教官   作:takoyaki

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外伝72です!!


ジオウ最終回…………もう、アレですね、やべぇと思いましたね。

次からゼロワンですね。
楽しみです!!
まあ、その日仕事で見れねーけどな!!


てなわけでどうぞ


「…………女の子の『ハァ?』ってやっぱり心に来るね」

 「なるほど」

 階段下の倉庫でクイーンは、ルイーズの報告を噛み締めるように頷く。 

 「どうやら、私の予想は当たりですね」

 「予想?」

 ベイカーが首をかしげる。

 「この学園には、二人以上の切り裂きジャックがいる、という予想です」

 「……………え?何でですか?」

 「さっき、言ったよね?切り裂きジャックが私を見抜いた理由」

 「伊達眼鏡の転校生が来たからでしたっけ?」

 ベイカーの解答にルイーズは、頷く。

 「では、エラリィに質問。何で、伊達眼鏡だって分かったんだい?」 

 「教官が、涙を拭おうとして伊達眼鏡のレンズに手をぶつけてしまったから、でしたよね?」 

 眼鏡をかけ慣れていない人間は、涙が流れればそれを拭おうとして、普段存在しない眼鏡に指や手をぶつけてしまう。

 ベイカーとエラリィの解答にルイーズは、階段下の倉庫に響かない程度に小さく拍手をする。

 「何も間違っていない。でもね、これは少しおかしい」

 そう言ってルイーズは、自分の肩、初日の夜に刺された場所を指差す。

 「私が戦ったのは、初日の夜。そして、伊達眼鏡の失敗をしたのは、それより後」

 ルイーズの説明にベイカーは、ハッと思いついた顔になる。

 「………順番がおかしい?」

 「そゆこと。つまり、私を襲った切り裂きジャックは、最初から私の正体を知っていた。どうやって見抜いたなんてのは、後付けさ」

 「知っていた(ヽヽヽヽヽ)?ということはつまり?」

 「知らせた奴がいる。そして、私を襲った切り裂きジャックは、それを隠そうとして自分が見抜いたと嘘を吐いた」

 ベイカーの言葉を引き継いでルイーズが答える。

 しかし、ベイカーが納得出来ない顔をしている。

 「何で情報源を殺さなかったんでしょう?どうせ、俺たちが来ることは分かっていたんです。リスクは覚悟していた筈です。寧ろ、情報源を生かしておく方がまずいでしょう?」

 ベイカーの言葉にルイーズは、目を大きく見開いた後にやりと笑う。

 「えげつない発想に行くねぇ。でも、その通りなんだよ。そして、その通りですまない相手ってのがいるんだよ」

 首をかしげるベイカーにルイーズからエラリィが説明を引き継ぐ。

 「可能性は、二つ。一つは、僕達も既にその相手に会っている場合。当然、人間関係を追われ、自身に辿り着く可能性が高くなるから」

 「でもそれって、俺たちに会うより早く殺せばいいんじゃないの?」

 「へぇ…………分かってんじゃん」

 エラリィは、少し感心したように言うと指をもう一つ立てる。

 「二つ目、情報源が短剣の切り裂きジャックより、立場が上の場合」

 ベイカーが眉をひそめる。

 「それって、切り裂きジャックは明確な上下関係のある組織ってこと?」

 「ま、そゆこと」

 ルイーズは、そう言って腰掛けに使っていた段ボールから、立ち上がる。

 スカートを揺らし、指を二つ、目潰しでもするようにエラリィとベイカーに向ける。

 「さて、後夜祭前に私から君達二人に指示を出そう」

 

 

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 「───っ!!」

 スカーレットは、躰をひねり、場所を入れ替え、ルイーズの背後に回る。

 ルイーズの背後を取ったスカーレットは、ルイーズの背中に向かって逆手にもった短剣を振り下ろした。

 迫る短剣。

 ルイーズは、裏拳の要領で、短剣を弾く。

 (嘘だろ!死角の筈だぞ!)

 驚愕するスカーレット。

 しかし、ルイーズは、そんなスカーレットに構わない。

 裏拳の勢いをそのままにルイーズは、体を半回転させる。

 そして、スカートを翻しながら逆の手拳でスカーレットの顔面を打ち抜いた。

 「ぐっ!!」

 スカーレットから、苦悶の声が上がり、態勢が崩れる。

 (手応えが……………)

 予想とは違う手応えにルイーズが眉をひそめる。

 態勢の崩れたスカーレットは、少し足をバタつかせた後、両足に力を入れ、踏ん張る。

 そして、短剣をルイーズに向かって投げた。

 ルイーズは、向かう短剣を拳で防ぐ。

 短剣を防ぎ、隙の出来たルイーズにスカーレットが短剣を突き出す。

 突き出された短剣をルイーズは、体をずらしてかわす。

 だが、躱される事はスカーレットにとって想定内だ。

 スカーレットは、躱された短剣を引いた。

 引かれた短剣は、体を戻しかけていたルイーズの服を切り裂く。

 (つ!!………でも、まあいいや、切ったのは皮膚だ!!)

 何とか、戻しかけていた体のまま躱し、スカーレットから距離を取る。

 じわりとワイシャツが赤色に染まる。

 「一回躱した程度安心するなよ」

 血塗られた短剣を見せるスカーレット。

 「短剣は、引く事だって出来るんだぜ」

 「………あぁ、そう」

 ルイーズは、短くそう答えると腰を落とし、スカーレットに真っ直ぐ突撃した。

 スカーレットは、一瞬短剣を構えるが、直ぐに諦め、左に跳ぶ。

 スカーレットを捕らえられなかったルイーズの拳は、壁を打ち抜いた。

 壁にはヒビが広がる。

 その一撃にスカーレットは、目をむく。

 「嘘だろ!お前、リリアルオーブは、持ってないって話じゃなかったか?」

 「そだよ」

 ルイーズは、肩をすくめる。

 「でも、君は持ってたはずだよねぇ?」

 そう言いながらルイーズは、目を細める。

 「持ってるぜ」

 「何で使わないんだい?」

 「お前程度に使うわけが───」

 「強がるなよ、スカーレット」

 ルイーズは、スカーレットの言葉を遮って続ける。

 「当ててあげるよ、スカーレット。君がリリアルオーブを使わないのは、怖いからだろう?」

 ルイーズの突然の指摘にスカーレットは、理解できず、首をかしげる。

 「ハァ?お前、本気で言ってんのか?リリアルオーブを持ってないお前の何を怖がるってんだよ」

 「…………女の子の『ハァ?』ってやっぱり心に来るね」

 さして傷付いた様子も見せず、肩をすくめる。

 「さて、それはさておき、怖いのは、私じゃあない」

 ルイーズは、足下にある短剣を拾う。

 

 

 

 

 「私を殺す(ヽヽ)のが怖いんだろう?」

 

 

 スカーレットに構わず更に続ける。

 

 

 

 「君さ、人を殺した事ないだろう?」

 

 

 

 その言葉にスカーレットは、傍目で見てもハッキリと分かるくらいに固まった。

 

 

 「おかしいと思ったんだよね。最初の夜の戦闘」

 ルイーズは、手に持った短剣をくるくると回しながら続ける。

 「あの黒の短剣、あれは、本当に見事だった。初見ならまず防げない」

 最初の夜の闘いでルイーズは、黒の短剣を見逃し、肩に食らってしまったのだ。

 「まあ、あの時も言ったけど一度食らえば防げるんだよね」

 「だったら、何だって言────」

 「そんな初見殺しの技でどうして、私の肩を狙ったんだい?」

 手に持った短剣で自分の心臓を示す。

 「狙うのはここだろう?」

 「それは…………あたしの腕の問題……」

 「そう?君の腕は十分だと思うけど?」

 ルイーズは、つまらなさそうに手に持った短剣を投げ捨てる。

 「後ね、殺したことのある奴はね、殺すって言ってから襲ったりしないんだよ」

 ルイーズの脳裏に刀の切り裂きジャックが浮かぶ。

 「総じて奴らは、無言で襲いかかるか、襲いかかってから殺すと言う」

 刀の切り裂きジャックは、殺すと言う言葉さえ使わなかった。

 「それとさ、君、今躊躇ったろう?」

 ルイーズは、スカーレットの短剣を指差す。

 「私が真っ直ぐに突っ込んで来たとき、君は、カウンターを合わせようとした。間違いない。あのタイミングだったら、絶対に合わせられた」

 スカーレットは、震える手を押さえる。

 「でも、君、躊躇った挙げ句、躱したね?」

 「…………ぇ」

 「君は、絶好のチャンスを逃し過ぎている」

 「………せぇ」 

 「切り裂きジャックと言うにはいささかぬるい」

 「──うるせぇ!!」

 スカーレットは、叩きつけるように叫ぶとルイーズに飛びかかった。

 そのままスカーレットは、ルイーズを組み伏せる。

 床に仰向けに寝かされたルイーズの上にスカーレットがまたがる。

 「ああ、そうだよ。あたしは、まだ人を殺したことがない」

 そして、短剣を逆手に持ち替え振り上げる。

 

 

 

 

 

 

 ───「ルイーズ・ヴォルマーノを殺せ。そうすれば、お前を切り裂きジャックとして認めよう」───

 

 

 

 

 

 「だから、私は────!」

 

 

 

 

 

───「そこで、お前はようやく居場所を手に入れられる」────

 

 

 

 

 

 スカーレットは、短剣を大きく振りかぶった。

 

 

 

 

 

 







さあさあ行きますよ!!


ではまた、外伝73で
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