大変遅くなりまして申し訳ありません!!
色々ありまして…………えぇ!でも、何とかします!!てなわけでどうぞ
「もうちょっと心を込めて言って欲しいなぁ」
「……………飽きてきた」
トリグラフに移動して数日が過ぎた頃ルイーズは、おにぎりを食べながらそう漏らす。
「ほら、教官、野菜炒めもありますから」
適当な大皿にベイカーが肉野菜炒めを盛り付けた。
「もう、我慢できるか!!一体、いつまで、こんなメニューの繰り返しなんだい!!おにぎりと野菜炒めばっかりじゃあないか!!」
「……………でも、教官に料理を作らせるわけにはいかないし……」
「かと言って、クイーン隊長に作らせてもなぁ」
ベイカーとエラリィは、大きくため息を吐く。
ドヴォールにいた時と違い、割と平和にここ数日過ごしていた面々は、根本的な問題に直面していた。
「……………もうやだ、たまには別のもの食べたい」
すなわち食事だ。
「いやだから、煮物挟んでるじゃないですか」
「味付け塩だけのマジで煮てあるだけの奴の事言ってるのかい?」
ベイカーの料理は、基本的に手をかけない料理だ。
よく言えばシンプル。
悪く言えば単純。
「だいたい、文句が多いですよ、教官。隊長を見てください。文句言わずに食べてるんですよ」
「若干顔ひきつってるけどね」
エラリィの作ったおにぎりに文句を言うわけにもいかないのだろう。
コツコツと食べている。
まあ、白米というのはそこまで飽きがくるものでもない。
「………………はぁ、どうしたもんかなぁ」
「出前でもとりますか?」
「金あるのかい?」
「………………」
ルイーズの質問に対しベイカーは、無言でおにぎりを渡す。
ため息を吐いてルイーズは、おにぎりを頬張る。
「まあ、美味しいんだけどね。おにぎりは」
「凄く引っかかる言い方ですね」
ベイカーにジトッとした湿度の高い目を向けられるが、ルイーズは、合わせようともせずに食べ続ける。
そんな会話を続けながら食事をしていると、呼び鈴が鳴った。
「はいはーい、出ますよぉ」
最後の一口を放り込むとルイーズは、間延びした返事をしながら玄関に出る。
「おや、ジランドさん」
玄関には、不機嫌そうな顔をしたジランドが佇んでいた。
「どうしたんですか?」
「指令だ」
「え?もう移動ですか?」
「バカ言ってんじゃねぇ。仕事の話だ」
そう言って封筒を渡す。
「郵便でいいのに」
「……………お前、本気で言ってんのか?」
「まっさかぁ」
あっはっはとあっけらかんと笑うルイーズにジランドのイライラのボルテージが上がっていく。
軍関係の書類を郵送するにはそれ相応のリスクが伴う。
だったら、手渡しが一番確実なのだ。
「………くだらねぇこと言ってんじゃあねぇぞ」
「分かってますって、さあさあ、中へ中へ」
「いや、渡したから帰るぞ」
「いやいや、『俺が渡した書類と違う』とか言われたくないので中入って一緒に確認してくださいよー」
へらへらとしながら毒を吐くルイーズにジランドの表情筋が引きつる。
そんなジランドの腕を引っ張り、ルイーズは部屋に入れる。
「ジ、ジランドさん!?」
ルイーズが連れてきた客人を見て慌ててクイーン達は敬礼の姿勢を取る。
「何だか、新しい指令だってさ」
ルイーズに言われ、ジランドは封筒から書類を取り出す。
「本部に匿名の封書が届いた」
そう言って書類を一枚渡す。
受け取ったクイーンの周りから他の面々が覗き込む。
「まあ、読めば分かると思うが、内容は、自分の学校に切り裂きジャックがいるから捕まえて欲しいとのことだ」
クイーンは、首をかしげる。
「待ってください。
「別に奴らの被害者が学生である必要はないだろう?奴らはあくまで殺し屋なのだから」
「あぁ、そっか。そうですね」
ルイーズの指摘にクイーンは納得する。
「本当か嘘か分からないところがなんとも言えないですね」
エラリィの言葉にジランドが頷く。
「それだ。十中八九嘘か狂言なのだが………」
「残りの一、二の可能性で本当だと困るってことですね?」
ルイーズの質問にジランドが頷く。
もし、この封書を嘘だと断定して、切り裂きジャックを逃してしまえば、軍の面子は、丸潰れだ。
「で、指令というのは、何ですか?」
クイーンに促されたジランドは、コクリと頷き、もう一枚の紙を渡す。
渡されたクイーンは、再び読み直す。
「えぇーっと、何々『クイーン隊は、ローウェル・ヒュラッセイン学園に潜入し、密告の真偽の確認、可能の場合は切り裂きジャックの確保を命ずる』って………潜入?」
首をかしげるクイーンに対し、ジランドが頷く。
「クイーン隊には、この学校に潜入して噂の真偽を確かめてもらいたい」
「期間は?」
「未定だ」
「…………………」
一同に降りる沈黙。
つまり、それなりの成果を出すまで潜入捜査を続けなればならないのだ。
「じゃあ、確かに伝えたからな」
ジランドは、言うだけ言うとクイーン達の詰所を後にした。
残された面々は、紙を見ながら考え込む。
「とりあえず、ご飯を食べるです!!」
「そうですね」
◇◇◇◇
「はい、てなわけで、これからクイーン隊の会議を始めるです」
食事も終わった後、次第とそれから会議資料として、先ほど渡された指令書のコピーを配った。
「今回の議題は、『潜入捜査、どうするか』です」
「君、雑だよね、肝心のところが」
「るさいです!!」
コホンと咳払いをし資料を手に取る。
「さて、今回、本部から来た指令は、『ローウェル・ヒュラッセイン学園に潜入捜査をせよ』とのことです」
「何か、聞き覚えがありますね。どこで聞いたんでしょう?」
ベイカーの質問にルイーズが手をひらひらと振る。
「ほら、アレだよ。訓練生が近くのゴロツキに捕まった奴があったろう?」
「ありましたね」
まだ、正式な軍属になっていなかった頃の話だ。
ついこの前の話だというのにあまりにも色々あり過ぎて大分昔の話のように感じる。
ルイーズからの無茶振りにベイカーが応えたおかげで訓練生が捕まっている洋館を探り当てたのだ。
「あの時、チャイムの音を頼りに君が絞り込んだんだろ?」
「はい。どの時計塔も当てはまらなかったので、最終的に学校のチャイムを使って絞り込みました」
「その学校」
ルイーズの回答にクイーン達は、眉を寄せた。
しばらく降りた沈黙を破ったのは、エラリィだ。
「あの事件って確か、教官を誘い出すのが目的でしたよね?」
その言葉にクイーンは、腕を組んで頷く。
「えぇ。ベイカーがその情報を持ってこなければ、永遠にルイーズは、言わなかったですよね」
「……………何だかセリフに悪意を感じるなぁ………」
「悪意ではなく、純粋に嫌味です」
「それと忠告もありますからね」
あのギスギスした日々を嘘のように彼方に消し去ったエラリィとクイーンがタッグを組んでルイーズを責める。
責められたルイーズは、助けを求めるようにベイカーを見る。
「良かったですね。愛されてますよ」
「もうちょっと心を込めていって欲しいなぁ」
雑に返すベイカーに対しルイーズは、不満げに口を尖らせる。
コピーされた指令書を指で叩きながらふむと顎を引く。
「あの監禁現場からめちゃくちゃ離れているわけでもない、おまけにまたしても切り裂きジャックか」
「ただの偶然か、それとも……って感じですね」
「黒というには弱いですけど、白と言い切るにも弱いですね」
ベイカーとクイーンの言葉にルイーズは、頷く。
「多分、それが本部も戯言と一蹴出来ない理由だよね」
「とはいえ、あくまで信用するには弱いので、潜入捜査でカタをつけろということですね」
「下手すれば子供のいたずらに振り回されたってだけの話になるからね」
ルイーズは、書類を手に取り、トントンと人差し指で叩く。
「さて、前置きが長くなったけど、一番の問題はこれだろう?」
指で叩いているのは『潜入』の文字だ。
「誰が行くんだい?」
ルイーズの質問にベイカーが首をかしげる。
「全員で行けばいいんじゃないんですか?」
「二十超えた女が制服着て行けるわけないだろう。犯罪だよ犯罪」
ルイーズとクイーンは、二十二歳だ。
「別に潜入役は、生徒だけでなくてもいいでしょう?先生とか」
「私に軍関係以外の授業出来ると思ってるのかい?」
ベイカーの練習メニューを組んだのはルイーズだが、普通の学生達には一生縁のないものだ。
「まあ、クイーンなら教育実習の先生ぐらいだったらどうにでもなりそうだけど」
「となると、後は、十代の僕達二人だな」
エラリィの言葉にベイカーがため息を吐いて頷く。
「仕方ないね」
「じゃあ、報告頼むよ」
「教官は、潜入しないんですか?」
「話聞いてたかい?何もすることないんだよ。せいぜい君たちの話から推理するぐらいが限界だねぇ」
ルイーズは、そう言って取り合おうとしない。
ベイカーは、助けを求めるように先ほどから黙っていたクイーンを見た。
◇◇◇◇
「というわけで、これからしばらくご不便おかげするのですが、ご容赦ください」
「いえいえ、わかっていますよ。私の生徒達を守ってくださるのなら構いませよ」
クイーンは、学園長に頭を下げる。
少し頭頂部の薄い学園長がそれに習うように頭を下げた。
「我々としては、取り越し苦労である事を願っているのですが…………」
「我々も同じです。生徒に処罰を下さねばなりませんから」
学園長は、大きくため息を吐く。
「しかし、潜入捜査ですか………本当にあるんですね」
「えぇ。とりあえず私の隊のものは、先ほど言った位置でお願いです」
「えぇーっと、…………………これ、本気ですか?」
「もっちろん!!」
「大丈夫なんですか?」
「当然。何せ私達はプロですから!」
満面の笑みでクイーンは、返した。
◇◇◇◇
教師は、黒板に名前を書く。
「はい、というわけで、今日からお前達と一緒に勉強することになった転校生を紹介します」
教師に促された転校生は、前に一歩出る。
この学園の制服に身を包んだ転校生は一歩前に出る。
「アイリーン・アニーミです!よろしく!!」
制服(スカート)に身を包んだ
顔には出さない。
当然だ。何せルイーズは、プロなのだから。
(覚えていたまえよ、クイーン!!)
どんなに理不尽なことに憤怒を覚えようと顔に出したりするものか。
と言うわけで、新章です!!いい年こいて制服来てルイーズ潜入です!!
年齢通りに見られないといつも言われていたのでせっかくだから、と書きました。
学園の名前は、最近リメイクした作品からです!!
それにしても、テイルズのダウンロードコンテンツの学園衣装はいつも素敵ですよね。
まあ、たまにどう考えても学生じゃない奴が制服着てたりするんですけれども…………
ではまた、外伝56話で( ̄∇ ̄)