遅くなりまして大変申し訳ありません!!
てなわけで、どうぞ
「とまあ、このようにね、いけるわけよ」
「ホント、性格クソですよね、教官」
ルイーズの話を聞き、ベイカーは頰を引きつらせる。
「こっちが嘘吐いてるのにあたかも生徒会役員の方が嘘を吐いているように錯覚させるとか」
エラリィも若干引いている。
「まあ、今回は、パンフレットに私達のクラス載せてなかったしね、だから、それもつついてあげるとなおいいんだけど」
ルイーズは、自分の淹れた紅茶を飲む。
「ま、スカーレットには、いくつか策をあげてる。私がいなくても上手にやってくさ」
そう言ってアイスキャンデーの棒をゴミ箱に放り込む。
「…………ルイーズ、スカーレットにあげた策ってどこまでですか?」
話を聞いていたクイーンが口を開く。
「今の流れに持ってくまでだけど?」
「確認させてください、ルイーズ。これの目的は交渉ではないですよね?」
「当然。10対0で勝つのが目的」
クイーンはそれを聞くと渋い顔になる。
先程まであんなにとがめていたのに今では、すっかりルイーズの作戦に耳をかたむけていた。
「隊長?どういうことですか?」
不思議そうなベイカーにクイーンは、自分のカップを少しだけ指でチンと弾く。
「交渉は、特に自分の利益を飲ませたい交渉は、相手にもそれなりにメリット、あるいはこちらがデメリットを負う必要があるんです」
クイーンはそこまでいうと改めてベイカーに視線を向ける。
「ようは、相手に『こちらにもそれなりにメリットがあるなら』と思ってもらうか、『向こうにもそれなりのデメリットがあるなら』と思ってもらう必要があるんです」
「つまり、相手にいくらかの満足感与えてやるかって話ですか?」
ベイカーの質問にクイーンが頷く。
「そういうことです。理想は、交渉相手が4割で、こちらが6割ってところですね」
「流石!交渉の鬼!!」
「どっかの誰かさんのお陰で大分鍛えられただけです」
そう言ってクイーンは、ジロリと睨む。
睨まれたどっかの誰かさんは、すかさず目をそらす。
しばらく見ていても全く目を合わせる気配がないのでクイーンは、諦めて口を開く。
「とはいえ、今回ルイーズ、というかスカーレット達がやろうとしていることは交渉ではありませんよね?」
「そだよ」
「ルイーズ、それ、6対4とまでは言いませんけど、7対3ぐらいまでにする方法がありますよ?」
クイーンの言葉にルイーズは、目を丸くする。
「ん?生徒会にも利益が生まれるってことか?」
エラリィの質問にクイーンは、首を横に振る。
「利益というより、先程言ったとおり満足感をもらうってところですかね。このままじゃ、スカーレット達は完全勝利出来ないですよ?」
クイーンは、ルイーズを静かに見据える。
「ルイーズ、その策に大きな落とし穴があるんですよ」
「落とし穴?」
「えぇ、落とし穴」
静かに紅茶に口を付ける。
「私だったら、間違いなくそれを使うですね」
◇◇◇◇
「────なるほど、貴女方の言い分は、分かりました」
その役員は、そう言う告げた。
(よし!あいつの言ったとおりになった!!これで………)
「では、貴女方は、クレームに屈して今年の寄付金額を下げたと言うことですね?」
思わずガッツポーズしそうになった拳が凍り付く。
「……………は?」
「文化祭の売り上げは、毎年施設に寄付しています。あなた方がクレームに屈したせいで今年は例年より遙かに売り上げが落ちているんです!」
「な!んなことまで、あたし達のせいにすんなよ!」
「いいえ。これは、あなた方のせいです。確かに文化祭実行委員会の資料にクレーム対応について、書かなかったこと。それとパンフレットにあなた方の店の名前を載せなかったことは、こちらの落ち度です」
きびきびと事務的に頭を下げる。
「ですが、あなた方が
「我が身………可愛さ?」
「違うと?クレームが怖くて値段を下げたのでしょう?」
スカーレットは、答えに詰まった。
そう、ルイーズの策は、これがあるのだ。
文化祭のお金は寄付金になる、つまり、誰かを救うお金なのだ。
ルイーズの策に乗ると自分のことを優先し、寄付を与えるべき人間を見捨てたことになる。
そんなもの体裁が良くない。
(あぁ、クソ!これは、予想してなかった)
ぎりっと歯を食いしばる。
見ていれば分かる。
相手は、スカーレットが頭を下げることを望んでいる。
そして、頭を下げたときにこう言うだろう。
自分達に頭を下げても仕方ない、と。
クラス中がざわめき出す。
「そうよね」
「あいつらのせいで、今年は寄付少ないってことでしょ?」
「つーか、クレーム受けたのリッパーなんだろ?」
「男のクセに情けねーな。俺なら一発殴って終わりだぜ」
「全部自分達でやるから、こうなるんだよね~」
「スケジュールも無理だしさ」
好き勝手騒ぎ出す声が聞こえ出す。
(ここまで来たのに…………)
思わず涙が出そうになる。
頑張ったのは自分達だ。
押し付けたのはクラスメイトだ。
邪魔したのクラスメイトだ。
そんな中、あそこまで漕ぎ着けたのだ。
(それを、どうして、こんなところで…………)
◇◇
「あぁ、それなら大丈夫だよ」
クイーンの話を聞いたルイーズは、事も無げにそう答える。
「おや?その心は」
そんなルイーズにクイーンは、少しだけ驚いてそれでいていたずらっぽい笑みを浮かべる。
「とっておきの男の子がいるからね」
◇◇◇◇
「あ、あの!!」
明らかにボリュームを間違えた音量が響く。
自分の間近でそんな声が聞こえたスカーレットは、思わずリッパーの方を振り返った。
クラス中の視線を集めたリッパーは、視線を泳がせながらもギュッと両手を握り締めながら、女生徒とスカーレットの間に入る。
「なんですか?弁解があるなら…………」
「ま、毎年、施設に寄付してるっていいましたよね?」
「え、えぇ。まあ」
生徒会役員の女生徒は、自分の言葉を遮られて不機嫌そうに頷く。
まあ、リッパー自身にはそんなつもりなどなく、ただ、喋るだけで必死なだけなのだが。
「な、なら、募金証明書を見せてください」
相変わらず音量のズレた声。
だが、泳いでいた視線は、真っ直ぐ女生徒を見据えている。
その言葉を聴いた瞬間、女生徒の顔が小さく歪んだ。
それはそうだろう。
明らかにクラスの隅にいるような男子が突然話しかけてきたのだ。
不愉快にもなる。
「いいですか、寄付という行為は誇るべきものではありません。私達はただ、施設の方達に少しでも何かしてあげたいと思ってやっているのです」
女生徒は、そう言ってリッパーを睨み付ける。
「なのに、まさか、感謝状を寄越せとでもいうつもりですか!!自分達は、金を納めたのだから感謝しろと、まさか、そんな恥知らずの要求をするつもりですか!!」
激高する女生徒。
そんな人間を前にし、更にクラス中から睨まれながらもリッパーの感情は驚くほど冷えていた。
「な、何か勘違いしてませんか?ぼ、僕が見せて欲しいと言っているのは、感謝状じゃありません。募金証明書です」
まあ、喋り方について行かないのはいかんともし難いが。
「か、感謝状がないことは別に問題でないです。問題なのは、募金証明書がないことです」
「あなたさっきから何ですか、何が言いたいんですか!証明書だろうと感謝状だろうと問題ないでしょう!!」
底辺とも言っていいリッパーの言葉に女生徒のイライラは募りばかりだ。
「ぼ、募金証明書は、それぞれ、施設に寄付すると必ず出してくれるんです。ぼ、僕の父も持っています」
「何ですか?自慢ですか?素敵なお父様ですね」
鼻で笑われてもリッパーは、引き下がらない。
「こ、この学園は、毎年寄付をしているのに一枚も保管していないんですか?」
「だから、なにが─────」
「き、寄付は、減税対象になるんです。だから、寄付された施設はそれを発行するんです」
リッパーは、更に続ける。
「つ、つまり、寄付と称して脱税にだって使われてしまうんですよ。それを防ぐ意味も込めて出すんです」
「私達は、学生ですよ。そんなモノ」
「し、施設だってお金を管理しなくてはいけないんです。でないと運営だって出来ないんですから。だから、絶対に対になる募金証明書…………募金証明書という言い方がピンときませんか?」
リッパーは、大きく深呼吸をする。
「な、なら、言い換えます。領収書があるはずです!」
その言葉に生徒会の女生徒は、ぐっと、押し黙る。
「ま、まさか、ないんですか?し、支出の証拠である、領収書がないんですか?」
もう一度深呼吸をする。
この言葉を言えば次に来る騒ぎは、予想が着く。
それでも言わなければならない。
人の足を引っ張り、成功を汚すような奴を、
悪意ある行動で、人の努力を汚す奴を、
偽善にまみれた行動で、積み重ねた時間を汚す奴を、
許せるほど、リッパーの歩んだ日々は軽くはないのだから。
「も、もしかして、お金を懐に入れてるのって生徒会なんじゃないですか?」
真っ正面からの言葉に女生徒は、大きく手を振りかぶった。
何回も直しました!!
ということで多めに見てください!!
では、外伝81で( ̄∇ ̄)