ジオウ最終回…………もう、アレですね、やべぇと思いましたね。
次からゼロワンですね。
楽しみです!!
まあ、その日仕事で見れねーけどな!!
てなわけでどうぞ
「なるほど」
階段下の倉庫でクイーンは、ルイーズの報告を噛み締めるように頷く。
「どうやら、私の予想は当たりですね」
「予想?」
ベイカーが首をかしげる。
「この学園には、二人以上の切り裂きジャックがいる、という予想です」
「……………え?何でですか?」
「さっき、言ったよね?切り裂きジャックが私を見抜いた理由」
「伊達眼鏡の転校生が来たからでしたっけ?」
ベイカーの解答にルイーズは、頷く。
「では、エラリィに質問。何で、伊達眼鏡だって分かったんだい?」
「教官が、涙を拭おうとして伊達眼鏡のレンズに手をぶつけてしまったから、でしたよね?」
眼鏡をかけ慣れていない人間は、涙が流れればそれを拭おうとして、普段存在しない眼鏡に指や手をぶつけてしまう。
ベイカーとエラリィの解答にルイーズは、階段下の倉庫に響かない程度に小さく拍手をする。
「何も間違っていない。でもね、これは少しおかしい」
そう言ってルイーズは、自分の肩、初日の夜に刺された場所を指差す。
「私が戦ったのは、初日の夜。そして、伊達眼鏡の失敗をしたのは、それより後」
ルイーズの説明にベイカーは、ハッと思いついた顔になる。
「………順番がおかしい?」
「そゆこと。つまり、私を襲った切り裂きジャックは、最初から私の正体を知っていた。どうやって見抜いたなんてのは、後付けさ」
「
「知らせた奴がいる。そして、私を襲った切り裂きジャックは、それを隠そうとして自分が見抜いたと嘘を吐いた」
ベイカーの言葉を引き継いでルイーズが答える。
しかし、ベイカーが納得出来ない顔をしている。
「何で情報源を殺さなかったんでしょう?どうせ、俺たちが来ることは分かっていたんです。リスクは覚悟していた筈です。寧ろ、情報源を生かしておく方がまずいでしょう?」
ベイカーの言葉にルイーズは、目を大きく見開いた後にやりと笑う。
「えげつない発想に行くねぇ。でも、その通りなんだよ。そして、その通りですまない相手ってのがいるんだよ」
首をかしげるベイカーにルイーズからエラリィが説明を引き継ぐ。
「可能性は、二つ。一つは、僕達も既にその相手に会っている場合。当然、人間関係を追われ、自身に辿り着く可能性が高くなるから」
「でもそれって、俺たちに会うより早く殺せばいいんじゃないの?」
「へぇ…………分かってんじゃん」
エラリィは、少し感心したように言うと指をもう一つ立てる。
「二つ目、情報源が短剣の切り裂きジャックより、立場が上の場合」
ベイカーが眉をひそめる。
「それって、切り裂きジャックは明確な上下関係のある組織ってこと?」
「ま、そゆこと」
ルイーズは、そう言って腰掛けに使っていた段ボールから、立ち上がる。
スカートを揺らし、指を二つ、目潰しでもするようにエラリィとベイカーに向ける。
「さて、後夜祭前に私から君達二人に指示を出そう」
◇◇◇◇◇◇
「───っ!!」
スカーレットは、躰をひねり、場所を入れ替え、ルイーズの背後に回る。
ルイーズの背後を取ったスカーレットは、ルイーズの背中に向かって逆手にもった短剣を振り下ろした。
迫る短剣。
ルイーズは、裏拳の要領で、短剣を弾く。
(嘘だろ!死角の筈だぞ!)
驚愕するスカーレット。
しかし、ルイーズは、そんなスカーレットに構わない。
裏拳の勢いをそのままにルイーズは、体を半回転させる。
そして、スカートを翻しながら逆の手拳でスカーレットの顔面を打ち抜いた。
「ぐっ!!」
スカーレットから、苦悶の声が上がり、態勢が崩れる。
(手応えが……………)
予想とは違う手応えにルイーズが眉をひそめる。
態勢の崩れたスカーレットは、少し足をバタつかせた後、両足に力を入れ、踏ん張る。
そして、短剣をルイーズに向かって投げた。
ルイーズは、向かう短剣を拳で防ぐ。
短剣を防ぎ、隙の出来たルイーズにスカーレットが短剣を突き出す。
突き出された短剣をルイーズは、体をずらしてかわす。
だが、躱される事はスカーレットにとって想定内だ。
スカーレットは、躱された短剣を引いた。
引かれた短剣は、体を戻しかけていたルイーズの服を切り裂く。
(つ!!………でも、まあいいや、切ったのは皮膚だ!!)
何とか、戻しかけていた体のまま躱し、スカーレットから距離を取る。
じわりとワイシャツが赤色に染まる。
「一回躱した程度安心するなよ」
血塗られた短剣を見せるスカーレット。
「短剣は、引く事だって出来るんだぜ」
「………あぁ、そう」
ルイーズは、短くそう答えると腰を落とし、スカーレットに真っ直ぐ突撃した。
スカーレットは、一瞬短剣を構えるが、直ぐに諦め、左に跳ぶ。
スカーレットを捕らえられなかったルイーズの拳は、壁を打ち抜いた。
壁にはヒビが広がる。
その一撃にスカーレットは、目をむく。
「嘘だろ!お前、リリアルオーブは、持ってないって話じゃなかったか?」
「そだよ」
ルイーズは、肩をすくめる。
「でも、君は持ってたはずだよねぇ?」
そう言いながらルイーズは、目を細める。
「持ってるぜ」
「何で使わないんだい?」
「お前程度に使うわけが───」
「強がるなよ、スカーレット」
ルイーズは、スカーレットの言葉を遮って続ける。
「当ててあげるよ、スカーレット。君がリリアルオーブを使わないのは、怖いからだろう?」
ルイーズの突然の指摘にスカーレットは、理解できず、首をかしげる。
「ハァ?お前、本気で言ってんのか?リリアルオーブを持ってないお前の何を怖がるってんだよ」
「…………女の子の『ハァ?』ってやっぱり心に来るね」
さして傷付いた様子も見せず、肩をすくめる。
「さて、それはさておき、怖いのは、私じゃあない」
ルイーズは、足下にある短剣を拾う。
「私を
スカーレットに構わず更に続ける。
「君さ、人を殺した事ないだろう?」
その言葉にスカーレットは、傍目で見てもハッキリと分かるくらいに固まった。
「おかしいと思ったんだよね。最初の夜の戦闘」
ルイーズは、手に持った短剣をくるくると回しながら続ける。
「あの黒の短剣、あれは、本当に見事だった。初見ならまず防げない」
最初の夜の闘いでルイーズは、黒の短剣を見逃し、肩に食らってしまったのだ。
「まあ、あの時も言ったけど一度食らえば防げるんだよね」
「だったら、何だって言────」
「そんな初見殺しの技でどうして、私の肩を狙ったんだい?」
手に持った短剣で自分の心臓を示す。
「狙うのはここだろう?」
「それは…………あたしの腕の問題……」
「そう?君の腕は十分だと思うけど?」
ルイーズは、つまらなさそうに手に持った短剣を投げ捨てる。
「後ね、殺したことのある奴はね、殺すって言ってから襲ったりしないんだよ」
ルイーズの脳裏に刀の切り裂きジャックが浮かぶ。
「総じて奴らは、無言で襲いかかるか、襲いかかってから殺すと言う」
刀の切り裂きジャックは、殺すと言う言葉さえ使わなかった。
「それとさ、君、今躊躇ったろう?」
ルイーズは、スカーレットの短剣を指差す。
「私が真っ直ぐに突っ込んで来たとき、君は、カウンターを合わせようとした。間違いない。あのタイミングだったら、絶対に合わせられた」
スカーレットは、震える手を押さえる。
「でも、君、躊躇った挙げ句、躱したね?」
「…………ぇ」
「君は、絶好のチャンスを逃し過ぎている」
「………せぇ」
「切り裂きジャックと言うにはいささかぬるい」
「──うるせぇ!!」
スカーレットは、叩きつけるように叫ぶとルイーズに飛びかかった。
そのままスカーレットは、ルイーズを組み伏せる。
床に仰向けに寝かされたルイーズの上にスカーレットがまたがる。
「ああ、そうだよ。あたしは、まだ人を殺したことがない」
そして、短剣を逆手に持ち替え振り上げる。
───「ルイーズ・ヴォルマーノを殺せ。そうすれば、お前を切り裂きジャックとして認めよう」───
「だから、私は────!」
───「そこで、お前はようやく居場所を手に入れられる」────
スカーレットは、短剣を大きく振りかぶった。
さあさあ行きますよ!!
ではまた、外伝73で