうなことといえば……」
ベイカーは、片っ端から記入していく。メモ帳に書き出して行く。
その犯罪と呼ぶべき所業のオンパレードにエラリィの頬が引きつる。
「………ほんと、ロクでもないな」
ベイカーは、肩をすくめる。
「殺人?いや、切り裂きジャックが生きているだから、これない。
窃盗?切り裂きジャック相手にそんな事は無理。
地上げは、一般人が出来ない。
借金の取り立ては、子どもが出来ない」
ベイカーは、そうブツブツ呟きながら一つ一つ消していく。
「後は、盗聴………」
そこでピタリとベイカーのペンが止まる。
「ベイカー?」
「………例えばだけど、何かを聞いてしまったとしたら?」
ベイカーは、ペンで盗聴の文字を叩く。
「あるいは、そのつもりがなくとも何かを知ってしまったら?」
エラリィは、ハッとする。
「プラートがやっていて、一般人で可能性があるとすれば、ここじゃない?」
そんなエラリにベイカーは、そう説明した。
わざとにしろ偶然にしろ切り裂きジャックの秘密を知ってしまった。
それなら、男も女も子ども大人も軍人も金持ちも貧乏人も全て共通点として持ち得る。
「つまり、口封じだと?」
「と、俺は思うんだけど………どうかな?」
尋ねるベイカーにエラリィは、ベイカーの書きこんだメモ帳を見ながらふむと頷く。
「ありだと思う」
「よっしゃあ!!じゃあ、それを念頭に置きながら、本部に行こうよ!!」
「待て、お前、まだ怪我人だろ」
「えぇー………もう治ったよ」
何処かで聞いたような言葉を吐くベイカーにエラリィは、こめかみが引きつる。
それから、ハァとため息を吐く。
「ほんと、そっくりだよ、お前」
「?」
では、また外伝29で