教官   作:takoyaki

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外伝57です!!
ごめんなさい!投稿の順番、また間違えてしまいました!!
ややこしくなると、アレなので一端削除した上で、連続投稿します!!
本当に申し訳ないです!!


『『何をどうすればそんなことになるんですか!!』』

「おい、転校生」

午前の部の授業が終わり昼食時になった頃、スカーレットがルイーズに声をかける。

「ん?何だい?」

「何だい?じゃねーよ。一緒に飯食べようぜ」

「いいよ」

ルイーズは、そう答えると机の上に弁当を置く。

「いや、そうじゃなくて、机、向かい合わせにしろよ」

「…………あ、あぁ!!そうだね!!」

基本的に学生時代、誰かと食事を一緒にするという経験をロクにして来なかったため、机を合わせるという発想が生まれなかった。

「お前、前の学校でどんな生活してたんだよ」

「勉強して運動して、偶に喧嘩してってな感じのいたって普通の生活だったよ」

あながち嘘ではない。

確かに普通の生活だ。

『訓練生にとって』が前に付くだけだ。

「ま、いいけど」

スカーレットは、そう言って弁当箱を開く。

色とりどりの食材が詰め込まれたその弁当は、まるで宝石箱だった。

対するルイーズの弁当は拳大のおにぎりが四個だけのいたっていつも通りのものだ。

「…………なんか、男らしい弁当だな」

スカーレットの言葉にルイーズの頬が引きつる。

「ウチで唯一作れる料理って、おにぎりだけなんだよね」

そう言ってルイーズは、ジィっとスカーレットの弁当を見る。

「………食う?高級食材とかで作った料理とかじゃないけど」

「いいのかい!?」

ルイーズは、パァッと顔を輝かせてスカーレットの弁当を食べる。

「おいしい!!久々におにぎりと野菜炒めと煮た野菜以外のものを食べたよ」

「…………お前、普段どんな食生活送ってたんだよ」

ルイーズの泣きそうになる感想に若干引き気味のスカーレット。

「つーか、煮た野菜って、煮物の事だろ?」

「野菜を茹でて塩味だけの奴」

「…………明日もなんか作ってきてやるよ」

「本当!?って、これ、君が作ってるのかい!?」

「…………まあな」

「手間じゃない?」

「別に量増えるだけだし」

スカーレットの言葉にルイーズは、彼女の弁当箱から唐揚げを一つもらう。

「うん!やっぱり、おいしい。それじゃあ、お願いしようかな!」

スカーレットは、少し照れ臭そうに頭をかくとおうっと、短く返事をした。

久々のちゃんとした食事を堪能しているルイーズは、ようやく当初の目的を思い出した。

「ところで、スカーレット。さっき、君が話していた、この学校にいる切り裂きジャックって?」

「あぁ、それな」

スカーレットも今の今まで忘れていたようだ。

口に含んでいるものを飲み込んでから続ける。

「ちょっとした、刃物を使った事件が起きてんだよ」

『刃物を使った』という言葉でルイーズは、眉をひそめる。

「ん〜やっぱり、見てもらったほうがいいな」

スカーレットは、そう言うと残りの弁当を食べきり、席を立った。

「さ。行こうぜ」

「あ、うんわかった」

ルイーズは、おにぎりを持ったままスカーレットの後に続く。

クラスの視線が、一瞬ルイーズ達に注がれる。

その視線の意味がわからずルイーズは、少しだけ首をかしげるもすぐ目の前のスカーレットの後を追う。

「まずは、ここだな」

そう言って示すところは、壁に立て傷が一つ走っていた。

「なんだい、これ?」

「実はよ、ここに貼ってあったポスターが何かの刃物でも使ったように切り裂かれたんだよ」

「ここの縦に入ってる傷は、刃物で付けられた傷って事かい?」

「そ。ほら、カッター使うときにを何も下に引かずに切ると傷が出来るのと同じじゃないかというのが、専らの噂。しかも、ここだけでなく、他の場所でもこんな事が起きている」

「へぇ」

ルイーズは、顎に手を当てながら傷を見る。

(カッターと言うには断面が鋭いねぇ………)

「転校生?」

「?なんだい?」

「いや、何か考え込んでたから」

「何のためにこんなことやってるんだろうなって、思って」

ルイーズの言葉にスカーレットは、大きく頷く。

「訳わかんねーだろ?でも、もっと訳わかんねー事があるんだ」

スカーレットは、ルイーズの前を歩いて案内する。

そこは学校の掲示板だった。

部員募集。

停電のお知らせ。

新しく来た図書館司書(クイーン)の紹介などなど。

様々なお知らせが所狭しと並んでいる。

その中に一つ、ひときわ目を引くものが画鋲で乱雑に止めてある。

「………………これって……」

目を丸くするルイーズに対しスカーレットは、腰に手を当てニヤリと八重歯を見せる。

「そ。これが、さらに訳が分からないな上に、切り裂きジャックがこの学校にいるっていう根拠さ」

ルイーズは、再び紙に目を凝らす。

 

 

 

 

 

『切り裂きジャックは、ここにいる』

 

 

 

 

 

 

 

 

その短い一文に一体どのような意味が込められているのか?

それを知るにはまだ情報が足りない。

「先生が、何回外しても貼られてるんだよ」

スカーレットは、腰に手を当てて説明する。

「どう思う?転校生?」

ルイーズは、貼られて紙を見ながら肩すくめる。

「イかれてるなって思う」

「いや、そういうんじゃなくて」

スカーレットは、ずぃっと身を乗り出す。

「何かわかった?」

「二つ、わからない事がある」

ルイーズは、指を二つ立てる。

「一つ、誰が貼ったのか?二つ、いつ貼ったのか?」

「いや、それを突き止めるのが探偵の役目だろ」

ドヤ顔のルイーズにスカーレットは、呆れたようにため息を吐く。

「探偵ねぇ………」

ルイーズは、ため息を吐くようにそう呟く。

「なあ、転校生」

「何?」

ルイーズに呼びかけたスカーレットは、ニヤリと八重歯を見せていたずらっぽい笑みを浮かべる。

「お前って本読む?」

「人並み以上には」

「推理ものって読む?」

「人並みには」

「なら、よう」

スカーレットは、そう言って貼られているその紙を取る。

「一緒に犯人突き止めねーか?」

ルイーズは、その眠そうな瞳を丸くする。

「いや、やっぱりそう言ったものを読むなら、憧れるだろ?自分も探偵をやってみたいって」

少しだけズレた眼鏡をルイーズは、直す。

「興味本位で首を突っ込まない方がいいと思うけどねぇ。相手は刃物を使うわけだし」

「大丈夫。あたしはこう見えて強いんだぜ」

むんと、力こぶを作るスカーレット。

(…………一般人を巻き込むのは気がひけるけど……)

ルイーズは、しばらく考え込んだ後口を開く。

「………………いいよ。それじゃあ、今日から君が『探偵・スカーレット』って事だ」

「チッチッチッ」

スカーレットは、違う違うというように指を振る。

「『名』をつけろよ、転校生」

「随分自信家だねぇ」

ルイーズは、肩をすくめる。

「いいゼ。今日から君が、名探偵スカーレットだ」

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

「というわけで、転校初日にして私は名探偵の助手になりました。以上報告でした」

『 『何をどうすればそんなことになるんですか!!』』

一同から総ツッコミに対しルイーズは、耳を押さえて聞こえないふりをする。

「というか、一般人を巻き込むのは、あまり賛成出来ないですよ!!」

「あの場で断っておいて、それでも切り裂きジャックの事件追ったら逆に不自然だろう?」

「それは………………そうですけど……」

クイーンは、困ったように押し黙る。

「話を聞いたところ、完全に模倣犯、しかもスケールダウンしたものですし、大丈夫なんじゃないですか?」

ベイカーの言葉にクイーンは、首を横に振る。

「あくまで、『今は』というだけです。いつ人的被害が出てもおかしくないですよ」

「エスカレートする可能性は、捨てきれないってことか」

「そゆことです」

腕を組んでそういうエラリィにクイーンは、頷く。

「でも、結局模倣犯の可能性が高いんですよね?だったら、俺たち撤退してもいいんじゃないんですか?」

ベイカーの提案にルイーズは、首を横に振る。

「今回、分かったのは『切り裂きジャックの模倣犯がいる』ってこと。切り裂きジャックがいない(丶丶丶)と証明されたわけじゃあない」

ルイーズは、眼鏡を外しても服の裾で度の入っていないレンズを拭く。

「とりあえず、私は模倣犯を突き止める。うまく行けば、本物の切り裂きジャックに繋がるかもしれないしね」

「なるほど、それはわかりました。わかりましたけど…………」

ベイカーは、ちらりとルイーズを見る。

「いつまで、その格好してるんですか?」

ルイーズは、あんなに嫌がっていたスカートの制服に身を包んでいた。

「着替えるの面倒くさくて」

ルイーズは、そう言って立ち上がる。

「これから学校行かないといけないし」

「え?何でですか?」

ベイカーの質問を背中で聞きながらカバンを背負う。

「学校に今日の宿題置いてきちゃったから」

「制服着て学校に宿題置いてくるとかいい年こいて何やってるんですか」

「やかましい!!」

ルイーズは、会議資料をベイカーの顔面にぶつけて詰所を出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よいしょっと」

校門を乗り越えルイーズは、更に昇降口の鍵穴に鍵を差し込み回す。

(まさか、捜査のために預かった合鍵をこんなことに使うなんてなぁ)

カチンという音が響く。

「よし、ってあれ?」

ドアを開けようとするが開かない。

ルイーズは、再び鍵を鍵穴に入れる。

カチンという音が再び響く。

今度は扉が開く。

「…………最初から掛かっていなかった?」

ルイーズは、首をかしげながら校舎に入る。

校舎に明かりはなく、まるで黒い絵の具をぶちまけたように校舎は真っ暗だ。

「夜の学校って不気味だよねぇ………」

そんな独り言を言いながら自分の教室にたどり着いたルイーズは、自分の引き出しの中からお目当てのものを引っ張り出す。

「いやぁ〜あったあった良かった良かった」

 

 

 

 

 

 

 

 

【夜の学校に忍び込むとは、飛んだ不良生徒がいたもんだ】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのボイスチェンジャーのかかった声にルイーズは、顔を上げる。

そこには相変わらず仮面で顔を隠した切り裂きジャックが教卓に座り込んでいた。

【よう、ルイーズ・ヴォルマーノ】

「知らない名前だなぁ。私の名前は、アイリーン・アニーミだよ」

【とぼけるなよ、お前がこの学校に潜入していることは知っている】

そう言ってルイーズを一瞥する。

制服に身を包んだルイーズが凛と立っている。

【…………まさか生徒になっているとは思わなかったがな】

少しだけ困惑した声が仮面の下から聞こえてきた。

「…………世の中色々さ」

ルイーズは、そう言って切り裂きジャックを睨む。

【まあ、何はともあれとりあえず久しぶり、だな?】

「どいつもこいとも同じ顔のくせに何言ってるんだい?」

全員同じ仮面をつけているので誰が誰だかわからないなのだ。

【あぁ、そうか。なら、これを見せればわかるか?】

そう言って手元から現れたのは、二つの短剣が出て来た。

その短剣に見覚えがある。

ルイーズは、きゅっと眉をひそめる。

「君、あの時の…………」

【そう、ドヴォールでお前のところの訓練生の制服をいただいたあの切り裂きジャックだ】

「………とんだ宿題が出て来たなぁ」

あの時取り逃がした切り裂きジャックが今目の前にいる。

過去の不始末がルイーズの目の前に立っている。

【さて、お喋りはこの辺だ】

切り裂きジャックは、ゆらりと教卓から離れる。

【殺すとしよう】

予備動作なしで突き出された短剣がルイーズに向かう。

 

 

 

ルイーズは、その短剣を持つ切り裂きジャックの手首を掴み止めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「やってみたまえ」

夜の学校よりも真っ黒な右手の手袋の口を噛んで嵌めたルイーズは、そのまま殴りつけた。






二度あることは三度ある…………いや、もう、こんなことがないよう、気をつけたいと思います。

ついでに次もすぐ更新しますね
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