教官   作:takoyaki

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外伝62です!!

春ですね~、寒いけど。


てなわけで、どうぞ


「う、うん。まあ、出来るだけ前向きに検討します」

「……………なにしてるんですか」

「まあ、ほら、色々」

その日の夜の会議。

ルイーズの報告に対し、ベイカーが口を開いた。

「潜入捜査ですよ!!クラスメイトと溝深めてどうするんですか!!」

「まあ、ほら、スカーレットとは仲を深めてるわけだし?」

ベイカーは、大きくため息を吐く。

「そりゃあ、教官の言い分も分かりますし、俺でも多分同じことをしたと思いますけど」

「なら、人のこと言えないじゃあないか」

「誰かが言わないといけないでしょ」

ベイカーは、じとっとした湿度の高い視線を送る。

その言葉にルイーズは、目を丸くする。

「…………何ですか?」

不満げな顔のベイカーにルイーズは、頬に手を付いて微笑む。

「君は本当に優しい奴だねぇ」

「からかってるんですか?」

「人の褒め言葉ぐらい素直に受け取りたまえよ」

ルイーズは、呆れたように肩をすくめる。

そんな二人のやりとりの終わりを見計らってエラリィが口を開く。

「取りあえず、僕の仕入れた情報ですが」

エラリィは、そう言って資料をめくる。

「学園の施錠は、教師の間で当番制らしいです」

「へぇ………そう言うのって用務員がやるもんだと思ってたけど」

ルイーズが首をかしげながら頷く?

「えぇ。僕も驚きました。それと、開錠は学園長がやっているそうです」

「え?それは当番制じゃあないのかい?」

「何でも年を取ってから目が覚めるの早くなったから、自分で校舎を開けると言って、開錠は休みの時以外学園長が開けてるそうです」

「マジかよ朝寝坊出来ないのかい。年は取りたくないねぇ」

「そうじゃないでしょう…………」

微妙に的の外れた事をいうルイーズにベイカーが隣で呆れる。

「ちなみに生徒は、その時に来てるんですか?」

クイーンが尋ねるとエラリィは、首を横に振る。

「基本的にはまだだそうだ」

エラリィの言葉にベイカーは、腕を組んで頭をひねる。

「教師が閉めて学園長が開ける…………と考えるとやっぱり、外部犯がわざわざ侵入したとは考えづらいよね」

ルイーズは、頭を鉛筆で軽く小突きながら考え込む。

「それで、ルイーズ。これからどうするんですか?」

クイーンは、目の前の資料をトントンと叩きながらルイーズを見据える。

ルイーズは、手元の鉛筆をくるりと回す。

「…………策を仕込むより先に、一度切り裂きジャックに付いて整理しようよ」

ルイーズは、そう言って現在分かっている切り裂きジャックの特徴をまとめる。

「一、奴らは金をもらって殺す、殺し屋集団である。

二、奴らは刃物で殺す。

三、奴らはそれぞれ別の刃物で殺す。

四、奴らの標的は今の所、ルイーズ・ウォルマーノである」

書きあがった四つの項目を三人は、ルイーズの横からその紙を見る。

エラリィをそれを見ながら軽く顎を引く。

それに構わず、ルイーズは更に書き出す。

「次いでに現状の把握。

一、学園には切り裂きジャックと模倣犯の二種類がいる可能性がある。

二、ルイーズ・ヴォルマーノは初日の夜に襲われた。

三、容疑者候補は、全部で五人である

四、うち一人は、切り裂きジャックに脅され、クイーン・リーを挑発」

ルイーズの書き上げ項目に目を通す。

「さて、ここから補足をしていこう」

「一つ、いいですか、教官」

すべての項目に目を通したエラリィが手を挙げる。

「なんだい?」

「この切り裂きジャックの現状把握の二と三は、確定でいいんですか?教官、前は他の殺し方をしていても気付いていないだけかもしれないと言っていましたよね?」

「いや、確定でいい。それは、実証済みだ。一つ保険をかけるなら、切り裂きジャックとして依頼を受けた場合は確実に刃物を使って殺しに来る」

ルイーズは二つを指差す。

エラリィは、少しだけ片眉を少しだけ上げる。

ルイーズは更に続ける。

「現状の把握の欄の二だけど、あの時、校舎の鍵がかかっていなかった」

ルイーズは二の空白に『鍵なし』と付け加える。

ベイカーは、現状の一番最初の項目を指差す。

「前も言いましたけど、これ、生徒達は知っていますが、あくまで噂程度。おまけに告発文に付いては誰も知りませんでした」

「つまり、誰も本気にしていないと?」

「えぇ」

ルイーズは『うわさ』と書き込む。

そんな話をしていると、クイーンが一番下の項目を指差す。

「私を挑発してきたリッパーですけど、容疑者候補から除外してもいいと思うです」

「その心は?」

「逃げ方や身のこなし、それがどうしても切り裂きジャックと重ならないんですよ。後、彼が切り裂きジャックならあんなことする必要なんてない。速攻で私を殺せばいいんですから」

クイーンは、そこまで言ってため息を吐く。

「ま、大分私見が入っているんですけど」

「ん〜………そう言うならこの辺が落としどころかねぇ?」

ルイーズは、『模倣犯?』と書き込む。

「さて」

書き込みながら情報を整理したルイーズは、耳元の髪の毛をいじる。

(情報は多分揃ってる。でも、後一押し欲しい…………!)

「いっそのこと監視でもしてみますか?」

思考の海に沈み込んでいるルイーズにベイカーが声をかける。

考え事を邪魔され、露骨に不機嫌そうな顔をベイカーに向けるルイーズ。

「アホ言ってんじゃあないよ。一日中やってりゃあ、こっちの方が怪しま…………」

ルイーズは、そこまで言って固まる。

「あ、あの教官?」

「そうか…………!それだ!その手(丶丶丶)があった(丶丶丶丶)

ルイーズは、ニヤリと笑みを浮かべる。

「ルイーズ?」

クイーンが怪訝そうに首をかしげる。

「監視をしよう!あの五人を私たちそれぞれで一日中で見張ろう」

「いや、教官、途中まで言いかけてましたよね?」

エラリィが半眼を向ける。

「学園生活をやりながら、一日中監視なんて無理じゃないですか?」

「いいや。不自然じゃあない日が一日ある」

エラリィの言葉にルイーズは、チッチッチと指を横に振る。

ベイカーの言葉にルイーズではなく、クイーンがニヤリと笑う。

「そっか、文化祭(丶丶丶)があったですね」

ルイーズは頷く。

授業もなく、生徒は歩き回り、外部の人間も入ってくる。

「そう、この日なら一日中監視していても、通常の日よりは不自然じゃあない」

ルイーズは、容疑者候補の写真を並べる。

「君たちは五人それぞれを一日中監視したまえ」

「それはいいですけど…………」

ベイカーは、そう言って周りの面子を数える。

「俺たち全部で四人ですよ?後一人、どうするんですか?」

ベイカーの質問にルイーズは、ニヤリと笑う。

「こっちな、有能な探偵がいるだろう?」

そう言ってルイーズはクラスの集合写真の中からスカーレットを指差した。

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ!?監視ィ!?」

「そ。監視♪」

驚くスカーレットにルイーズは、いたずらっぽく笑いながらそう答える。

二人は今調理室で文化祭の喫茶で出すクッキーづくりの真っ最中だ。

制服の上着を脱ぎワイシャツの上にエプロンを付けて二人は作業していた。

ルイーズが伸ばしたクッキーの生地をスカーレットが型で抜いていく。

「何でまた!?しかも文化祭の時に!」

穴だらけになった生地を受け取るとルイーズは、それをこね、再び生地として伸ばす。

「文化祭でないと奴らの事を見てられないだろう?あ、卵塗るの、も少し待って」

パットに並べられたクッキーに卵を塗ろうとしていたスカーレットは、ピタリと動きを止める。

「そりゃあそうだけどよ………」

スカーレットは、ため息をつきながら、ルイーズにじとっとした目を向ける。

「そもそも、んな暇ねーんだよ。何せ、文化祭の間喫茶店、二人で回さねーといけねーんだぞ」

伸ばしたクッキー生地をスカーレットに渡す。

生地を渡されたスカーレットは、再び型抜きでくり抜いていく。

「なら、後一人仕入れてようよ」

ピーっと、オーブンから音がする。

クッキーを焼くまえにオーブンを温めていたのが終わったのだ。

「はぁ?クラスメイトで私たちを手伝う奴なんているわけねーだろ」

ルイーズは、スカーレットが型抜きをしているのを尻目にクッキーに卵を塗る。

「一人、心当たりがいる」

ルイーズは、刷毛をクイーンに向けてニヤリと微笑む。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

「ど、どういうことですか?」

「だーかーらー、別の人を好きになればいいと言ったんです」

図書室でそんな話をしているのは、クイーンとリッパーだ。

「友人の彼女を好きになってしまって困っている、そう言ってたですよね?」

「ま、まあ」

「だったら、友人の彼女以上に好きな人を作ればそれで解決じゃあないですか!」

「えぇ〜……………」

極論と暴論の狭間のようなクイーンの持論にリッパーも流石に引いていた。

「幸い、今は文化祭の準備期間!ラヴが、生まれるのにはもってこいです!!」

「で、でも、そんなのいいから早く帰りたい………」

目をそらしてリッパーがそう呟いていると図書室のドアが開く。

「あれ、リッパーじゃあないか」

開いたドアの向こうには、制服にエプロンをしたルイーズがいた。

「え、えっと、転校生の………」

「アイリーン・アニーミだよ」

ルイーズはひらひらっと手を振って答える。

それから何かを思いついたように指をパチンと鳴らす。

「ちょうど良かった!リッパー、君も参加してくれないかい?うちのクラスの喫茶店」

「ぅへ、え?」

「いや〜、私とスカーレットの二人だけで回そうかなって思ってたんだけど、ちょっと無理そうだから頼むよ」

「え、い、いやぁ………」

リッパーは、どう答えたものかと悩んでいると、ルイーズの瞳に涙が溜まっていく。

「そっかぁ……やっぱり、ダメか………」

溢れる涙を手で拭こうとするが、眼鏡に当たってしまう。

ルイーズは、眼鏡の隙間から手を入れて涙を拭う。

ぱっと見は、眼鏡をかけた大人しそうな深窓の令嬢。

中身は、まあ、深窓を叩き壊すような女なのだが。

そんなことを知らないリッパーは、慌てる。

「い、いや!参加するよ!!」

「本当かい!!確かに聞いたからね」

先ほどまでの涙は何処へやら。

とても嬉しそうな顔でいうルイーズにリッパーは、少し戸惑っている。

「え?あ、あれ?」

戸惑うリッパーの肩をバシバシと叩く。

「それじゃあ、調理室に来ておくれよ」

「え、あ、ほ、本借りてからでいい?」

「いいよ〜。それじゃあ調理室で待ってるから、逃げないでね」

ルイーズは、そう告げると図書室から出て行った。

リッパーは、助けを求めるようにクイーンを見る。

クイーンは、首を横に振る。

「女の嘘泣きに騙されたリッパーの負けです。とりあえず、行ってくるといいですよ」

「で、ですよねぇ……………」

「ちょうどいいじゃあないですか!!ラヴが生まれるかもですよ!」

「う、うん。まあ、できるだけ前向きに検討します」

「取りあえず、乗り気ではないですね」

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

「というわけで、新たな参加者リッパー君です!!ハイ拍手!」

「わぁー」

状況について行けないスカーレットは、言われるがままに拍手をしている。

「───じゃねーだろ!!」

状況に頭がついてきた瞬間スカーレットは、頭にかぶっていたバンダナを叩きつけた。

「ちょっと、こっちこい!!あ、リッパーは、そこでラッピングやってろ」

「いだだだだだだだ!耳引っ張らないで!」

ルイーズは、耳を引っ張られて調理室の外へ消えていった。

廊下までくるとスカーレットは、ルイーズの頬を両手で挟む。

「にゃにするんだい」

「お前何考えてんだ!!あいつは」

「『切り裂きジャックの容疑者候補』だろう?」

ルイーズは、両手を払って指を一本立てる。

「喫茶店を中止せずに切り裂きジャックの容疑者候補の監視を行い、更に人手もゲット」

いつの間にか立っている指は三つになっている。

「一石二鳥なんて欲のない事は言わないよ。一石三鳥さ」

ニヤリと意地悪くいうルイーズをみてスカーレットの頬が引きつる。

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱ、お前に深窓の令嬢は無理だと思うわ」







お休み貰って鬼滅の刃を見てきました。
やっぱり、映画館でufoは、迫力が違いますね。


ではまた、外伝63で( ̄∇ ̄)
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