教官   作:takoyaki

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外伝36です!!


ポケモンの映画見てきました。


何だろ……最近涙もろくなっちゃって………



てなわけで、どうぞ


事後処理
「忘れてた☆」


「さて、四人揃ったところで今後の方針を話すですよ!!」

そう言いつつ首をかしげるクイーン。

「あれ?ベイカー帰ったはずじゃあ………」

「ちょっとやり残した仕事がありまして」

それを聞いたルイーズは、隣でクスクスと笑っている。

「ん〜………ま、いいです。さて、現状の確認ですが………」

クイーンは、ペンと紙を取り出す。

「とりあえず、分かったことは、切り裂きジャックが複数犯ということと、殺し屋だということの二つです」

「結構大問題だよね」

ルイーズの言葉に一行は頷く。

クイーンは、丸を書く。

「となると、他にも切り裂きジャックがいるはずですよね…………」

「まあね」

「ベイカーの話もまとめると、切り裂きジャックは少なくとも三人、いや、一人減ったんですから二人ですか………」

クイーンの言葉にルイーズは、首を横に振る。

「多分だけど、最低でももう一人いる」

ルイーズは、そう言いながら指を一本立てる。

「覚えてるかい?ベイカーの軍服の件」

「えぇ。確か、ルイーズがリリアルオーブ持ちの人間から取り返したんですよね?」

クイーンの言葉にルイーズは、頷く。

「そのリリアルオーブ持ちだけど、多分、切り裂きジャックの一員だと思うんだ」

「あれ?この前、そいつは切り裂きジャックじゃないって…………」

「この前は、切り裂きジャックがあのイカれ野郎一人だと思っていたからね」

ルイーズは、そう言いながら顔を指差す。

「奴らの使っていた仮面とボイスチェンジャーが一緒なんだよ」

後ね、と言って言葉を続ける。

「奴は、短剣で戦っていた」

ルイーズの言葉にクイーンは、渋い顔をする。

「最低でも三人ですか………一人捕まえるのにこのザマだというのに………」

起きたばかりのエラリィは、クイーンの方を見る。

「組織となるとまとめる奴、つまりトップがいるかもしれないな。もし居ればまずは、そいつを捕まえて後は芋づる式ってのが妥当じゃないか?」

エラリィの指摘にクイーンは、考え込む。

「うーん………とはいえ、となると、誰がトップでしょうね」

隣で聞いていたベイカーは、腕を組む。

「うーん…………俺たちを追ってきた奴は違うかも」

「強いて言うなら私と戦ったレイピアの切り裂きジャックがそんな感じでしたが…………ダメですね、証拠がないから結局想像の域をでないです」

クイーンは、大きくため息を吐いた。

最低でも三人、しかもこの全員がリリアルオーブ持ちだ。

隊員総出でも厳しいところだ。

「とりあえず、リリアルオーブを申請しといたです。私一人だけ持っていてもしょうがないということが分かったわけですし………」

「試作品もあんまりいいとは言いづらいしねぇ」

ルイーズは、うんうんと頷いている。

「後は、本部の指示を待つのみですね」

クイーンの言葉にルイーズは、嫌そうな顔をする。

「嫌だなぁ…………どうせ、ロクなこと言わないよ。『六割以上入院とは何事だ!!』みたいな?」

ルイーズの言葉にクイーンは、頬を引きつらせる。

「まさか、そこまで目の敵にしてないですよ」

「失礼する」

その声のした方に目を向けると、そこにはあの時と同じ人事部の人間がいた。

「げ!!」

不快感を隠そうともしないルイーズの口をベイカーが慌てて塞ぐ。

しばしもごもごとやり取りをした後、ルイーズはベイカーの手を外し人事部の方を向く。

「何のようですか?まさかとは思うけど、何らかの注意をするつもりじゃあないだろうね」

「いや、違う」

「へ?」

「クイーン隊へ移動命令だ」

「え?」

そう言って紙が渡される。

クイーンは、読む。

「『ドヴォールでの功績を認め、トリグラフへの移動を命ずる』って、ぅえぇ!!」

奇声をあげるクイーンに構わずルイーズは、人事部を見る。

「それで?トリグラフでも切り裂きジャックの事件が起きているっていうのかい?」

「あぁ。そこで、実績のあるお前達を送り込むってのが、上層部の判断だ」

「わぁお、認められてるぅ」

ルイーズは戯けたようにそう言うと、もう一つ質問をする。

「ところで、それっていつまでの話?」

「二週間後だ。それまでに用意しておくようにな」

人事部は、そう言って病室を出て行った。

クイーンは、ため息を吐く。

「もう引き継ぎ業務やんなくちゃいけないんですか……………」

「退院まで一週間、引き継ぎまでに一週間ってところかい?」

ルイーズの言葉にクイーンは、うんざりした顔を向ける。

「何引き継げばいいんですか………正直、ルールギリギリの反則技しかやってないんですよ…………」

主にルイーズが原因だ。

ルイーズは、そっぽ向いて口笛を吹いて誤魔化す。

「ま、まあ、アレだ。嘘を書かずに引き継げばいいだろう?」

「わあ、何て的確なアドバイスでしょう、嬉しくて涙が止まらないです」

泣きもせず笑いもせず、ただ無表情に何の感情も込めずにいうクイーンにルイーズは、冷や汗をだらだらと流す。

「そ、それじゃあ、私は、先に病室に戻ってるよ。君たちは仲直りしたばかりだろう?積もる話もあるだろうから、ゆっくり話していたまえ!!」

ルイーズは、立ち上がりながら、そう世話を焼いた。

「何で仲直りしたこと知ってるんですか?」

「さよなら!!」

 

 

 

クイーンの疑問に一言そう答えるとベイカーを連れて病室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

「なんで、俺まで連れてくんですか」

ルイーズに手を引っ張られながら、ベイカーは、不満を言う。

ルイーズは、手を離して肩をすくめる。

「いや、流石に私だって気を使うよ」

「素直に俺に余計なこと言われるの心配だからって言えばいいじゃないですか」

「いやぁ、まあ…………あははは」

そんな話をしているとルイーズ達の病室の前に二人の老年の男女がいるのが目に入った。

「げ!!」

露骨に嫌そうな声を出すルイーズ。

その声を聞き逃さんとばかりに老年の男が、ギロリと振り返った。

そして、ダッシュでルイーズの両頬を押し、タコの口にさせる。

「にゃにするんらい!!」

「ルイーズ!!お前、何勝手に病室を抜け出しておるんじゃ!!というか、入院したんなら、連絡を入れんか!!この馬鹿者!!」

突然の来訪者に隣にいたベイカーは、全くついていけない。

ルイーズは、鬱陶しそうに無理やり手を振り払う。

「るさいなぁ、ひと段落したら連絡しようと思ってたんだよ!!」

「嘘ついてじゃあないぞ、小娘。お前、この前入院した時、儂等に連絡入れんかったろう?」

ルイーズは、慌てて目をそらす。

「何かいうことは?」

「怒らない?」

「………………………努力する」

ルイーズは、こほんと、咳払いをする。

「忘れてた☆」

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ、私、けが人なんだけど」

「じゃから、頬を引っ張るだけにしておいたじゃろ」

引っ張られすぎて両頬を真っ赤に染めたルイーズは、ベッドに横になっていた。

その隣には、先ほどの老年の男女と帰るタイミングを完全に逃したベイカーがいた。

ベイカーは、居心地悪そうに目を泳がせると、ルイーズに耳打ちする。

「(あの、どなたですか?)」

「あぁ」

ルイーズは、ようやく思いついたようにポンと手を打つ。

「私の家族のじいちゃんとばあちゃん」

「ルイーズ、ちゃんと紹介しなさい」

ルイーズにばあちゃんと呼ばれた女性が静かにたしなめる。

ルイーズは、少し咳払いをする。

「ばあちゃんの方が、リーフ。じいちゃんの方がモーリス」

「そうじゃなくて、ちゃんと祖父母と言いなさい。目上の人に対して失礼ですよ」

ベイカーは、思わず首を傾げる。

クリスは、そうたしなめた後頭を下げる。

「本当にすいません。どうにもこの子は、そういうところを疎かにするというか…………」

「いえいえ、別にそんな」

「多分、職場でも散々ご迷惑をおかけしてるかと思いますが………」

「いやいや、何言ってんの?」

ルイーズは、そう言うとベイカーを指差す。

「私、この子は、ベイカー。私は彼の教官だったんだよ。今は同僚だけど」

その言葉を聞いた瞬間、二人の顔から血の気が引く。

「本当にご迷惑をおかけしました。何とお詫びしてよいのやら……」

「大丈夫か?若いの?何か辛いことがあったら周りの奴に相談するんじゃぞ」

「いえいえ、慣れればどうってことないです」

「おい、揃いも揃ってどういう意味だい」

ルイーズは、額に青筋を浮かべながら返す。

そんなルイーズに対してモーリスは、顔を真っ赤にして怒鳴る。

「やかましい!!お前の上司やるより、部下やる方が苦行なんじゃ!!それが、よりによって教え子なんて、苦行通り越して地獄じゃ!!」

「んだと、クソジジイ!!」

ルイーズが今度は点滴が刺されていない手で掴みかかろうとするが、それをアガサが抑える。

目の前で繰り広げられる喧嘩にベイカーが困惑していると、リーフの方がほっほっほと笑いながら頷く。

「まあ、いつものことです」

「は、はあ、そうなんですか………」

そう言いながらベイカーは、頬を引きつらせる。

そんなベイカーに構わず、リーフが少し強めの口調でルイーズをたしなめる。

「それより、ルイーズ。栄養失調ってどういう事?アレほど自炊はやめなさいと言ったでしょう?」

「おい、ババア、どういう意味だい?」

「いや、言葉通りだと思いますよ」

「君まで!!」

ルイーズは、ぺっと唾を吐くとそのまま布団に寝転がる。

いじけたルイーズに困惑しながらベイカーは、口を開く。

「あの、教官?」

「なんだい?」

「祖父母の方もいらしたみたいですし、ご両親には報告しなくていいんですか?」

ベイカーがその言葉を口にした途端、あたりが水を打ったように静まり返った。

「あ、あれ?」

リーフとモーリスは、大きくため息を吐く。

「なんじゃ、まだ、話しておらんかったのか」

戸惑うベイカーに対し、ルイーズは、きょとんとした顔で首を傾げる。

「あれ言ってなかったっけ?私、両親いないよ?」

「……………………え?」

「両親はいない、顔も覚えてない。そんな私を育ててくれたのが、じいちゃんとばあちゃん」

ベイカーは、突然教えられたルイーズの身の上話になんと返すか迷う。

「とある雨の日に十五、六歳の女の子が、赤ん坊の私を抱えてじいちゃんとばあちゃんのところに行ったらしいよ。『自分では、育てる事も背負う事もできないから、どうか、この子をお願いします』っだっけ?」

ルイーズに話を振られたモーリスとリーフは、コクリと頷く。

ベイカーは、突然の身の上話に硬直してしまった。

そして、一瞬だけ、フリーズした思考からクイーンの話を思い出す。

「………あぁ、それで、教官が頭から血を流した時迎えに来たのが、モーリスさんとリーフさんだったんですね」

ベイカーの言葉にルイーズは、ジトっと湿度の高い視線を送る。

「…………クイーンに聞いたのかい」

「えぇ、まあ」

ルイーズは、大きくため息を吐く。

「別に隠してたわけじゃないよ。ただ、話すタイミングがなかったんだよ」

「……………じゃあ、後でエラリィにも言っといてくださいね」

ルイーズは、露骨に嫌そうな顔をする。

「俺だけ知ってるのはフェアじゃないと思うんです。どうせ、隊長もしってるんでしょ?」

「……………まあ、そうだねぇ」

ルイーズは、不満そうにそう頷く。

「にしても十五、六歳ですか………若いですね」

「まあ、若い時ってのは過ちも多いものさ」

適当な事を言うルイーズにベイカーは、ため息を吐いて立ち上がる。

「さてと、じゃあ、俺はそろそろ戻りますね。部屋の片付けとかしないとですし」

「はいよ、道中気を付けてね」

「分かりました」

ベイカーは、そういうと病室を後にした。

ベイカーの姿が見えなくなると、モーリスが、口を開く。

「…………ところで、ルイーズ」

「なんだい?」

「あの子、どうじゃ?」

「どうじゃと言われてもなぁ、頑張ってる子だよ」

「他には?」

「他にはって言われても…………」

「あるじゃろ?かっこいいとか、この人となら!とか」

「じいちゃん何が言いたいの?いや、聞きたいの?」

「お前の恋バナに決まっているじゃろ!!」

声を荒げるモーリスにルイーズは、どう反応していいか分からない。

「お前もう二十二じゃろ!!」

「まだ、だと思うんだけど」

ルイーズの反論は残念ながら激昂するモーリスには届かない。

「なのにお前は一度も恋人の1人も紹介しないではないか!!儂の夢である『ルイーズはやらん』と言って殴り合いとしたいのに!!どうして」

「紹介する前に別れたんだよ」

熱弁を振るうモーリスを遮りルイーズは、冷めた口調で返す。

「とにかく、クイーンちゃんもあの一緒にいた男とだいぶ雰囲気良かったし、次はお前じゃろ!!」

「なんで知ってんの?」

「さっき、メールで報告が来た」

「おっと、まさかのメル友だった」

見せてくれたメールにはご丁寧にクイーンがエラリィの肩を抱いた写真が添付されていた。

(これ、一時的にテンション上がってるからやってるだけで、後で冷静になった時枕に向かって叫ぶ羽目になるだろうなぁ………)

ルイーズは、頬を引きつらせながらその写真を見ていた。

「だからな、お前にも浮ついた話がないかと思ったんじゃが………」

「ご期待に添えなくて悪かったねぇ」

ぴしゃりというルイーズにモーリスは、血の涙を流す。

そしてゴシゴシとこすり急に真面目な顔になった。

「さて、少し真面目な話をしよう」

「今までの話も結構マジトーンだったよね?」

そんなルイーズに構わずモーリスは、手を組む。

「そのベイカー君だがな、何か抱えているぞ。お前、気づいているか?」

ルイーズは、少しだけ目を細くする。

「当然」

あのトレーニング量を見ればそれは、一目瞭然だ。

そのルイーズのたれ目をじっと見つめ、モーリスは、大きく頷いた。

「わかってるならいい。抱えたものに潰されないように注意してやれ」

「努力するよ」

何てことなさそうに肩をすくめるルイーズを見て、モーリスは、肩をすくめる。

「大事にしてやれよ。お前の側にいてくれる人間なんてそう多くはないのだから」

ルイーズは、薄く笑って頷く。

モーリスは、大きく伸びをして立ち上がった。

「さてと、ばあさん。そろそろ儂らも戻るか」

「そうですね」

そう言ってモーリスは、病室の外へと歩いて行きピタリとその足を止めて振り返る。

「次からはちゃんと連絡を入れること、いいな」

「はいはい、悪かったよ」

ルイーズは、笑いながらそう返した。

するとリーフが微笑みながら振り返る。

「それじゃあ、ルイーズ。私からも」

とても優しい微笑みのまま続ける。

 

 

 

 

「私達より先に死んだら殺しますからね?」

 

 

 

 

 

表情とセリフが一切あっていない老婦人にルイーズの頬が引きつる。

「ぜ、ぜ、善処します…………」

 

 

 

 

 

ルイーズは、冷や汗を流しながらそう返した。





ルイーズの保護者登場です!!
過去編にちょろっと書かれていましたが、今回登場させました!!



それは、ともかく今日は海の日でしたね。
まあ、とくに何もありませんでしたけど!
皆さんは楽しめましたか?


ではまた37話で( ´ ▽ ` )ノ
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