32は、好きな数字です。
理由はチコリータの最終進化のレベルだからです。
まあ、周りで育てていたの私だけでしたけど
てなわけで、どうぞ
『切り裂きジャックは、一人じゃあない!!』
ルイーズの言葉をベイカーは、思い返していた。
そう、多種多様な刃物で殺人を行なっているのにあの切り裂きジャックは、頑なに刀で戦っていた。
という事は、刀以外を使う切り裂きジャックがいるということだ。
それはつまり、
「二人だけとは限らないってことだよね」
ベイカーは、背負いながら振り返ると後ろには、斧を担いだ切り裂きジャックがいた。
【蒼破刃!!】
蒼い斬撃がベイカーめがけて飛んでくる。
「うおっ!!」
慌てて身体をそらしてかわす。
そして、その隙にエラリィの白衣のポケットから煙玉を取り出し投げつけた。
あたりは煙に包まれる。
(逃げ切れ……………いや!!)
足音は、途切れることなく向かってきている。
ベイカーは、歯を食い縛る。
(冗談じゃないぞ!!ただでさえ、切り裂きジャック相手なんかに勝てないのに…………)
今のベイカーの背中にはエラリィがいる。
(こんなの逃げるのだって厳しいぞ!!)
ベイカーは、夜の街を走り続けた。
◇◇◇◇
「だぁらっ!!」
ルイーズの拳が切り裂きジャックに向かって放たれる。
「おおおお!!」
切り裂きジャックの刀がルイーズの拳とぶつかる。
がきんと鉄をぶつけた様な音が鳴り響き、二人は弾かれた。
「ッチ!!」
切り裂きジャックは、刀を持ち替えルイーズに向かって振り下ろす。
ルイーズは、飛び上がってテーブルの上に飛び乗りながら、かわした。
「ダッラァ!」
身体をひねりながら、ルイーズは、拳を打ち下ろす。
それを切り裂きジャックは、身体をひねって回転してかわす。
そして、遠心力を乗せ、横薙ぎに刀を振るう。
ルイーズは、空いている手でそれを防ぐ。
だが、斬撃は防げても勢いは、殺せなかった。
切り裂きジャックの力をもろに受けルイーズは、隣のテーブルに吹き飛ばされた。
テーブルクロスが舞い、切り裂きジャックの視界を隠す。
「そんなものか!!ルイーズ・ヴォルマーノ!!」
「そう思うかい?」
テーブルクロスが落ちるとルイーズが、テーブルを両手で持ち上げて現れた。
「は?」
「お返しだぁ!!」
そのテーブルは、まっすぐ切り裂きジャックに向かって放たれた。
避けるには幅があり、厳しい。
切るには勢いがあり過ぎる。
「んにゃろ」
受け止めるしかない。
だが、受け止めるには重力があり過ぎる。
今度は、切り裂きジャックが大きく吹き飛ばされた。
ちらりと試作品を見る。
(残り、三分か…………)
テーブルは、切り刻まれ、額から血を流す切り裂きジャックが現れた。
「上等じゃあないか!!」
ルイーズは、駆け出した。
◇◇◇◇
【私には、お前を殺す理由はない。だから、刀を納めてくれないか?】
クイーンにレイピアを構えながらそういう仮面の切り裂きジャックは、そう言った。
クイーンは、ぺっと唾を地面に吐き捨てる。
「嘘は感心しないですよ。お前は、あっちの切り裂きジャックと戦っていた私の背中を貫こうとした」
ルイーズは、切っ先を仮面の切り裂きジャックに向ける。
「そんな事しといて、殺すつもりはないとか、無理があるですよ」
【ふっ】
仮面の下で切り裂きジャックは、笑った。
【意外に冷静だな。もう少し、頭に血が上っていると思ったんだが】
「別に血が上っていようといまいと関係ないですよ」
全く感情のこもっていない声を上げたクイーンは、仮面の切り裂きジャックの目の前から姿を消した。
【!?】
次に現れたのは頭上だった。
クイーンは、前のめりになりながら、体重を乗せて刀を振り下ろした。
切り裂きジャックは、慌てて後ろに下がってかわす。
「簡単なことです」
クイーンの脳裏に胸を貫かれたエラリィの姿がよぎる。
「お前にどれだけ、私と戦わない理由があろうとも………」
かわされた刀はそのままに、クイーンは、腰にある鞘に手をのばす。
「私はそれを全て無視して倒すと決めているんですから!!」
クイーンは、刀の鞘で殴りつけた。
【ぐっ!】
仮面の切り裂きジャックは、頭に響く衝撃を堪えながら舌打ちをする。
そして、レイピアをクイーンに向かって放つ。
クイーンは、首を傾けてかわす。
【やると思ったぞ!!】
仮面の切り裂きジャックは、距離を詰めて肘鉄を食らわせる。
思わずクイーンは、息を詰まらせ後ろに下がる。
【距離をとったな!】
仮面の切り裂きジャックは、無数の突きを放つ。
「だからどうしたっていうんですか!!」
クイーンは、突きを受けながら一歩踏み込み、刀を振るった。
【ッチィ!!】
仮面の切り裂きジャックは、予想外の攻撃に舌打ちをして、身体をそらしてかわす。
だが、それだけでは足りなかった。
「ぬるい!!」
クイーンは、外した攻撃など意にも介さず、回し蹴りを放った。
高身長のクイーンの蹴りをかわせるはずもなく、仮面の切り裂きジャックは、階段の欄干に叩きつけられた。
【────っやってくれたな………】
仮面の切り裂きジャックは、息を詰まらせた後レイピアを構え直す。
【だがな、少し足りない】
次の瞬間クイーンの口から血が溢れた。
「…………は?」
【脇腹を見るといい】
言われるがまま視線を向けるとクイーンの腹が真っ赤に染まっていた。
「いつ………の間に?」
【貴様が、攻撃を外した時だ】
「ッカハ」
クイーンは、もう一度血を吐き出す。
歯を血で濡らしながらクイーンは、悔しそうに睨みつける。
【そう睨むな。仕方ないだろ、何せ】
仮面の下から発せられる声は憐れむでもなく、馬鹿にするものでもなく、ただ静かに真実を告げる。
【踏んだ場数が違う】
レイピアは、真っ直ぐクイーンに向かって放たれた。
◇◇◇◇◇
「あぁーー!!もう、どうすりゃあいいんだーー!!」
ベイカーは、嘆きながら必死に走っていた。
ドヴォールならともかくクイーンの実家近くなど、ベイカーでは、よくわからない。
おまけにエラリィを背負って走っているため、いつも通りの速さで走ろうとするといつも以上に体力を使う。
【そいつを置いていけば、お前を追うことはないぞ】
「そりゃあいいね、夢物語としては百点だ」
斧の切り裂きジャックの言葉にベイカーは、吐き捨てるように返す。
幸い、まだ、距離は詰められていない。
だが、それも時間の問題だ。
意識を失った人間を背負うというのはその人間の体重がもろにかかる。
しんどいなどというレベルではない。
【夢物語か?その荷物を置けば全ては済む話だろ?】
「ナメんなよ、切り裂きジャック」
ベイカーは、更にスピードを上げる。
「血だらけの友人を荷物なんて言うほど、俺はクズじゃない!!」
荒くなった呼吸のせいで足りなくなっている酸素を頭に回す。
(エラリィを病院に連れて行く、そのためには………)
ベイカーの頭に選択肢がいくつか浮かぶ。
(戦う?ダメだ。ヤバイ出血は止めてあるとはいえ、事は一刻を争う。というか、そもそも勝てない。
このまま病院に行く?ダメだいや、このまま行けばいずれ追いつかれる。
捲く?無理だ。俺はこの辺の地理に詳しくない。目的地に行くので精一杯だ)
ベイカーは、奥歯を噛み締めながら考える。
(戦うのもダメ、逃げるのもダメ、捲くのは、無理………となれば)
ルイーズの元で何度も学んだ。
というより、何度とやられた手がある。
(足止めしかない………!!)
そこで、ベイカーはルイーズにやられた足止めを思い出す。
(教官のやった足止めは、確か………ワイヤートラップ、油、まきびし………)
(トラップ系の足止めは、無理だ。何せ準備をしている時間がない)
選択肢が一つまた一つと消えていく。
(足止めも無理…………いや!!)
ベイカーの脳裏に訓練生時代に乗り込んだ洋館での大立ち回りが蘇る。
あの時、クイーンは、チンピラ達の足に銃弾を撃ち込んで動きを止めていた。
ベイカーは、懐にある銃を睨む。
(俺に出来るか………この状態で走りながら………しかも)
ベイカーは、路地裏の中でそのつり目に力を込める。
(振り返りながら…………)
更に言うなら防がれる可能性もある。
(それでも…………やるしかない!!)
ベイカーは、走りながら銃の照準を合わせた。
※漢字間違えてましたので、直しました。
幻徳………お前どうしたんだ……
では、また外伝33で!!