教官   作:takoyaki

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外伝31です。


今更ですが、シュタインズゲートを全ルートクリアしました。


凄く面白くて、どうしてもっと早くやらなかったんだろうと若干後悔しました。


てなわけで、どうぞ


「私がまともじゃあない!!」

「エラリィ!!」

ベイカーの声が轟く。

肩を貸そうとしたところ、エラリィは、ベイカーを突き飛ばしクイーンの間に割り込んだのだ。

【ちぃ、外したか………】

仮面の切り裂きジャックは、ボイスチェンジャーのかかった声で舌打ちをする。

突然目の前で起こったことにクイーンは、一瞬硬直してしまった。

その隙に切り裂きジャックの凶刃が襲いかかる。

(しまっ…………)

防ぐことも間に合わない。

「させるか!!」

ルイーズは、一人目の切り裂きジャックの刀を殴り、クイーンを押し飛ばす。

思わず尻餅をつくクイーン。

「ルイーズ………」

「隊長!!指示の変更は?!」

凛と響き渡る声で叩きつけるように言われたクイーンは、深呼吸をして両頬をパンと叩く。

「ルイーズは、エラリィの応急処置を。ベイカーは、処置が済み次第、エラリィを病院に運んでください」

「「了解」」

【させると思うか?】

仮面の切り裂きジャックは、エラリィの胸から引き抜いたレイピアでルイーズに襲いかかる。

そのレイピアをベイカーが十手で受け止める。

「するに決まってるだろ!!」

ベイカーは、懐から拳銃を取り出し打ち込む。

「教官!!一分で病院まで運べるようにしてください!!」

仮面の切り裂きジャックは、身体をそらしかわす。

「それ以上は、瀕死が増えます!!」

ルイーズは、手袋を外ながら懐から治療用の黒匣(ジン)を取りだしスイッチを入れる。

「わーってるよ!!今やってるから、一分必ず稼ぎたまえ!!」

白い手袋をはめ直しながらルイーズは、そう返す。

スイッチを入れた黒匣(ジン)は、ようやく起動した。

(幸い、心臓は外れてるけど…………)

ルイーズは、ハンカチで血を止めながら、起動させた黒匣(ジン)を近づけ、応急処置を進める。

ルイーズは、時計を見る。

秒針は、30秒を経過している。

(せめて、この出血を止めないことには動かせない…………)

黒匣(ジン)の出力は、最大だ。

これ以上精度を上げようと思えば、ルイーズ自身の止血に関わる技量にかかってくる。

溢れる血にルイーズは、歯をくいしばる。

黒い手袋では、出血の度合いが分からないので、白い手袋に変えたのだが、あっという間に赤くなった。

元々治療は、専門外だが、それでも応急処置は、学んできている。

祈るようにルイーズは、傷を抑える。

「教官!!まだですか!?」

ベイカーの足止めも限界が見え始めた。

「後、十秒踏ん張りたまえ!!」

仮面の切り裂きジャックのレイピアがベイカーに伸びる。

ベイカーは、床すれすれまで屈んでかわすと、そのまま両足にタックルをかけた。

仮面の切り裂きジャックは、そのまま態勢を崩し、背中を床に叩きつけた。

床に打ち倒すと、ベイカーは拳銃を仮面の切り裂きジャックに合わせる。

【剛招来!!】

仮面の切り裂きジャックから、闘気が放たれ、今度はベイカーが吹き飛んだ。

「………マジかよ、こいつも……」

【あぁ。リリアルオーブ持ちだ】

仮面の切り裂きジャックの懐が煌々と輝く。

ベイカーは、吹き飛んだ身体を起こそうとする。

だが、仮面の切り裂きジャックの無情なレイピアが迫る。

その顔面に真っ赤に染まった拳が炸裂する。

 

 

 

 

 

「よっしゃあ!!間に合った!!」

 

 

 

 

 

ルイーズの真っ赤に染まった拳は、仮面の切り裂きジャックを殴り飛ばした。

ギラつくタレ目は、埃を立てながら倒れている仮面の切り裂きジャックに向けられていた。

「教官……!!」

ルイーズは、血だらけ手袋を外して床に叩きつける。

「完全に血は止まらなかったけど、やばい出血は、止めてある」

ルイーズは、そう言いながら真っ黒い手袋をはめる。

「早く行きたまえ」

「はい!!」

ベイカーは、そう返事をするとエラリィを担いで走り出した。

その瞬間、仮面の切り裂きジャックのレイピアが埃を打ち払いルイーズに襲いかかった。

ルイーズは、その刺突を真っ黒な手のひらで受け止める。

「なるほど、ある程度予想はしていたけど………」

ルイーズは、もう片方の拳固める。

「彼よりも私の方が優先度が高いみたいだねぇ!!」

そのまま拳を放った。

仮面の切り裂きジャックは、一歩下がってかわす。

そして、下がった勢いを左足に溜め、そのままルイーズに向かって突きを繰り出した。

ルイーズは、身体をそらしてかわすと伸びきった腕を抱え、一本背負いの要領で投げ飛ばした。

投げ飛ばされた仮面の切り裂きジャックは、最初の切り裂きジャックを巻き込んで転がっていく。

ルイーズは、そのままクイーンの隣に立つ。

「さて、どうするんだい?」

「決まってるです」

エメラルドの色の瞳で目の前の二人を睨みつける。

「絶対に捕まえてやるです」

「了解」

「因みにルイーズは、その素顔をさらしている切り裂きジャックをお願いするです」

「君は?」

「私は、そこの仮面をつけたクソ野郎です」

刀を持つ手に力が込められる。

 エラリィのことで激昂しているのは、明らかだ。

ルイーズは、肩をすくめる。

「珍しいね、君が公私混同だなんて」

「そうですか?」

「どちらかというと、君は私のそう言う行動を諌めると思っていたんだけど?」

「そんなことないですよ」

クイーンに向かってレイピアが襲いかかる。

刀がルイーズに向かって振り下ろされる。

「ルイーズが、負けず嫌いなら」

クイーンは、レイピアを受け止める。

「私は、強欲なんです」

ルイーズは、拳を交差させて刀を受け止める。

「は?」

「エラリィもルイーズもベイカーもみんなみんな私のものです。だから──」

クイーンは、ギロリと仮面の切り裂きジャックを睨みつけ、一気に押し飛ばす。

「私のものを傷付けた連中は、残らず敵です!!」

押し飛ばされた仮面の切り裂きジャックを追ってクイーンは、ルイーズの前から消えた。

残った切り裂きジャックは、苦笑いをする。

「あの隊長、大分まともじゃないな」

「どうってことないよ。なにせ──」

ルイーズは、拳を握りしめ拳打を放つ。

「私がまともじゃあない!!」

「そいつは失礼!!」

切り裂きジャックは、刀で弾くと更に追撃を仕掛ける。

ルイーズは、状態をそらしてかわした。

そのまま切り裂きジャックの後ろに回り込み拳を放つ。

切り裂きジャックは、刀を背中に持って行き受け止める。

「………マジかい……前回そんな動きしなかっただろう」

「なんで同じことをしなければならないんだ?」

ルイーズは、慌てて拳を引こうとする。

だが、切り裂きジャックの方が早く、そして、リーチが長い。

ルイーズの手首を掴み、扉に向かって投げ飛ばした。

投げられたルイーズは、両開きの扉を壊して部屋、大広間の中に放り込まれた。

丁寧に食器とテーブルクロスが並べられた机の上にルイーズは、背中から落ちる。

「─────ッカハ」

ルイーズの肺にある空気が、打ち付けた背中から押し出される。

「おいおいおいこれぐらいでくたばるなよ?」

仰向けのままのルイーズに向かって刀を担いで飛びかかってきた。

ルイーズは、慌ててテーブルから転げ落ちてかわす。

そして無理やり立ち上がると切り裂きジャックに向かってテーブルクロスを広げながら投げつけ、視界を奪った。

刀でテーブルクロスを切り伏せれば、その時に使った刀が切り裂きジャックの居場所を伝える。

普通ならそうなる。

だが、忘れてはならない。

 切り裂きジャックには、リリアルオーブを持っているのだ。

「獅子戦哮!!」

テーブルクロスを闘気の獅子が、喰いちぎってルイーズに襲いかかった。

「くっ!!」

獅子は、椅子を巻き込んでルイーズを壁に叩きつけた。

追撃を仕掛ける切り裂きジャック。

ルイーズは、立ち上がりながらカウンターの要領で向かってくる切り裂きジャックを椅子で殴りつけた。

切り裂きジャックは、後ろに下がって耐える。

「爆砕陣!」

そして、そのまま刀を地面に叩きつけた。

爆発が起こり、ルイーズを壁に打ち付ける。

「……っとに…….前より強くなりやがって……」

ルイーズは、痛みに顔を歪めながら、目の前の切り裂きジャックを睨む。

「………一つ聞かせたまえ、切り裂きジャック」

「なんだ?命乞いか?」

ルイーズは、フンと鼻でわらうと更に続ける。

「何故、君はこんなことをする?何故、こんな殺し屋まがいのことをする?それだけの実力があれば人々のために刀を振るうことだって出来るだろう?」

切り裂きジャックは、刀で砂埃を払う。

「…………人は誰でも願わずにはいられないと思う」

「は?」

「『楽して金が欲しい』それか、『好きなことをして金が欲しい』のどちらかを」

黙るルイーズにかかわらず切り裂きジャックは、続ける。

「楽して金が欲しいと思わないこともないわけじゃない。だが、それじゃあ刺激が足りない。だから、オレは、好きな事をして金を稼ぎたいと思う」

「………………」

「何故、こんな事をしているかって質問だったな?簡単だ」

切り裂きジャックは、どろりとドブ川のような瞳をギラつかせる。

「オレは、人殺しが好きだ。贅沢言うなら肌がヒリヒリするようなそんな戦いの中で殺したい」

ルイーズの頬が引きつる。

「好きな事をして金を稼ぎたい。

だから、刀をとった。

だから、切り裂きジャックに入った。

だから、殺した」

狂気が溢れ出る笑顔で切り裂きジャックは告げる。

「だから、オレは人殺し(これ)を続けているんだ」

ルイーズは、拳を握り締める。

それを見た切り裂きジャックは、クックックと笑う。

「何を期待しているんだ、お前は?信念か?悲しい過去か?」

「………つまり、君は趣味で人を殺しているってことかい?」

「違うなぁ。オレは、好きなことを仕事にした。そして、仕事を楽しんでいる」

刀を構える。

「つまりは、そういうことだ」

ルイーズは、顔を歪めるとぺっと唾を吐く。

「ただの時間稼ぎのつもりで聞いたんだけど………」

ルイーズは、懐に手を入れる。

「想像以上に胸糞悪いね」

そう言って取り出したのはガラス玉のようなものが嵌められ、液晶に『5:00』と表示された機械だ。

「何だそれは?」

「リリアルオーブの試作品。スイッチを入れてから5分間は、リリアルオーブ所持時と同じように戦える」

ルイーズは、ギロリと睨みつける。

「そんなもので俺と渡り合えると?」

「そんなものに負けないようにね?」

ルイーズは、スイッチに指をかける。

「へぇ………」

切り裂きジャックが刀を構える。

 

 

 

 

 

「覚悟したまえ、切り裂きジャック。この5分間は特別だ」

 

 

 

カチリとスイッチを押す音が響き、カウントダウンが始まった。








元ネタはガラケーで返信、いえ、変身するあのヒーローです。



では、また外伝32で( ´ ▽ ` )ノ
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