遅くなりまして申し訳ありません!!
てなわけでどうぞー!
「あー、なんか疲れた………」
ベイカーは、近くのカフェで一休みしていた。
何か頼もうとメニューを広げる。
そして、沈黙する。
(どうしようかな…………サンドウィッチを食べることを考えると、コーヒーを頼むと予算オーバーなんだよなぁ………)
「あれ?ベイカー君?」
突然声をかけられ、顔を上げるとそこには、ジャンがいた。
驚いたベイカーは、目を丸くする。
「ジャンさん?どうしてここに?」
「ちょっと、トリグラフに資料を取りにね。君こそ、どうしてこんなところに?ここ、僕のお気に入りなんだけど」
「いや、教官達が入院したもので………」
「入院…………?あぁ、切り裂きジャックね、見たよ新聞!お手柄だよね」
「まあ、仕事なので、お手柄と言えるかは微妙なんですけど………」
ルイーズが捕まえた切り裂きジャックは、新聞の一面を飾った。
「そんなこと言わないで、ルイーズ褒めてあげなよ。喜ぶよ」
ベイカーは、首をひねる。
『そうだろう?当然だろう?もっと、褒めたまえ!!』
頭の中で高笑いするやかましいルイーズを追い出すとベイカーは、メニューを閉じた。
「喜ぶので言いたくないですね」
「そんなこと言う人も言われる人も初めて見たんだけど」
若干引いているジャンに構わずベイカーは、目の前の椅子を指差す。
「それより、前の席どうですか?」
「え?いいの?一人の時間を楽しんでるのかと思ったから遠慮したんだけど」
「店員からの視線攻撃が激しくなりだしたので、ぜひ座ってください」
一人で来てカウンターに座らず二人用のテーブルに座るベイカーにちらちらと視線を送り続ける店員。
ジャンは、苦笑いを浮かべるとベイカーのまえに座る。
ベイカーは、ジャンにメニューを渡す。
「いいの?」
「まだ、決められそうにないので………おすすめとかあるんですか?」
「サンドウィッチは、だいたい美味しいよ。コーヒーは、普通だよ。お冷の方が美味しいけど」
「それは、きっと普通ではないと思います」
「単純にコーヒーを美味しいと思えないんだよね。何せ、徹夜の味だし」
コーヒー嫌いという研究者を前にしてベイカーは、眠そうタレ目の女を思い出す。
「そう言えば教官もコーヒー嫌いですね」
「あの子は、苦いもの全般が嫌いだよ」
子供の嫌いなものそのまんまなルイーズにベイカーは、頬を引きつらせる。
「………さて、僕は、このミックスサンドにしようかな。ベイカーは?」
「じゃあ、俺は、それとタマゴサンドで」
ベイカーもようやく決めたようだ。
ジャンは、店員を呼ぶとまとめて注文する。
店員は、頷くとそのままカウンターへと消えていった。
ジャンは、目の前のお冷を飲む。
「ところで、ルイーズはどう?」
「どうと言われると入院中としか答えようがないんですけど…………」
「そうじゃなくてさ、隊での話だよ。この前の話を聞く限り、そんなに肩身の狭い思いをしてるわけじゃないみたいだけど……?」
ベイカーは、お冷を飲む。
「別にいつも通りですよ」
そう言ってベイカーは、ジャンを見る。
「教官、そんなに研究所では居心地悪かったんですか?」
「まあね」
ジャンは、そう言うと伸びをする。
「彼女、飛び級で卒業してきて、うちの研究所に入ってきたんだ」
少しだけ懐かしそうにそして、寂しそうに続ける。
「来た時から彼女は、群を抜いていた。頭も、技術も。ついでに言えば格闘術も」
ベイカーは、黙って聞いている。
「何においても抜きん出ていた新人、職員の中には自分の娘と同い年なんて人もいた。そんな中で誰よりも成果を上げていく」
そこでジャンはため息をつく。
「せめて、もう少ししおらしかったら違ったんだろうけど、性格があんなでしょ?みんなに嫌われていたし、多分いじめられていた」
「いい年して何やってるんですか」
ベイカーの言葉にジャンは、肩をすくめる。
「人をいじめるのに年齢なんて関係ないよ。ま、僕は部署が違ったからよく分からないんだけどね?」
ベイカーは、話を聞きながら首をかしげる。
「でも、人をいじめるのには何らかの理由がいるはずです。自分より優れている人間をいじめるってのは、自分が劣っていると認めるようなものでしょう?」
ジャンは、ベイカーの疑問に頷く。
「話によると、彼女は、誰の研究も手伝わなかったらしい」
ベイカーは、眉をひそめる。
「研究は個人プレイでは出来ない。協力し会わなければならない。でも、彼女は一切他人の研究を手伝わなかった」
ジャンの前にミックスサンドが運ばれてくる。
「自分が手伝ってもらっていれば、手伝うのが筋だが、彼女は優秀すぎた」
「そうか、だから」
「あぁ。彼女は優秀すぎたから誰の助けも借りる必要がなかった。だから、誰かを助ける理由もなかった」
自分より才能があり、誰にも協力しないルイーズ。
何かの理由になるには十分だ。
ベイカーは、今の話を黙って聞きながら考える。
そんなベイカーの前にミックスサンドとタマゴサンドが運ばれた。
考えながらベイカーは、ミックスサンドを口にする。
「そっか、協力者がいなかったから、事故の責任は教官だけになったんですね……あれ?でも、前は教官だけのせいじゃないって………」
「………一つ、気になる噂があるんだよ」
「?」
「協力者はいなかったけど、彼女には相談相手がいたらしい」
ベイカーは、ミックスサンドを食べ終える。
「相談相手?」
「そう。相談相手」
ベイカーは、腕を組んで考え込む。
ルイーズの相談相手というと、クイーンぐらいしか思い当たらない。
「隊長?」
「違う違う。同じ研究所の男だよ」
ジャンの言葉にベイカーは眉をひそめる。
「彼女は、研究内容を相談していたらしい。だから、彼は少なくとも彼女の研究内容を把握していたはずなんだ」
話を聞きながらベイカーの脳裏に一つの考えが浮かぶ。
(この人は、前にルイーズだけのせいではないと言っていた。と言うことは、この相談相手も原因の一つということだ)
「相談相手が何か余計なことをやったか、言ったんじゃないですか?ルイーズ教官は、それを参考にした。だから事故が起きたんじゃないですか?そして、事実上の責任者は、ルイーズだから全ての責任を担うことになったんじゃないですか?」
静かに、だが、ベイカーの言葉の端々に激情が見え隠れしている。
「ま、噂だけどね?」
ジャンは、そう言ってミックスサンドを食べ終えると自分の分のお金を置く。
「それじゃあ、そろそろ僕は行くよ。またね」
ベイカーは、食べかけのタマゴサンドを皿に置き、ジャンの後ろ姿に疑問を投げかける。
「因みに誰なんですか、教官の相談相手ってのは?」
ジャンは、立ち止まり振り返る。
「彼女の元恋人。ま、これも噂だけどね」
ジャンは、そう言って喫茶店を出て行った。
ヒロアカの映画見てきました。
熱いうえに面白かったです。
ただ、空席一つ挟んだ隣に一人でいたすげー態度でポップコーンを貪り食ってた女性の存在感が未だに忘れられません。
では、また外伝38で( ´ ▽ ` )ノ